原発いらない!浜岡とめろ!福島とめろ!
2500人が反原発を訴えてデモ行進

●2011年4月10日
●東京 芝公園から常盤橋公園へ

4月10日に東京港区の芝公園で、「浜岡原発をすぐ止めて! 4・10東京 ― 市民集会&デモ」が開かれました。主催は、浜岡原発を考える静岡ネットワーク・ふぇみん婦人民主クラブ・日本消費者連盟・原子力資料情報室・たんぽぽ舍・大地を守る会など12団体が参加する同集会実行委員会です。集会には約2500人が参加し、経済産業省前・中部電力東京支社前・東電本社前・銀座・東京駅前を通り常盤橋公園までデモ行進を行いました。

3月11日の東日本大震災で福島県にある福島第1原発が大規模に損壊し、現在も放射線を垂れ流し続けています。その福島原発の次に危険だといわれているのが、静岡県御前崎市にある浜岡原発です。浜岡原発は、発生が想定される東海地震の震源域の真上に建っているからです。今回の集会とデモ行進は、再び福島原発災害のような事故を起こさないために一刻も早く浜岡原発を停止すること、また福島原発から放射線が放出される事態を改善することを求めて行われました。

3月27日に行った反原発デモは、緊急の呼びかけにもかかわらず1200人を超える人々が参加しました。そして今回の参加者は、2倍の2500人です。集会中に会場を見て回ると、従来から反原発運動にとりくんできた団体の関係者だけではなく、初めてデモ行進に参加する人、個人、家族連れで来ている人、お手製のプラカードを持ってきている人がたくさんいました。そうしたプラカードを一枚一枚見ていくと、「いま声を上げなければ」という参加者の気持ちが伝わってきます。

以下に集会の写真レポートを掲載します。



●会場となった芝公園23号地です。集会が始まる時には1500人、デモが終わる時には2500人が参加していました。


●オープニングや、生田卍さん。今話題の「ずっと好きだった」の替え歌、「ずっとウソだった」や、生田さんオリジナルで反原発をテーマにした「空が落ちてくる」などを歌ってくれました。


●向井 雪子さん (チェルノブイリ子ども基金)の司会で、集会はスタートしました。
私たちはチェルノブイリの子どもたちへ、甲状腺ガンの治療を支援してきました。チェルノブイリの子どもたちのような被害を、福島の子どもたちに出したくはありません。しかし福島の事故に関しては、様々な情報が隠されています。子どもたちが危険な状況にさらされています。
子どもたちには、「何が安全なのか」も知ってもらいたいと思います。放射能測定は、本来は国の仕事です。でも、どの食べ物が安全か安心か測定する、そうしたことを市民の手で行いたいと思います。


●阪上武さん(福島老朽原発を考える会)。
事故状況は止まりません。汚染された水が流出し、海にも流れています。水の注入をやめるためには復旧しなければならない、しかし注水を止められない状況なのです。
事態の長期化が予想されますが、避難地域は拡大されていません。また国から送られてきた「専門家」が、「野菜は洗えば大丈夫」などといいかげんなことを言っています。
恐ろしいのはこれからです。福島の子どもたちを守らなければなりません。政府の責任で避難させるべきです。農民の漁民も市民も、「原発はいらない」と言っています。


塚本千代子さん (浜岡原発を考える静岡ネットワーク)。
15年以上前から、「浜岡原発は東海地震に耐えられない」と言って運動してきました。裁判も行いました。しかし国も裁判所も、「それは仮説だ」といいました。しかし福島では、「仮説」通りのことが起きました。「仮説」でないことが証明されてしまったのです。いまこそ福島を、日本だけではなく、世界の教訓にしなければなりません。
福島の事故後に、静岡県知事も御前崎市町も、「原発の見直し」を表明しました。しかしそれは、安全性の見直しなのです。それはおかいい。原発に安全はない。危険な原発を止める事が大切です。東海地震は100年から150年の周期で起きています。今年は前回から157年目。エネルギーが地下に溜まっています。静岡の陸地から駿河湾が震源です。浜岡原発は、その真上に乗っているのです。地震が起きれば、福島以上の、チェルノブイリのような事故になるかもしれません。
どうすればいいのか、止める事が最善で唯一の選択肢です。しかし火力にはCO2の問題もありますから、自然エネルギーへシフトしていくことが大切です。
なお中部電力は、いまでも電力が余っています。浜岡を止めても問題はないのです。


●池田香代子さん(ドイツ文学翻訳家)と、しおりさん(大学生)。

池田さん きょうは、しおりさんと菜の花を持ってきました。菜の花は放射能物質を吸収するそうです。ですから、日本のNGOがチェルノブイリの周辺に、菜の花を植える活動をしているそうです。また菜種は油になるので、自動車の燃料としても使えるそうです。
詳しいことは分かりません。でも、少しでも、効果のあることをやっていきたいのです。
3・11以降、人々の命は、うっすらと軽くなりました。しかも不公平なことに、年の若い人ほど影響が出るのです。もし福島の周りに菜の花を植えるプロジェクトができれば、年長者の私が行きたいと思います。

関口しおりさん 4月に東京で大学生になりました。名古屋での高校生時代に、浜岡原発に反対して、中部電力に申し入れに行きました。そのあとパレードして、菜の花を中電にプレゼントすることになりました。それを池田さんがネットで知ってくれました。きょう、ここから、全国に広げていこうとしています。
大学では友達に、「なぜ、そんなことしているの」と聞かれます。福島の原発事故を受けて、誰かが被ばくするのは、おかしいと思いました。
私たちも、パソコンを使ったり、電機やエネルギーを使ったりします。でも知らないうちに、それが誰かを被ばくさせている。自分が見えないところで、誰かを被ばくさせていることを知りました。
同じ思いをするひとをつくりたくない。ハートのあるエネルギーを、私たちがエネルギーを選べる社会にしましょう


●話に聞き入る参加者の皆さん。前回の集会でも感じたのですが、話を聞く熱心さが、これまでの集会とは違う気がします。


●それぞれの発言には大きな拍手が。


●「ノー・モア・チェルノブイリ」・・・。私たちはあの時、確かにそう誓ったのに。


●福島老朽原発を考える会(フクロウの会)さん。こちらの皆さんは、もう何年も前から、福島原発の危険性を訴えていました。ホームページは以下です。
http://fukurou.txt-nifty.com/


●お手製のマスクには、「NUCLEAR POWER NO THANKS」のステッカー。このマークは欧米の反原発運動でも広く使われています。ドイツで3月26日に行われ、25万人が参加した反原発デモでも、このマークの旗やプラカードがたくさんありました。
AFPニュース 「ドイツで反原発デモ、20万人以上参加」


●前回のデモにも、このプラカードを持って参加してくださった方です。


●文字とデザインが凝っています。


●こちらのお二人も、おそろいのプラカードで参加です。


●満開の桜の下で、ショッキング・ピンクのバナーが映えていました。


●ストレートなプラカード。goodですね。


●菜の花とプラカードのコントラストが綺麗です。


●自作Tシャツを着た皆さん。


●高木章次さん(プルトニウムなんていらないよ!東京/浜岡原発差止裁判原告)が集会をまとめます。


●いよいよデモ行進にスタート。先頭は日本消費者連盟やふぇみんなどの市民団体の皆さんです。


●主催者側で用意した「原発はいらない!」のプラカード。





●ひときわ大きなサイズのプラカード。文字は色つきガムテープ、マークは切り張りで作っていました。みなさん、工夫を凝らしています。


●防塵マスクを着用して危険をアピール。政府や東電の発表からは伝わってこない内部被ばくの問題は、大変重要です。


●こちらも素敵な絵です。


●たんぽぽ舎の皆さん。


●おしゃれな人が多いのも、今回のデモの特徴です。


●2000人を超える参加者を出発させるために、てい団は九つになってしまいました。会場内にはまだまだ人がたくさんいます。


●今回も、日本国内の報道機関の取材は少なく、一方で海外の報道機関がたくさん来ていました。


●一緒にデモをしながらの取材です。


●「放射能は要らねえ 牛乳が飲みてえ」 清志郎さんの「LOVE ME TENDER」ですかね。
You Tube LOVE ME TENDER


●こちらのプラカード、どうみても本職のデザイナーさんのものですよね。
デザイナーさん、ミュージシャンさん、アーティストさんの様な方々もたくさんいらっしゃいました。これも今回のデモの特徴かもしれません。


●デモの進路を先回りして、歩道橋からピースサイン。


●暑かったと思います。お疲れ様でした。


●初めて参加した方々のようでしたが、バナーを持ってもらって先頭をお願いしちゃいました。プラカードも1枚1枚お手製です。やっぱり本職のデザイナーさんたちなのかな?


●政府もテレビも新聞も、「風評被害に惑わされるな」とやっきになっています。でも「風評被害」の原因は、政府が情報を隠しているからではないでしょうか。


●1コマ漫画風のプラカード。


●大きなプラカードをくくりつけているのは、ビニール傘でした。一工夫ですね。


●デモ行進が進んでいくと、警察官の数が増えてきました。


●「原発いらない」、「自分の命を危険にさらしたくない」という当たり前の声を上げる人々に、何でこんなにたくさんの警官が必要なのでしょうか?


●と思っていたら、ここは経済産業省の前でした。この中に、原発を推進する「資源エネルギー庁」と、原発の安全を管理する「原子力安全・保安院」が入っています。推進側と監視側が同じ役所にいることの問題点は、原水禁発行の「福島原発事故情報・特報便 NO3」をご覧ください。


●経済産業省前の歩道では、警視庁・公安部・公安総務課(犯罪ではなく、政治思想を取り締まる部署)の若い警察官が、ビデオを回していました。こうした行為は、憲法違反であることが最高裁の判例に示されています。抗議しましたが、まったく気にしません。名前も名乗らなければ、警察手帳も見せない、最高裁の判例も知りませんでした。
前回のデモでは、彼らと同年代の警察官が、警備そっちのけで、携帯型のゲーム機に夢中になっていましたが、こうした若い警察官を見ると「何のために警官になったの?」と思ってしまいます。
ところで、この場所にいた彼らの上司に、「何の目的で撮影してるのか」と聞くと、「突発的な事態に備えて」とのこと。「突発的な事態とは?」と更に問うと、「いや経産省に物を投げるとか、あるでしょ」。
 「しないよ!!そんなこと」。


●ちなみに、休みの日の場外馬券売り場にいるような、このオヤジさんも警察官です。手に持っているのは部下から受け取った参加団体のチラシ。集会の会場内で配られていたものなので、「あなたたち、会場の中に入ったの?」と聞くと、「いやごみ箱に捨ててあった」との返事でした。ホントかいな。


●経済産業省の少し先には、東京電力の本社があります。東電の前にも機動隊がずらりと並んでいました。経済産業省や東電は、いわば加害者側。他方、私たち市民は被害者側です。政府と東電はいまだに情報の統制を行い、市民は被害を受け続けているのです。被害者が加害者に抗議するのは、当たり前のこと。でも日本の警察は、加害者側を守るのです。
もちろん、一般の刑事犯罪では加害者側の人権も保護されるのは当然のことです。
しかし国と国策企業の人命破壊ともいえる事態に際して、抗議する人々を犯罪者のように扱う日本政府は、とても民主主義国家の政府とは言えません。
市民が声を上げることを許さない、お上に楯突くことを許さない、長年にわたってこの国を支配してきたそうした考えが、今回の福島原発崩壊の一因にあるのではないでしょうか。市民が声を上げることが当たり前になることで、いつかはこの国が変わるのだと思います。また市民の期待を受けて政権交代を実現した民主党・国民新党の連立政権が、1日も早く自民党時代の悪癖から解放され、この国が警察国家で無くなることを期待しています。頑張りましょう。


●デモは銀座にさしかかりました。


●こちらのお母さんとお子さん、手製の旗を持っていました。写真を撮ろうとしたのですが、旗が風に舞ってしまいます。


●ようやく撮れた!ありがとう。


●銀座を過ぎて東京駅の方向へ。


●みんなまだまだ元気です。


●解散地点では、高木さんが次回のデモの日程をアピールしていました。
チェルノブイリ原発事故から25年 くり返すな!原発震災 つくろう!脱原発社会4・24集会&デモ

おしまい


次回は4月24日です。みなさん、ぜひ来てください。
文・写真 八木隆次でした。


報道へのリンク

AFP「都内で反原発デモ、浜岡原発の廃止など求める」・・・写真があります。
You Tube「4月10日 全国各地で反戦デモ」(動画は芝公園)
YouTub「浜岡原発すぐとめて @」・・・発言が聞けます。(「ちきゅう座」さん)
YouTub「浜岡原発すぐとめて A」・・・発言が聞けます。(「ちきゅう座」さん)
東京新聞「浜岡原発停止」求めて都内でデモ 芝公園で2500人集会(4月10日) *共同通信の配信記事です。各地方紙にも掲載されています。


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