日本の現状と在日米軍に関する報告

フォーラム平和・人権・環境
事務局長 福山真劫



平和を確立するために

私たち、またわたしたちの仲間、先輩は、憲法理念に基づく平和を作るのだと決意し、現在まで全国各地で多くの反戦・反基地闘争に参加してきました。
 しかし戦後の日本の政権を担ってきたものたちは、日本国憲法を空洞化させ「軍事大国化」をめざすと同時に冷戦体制下、冷戦後、同時多発テロ以後とその時代に合わせた米国の世界戦略に従属・加担し、独立後も米軍基地が日本国内に展開することを許してきました。私たちの闘いは、そうした路線、そうした路線を担う勢力との闘いでした。
 時代がいま大きく右旋回しようとしています。もう一度決意をかためよう。

 1 日本の憲法体制と安保体制の矛盾

私たちは、世界に誇るべき日本国憲法を持っています。
 そしてその9条には、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。A前項も目的を達するため、陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」と書かれています。

 しかし時の政府は、「解釈改憲」を行いながら、「軍事大国への道」をひた走り、実態は、世界でも有数な軍事力を保有する国家となり、有事関連法案も整備し、「戦争できる国」となってしまっています。

 また「平和憲法」を持ちながら、日米安全保障条約が結ばれています。その5条、6条には、「5条1は、各締約国は、日本国の施政下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするもであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続きに従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する」「6条1、日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持の寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することが許される。」と書かれています。その後の推移する事態に対応して、「日米新ガイドライン」も合意されています。

 米軍は、日米安全保障条約に基づき、日本全土に展開しています。その米軍は、安保条約の「極東の範囲」を大きく超えて、冷戦時代はソビエトをにらみそして現在は中東から東アジアを視野に入れ、軍事行動を展開しています。横須賀には、第7艦隊司令部もあります。沖縄からは、イラク侵略戦争のため、出撃しています。      


2 戦争と軍事的緊張をつくりだすブッシュ政権と連動する自公政権を許さない
 
ブッシュ政権は、2001年の同時多発テロ以降、2002年の「一般教書」演説、「大量破壊兵器と闘う国家戦略」などを発表し、国連や国際法を無視して、単独行動主義(先制攻撃戦略)に基づき、世界を、戦争と軍事的緊張の中に引きずりこみ、2001年アフガン戦争、2003年イラク戦争を開始しました。

とりわけ、イラク戦争については、世界で2000万人といわれる平和を願う人々が「侵略戦争反対」と立ち上がり、平和運動が高揚しました。また日本でも「ワールドピースナオ」など多くの平和運動が高揚した。しかし米国ブッシュ政権は、イギリスのブレア政権とともに、「多国籍軍」を編成し、イラク侵略戦争を開始し、イラクの民衆、インフラ、自然を破壊し、現在も泥沼状態のままで占領状態を継続しています。占領下の傀儡政権が「アメリカのための民主化」のための政策を実施していますが、本当の民主主義の確立には程遠いものです。

 そしてイラク戦争開始当初は、37カ国か国であった多国籍軍も、イラク戦争の本質(米国・ブッシュ政権のうそ)が次から次へと明らかになるにつれ、イラクからの撤退を開始し、イギリスでさえ撤退の検討を開始しています。米軍は直ちに違法な侵略戦争と占領統治を中止し、撤退すべきです。2005年9月には、米軍・多国籍軍の撤退を求めて、また大きな平和運動が世界的に高揚しています。

 小泉政権は、「平和憲法」が存在しているにもかかわらず、ブッシュ米政権のアフガン戦争には、インド洋に自衛隊を派兵、後方支援し、イラク侵略戦争では、2003年国民の反対の声を無視し、「イラク特措法」を制定し、自衛隊をイラク・サマワに派兵しました。「人道支援だ」とごまかしてみても、イラクの民衆は、自衛隊は「多国籍軍」であり、銃口は自らに向いていることを知っています。そしていつ自衛隊が、イラクの武装勢力と交戦状態に陥ってもおかしくない状態です。

2005年12月派兵期限が終了しますが、政府は、継続して派兵すべく動いています。私たちは、憲法違反であり、イラク特措法にすら違反している「イラクへの自衛隊派兵延長」は、絶対に許せません。

また米国ブッシュ政権は中東とあわせて東北アジアにおいても軍事的緊張を高めています。世界の平和勢力全体の力で、ブッシュ政権と小泉政権の政策転換を勝ち取りたいものです。

3 米軍の「トランスフォーメーション」に対抗しよう


 米軍は冷戦以降も「アメリカにとっての平和」と「アメリカの実質的世界支配」を確立し続けるために、世界展開しています。世界の紛争や戦争を米国に追従する各国の軍事力によって押さえ込もうとしています。戦争や紛争の原因は市場万能主義に基づく弱肉強食の「グローバリズム」にあります。アフリカ、中東、東アジア、中南米など先進資本主義国の犠牲となった国々では「貧困・飢餓」、「富の格差」、「麻薬」、「人身売買」、「公害」、「差別」など集積し続けています。世界が必要としているのは、軍事力ではありません。「国連を中心に「人間の安全保障政策」を確立することです。世界の平和団体、NGOが世界各地で奮闘しています。

 米軍は現在全世界に約20万人、基地数約430箇所、基地面積約702エーカー、うち日本には、51000人、韓国には36000人の軍隊を展開させています。(梅林宏道氏資料)

米軍は、そうした中で、2001年から「4年ごとの国防戦略の見直し」を開始しました。そして2002年12月、日米安全保障会議、2003年11月ブッシュ大統領の「海外駐留米軍再編」に着手を発表、2004年3月ラムズフェルド4原則、2004年8月ブッシュ「中東地域、朝鮮半島、台湾海峡などの有事に備え、展開力の構築」と演説、2005年2月日米安全保障協議会(共通の戦略目標、自衛隊と米軍の役割分担、地元負担)と現在日本との関係も含めて世界的規模で米軍再編を展開しています。

そうした中で、日本は米軍再編成に応えるべく、協議を重ねると同時に2004年12月新防衛計画大綱を決定しさらに「憲法の9条を改悪」すら準備をしています。

在日米軍基地再編に関する日米協議の内容は、相変わらず明らかにされていません。しかし基本的なポイントは、@キャンプ座間に陸軍第1軍司令部移転、A横田に航空自衛隊司令部を移転し、在日米軍との共同司令部化、B岩国でNLP訓練、C沖縄における基地強化、D極東条項の廃止、E在韓、在日米軍の一体化などなどがもれ出てきています。

こうした事態の本質は、現行の憲法、日米安保の条文をさらに逸脱し、「中東から東アジア」までを視野に入れ、米国主導で、「日米共同」の「攻撃型の防衛体制」を作り上げ、日米軍事同盟体制をさらに強化しようとするものです。

また報道では当初、10月中の「日米外務防衛首脳会議(2+2)」と、11月の「小泉―ブッシュ会談」での合意をめざすとされていました。しかし協議が進展しないことから、2+2の前に予定されていたラムズフェルド国防長官の来日を米側はキャンセル。強い不満を表明しています。

 日米間協議の焦点は、普天間基地の移設先についてです。名護市辺野古ではボーリング調査のための「単管やぐら」が9月2日、台風のために撤去されました。以降、新たな「やぐら」は建設されていません。しかし米国政府は、辺野古への移設を断念したわけではありません。

 また日米間協議の主要なポイント進捗状況は次のとおりです。

(1)普天間基地移設  
 日本政府は新たな移設先として、辺野古に隣接する米海兵隊キャンプ・シュワブ内の陸地を提起しました(キャンプ・シュワブ陸地案)。基地内であれば反対運動に関わらずに建設を進められるからです。しかし米側は、キャンプ・シュワブへの移設に反対しています。そのため日本政府は米国に妥協、当初予定よりも小規模な施設を、辺野古のリーフ(浅瀬)に建設しようとしています(辺野古リーフ内縮小案・浅瀬案)。

(2)横田基地
 東京都横田基地には米第5空軍の司令部があります。再編案としては当初、グァムに司令部をおく第13空軍との統合と、司令部のグァム移転が報じられてきました。

しかし現在では、米軍内の統合と司令部移転は消え、航空自衛隊・航空総隊司令部の移転が主な課題とされています。実現すれば、在日米空軍と航空自衛隊の司令部が合同することになり、日米航空戦力の一体化が進みます。

(3)キャンプ座間
 神奈川県のキャンプ・座間には、在日米陸軍司令部とその付属機関が設置されています。再編計画では、米本土ワシントン州にある米陸軍第1軍団司令部の移転が報じられていました。第1軍団司令部は、韓国駐留の第2師団とハワイの第25師団を指揮下に置き、活動範囲がアジア太平洋地域全域であることから、日米安保条約の「極東条項」に抵触するという問題が指摘されてきました。米国は、第1軍団司令部を縮小改変して日米安保の枠内で活動するとの説明を、日本側にしているようです。
 また最近、陸上自衛隊に新設される中央即応集団の司令部を配備する計画も明らかになりました。この計画が現実となれば、横田基地同様に座間基地でも、日米の陸上戦闘部隊が一体化されることになります。

(4)岩国基地
 山口県の岩国基地には、海兵隊の戦闘機部隊が配備されています。これまでにも岩国基地を飛び立った戦闘機が、度々墜落事故を起こしています。

 その岩国基地に、現在は厚木基地で実施されている夜間発着訓練(NLP)の移転が、取りざたされました。米海軍の空母キティーホークは横須賀基地を母港としています。キティーホークが横須賀入港している間、艦載機は厚木基地で訓練を実施しています。その訓練の一つが、基地の滑走路を空母の甲板に見立てて夜間に発着訓練を実施するNLP訓練です。厚木基地周辺が住宅密集地であり爆音が問題となっていること、また岩国基地が沖合に拡張したことから、移転先とされたようです。

4 おわりに

 私たちはこうした米軍のトランスフォーションを絶対に許せません。
 また基地機能が強化されようとしている沖縄、東京横田、神奈川座間、山口岩国、など地元では大きな反対運動が高揚していますし、全国で反戦反基地闘争が広がっています。 

その運動は地元自治体を巻き込んでの闘いとなっています。こうした闘いが日米間の合意形成を遅らせています。私たちの闘いをさらに高揚させ、米軍の再編成を許さない新しい情勢を創り出しましょう。

 また米軍基地の存在と再編成は、日本だけではありません。
 本日のシンポジウムにはオーストラリア、グアム、フイリッピン、韓国など4カ国から7人の国際ゲストが参加し、それぞれのとりくみ経過を踏まえて、提起してくれます。

私たちは、本日のシンポジウムで学んだことを武器に、国際的な視野で、平和のために、生活を守るために、環境をまもるため全力で頑張りましょう。私たちは、もう一度私たちの旗に、「平和憲法を守れ。米軍再編成反対。米軍基地の縮小・撤去。世界の仲間と連帯して闘おう」のスローガンを書き込み、鉢巻を締めなおし、全国各地から闘いましょう。