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止めよう再処理!共同行動ニュース2/23号記事から

2011年02月23日

これ以上犠牲者を出すな!-政策の転換を
相次ぐ原子力現場での自殺!

「もんじゅ」現場課長の自殺
 またも痛ましい犠牲者が出てしまいました。新聞報道によると、原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)で昨年8月に起こった炉内中継装置(燃料交換装置)のトラブルを現場で担当し、復旧作業にあたっていた核燃料課の課長が今月14日に自殺していたことがわかりました。
 自殺の理由は、報道ではわかりませんが、容易にもんじゅのトラブルと関係しているのではないかと推測されます。昨年の夏のトラブル以降も、もんじゅは様々トラブルに見舞われています。そして今月21日から落下した炉内中継装置の回収に向けて準備作業にはいりましたが、果たしてうまく進むのかどうか、運転再開にむけての推移は不透明といったところです。これまで約1兆円もの国費が投入されているもんじゅいまだ完成していません。さらに昨年8月からの停止によって1日あたり5500万円も維持費がかかり、年間200 億円以上もの国費が浪費されています。その上、復旧作業に約9億4千万円、新しい炉内中継装置に約4億4千万円、関連作業を含めれば、さらに追加負担が強いられようとしています。そのようなもんじゅの失敗の重圧が、現場の担当者に重くのしかかったのではないでしょうか。
 旧動燃時代のもんじゅ事故隠し事件に際しても、事故調査にあたった責任者が自殺しています(遺族はその真相究明を求めていました)。それに続く今回の自殺も、まさにもんじゅに押し潰されたと言えるのではないでしょうか。このまま「もんじゅ」のトラブルが続き、運転再開もままならなくなれば、その狭間に挟まれる労働者が、またも犠牲になる危惧があります。政策的・技術的に破綻しているもんじゅを強行的に押し進めることは、そのおそれを拡大させるのではないでしょうか。

六ヶ所再処理工場でも自殺者
 自殺者はもんじゅだけではありません。六ヶ所再処理工場(青森県六ヶ所村)でも、昨年8月9日に再処理事業所内の事務棟で、再処理工場の運転部門の管理職が「転落死か」と報道される事件が起きています。その後の続報がなく詳しい状況が一切公表されていなので、「転落死か」との報道以外ありませんが、これも「自殺」と言われています。再処理工場も高レベル放射性廃棄物ガラス固化施設でのトラブルが続き、長期に渡って運転試験の停止が続き、管理職にとっても大きな重圧であったものと思われます。これも技術的・政策的失敗の犠牲となったと言えるのではないでしょうか。

島根原発でも犠牲者
 その他にも、昨年4月13日には、島根原発1.2号機で発覚した点検漏れ問題で、中国電力の緊急対策本部で原因調査に当たっていた同社電源事業本部の部長が、松江市内のホテルの部屋から飛び降り自殺を図りました。当時、120を超える(その後511箇所)島根原発での未点検箇所により、原発が止まり、社内外からの批判にさらされ、検査の責任者と良心との板挟みになったのではないでしょうか。これも原発をめぐる重圧に押し潰されたと言っていいのではないでしょうか。

働く人たちのためにも政策の転換を
 何か起こるたびに現場の労働者は、「原発推進」、「核燃料サイクル推進」の錦の御旗の下に沈黙し、心身をすり減らされていく中で、押し潰されていく現状があります。また自殺に追い込まれても、原因も明らかにされないまま闇の中に葬り去られています。死者が何を訴えたかったのか、私たちはもっと謙虚に耳を傾けるべきではないでしょうか。
 原発は1日止めると1億円の損失と言われています。また相次ぐトラブルで運転の長期停止となった再処理やもんじゅの費用負担も莫大な額に上り、これ以上経費負担に余裕のない中で、一方では安全性が求められるという厳しい状況があります。それらの責任がすべて現場に降りかかってきています。ギリギリの中で進められる原子力発電や核燃料サイクルは、もはや矛盾だらけです。政策の転換が、働く人たちのためにも早急に求められています。


青天井の核燃料サイクルの経費
いったいどれだけ費用がかかるのか

 現在の日本の原子力政策の基本は、原発で使い終わった核燃料を全て再処理し、ウランとプルトニウムを取り出して、もう一度原発や高速増殖炉で使用しようとする計画です。しかし、これらの計画の中核を担う「六ヶ所再処理工場」や「もんじゅ」は、相次ぐトラブルで止まったままです。その間、経費も膨れあがる一方となっています。政策の正当性も問われています。

建設費が青天井の再処理
 六ヶ所再処理工場は、高レベル放射性廃棄物のガラス固化施設のトラブルで08年末から試験は中断したまま。当初、完成時期は1997 年とされていましたが、これまでに工場の完成が18 回も延期され、2012 年10 月に完工が延びました。しかし作業も遅れ、新たな試験でのトラブルも予測されるなどさらに大幅な延期が余儀なくされる可能性が大と言われています。すでに完成の遅れによって、新たな負担が2000億円に上ることが明らかにされました(4Pの記事参照)。さらに遅れが出ればますます負担が増すばかりで、昨年の4000億円もの増資すらアッという間に食い尽くしてしまうのではないでしょうか。これまで六ヶ所再処理工場の建設費は、当初7600億円の予算でしたが、すでに3倍の2兆2千億円を超え、まだまだ経費がかかることが明らかなっています。その負担は、全て私たちの電力料金に転嫁されています。

「もんじゅ」は1日5500万円の無駄遣い
 もんじゅも、95 年12 月のナトリウム漏洩火災事故以来、14 年5ヵ月振りに昨年5月に稼働再開となりましたが、8月26日に炉内中継装置(燃料交換装置)の落下事故によって再度停止を余儀なくされました。再開は2012 年8月とされていますが、トラブルを起こした炉内中継装置の引き抜きや炉内損傷の検査などの課題が山積し、さらに延期が予想されています。
 もんじゅは、すでに1兆円もの国費が投入されても完成していません。さらに今回の停止によって1日5500 万円も維持費がかかり、年間200 億円以上もの国費が、ただもんじゅを維持するためだけに浪費されています。その上、復旧作業に約9億4千万円を要し、新しい炉内中継装置の設置に約4億4千万円、付随する関連作業を含めれば、さらに追加負担が増えることになっています。さらに実用化(2050年ころに実用化の予定)に向けた開発にどれだけ経費がかかるのかわかりません。
 核燃料サイクルは、まさに湯水のごとく莫大な資金が投入されていますが、いまだ実現されていません。こんなムダが続いていても誰もその責任をとろうとしていません。企業や政府にとっては、電力料金や税金に転嫁すれば済むかもしれませんが、大幅な国民負担増を強いる核燃料サイクル政策は許せません。再処理やもんじゅといった核燃料サイクル路線は、相次ぐトラブルや莫大な費用、その存在意義、危険性などによって破綻は明らかになっています。これ以上破綻の上塗りを続けることは明らかに間違いです。不確定な費用がますます膨らむ原子力政策の転換がいま求められています。

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