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10/2に行われた九州電力社長への申し入れ(九州ブロック)

2012年11月12日

「川内原発に係る申し入れ書」 九電回答概要
(文責は川内原発増設反対鹿児島県共闘会議)

Ⅰ 概要
(1)川内原発増設反対鹿児島県共闘会議による九州電力社長への申し入れ
ア と き  2012年10月2日(火)10時30分~11時30分
イ ところ  鹿児島市・九州電力鹿児島支社
ウ 要請団  川内原発増設反対鹿児島県共闘会議の荒川議長、井之脇・下馬場・野呂・猪鹿月副議長、山崎事務局長、牟田事務局次長、社民党県連合の川路幹事長、川内原発建設反対連絡協議会の三園代表世話人、柳県議の10人。
エ 対応者  九州電力鹿児島支社広報グループの高田グループ長と岸本課長の2人。
(2)九州電力社長への申入れに対する回答交渉
ア と き  2012年11月6日(火)14時~15時
イ ところ  鹿児島市・九州電力鹿児島支社
ウ 要請団  川内原発増設反対鹿児島県共闘会議の井之脇・下馬場・猪鹿月副議長、山崎事務局長、牟田事務局次長、社民党県連合の川路幹事長、川内原発建設反対連絡協議会の三園代表世話人、桃木野県議、佃薩摩川内市議の9人。
エ 対応者  九州電力鹿児島支社広報グループの高田グループ長と岸本課長の2人。

Ⅱ 回答のポイント
10月2日
九電】申入れ書については関係する上位機関(本店)に伝え、回答については上位機関と相談のうえ返答させていただきたい。
要請団≫政府は2030年代までの原発ゼロ達成へ向けた「革新的エネルギー・環境戦略」を決定(2012年9月14日)した。8月29日に九州各県のみなさんと九州電力本社で交渉したが、九州電力は政府の方針に従うと答えたにも関わらず、政府の方針が出るとそれに異議を申し立てていると報じられている。九州電力の本音、意思を明確にして欲しい。

1 川内原発1・2号機を再稼動せず、「革新的エネルギー・環境戦略」を踏まえ、計画的に廃炉にする行程表を明らかにすること。
10月2日
要請団≫政府は9月19日の閣議で「革新的エネルギー・環境戦略」を踏まえて遂行することを決定した。「戦略」の「2030年代原発稼動ゼロ」や「40年運転制限制」に対応した九州電力の原発廃炉に至る行程表などを明らかにして欲しい。
九電】7月18・19日に原子力安全・保安院による現地調査が行なわれ、9月3日に審査結果が取りまとめられた。再稼動の見通しについて、現段階で申し上げることはない。
11月6日
九電】9月14日、政府のエネルギー環境会議で「革新的エネルギー環境戦略」が決定され、2030年代に原発稼働ゼロを可能にするよう方針が示された。また9月19日に閣議決定された。エネルギー政策の決定については、将来のエネルギーミックス、温暖化対策の方向性を示すとともに、国民生活や経済に大きな影響を及ぼす重要なものである。原子力ゼロ政策については課題が多くあり、現実的な政策への早急な見直しを求めたい、というのが当社の方向性である。
  当社としては、原子力発電は安全性の確保を大前提として、エネルギーセキュリティー面、地球温暖化対策面等から、その重要性は変わらないと認識しており、原子力という選択は失うべきではないと考えている。
  規制委員会が今後どのような方針を示すか明らかでないので時期については不明だが、一日も早く再稼動したい。
要請団≫原子力発電は国策だから推進したのか、九電独自の判断で推進してきたのか。
九電】オイルショック移行、国策として推進されてきたが、九電としての経営判断も踏まえて原子力発電を進めてきた。その考えは、福島原発事故以前も以後も変わりはない。原子力発電の比率が電力会社で異なるのは地域特性と経営判断によるものだ。
要請団≫九電は関西電力に次いで原子力発電の比率が高いが、どんな地域特性があるのか。
九電】(明確に答えられず)
*発受電電力構成比(2009年度、電気事業連合会「エネルギーの基礎」)
九州電力は原子力42%・水力5%、四国電力は原子力41%・水力8%、中国電力は原子力15%・水力6%、関西電力は原子力45%・水力10%、北海道電力は原子力35%・水力16%。
要請団≫国策という大きな枠組みの下で、九電の経営判断により原子力発電を推進(国策民営体制)してきたようだが、国策が変われば九電の方針も変わるのではないか。原子力政策大綱などで示された国策が「革新的エネルギー環境戦略」に変わった。九電は、現在の国策を無視するのか。
九電】原子力政策大綱などは国策だが、「革新的エネルギー環境戦略」は政府の方針であり、国策とはいえない。
要請団≫「国策」と国策でない「政府の方針」との違いは何か。九州電力にとって「国策」と「政府の方針」の違いの基準を明らかに。
九電】(答えず)

2 「革新的エネルギー・環境戦略」などを踏まえ、川内原発3号機増設計画(設置許可変更届)を取り下げること。
10月2日
要請団≫政府は川内原発3号機などの着工前の原発の新増設は認めないといっている。8月29日の段階で九電は国の動向を見ながら考えるということだった。国の動向は明らかになったので明確な回答をして欲しい。
九電】3号機増設について、原子力発電は安全性の確保を大前提として、エネルギーセキュリティー面と環境問題、地球温暖化対策面を考え、原子力の重要性は変わらないと考えている。「革新的エネルギー・環境戦略」で原子力発電の新増設はおこなわないと決定されているが、当社としては原子力という選択肢は失うべきではないと考えている。
要請団≫政府の「戦略」は明確に新増設を認めないとしている。枝野経産相も、工事に入っている原発は例外的取扱いをするが、川内などについは方針どおりダメだと明言している。九州電力は政府の政策は認めないという立場なのか。
九電】認めないというと言葉が強いが、政策については早期の見直しを求めたい。
要請団≫政府の「戦略」について九州電力は知らないよ、無視するということか。8月29日の九州電力本店での回答と異なっている。
九電】先ほど回答した以上のことを回答する立場にない。
「戦略」を無視する云々については上位機関に確認したい。
11月6日
九電】原子力発電は安全性の確保を大前提に、エネルギーセキュリティー面、地球温暖化対策面等から、その重要性は変わらないと認識しており、原子力という選択は失うべきではないと考えに変わりはない。川内原発3号機の開発については、今後の国のエネルギー政策見直しの動向を踏まえたうえで、地域の皆様のご理解をいただきながら適切に対応するという方向で変わりはない。
要請団≫「革新的エネルギー環境戦略」に反し、在任中は3号機増設に係る手続きを凍結すると表明している鹿児島県知事の意向にも反している。九電は増設を諦めよ。
九電】原子力という選択肢は失うべきではない。

3 貴社は8月29日に「国のエネルギー政策に沿って対応する」と回答しながら、「一日も早い再稼動を」とか「現実的な政策への早急な見直しを求めたい」とマスコミ各紙で報じられているが、政府施策に反対する意思なのか明らかにするとともに、政府の「革新的・エネルギー環境戦略」に係る2012年9月14日の貴社のコメント全文を公表すること。
10月2日
要請団≫9月15日付けの南日本、毎日、朝日、読売の各紙は、九州電力が9月14日にコメントを出し、政府に対し「戦略」の見直しを求めていると報じている。8月29日の「国が結論を出せばそれに従う」という回答は嘘だったのか、経緯を含めて説明して欲しい。併せてコメント全文をマスコミだけでなく電力消費者にも公表すべきではないか。
九電】8月29日の本店での回答と9月14日の弊社(九州電力株式会社名)発表のコメント内容に相違があるとの指摘だが、コメントの公表については九電プレスリリースへの掲載も含め本店に伝え、確認したい。
要請団≫九州電力は、政府の「戦略」を基本的に受け入れるのか、反対なのか明らかに。
九電】9月14日のコメントどおりで、それから変わったということは聞いていない。
要請団≫マスコミによるコメントに係る報道は、九州電力の本意と異なっていないか。
九電】当社が発表したコメントの全てが載っているわけではないが、文言的にはこのとおりで間違いはない。
要請団≫8月29日の九電本店でのやりとりは支社にきちんと伝えられているのか。
九電】8月29日に本店で話し合いの場を設けたということと質問内容、話し合いの概要が記録としてあり、配付されている。
要請団≫私どもがまとめた「九電回答概要」に記した「国の政策に従う」という九電回答は、事実と違うという認識なのか。
九電】九州電力作成の概要が手もとにないので、内容の相違について確認したい。
要請団≫お互いが作成した交渉概要を交換しあい、共通認識をもてるよう検討して欲しい。
九電】検討する。
要請団≫九州電力はどのようなアクションにより政府に見直しを求めようとしているのか。
九電】具体的なものは聞いていない。
要請団≫コメントの内容は九州電力単独のものか、電力業界も同じ見解なのか。
九電】9月14日に電気事業連合会も同様の趣旨のコメントを明らかにしたと聞いている。
要請団≫政府の「戦略」が明らかになった以前と以降で、九州電力の対応は変わるのか変わらないのか明らかにして欲しい。
九電】九州電力としては、原子力の重要性は変わらない、原子力の選択肢は失うべきではないという考えで変わりはない。
11月6日
九電】政府が「革新的エネルギー環境戦略」を発表した日に当社のコメントを発表した。コメントは配付する。(別添の「『革新的エネルギー環境戦略』の決定について」〈PDF〉を読み上げ)

4 2012年9月24日に朝日新聞のインタヴューに答えた松尾新吾相談役(九州経済連合会会長)の「脱原発は国民の5割や6割が思っているのではない」、「原発比率は7割8割にすべき」などの発言は看過出来ず許せません。貴社の松尾発言に対する見解を明らかにし、松尾新吾氏を相談役から解任し、九州経済連合会会長を退かせること。
10月2日
要請団≫九州電力として「松尾インタヴュー記事」は大問題になっているのではないか。
九電】取材の全容が分からないので事実確認をしたい。その旨、上部機関に伝えたい。
その記事以降、相談役に対して社内でどうこういう動きは聞いていない。
要請団≫松尾発言は九州電力の考え方の範疇で、九州電力自身が、原発比率を7割8割にすべきだとか、脱原発というが国民の多数の声ではないと考えているということか。
パブリックコメントや討論型世論調査などの国民的議論の結果を踏まえ、政府が明らかにした「過半の国民は原発に依存しない社会の実現を望んでいる」ということを否定しるのか。松尾発言が九州電力内で問題視されていないという企業風土こそが問題だ。
九電】事実関係を確認して回答できるものは回答したい。
11月6日
九電】松尾会長は当社取締役を退任しており、経営にかかわってはいない。個人としての発言なのでコメントは差し控えたい。
要請団≫松尾相談役は九電社内の人ではないのか。松尾相談役を任命したのは誰か。九州経済連合会会長に就任するに当たって九州電力はどのように関わったのか。九電と関わりがないとは言わせない。
九電】(明確に答えられず)

5 九電敷地内での鹿児島県原子力防災訓練を公開するなど情報公開に努めること。
10月2日
要請団≫川内原発での原子力防災訓練については、鹿児島県原子力安全対策課とも相談しながら実効ある訓練になるよう数年来監視行動をおこなっている。今年8月の訓練でも監視行動を行なったが、川内原発内での緊急安全対策訓練は、九州電力により安全性確保を理由に見学・監視を拒否された。防災訓練の趣旨を踏まえ、今後は公開すべきだ。
九電】鹿児島県が主催して毎年実施している防災訓練については、安全確保の点から一般の方には公開していない。報道機関を通じて訓練の内容などを知っていただきたい。本社に伝えたうえで返答する。
要請団≫鹿児島県が公開すべきだといえば、公開するのか。安全性が確保されれば公開されると理解してよいか。
九電】鹿児島県が言えば九州電力は言うことを聞くかということについては私が答えるべきものではない。核物質防護の観点から入構については必要最小限に厳しく制限されている。マスコミについても3~4名に制限している。チラシ等の配布で訓練内容を周知することにより公開している。
11月6日
九電】安全面の確保、発電所防護の観点から原子力発電所構内への立ち入りは厳しく制限している。報道機関についても撮影範囲を制限しているが、報道機関を通じて訓練の内容などを知っていただきたい。
要請団≫訓練以外の時には原子力発電所構内に入り、原子炉格納容器まで見学している。防災訓練だからこそ、必要な安全・防護対策をとった上で一般にも公開すべきだ。

6 その他
10月2日
要請団≫九州電力は再生可能エネルギーを3.11福島原発事故以降どれだけ増やしているのか。開発予算も含めて明らかにして欲しい。
九電】風力、太陽光、地熱、バイオマスの再生可能エネルギーの開発・導入については、3.11以前から推進してきた。昨年度の計画から50万kW拡大し、平成32(2020)年度までに設備量で300万kW導入することにしている。メガソーラーを大牟田に3,000kW運転開始している。今後、大村火力の跡地にグループ会社で1万3,500kWのメガソーラー開発を平成25(2013)年春に予定している。再生可能エネルギー開発予算については手もとにないので回答はご容赦願いたい。
要請団≫脱原発基本法の成立へ向けた取り組みを進めているが、原発立地自治体の振興や原発関連労働者の雇用の確保の観点からも新エネルギー開発を進めて欲しい。
  福島の子供たちは被ばくの不安を抱えながら生活している。そういう福島の状況に思いを寄せて企業活動をおこなって欲しい。
  原発稼働のための理由付けをあれこれあげるのではなく、何十年も故郷に帰れない福島原発近くに住む人々の現実や事実上国営化された東京電力など、3.11後の福島の実態をしっかりと受け止めて対応すべき。
 (松浦)火力発電所の建設が報じられたが。
九電】松浦火力発電所の増設工事再開は当社が正式に発表したものではない。
11月6日
要請団≫九電鹿児島支社への申入れに対し、鹿児島支社長などが対応すべきではないか。佐賀支社は広報グループのみのでなく支社長なども対応している。
  原発が今後も動かないことを見通して、松浦火力2号の建設工事再開や計画停止中の唐津1・2号の再稼動に直ちに着手して供給力確保を。
  九電の再生可能エネルギー開発予算は、福島原発事故以降どのように変わったか。
  (「九電甘い金銭感覚/幹部ら宴会 女性接待付き/費用の大半、電気料金/国の脱原発『いい迷惑』」[朝日新聞2012年10月31日]を示し)、電気料金値上げを打ち出しながらのこのような九電の体質は問題であり、本日の回答は納得できない。
九電】(ご意見として受け止める、手許に資料を持ち合わせていないなど、誠意のない回答に終始)


◎ 九州電力が「2030年代に原発稼動ゼロ」という「国策」に反して原発推進の旗を降ろさないのなら、九州電力は原子力発電に対する優遇・保護・支援政策を全面的に撤廃するよう国に言うべきだ。損害賠償を含めた事故時の費用はもとより、核燃サイクルや廃炉、放射性廃棄物処理など原子力発電に係るすべての費用について国及び国民に負担を求めず、民間企業として自己決定・自己責任によって対処する決意を明確にすべきである。
そのことは、商業ベースでは採算が取れない原子力発電事業から、九州電力が自らの経営判断で撤退を余儀なくされることにつながり、結果として「原発稼動ゼロ」という国策に合致することになる。

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