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止めよう再処理!共同行動ニュース7/24号の記事から

2013年07月24日

原発問題は争点にならず
自民党の圧勝に終わった参議院選挙

 先の参議院選挙で、原発・核燃料サイクル推進の安倍・自民党が圧勝しました。これで原発の再稼働への動きが一段と加速されることが予想されます。原発問題では自民党以外は、時期の問題はありますが脱原発が大きな流れでした。選挙では、脱原発を前面に掲げ訴えた政党はありましたが、肝心の自民党は原発問題を争点とせず避けました。憲法の問題や沖縄の基地問題、TPP問題など、重要政策課題が争点になることを避けてきたのが今回の自民党の選挙でした。重要な課題を正面から掲げず、争点をずらしたことに「世論と議席のズレ」と言われる状況が起きました。福島で当選した自民党の森雅子議員は、福島県内の全原発廃炉を主張しましたが、原発の再稼働や脱原発になると言葉を濁すなど、被災地福島でもその姿勢がハッキリしていません。

再稼働とプルサーマル
 原発の新規制基準が7月8日に施行され、それに合わせて北海道電力・泊原発1・2・3号機、関西電力高浜原発3・4号機、大飯原発3・4号機、四国電力伊方原発4号機、九州電力玄海原発3・4号機、川内原発1・2号機の再稼働申請がなされ、審査に入っています。審査は半年ほどとも言われていますが、早ければ今年末にも結論が出るとも言われ、審査の行方が注目されます。原発立地自治体の再稼働に対する同意が焦点となります。立地地域できでいいのか、隣接自治体や防災関係で拡大した30キロ圏内の自治体の対応も焦点となっていきます。福島原発事故を見れば、事故の被害は広範囲に及び、立地自治体だけが問題ではないことは明らかです。そのことを踏まえた対応がなされるのかどうかは現在見えていません。原発推進側のごり押しが懸念されます。
 今回申請された原発のうちプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を燃やすプルサーマルを前提とするのは、伊方原発3号機、高浜3・4号機、玄海原発3号機の4基があげられていますが、地元理解が必要となっており、反発が強ければ通常のウラン燃料での発電となる可能性があると言われています。泊原発3号機は、当初プルサーマルの計画を実施する予定でしたが、福島原発事故後に発覚した住民説明会の「やらせ問題」でプルサーマル計画は凍結され、今回の再稼働申請にはプルサーマルは含まれていません。しかし、「凍結」はいずれ溶ける可能性もあり。再稼働すればプルサーマルに切り替わっていくことが懸念されます。今回のMOX燃料は、海外製のもので、六ヶ所再処理工場でつくられたものにいずれは切り替えされるとされていますが、プルトニウムがすでに44トンもある中では、いつそれが使われるのか明確になっていません。むしろ永久に使われないかもしれません。

フルMOX燃料の大間原発は難しい
 MOX燃料を大量に使うことが期待されている電源開発(Jパワー)の大間原発に対して、6月26日、原子力規制委員会の田中俊一委員長は、個人的な見解としながらも、「世界的に経験がない。もう少しデータが必要。そもそもいまの日本で、世界がやったことがないものを初めてやるのは難しい」と、フルMOXに対して否定的な見解を示しました。ますます大間原発の存在意義も問われてきます。大間原発は、六ヶ所再処理工場で作られるプルトニウムの最大の消費先となると言われています。その大間原発が頓挫することは、六ヶ所再処理工場のあり方にも直結するものです。今回の発言は、大間原発や六ヶ所再処理工場の先行きを暗示しています。

MOX燃料は問題だらけ
 そもそもMOX燃料を使用することは、これまでの原発の安全余裕度を低くし、事故による被害も大きくなると指摘されています。さらに電力会社にとってもMOX燃料の加工費、輸送費、貯蔵費、使用後の処理・処分費(未定)などこれまでのウラン燃料の費用を何倍も上回るもので、近年特に厳しい経済状況にある中で、さらに経済的負担を増すものです。電力料金の値上げが言われる昨今、そのあり方も問われるものです。
 使用済みMOX燃料の処理・処分についてもいまだ何も決まっていません。そのような中で見切り発車のようにMOX燃料を使うプルサーマル計画を実施することは、「トイレなきマンション」と言われているこれまでの原子力政策の「愚」をまたも繰り返すものです。六ヶ所再処理工場の後につづく第二再処理工場で使用済みMOX燃料は処理されるように描かれていますが、第二再処理工場の計画はいまだ何も進まず、実現可能性はまったくないのが現実です。使い終わった後のMOX燃料は、これまでのウランの使用済み燃料に比べ、発熱量量が約二倍に増え、長半減期核分裂生成物も増加するなど厄介な核のゴミと化すだけです。

再処理は安全保障のため?
 さらにMOX利用計画も含め日本の核燃料サイクル政策は、六ヶ所再処理工場建設や「もんじゅ」をはじめとする高速増殖炉計画そして高レベル放射性廃棄物処分問題で、技術的、経済的さらに社会的にもすでに破綻していることは明らかです。そのような現実を見れば、MOX燃料の利用や再稼働そのものもできる訳はありません。それでも安倍政権は「核燃料サイクル」に固執しています。その裏には、国防の強化を旗印に、核燃料サイクルの維持はエネルギー政策というより安全保障政策の一環とあるのではないでしょうか。核兵器の材料になるプルトニウムを大量に保持し、非核兵器国で唯一再処理できる権利を確保している日本が、中国や韓国などと対立し。東アジアで軍事的。政治的な力を持つ上で核燃料サイクルの維持や強化は手放さないものとなっているのではないでしょうか。新防衛大綱の中で敵基地攻撃能力の確保など軍事が外に向かう中で、核燃料サイクル政策の維持は別の側面がかいま見られます。
 東アジアの平和と安定は、軍事ではなく非軍事でつくり出すべきです。特に東北アジアの非核地帯化をめざす動きもあり、日本の再処理、プルトニウム利用政策は大きな障害となっています。六ヶ所再処理工場も、プルトニウム利用政策も放棄すべきです。

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