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高速増殖原型炉もんじゅ再稼働にあたっての声明

2010年05月06日

 4月26日、西川一誠福井県知事と川端達夫文部科学相、直嶋正行経済産業相との3者協議で、地域振興策と引き換えに運転再開の実質的合意がされました。その夜、またもナトリウム漏えい検出器のトラブルが発生しました。同種のトラブルは、改造工事後にも頻発しており、工事の信頼性に大きな疑問がわくのも当然の事態です。しかしながら、28日、福井県、敦賀市はもんじゅ運転再開を承認しました。原水禁は再稼働にあたって声明を出しました。
 

 

高速増殖原型炉もんじゅ再稼働にあたっての原水禁声明
 

 高速増殖炉計画は、使用した核燃料以上にプルトニウムを生産することが出来るとされ、長期的なエネルギー安定供給のための核燃料サイクルの中核と位置づけられて来ましたが、当初の目算からすべて状況が変わっています。1970年代までの考え方だった希少ウラン資源の有効活用という最大の存在理由自体が、もはや成立しません。
 ウラン資源は、当初の予想よりはるかに多く存在し、増殖させるはずのプルトニウム自体、日本の所有する物だけでも46トンを超えてだぶついています。六ヶ所再処理工場が事故続きで稼働しない事をさしおいても、増やしたプルトニウムを取り出して使うという核燃料サイクルの構図自体が破綻している事は、誰が見ても明らかです。
 1995年の事故でも明らかなように、冷却剤にナトリウムをつかう高速増殖炉は、極めてリスクが高い。先行した米、英、独、仏など各国でも計画を中止しています。
 さらに、14年以上も停止していた原子炉の再稼働というきわめて例外的な技術的課題への挑戦であり、もんじゅ直下に活断層が見つかっている事に対して、再開を優先して耐震安全性に懸念の残るままであるなど、安全、安心を後回しにしているとしか思えない状態です。改造工事完了後もナトリウムもれ検出器の誤動作が相次ぐなど、心配が絶えず、福井県民のみならず、全国の人々の安心を奪っています。
 高速増殖炉開発にはすでに2兆円を超える税金が使われ、ごくわずかしか発電しなかった「もんじゅ」の維持に年間100億以上もかけてきました。国は、福井県の合意を得るために、北陸新幹線の敦賀延伸や高速道路の早期開通等、地域振興策に責任を取るといいます。不合理な税金の使われ方に現地からも疑問の声が出ています。最も経済合理性の無い、最も危険な事業に対する見直しを早急に望みます。
 さらに、NPT再検討会議開催中の5月に高速増殖炉を稼働させるという事は、全世界に日本の全く不可解な核燃料政策をアピールし、イランなど核分裂性物質生産を望む国にモデルをしめして、核不拡散への日本の外交にも悪影響を与えます。プルトニウム利用政策をやめ、核兵器物質を持たない基準をつくって、国際的にも説得力ある核燃料政策への転換が急務です。もんじゅは動かすべきではありません。

2010年4月28日
 

原水爆禁止日本国民会議
議  長 川野 浩一
事務局長 藤本 泰成

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