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被災57周年ビキニ・デーアピール

2011年03月01日

 1954年3月1日、アメリカがビキニ環礁で行った水爆実験は、マーシャル諸島住民の生活を根底から破壊するとともに、周辺海域で操業していた多くの漁船に多大な被害を与えました。なかでも第五福竜丸のヒバクは日本に大きな影響を与え、幅広い原水爆禁止運動として全国に広がりました。
 あの衝撃的な事件から半世紀を超えたビキニ事件は、けっして過去のことではありません。
ビキニ事件に先立つ1945年8月、広島・長崎に原爆が投下され、一瞬にして筆舌に尽くしがたい惨状の中で多くの命が奪われました。生き残った人々も未だに癒されず、その苦しみを背負い続けています。さらに今年はチェルノブイリ原発事故の惨事からも25年目を迎えようとしていますが、ウクライナやロシアなどでも多くの被災者が放射能の深刻な被害に今も苦しみ続けています。ヒバクの歴史が、ヒロシマ・ナガサキ-ビキニ-チェルノブイリ-JCOと連綿と続いています。あらためて「核と人類は共存できない」事を確認しなければなりません。
 第五福竜丸の傷ついたヒバクシャを迎えたこの地静岡は、いままた東海地震とその想定震源域の真ん中にある浜岡原発の存在によって、再びヒバクシャを新たに生み出す危険性をはらんでいます。巨大地震による地震災害と放射能災害が同時に起こり、人類がいまだ経験したことのない巨大災害=原発震災の危険性が、多くの有識者から指摘されています。
 私たちは、広島・長崎そしてビキニ事件を契機に原水爆の禁止を訴えて運動を進めてきました。その中には、「ヒバクシャを二度と再びつくらない」という広島・長崎やビキニのヒバクシャの強い願いがありました。残念ながらビキニ事件以降も、相次ぐ核実験や原子力の商業利用という美名の下で、多くのヒバクシャを生み出してきました。私たちは あらためてヒバクの歴史に終止符を打たねばなりません。
 世界に2万発余もの核兵器が存在することも、日本が核の傘に甘んじていることも、全ての核の軍事利用や商業利用についても、ヒバクシャをつくりだすことにつながっていることを直視し、行動しなければなりません。
昨年5月、ニューヨークの国連で開かれたNPT再検討会議や今年2月の米ロの新START(戦略核兵器削減条約)の発効など核軍縮の流れが生まれてきました。さらにその動きを加速させなければなりません。いまだ「核抑止力」を認める勢力が存在する中、私たちは「対話と協調」を軸とした安全保障の実現を目指していかなければなりません。核軍縮の機運を高め、核兵器保有国を国際的に包囲しましょう。
 また、六ヶ所再処理工場や高速増殖炉もんじゅの稼働、プルサーマル計画の推進、原発の新増設など、核拡散や事故の危険性を高める動きにも反対していきましょう。そして、今年の被爆66周年原水爆禁止世界大会を成功させ、核も戦争もない平和な21世紀をつくりだす契機にしましょう。
 私たちは、ビキニのヒバクシャをはじめ世界中のあらゆるヒバクシャや平和を求める人々と連帯し、あらゆる国の、あらゆる核実験・核兵器に反対し、そしてヒバクシャを生み出す全ての核開発を止めていくことをあらためて決意するものです。

2011年3月1日
被災57周年3・1ビキニ・デー全国集会参加者一同

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