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福島第一原発事故に関する要請書(第2次要請)

2011年05月12日

 平和フォーラム・原水禁は、「福島第一原発事故に関する要請書」(第2次要請)を内閣府と文部科学省に対して提出しました。


2011年5月12日

内閣総理大臣 菅直人様
文部科学大臣 高木義明様
原子力安全委員会 委員長 斑目春樹様
原子力安全・保安院 院長 寺坂信昭様

フォーラム平和・人権・環境
原水爆禁止日本国民会議
事務局長 藤本泰成


福島第一原発事故に関する要請書(第2次要請)

 今回の未曾有の災害や福島第1原発事故の復旧作業に対する、貴職の昼夜違わぬご奮闘に、心から敬意を表します。
 福島第一原発事故の復旧作業は、困難を極める中、冷温停止へ向けて血のにじむような努力がなされています。現場で復旧作業に従事している方々に対して感謝を申し上げます。
 5月6日、菅直人首相が浜岡原発の現状での運転停止を要請しました。平和フォーラム・原水禁も前回の要請書で浜岡原発の運転停止をお願いしました。市民の安全・安心の視点に立った決断に対して、敬意を表したいと思います。
 現在、原発事故への対応に関しても、放出される放射線量が減少傾向にあるなど一定の成果を上げつつありますが、まだ予断を許せない状況にあります。収束への行程は不明確ですが、速やかに冷温停止へ進んでいくことを望んでいます。
 このような情勢の中で、平和フォーラム・原水禁は、今後のエネルギー政策や原発の安全対策のために、また作業員や子どもたちの健康のために、以下の通り要請いたします。政府および関係諸機関が、市民の目線に立って対応していただきますよう心からお願いいたします。

 記

1.福島原発事故の発生時からの全情報の公開を求めます。

 福島原発の事故以降も、原発が稼働しています。稼働中の原発については安全性の再検証が必要であると考えますが、そのためにも、福島原発事故の詳細な事故情報の公開が必要です。地震の規模、制御棒の挿入状況、地震による被害の有無、津波による被害の内容、海水注入の判断までの経過、水素爆発の原因、格納容器の状況、その他、色々な情報は今後の安全性の検証に極めて重要です。これまでの情報を政府機関が独占すべきではなく、速やかな公開を通じて国民的議論に伏すべきと考えます。 

2.福島原発事故の原因究明に関する独立した外部委員会の設置を求めます。

 これまでの原発の安全確保に関しては、安全行政の立場と推進の立場とが、原子力利用への考え方や人的な面においても一体となり、批判的な研究者が政府の政策や監督行政から排除される傾向にありました。今回の事故の規模に鑑みて、推進・反対を問わずしっかりとした原因究明を行うことが必要であり、今後の原発の安全性確保の側面から極めて重要な課題と考えます。これまでの安全行政への批判などから考えると、事故の原因究明は、原子力安全委員会や原子力安全・保安院の中に設置するのではなく、利害関係者から独立した機関において行うことが、国民の理解を得る唯一の方法と考えます。

3.原発事故の復旧作業に従事してきた作業従事者の作業工程や被曝量などの情報公開を求めます。さらに、作業従事者の労働環境の改善をはかることを求めます。

 この間、復旧作業にあたった作業員(自衛官、消防署員、東電社員、関連・協力会社員)に関しては、被爆量が短期間で許容量を超えることから、作業から撤退せざる得ない状況になっていると聞いています。作業によって年間被曝量の許容量を超えた方については、その健康診断等を継続していくなど、追跡調査と検診等の保障措置が必要と考えます。そのためにも、作業従事者の作業工程や被曝量の情報公開を求めます。さらに、この間、作業従事者の衣食住に関する作業環境は、劣悪な状況に置かれています。よりよい仕事を遂行するためにも労働者を取り巻く環境の改善は喫緊の課題です。

4.子どもの被曝許容量(年間20mSV)の再考を求めます。

  幼稚園・保育所、学校で学ぶ子どもたちの被曝許容量が、労働安全衛生法上で規定れされた放射線管理区域内の労働現場での年間平均被曝許容量である20mSvと言う数字と同じであることは国民的理解を得られません。この数字が、保護者の不安を増幅させている一因になっています。この間、作業従事者の年間許容量も100mSvから250mSvに引き上げられていますが、事故が現実のものとなってから法定の被曝許容量を変更し現実に適合させることは、理解が得られるものではありません。決められていた数字にどのような意味があったのかを問われるものです。特に、放射線被害に弱い成長期の子どもたちに対しては、より厳重な被曝量管理が求められます。子どもたちの健康問題の所管省庁である文部科学省は、国民的理解を得るための説明責任があると考えます。成長期にある子どもたちにとって、放射線の影響は計り知れないものがあります。より慎重な検討を重ね、現状で取り得る最大限の努力の下での被曝許容量の設定を求めます。

5.福島県内の公園、保育所や幼稚園、学校の敷地など、幼児、児童生徒の活動範囲における放射線濃度の高い汚染土壌の速やかな廃棄を求めます。行き場のない汚染土壌については政府の責任で、放射線被害をおよぼすことのないよう、管理の徹底を求めます。

 放射線量は、空中よりも土壌の方が高いのがこの間計測されています。そのことは、成人に比べより地面に近い児童・生徒の活動は、大きな影響を受けるものです。中には、グランドや砂場を転げ回るなどし、口から砂が入る場合も日常的に想定され、体内被曝も成人より高いと予測されます。以上から考えますと、子どもたちの被曝の影響は成人より極めて高くなることも予想されます。汚染土壌の廃棄は必須と考えます。

6.幼稚園・保育所、学校などの教育現場に対して、正確な計測が出来る放射線測定器の十分な配布を行い、放射線量に対するきめ細かな対応を行うこと。

 放射線量は、天候や風向、事故状況の変化に対応して刻々と変化します。また、グランド、側溝の中、水のたまりやすい場所などによって大きく変化します。子どもたちの被曝量を最小限に留めるためには、きめ細かな測定が必要です。測定値が上昇した場合には、即時の屋内待避措置も重要です。そのためにも福島県内の各校に複数の放射線測定器を配置することが必要と考えます。

以上


●「福島第一原子力発電所事故に関わる要望」(4月4日)はこちら

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