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JCO臨界事故12周年集会への東海村長からのメッセージ

2011年10月02日

人の命を超える国策などはあってはならない

東海村長 村上 達也

 ついに危惧していた事故が起きてしまいました。昭和20年科学者中谷宇吉郎博士は人類の原子力利用に「地球上ではその創生以来堅く物質の究極の中に秘められていた恐るべき力。人間は開けてはならない蓋を開けてしまった」と警告していた、そのことを日本人自らの手で起こしてしまいました。この福島原発事故の前に1979年アメリカスリーマイル島原発で、そして旧ソ連チェルノヴィリ原発で恐るべき事故が起き、多くの被曝者、犠牲者を出していたのに。そして東海村でも1999年にJCO臨界事故が起こり2名の死者、多くの一般市民の被曝者を出していたのに、なんてことでしょう。日本人はまたもやアジア太平洋戦争の過ちと同じ渦ちを犯してしまいました。
 福島原発周辺の人たち10万人強の避難者は、今もなお将来の当てもなく漂流しています。生活の基盤である故里を失い、子供の将来に心を痛め、何もかも失う恐怖に慄いています。「国破れて山河あり」、その山河は原発事故の後も以前と変わらず昔のまんまなれど、そこで暮らしは営めぬ。こんな不条理が許されていいのでしょうか。故里を追われた人たちの心情は私の想像を絶するものがあります。この人たちの救済について政府に問うたところ「損害賠償は誠意を持ってやる」という答えでした。損害賠償だけですか?カネで償える話ではないのに、なんと心のない回答でしょう。先の大戦で人間の命を紙屑のように扱い中国はじめアジア各国で2000万人以上、日本人380万の死者をもたらした戦前のエリート軍人の感覚に同じであります。人の命は「鴻毛よりも軽し」か。
 原発政策は大上段に「国策」と言われています。そしてこれを議論するとき必ず出てくる言葉は、「経済はどうする」「産業は空洞化する」「便利快適な生活をやめるのか」「夏場の電気はどうする」等々でありますが、実は今と同じことが、この国では31年前のスリーマイル事故後の時にも言われたようであります。日本人は「国益」「国威」という言葉に弱いようですが、今度こそ命、それは人間だけでなくあらゆる生きとし生けるものの命を第一に考えられるよう頭を切り替える時であります。日本人も福島原発事故から原発による繁栄は「一炊の夢」でしかないことを知るべきであります。
 最後に、「JCO臨界事故12年集会」のご盛会を祈念すると共に皆さまのご努力に敬意を表し、そして福島原発事故の犠牲者の速やかな救済を願い挨拶といたします。
 

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