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「核兵器の人道的結末に関する共同声明」への日本政府の参加に際しての声明

2013年10月25日

 

「核兵器の人道的結末に関する共同声明」への日本政府の参加に際しての声明




 

原水爆禁止日本国民会議
(原水禁)
議長 川野 浩一



 「核兵器は巨大で制御不能な破壊力を持ち、無差別に受け入れがたい人道的結末を引き起こす。いかなる状況においても二度と核兵器が使用されないことが人類の生存の利益である」
 これは、10月22日(日本時間)に国連総会第一委員会において日本も含め125カ国が賛同した「核兵器の人道的結末に関する共同声明」の趣旨です。参加にあたって日本政府は「唯一戦争の被爆国であり、核兵器の使用の悲惨さをもっともよく知る我が国として支持するものです」との外務大臣談話を発表しました。これまで同趣旨の声明への参加を見送ってきた日本政府に対して、田上富久長崎市長は、今年の平和宣言の中で「これは二度と、世界の誰にも被爆の経験をさせないという、被爆国としての原点に反します」ときびしく批判しました。日本政府の官界の参加は、広島市・長崎市、被爆者、多くの平和団体、世界各国のNGOのたゆまぬとりくみの結果として、心から歓迎するものです。今後、日本政府が核廃絶への強力なイニシアティブをとることを強く要請します。
 また、大阪地裁は10月24日、在外被爆者への被爆者援護法の全面適用をめぐる訴訟の判決で、韓国在住の被爆者からの医療費支給申請を却下した大阪府の処分を取り消しました。この判決は「戦争を遂行した国が自らの責任で救済を図る国家補償の援護法が、在外被爆者には適応しないとする合理性はない」としています。関係諸機関は、この判決を真摯に受け止め、被爆者の側にたって対応することを強く求めます。
 被爆者は、戦後社会を貧困と差別、病魔と闘いながら生きてきました。それ故被爆者は、単に自らの補償だけではなく、「世界から核兵器を廃絶する」「二度と被爆者を出してはならない」という強い思いを世界に発信し続けてきました。今、日本では福島原発事故によって放射線被害の恐怖にさらされている人々がいます。事故の収束に向けて放射線の恐怖と闘いながら日夜努力している人々がいます。「二度と被爆者を生まない、NO MORE HIBAKUSYA」の思いは、福島にも向けられています。
 長崎に落とされた原子爆弾はプルトニウムを利用してつくられました。日本は、原子力政策・核燃料サイクル計画の中で、長崎型原爆約5500発分ともいわれる大量のプルトニウムを所有しています。世界からは「核保有国」との指摘もあります。原水禁は、「核と人類は共存できない」として、すべての核利用に反対をして運動を展開してきました。「被爆者に寄り添い、新しい社会をつくる」。このことを基本に、東日本大震災・福島原発事故を契機に、原子力政策・核燃料サイクル計画から脱却し、原発も核兵器もない世界をめざすことが求められています。
 原水禁は、日本政府の「核兵器の人道的結末に関する共同声明」への参加に対して、そのことを強く求めます。
 

 

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