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【66大会・報告】長崎第7分科会/ヒバクシャ3(交流・討論編)「被爆二世・三世問題の現状と課題」

2011年08月08日

参加者人数:31名

討論の要点と特徴
 はじめに、被爆2世組織の方から現状について報告があり、「被爆2世についての法的な定義が存在しない厳しい条件の中で組織化を図ってきた」ということが出されました。そして「被爆2世」が抱える問題として、「被爆2世の健康問題」「原爆放射能による遺伝的影響」「被爆者の子としての差別」などがありますが、この間、国は「遺伝的影響はない」という立場を貫いており、また「親としての責任」という観点から、被爆1世にも精神的負担が強いられている現状も明らかにされました。また、国に対して調査・責任追及を行っていく為には、個人ではなく「組織化」していく事の必要性も叫ばれました。 

 また、福島の原発事故においても、「残留放射能に対する影響」といった観点では原爆被害と同様であり、被害を認めない国の態度も変わらないことから、今後、福島の方と交流しながら運動を進めていく事の必要性も提起されました。

 また、講師からは遺伝学の立場からの検証として、生殖細胞が損傷を受けると「継世代に渡って影響を受けること」が既に動物実験において確認されており、実際にセラフィールドでは受胎6ヵ月前の父親の被曝線量と比例して子どもの白血病の相対的危険度増加が明らかにされ、こうした状況に対して、早急に対策を講じ被害の拡大を防ぐ事が必要だといった提起が行われました。
 また、福島原発事故においても、チェルノブイリでは移住しなければならないレベルの汚染地域に未だに多くの住民がおり、これからも食物を通して被曝量が増加する懸念がある一方で、政府は「ただちに影響はない」として急性障害以外は認めない方針を貫いており、健康追跡調査についても限定的で問題があるという事も言われました。
 
 また、被爆2世の参加者からは「組織化しようとしてもなかなか理解して貰えず、役員の担い手がいない」「被爆2世という事がバレルと不利益を受けるので活動したくない」といった問題点が出され、被爆者からも「子どもに対する影響を考えると事実を話せない」「経世代の影響を自分達の問題として考えなければならないと感じた」という意見が出されるなど、課題も浮き彫りとなりました。
 最後に、講師の方から「被ばくした事実は消せないが、今後のリスクを減らしていくことはできる。その為にも、加害者の責任を明確にし、被害者の立場にたった対策を早急に講じさせると同時に、福島をはじめとしたあらゆる核被害者と連帯しながら闘いを構築していかなければならない」といった提起も行われました。
 
 人口の流動化などによって被爆2世の把握そのものが難しくなり、被爆者の高齢化や、また福島事故後という事もあって参加者が少ない傾向にありましたが、「被爆2世」の問題を通して、核被害が「見えづらくなり複雑化してきている」ということが明らかになりました。そうした事を踏まえて、今後はそれぞれの立場で抱えている問題を継続して交流していく事の必要性が改めて問われた分科会となりました。

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