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原水禁世界大会・沖縄大会提起

2011年08月11日

原水禁世界大会・沖縄大会提起

被爆66周年原水爆禁止世界大会
事務局長 藤本泰成

 1945年3月26日、アメリカ軍は沖縄中部の読谷村・北谷村の海岸から上陸しました。物量に勝るアメリカ軍による、鉄の暴風「Typhoon of Steel」と呼ばれる艦砲射撃は、容赦なく住民の頭上を襲いました。日本軍による住民殺害や集団自決の強要など、悲劇的住民被害が続きました。6月下旬まで3ヶ月にわたって続いた地獄のような地上戦の、日本側の死者は約22万人、そのうち10万人以上が民間人と言われています。
 
 沖縄の地上戦は、本土決戦への時間稼ぎを命じるもので、「軍官民共生共死」に方針は住民を意図的に戦闘に巻き込んでいきました。男子中学生などで急遽結成された鉄血勤皇隊約1800人、ひめゆりなどの女子学生による看護部隊約500人などは、そのことを象徴しています。沖縄は、1609年の島津侵攻、明治維新の琉球処分など、日本支配によって多くの辛酸をなめてきました。戦後は、米国の統治下において厳しい生活を余儀なくされてきました。本土復帰以降も、在日米軍の75%を抱える沖縄は、米兵犯罪、戦闘機などの騒音、実弾演習、そしてヘリや航空部品の落下など、常に「命」の危険と隣り合わせの生活を余儀なくされてきました。
  そこには、日本政府の政策「国策」の中で翻弄され続けてきた沖縄の歴史があります。

 原水禁世界大会は、フクシマから、ヒロシマ・ナガサキ、そしてオキナワへと、議論をすすめてきました。フクシマは、戦後の経済成長政策を支えるエネルギーを供給し続けて、原発事故に遭い、今は、故郷から離れての避難生活を余儀なくされています。原子力を中核とするエネルギー政策によって、フクシマは「命」の危険にさらされています。「日本の原子力は安全」という東京電力・政府の言葉に裏切られました。「国策」の下で、私たちの「命」は、どれほどの重さであったのでしょうか。
 
 今、東日本大震災、福島原発事故の陰で、在日米軍基地機能強化、自衛隊の南西諸島への配備強化など、沖縄県民の思いを逆なでするような事態が進行しています。世界で一番危険と言われる普天間基地撤去で揺れた沖縄は、大きな裏切りにあいました。そして、日本政府は、あろう事か、その危険な普天間基地に未亡人製造器「Widow Maker」と呼ばれるオスプレイを配備しようとしています。テスト飛行の段階から墜落を繰り返しているオスプレイの配備には、沖縄県民の誰もが反対してます。沖縄国際大学のヘリコプター墜落事故の記憶は未だ生々しいものがあります。沖縄県民の「命」を大きな危険にさらすオスプレイ配備を、自ら積極的にすすめようとする日本政府は、いったい誰のための政府なのでしょうか。アメリカ軍のための日本政府なのでしょうか。

 この3月、東日本大震災の衝撃の中で、日本政府は、アメリカ軍に対して毎年1880億円を5年間支払う「思いやり予算」を決定しました。1880億円は、毎月10万円を、15万6000世帯に配ることのできる額なのです。被災し雇用を失った人々は14万人と言われています。これらの世帯に今どれだけの支援が行われているでしょう。このこと一つとっても、日本政府が、何を見て政治を行っているのか、みなさんの胸にも大きな疑問がわくに違いありません。

 私たちは、この沖縄における事実に、福島における事実に、これまで積み上げてきた怒りをぶつけなくてはなりません。

 脱原発も脱基地も、日本の戦後社会を問うことであり、政治のあり方を問うことだと思います。「国策」の名によって、一人ひとりの「命」が失われることを、もうやめようではありませんか。
 オキナワとフクシマを結んで、全国で、一人ひとりがつながって、「命」を大切にする社会をつくろうではありませんか。
 自然とともに、健やかな「命」を育んでいくことのできる社会をつくろうではありませんか。
 脱原発と脱基地を、この運動を成功させることが日本社会を変えることなのだと、確信します。
 みなさんとともに、最後までがんばっていくことを、「命」に寄り添って、がんばっていくことをお誓いして、原水禁世界大会、オキナワでの提起といたします。

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