トップ  »  原水禁大会  »  【67大会・報告】長崎第1分科会/脱原子力1―学習・討論編―福島原発事故と脱原発社会の選択

【67大会・報告】長崎第1分科会/脱原子力1―学習・討論編―福島原発事故と脱原発社会の選択

2012年08月08日

脱原発社会の実現に必要なのは、脱原発への意思である。(ベーベル・ヘーン)
脱原発は民主主義の回復だ(鎌田慧)
脱原発、反原発への決意が固まった第一分科会


会場 長崎ブリック・ホール
講師 鎌田慧さん(ルポライター)
海外ゲスト ベーベル・ヘーンさん(ドイツ・緑の党)

 9時30分から長崎ブリックホール国際会議場で、第1分科会「原子力1学習・討議編‐福島原発事故と脱原発社会の選択」が500名の参加で行われました。集会運営は座長である長崎市市会議員の池田章子さん、日教組の平野忠司さんによっておこなわれました。

 まず、さようなら原発1000万人アクションの呼びかけ人でもある鎌田慧さんとドイツの緑の党連邦議員であるベーベル・ヘーンさんからの講演を受け、福島原発の実態、各地方での脱原発の取り組みの意見効果などの報告をもとに、討論を行いました。

 最初に行われたドイツにおける脱原発の取り組みの報告は、原発問題できわめて参考になる点がありましたので、紙面の関係上、第一分科会の報告はベーベル・ヘーンさんの発言を中心に報告します。以下はベーベル・ヘーンさんの発言です。

 「ドイツにおいても、10年前は原発による発電が全体の発電量の30%を占めていいましたが、2010年には22,2%、2011年には17.1%まで削減することができました。特に2010年からの1年間で5%もの発電比率を下げることができました。それは、一方で再生可能エネルギーを拡大させることができたからこそ、原発による発電を削減することができたのです。再生可能エネルギーと原子力は、2011年で逆転しました。雇用でも再生可能エネルギー関連の雇用は拡大しており、3万人程度の雇用にとどまっている原発関連の雇用より4倍の雇用を創出し、将来は60万人の雇用を見込んでいます。グリーンニューディールとよばれています。

 ドイツでは、再生可能エネルギーの拡大のために再生可能エネルギー法を制定し、固定価格買い取り制度や供給方法などの支援策をすすめてきています。この中で、地位低下を恐れている電力会社からの反発が強まっており、再生可能エネルギーは料金が高くなるなどのキャンペーンを張っています。しかし、再生可能エネルギーは普及が進むにつれ、価格が下がり、エネルギー市場で原発による発電に負けない価格となりつつあります。他国との関係でも同様です。昨年の2月、厳寒の中フランスは電力不足におちいり、ドイツはフランスに太陽光発電の電力を輸出しました。

 電力へのドイツからフランスへの輸出について日本でほとんど知られていません。この実態には、驚きの声がでました。

 鎌田さんは、原爆投下の必要性はなかったといいます。マンハッタン計画のなかで、最終実験として投下されたものです。原発建設、核の平和用のきっかけとなったアイゼンハワー演説でさえ、その趣旨は核の開発費用の回収のためのものでしかすぎません。
また、鎌田さんは、原発建設の進め方は、きわめて非民主的だと指摘しています。日本はアメリカの意向を受け、買収と懐柔によって原発建設を進めてきたものです。原発は政治の問題です。脱原発の実現はまさに民主主義の復活であると強調しました。

 集会は福島から千葉親子さんの報告、青森、宮城、佐賀、鹿児島からのたたかいの報告があり、会場から8名の意見質問の中で討論が行われました。脱原発に向けて意義ある討論でした。
 ベーベルさんが、現在のドイツでも脱原発のたたかいは続いており、脱原発にはなによりも脱原発を目指す意思がひつようなのだということを強調していたこと。鎌田さんが、原発は非民主主義の結果であり、民主主義の回復として脱原発を実現しなければならないとして、政府のパブコメに多くのファックスを集中し1000万人署名の実現を訴えたこと。集会参加者は一人ひとり胸に刻み込んで、各地方に持ち帰りました。

 原発はいらない。再稼働を止めよう。

このページの先頭へ

関連記事

2012年08月09日
被爆67周年原水爆禁止世界大会/大会宣言
2012年08月09日
広島市・長崎市/平和宣言2012
2012年08月08日
【67大会・報告】長崎第3分科会/脱原子力3―学習編「脱原発に向けたエネルギー政策の展開」
2012年08月09日
報告 被爆67周年原水禁世界大会の全日程終わる 長崎大会でまとめ集会
2012年08月08日
【67大会・報告】長崎第7分科会/ヒバクシャ3―交流・討論編―被爆二世・三世問題を考える
2012年08月08日
【67大会・報告】長崎第5分科会/ヒバクシャ1―学習編「世界の核被害と内部ヒバクを考える」
2012年08月05日
【67大会・報告】広島第6分科会/ヒバクシャを生まない世界に2―交流・討論編「原爆訴訟・在外被爆者と被爆者援護法」
2012年08月05日
【67大会・報告】広島第5分科会/ヒバクシャを生まない世界に1―学習編「世界のヒバクシャの現状と連帯のために」
2012年08月05日
【67大会・報告】広島第4分科会/平和と核軍縮―学習・交流編「アメリカの核戦略と東北アジアの非核化
2012年08月08日
報告 原水禁世界大会・長崎大会2日目 分科会などで討議と交流