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被爆67周年原水爆禁止世界大会/大会宣言

2012年08月09日

 大 会 宣 言

 ヒロシマ・ナガサキに原子爆弾が投下された67年前の8月6日と8月9日。生きとし生けるものすべてに未曾有の悲惨で残酷な破壊をもたらした実相と、放射線障害に多くの人たちを苦しめてきた体験を忘れてはなりません。私たちは毎年、被爆地に集い、あの日のことを語り継ぎ、再びヒバクシャを生み出さないことを誓ってきました。
 しかし、2011年3月11日の東日本大震災で生じた東京電力福島第一原発事故は、1年5ヶ月近く経っても未だに収束せず、各地に飛散した大量の放射性物質による環境汚染は、人々から故郷を奪い生活の基盤と雇用を奪い、新たにヒバクシャをつくりだしました。私たちは、事故をふせげなかったことに、強い反省と憤りを感じます。
 福島第一原発事故は国策による「人災」です。経済優先の中で原発政策を推進し、安全性をないがしろにしてきた東電などの電力会社、歴代政府、そしてそれを支えてきた研究者、報道関係者の責任は重大です。東電・政府に対し、事故の謝罪はもちろん、現在の生活や将来の健康への保障をはじめ、「国家補償」の精神に基づく3つのホショウ(補償・保障・保証)を求めていかなければなりません。
 7月16日、東京代々木公園の「さようなら原発10万人集会」に史上最大17万人の結集、800万筆に達した「さようなら原発署名」をはじめ、日本全体で脱原発への動きが強まっています。にもかかわらず野田首相は昨年12月に福島第一原発事故の収束宣言をだし、今年7月には事故以来停止させていた大飯原発3・4号機を再稼動させました。脱原発への想いと世論を踏みにじる行為であり、強く抗議します。原発推進派は、大飯につづき、柏崎刈羽をはじめ各地の原発で再稼働をねらっており、許してはなりません。もっとも危険なプルトニウムを利用する、高速増殖炉「もんじゅ」および核燃料再処理工場を廃棄させましょう。原発の新規計画を中止し、浜岡をはじめ既存の原発を廃炉にさせましょう。
 脱原発を実現し、自然エネルギーを中心とした社会をめざすことが求められています。省エネルギー・自然エネルギーを中心に据えた、エネルギー政策への転換を早急に始めさせましょう。政府が「国民的議論」のため提示した2030年の原発依存度の3つの選択肢のうち「0%」に市民からの圧倒的な声を結集しましょう。「さようなら原発1000万人アクション」を全力で成功させましょう。
 オバマ大統領の「核兵器なき世界」声明などに呼応したNATO(北大西洋条約機構)の「消極的安全保証」導入などの前進の一方で、米国は臨界前核実験の継続や、早期発効が求められる包括的核実験禁止条約(CTBT)の未批准などの問題をかかえています。日本も、政治家の「潜在的な核抑止力」発言や原子力基本法への「安全保障に資する」との記述など、プルトニウム保有と関連して核拡散・核武装に関わる危険な動きが起きています。核兵器廃絶への動きを加速させるためにも、平和市長会議の「2020ビジョン」などと連携したとりくみをいっそうすすめ、被爆国である日本が米国の「核の傘」に依存するという矛盾した政策を脱却させ、「核兵器を作らず、持たず、持ち込ませず」の非核三原則を明記した非核法を一日も早く制定し、「東北アジア非核地帯」化に向けてとりくみを強化しましょう。沖縄県民にオスプレイ配備など米軍基地の重圧を強いる施策を止めさせましょう。
 ヒバクシャをめぐる課題は、いまも、被爆体験者、被爆二世・三世、在外被爆者、原爆症認定など、いまだに支援を求める多くの被爆者が残されたままです。被爆者は高齢化しており根本的解決が急務です。国交のない在朝被爆者はまったく放置されています。被爆二世・三世や被爆体験者については、支援の充実とあわせて、被爆者援護法の対象とすること、日本の戦争責任と戦後補償の問題として国家補償を明記する改正を求めましょう。
 核被害に「軍事利用」「商業利用」の区別はありません。原水禁初代議長の森瀧市郎さんが1975年に提起した「核と人類は共存できない」「人類は生きねばなりません。そのためには『核絶対否定』の道しか残されていない」という原水禁運動の原点をもとに、私たちは、核被害を根絶するため、核社会・核文明を問い、フクシマの地で苦しむ人たちや、世界のヒバクシャと連帯し、暴力と殺りくが繰り返される世界を変え、対話と共存・命の尊厳を基本にした「核も戦争もない21世紀」を実現し、子どもたちに贈るとりくみを全力ですすめます。
 あらためて私たちは宣言します。核廃絶は可能だ! そして、脱原発は可能だ!

 ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ、ノーモア・フクシマ、ノーモア・ヒバクシャ、さようなら原発!

2012年8月9日
被爆67周年原水爆禁止世界大会

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