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被爆68周年原水爆禁止世界大会・福島大会アピール

2013年07月28日

被爆68周年原水爆禁止世界大会・福島大会アピール

 2011年3月11日の東日本大震災は、多くの人命と生活基盤を根こそぎ奪い取る未曾有の大災害となりました。その上に、東京電力福島第一原発の重大事故による被害が加わりました。2年半近く経ったいまでも事故は収束していません。原子炉内で融け落ちた核燃料の塊は、冷やし損なえば、再び大量の放射能放出につながる危険性を持ち続けています。原子炉建屋内の大量の放射性物質による地下水の汚染も広がっています。加えて放射能で汚染された地下水の海洋流出も明らかにされました。現在も懸命に進められている収束作業は、何十年もの長期に渡ることが予想され、人類が経験したことのない被害、汚染との長期に渡る闘いが続きます。私たちは東京電力や政府関係者の事故収束に向けたさらなる努力を強く要請します。
 福島原発事故は、政府や東電による「人災」です。国会の事故調査委員会も、このことを厳しく批判しています。原子力推進派が、原発の「安全神話」を宣伝し、原発震災を問題とせず、経済効率を優先し、安全性をないがしろにしてきた結果、福島第一原発の重大事故につながったのです。政府、電力会社、原子力を推進してきた全ての者の責任をきびしく問わねばなりません。
 約400万人もの人々が「放射線管理区域」レベルの汚染地での生活を強いられています。福島県だけでも、未だに15万人におよぶ人々が、故郷を奪われ、避難生活を余儀なくされ、「避難区域」外の汚染地からの避難は自己責任による「自主避難」と決めつけられています。国や県が、放射能汚染の現実を直視せず、適切な支援策を行わない中で、被災地のコミュニティや家族までもが分断され、人権が侵害されています。「もとの生活を返せ!」は全ての被災者の心底からの叫びです。
 国や東電は、重大事故を起こした責任を認め、被災者に心から謝罪すべきです。東電は、被災者に対する正当な賠償を、国は、被災者の生活再建のための援護施策を早急に行う責任があります。超党派で成立した「福島原発事故子ども被災者支援法」は、成立から一年以上経っても、いまだ基本方針も示されず、具体化もされていません。そればかりか、支援対象者を限定し、多くの被災者を切り捨てようとする動きすら見えています。放置され時間だけが過ぎていく中で、被災者の生活は困難は極め、心労や病気、加えて言われなき差別などさらにきびしい状況に追い込まれています。
 被災地での汚染と被曝は、今後も長期にわたります。さらなる被曝を避けるための除染も適切に行われていません。浪江町をはじめとする双葉町村会は、政府に対して原爆被爆者と同等の法律に基づいた「放射線健康管理手帳」の交付と医療費の無料化などを求めています。また、事故原発では、炉心が溶融し建屋が破壊された中で労働が続けられ、多くの労働者が通常運転時とは桁違いの被曝を強いられています。そのほとんどが下請け労働者です。私たちは、被災者と被曝労働者の健康と命と生活を守るよう、政府に強く求めます。
 ヒロシマ・ナガサキから68年、被爆の実相の風化が懸念されています。フクシマでも風化がささやかれはじめています。福島原発事故がなかったかのように、全国各地で原発の再稼働がなされようとするいま、私たちは、事故原発の深刻な現状、被災地のきびしい現実を改めて直視し、被災地の人々の思いを共有し、広く全国に訴えましょう。事故の現実を無視した「福島の復興」はありえず、フクシマを抜きにした脱原発もありません。「県内の全ての原発廃炉」は、被災県民の強い要望です。事故の風化に抗し、原発の再稼働を阻止し、政府に脱原発・エネルギー政策転換に向けて舵を切らせることを、私たちはここ福島で決意します。そして、脱原発と結んで、フクシマ支援・連帯に全国でとりくみます。

 2013年7月28日
被爆68周年原水爆禁止世界大会・福島大会

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