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被爆70周年原水爆禁止世界大会が福島・いわきから始まる

2015年08月02日

福島原発事故を忘れず、核廃絶・脱原発を確認

福島大会.JPG福島講演会.JPG

 被爆70周年原水爆禁止世界大会の福島大会が8月1日、いわき市の平中央公園で開催され、福島や東北各県をはじめ、全国各地から850人が参加しました。2011年3月の東京電力福島第1原発事故を機に、毎年福島で開催されて5回目の今年は、事故の避難者が多く暮らすいわき市で初めて開かれました。(写真左)
 原爆や東日本大震災の犠牲者などに黙とうをささげた後、主催者を代表し、川野浩一・大会実行委員長(原水禁議長)は、自ら長崎で被爆した経験をもとに「国家による原発被害に対する補償を明確にさせなければならない」と指摘、さらに「事故にも関わらず原発再稼働をめざし、さらに戦争法案を成立させようとする安倍政権に反対し、断固として平和を守ろう」と訴えました。
 地元あいさつに立った角田政志・福島県平和フォーラム代表も「いまだに11万人が県内外に避難し。苦しい生活を余儀なくされている。放射性廃棄質の最終処分など何も決まっていない中で、政府は被害者に自立を強いて、補償を打ち切ろうとしている」と批判し、脱原発社会の実現を呼び掛けました。また、開催地のいわき市の清水敏男市長からも歓迎あいさつを受けました。
 大会の基調提起を藤本泰成・大会事務局長が行い、特に「福島の今から考える フクシマを繰り返すな」として、「放射能被害は継続中で意図的な風化は許さない」「東電は被災者の暮らしに責任を持て」「国は被災者の健康に責任を持て」などの福島原発事故に対する責任を追求するとともに、「原発の再稼働を許さない」「破綻する核燃料サイクル」「原発輸出に反対する」「エネルギー政策の転換を」などと提起しました。
 大会にはアメリカ、ドイツ、韓国からも参加があり、代表してドイツの緑の党の国会議員であるベーベル・ハーンさんは「ドイツでは原発の廃絶を決めたが、それは福島の事故によって原発に安全はありえないことを知ったことと、廃棄物の処理にめどがついていないからだ。そして、自然エネルギー推進で40万人の雇用を生み出した。これは平和への歩みだ」と強調しました。
 被災者からの訴えとして、楢葉町からいわき市に避難している青木基・町会議員が、事故当時の混乱を生々しく語り、「避難先での病気悪化や孤独死などの災害関連死が1900人以上となって、直接死を上回っている。避難生活で家族の絆や地域の歴史・伝統が崩壊している。そうした中で楢葉町は9月にも避難指示の解除をしようとしているが、病院や介護などのインフラが完備しない中では生活が成り立たず、若い世代も戻ってこない。国が最後まで責任を持つべきだ」と苦しい実態を報告しました。
 一方、毎年、全国の高校生が国連欧州本部を訪ねて核廃絶を訴えている「高校生平和大使」に今年選ばれた白河高校の鈴木愛望さんは「被災地の実態を訴え、核や戦争のない地球を作る手伝いをしたい」と元気に決意を述べました。
 最後に大会アピールを確認し、集会後、参加者は横断幕やのぼり旗を持ち、市の中心部をデモ行進しました。

講演会やフィールドワークも行われる

富岡駅.JPG双葉町看板.JPG

 1日は、デモ行進が終わってから、再び参加者が集まり学習集会が開かれ、弁護士で、最近は映画監督としても活躍する河合弘之さんが「日本の原発の行方」と題し、原発を推し進めようとする、電力会社を中心とした、原発メーカー、ゼネコン、商社などの経済界、銀行、御用学者、メディア、そして経産省や原子力委員会、自治体、関係労組などによる「原子力ムラ」の構造を説明し、「これらの言い分をすべて論破するために、『日本を原発』という映画を作った。すでに500回以上自主上映している。ぜひ各地でも上映会を」と呼び掛けました。(上写真右)
 また、2日にはフィールドワークが行われ、原発のある大熊町や双葉町をはじめ、周辺の町村を訪ねました。多くの地点は放射線量がいまだに高いため、車窓からの視察になりましたが、徐染が行われ廃棄物を入れたフレコンバッグの山が各所に見られ、事故当時のままで無人となった家屋や草木が生えた田畑などが続いていました。特に原発の近くの高速道路上の空間線量は、許容限度をはるかに超える5マイクロシーベルト以上を表示しており、収束にはほど遠い実態が明らかになりました。
 車窓からは第1原発の排気筒やクレーン、廃棄物の中間貯蔵施設が予定されている広大な原野、道路脇から住宅などにつながる道や玄関前は全てゲートが付けられた異様な光景が続いていました。
 参加者からは「こんな実態の中で、政府や自治体は避難者の帰還をなぜ強引に進めようとしているのか」「フレコンバッグの耐用年数が来たらどうするつもりか」など、多くの質問や意見が出されました。説明にあたった、いわき実行委員会の担当者からは「先が見えない孤立感から自殺者も多い。この現実をどうか忘れないでほしい」と訴えがありました。(下写真左は常磐線「富岡駅」前、背後にフレコンバッグの山。右は双葉町の原発推進の看板、道路にはゲート)

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