第2分科会は150人の参加があり、大内裕和松山大学教授と池田賢市中央大学教授から問題提起を受け、全体討論を行いました。
大内教授からは、昨年改悪された「教育基本法」の旧法との比較と問題点の指摘が示されました。
具体的な条項の前に、「そもそも教育基本法は憲法と同様に、一般法ではなく国家権力の側が守るべきこと、国家権力を制限するものとして存在している。それが個人を規定するものになってしまった。このことだけでも新しい基本法は法律違反と言える。立憲主義の原則に基づいていない」とし、さらに、「今言われている格差社会、競争社会の市場原理が貫かれ、教育の機会を平等にしようとしてきたことがないがしろにされている」という二点が大きな問題点として出されました。
改悪された条項では、「教育の方針」から「教育への目標」へと「態度を規定する」ことにまで踏み込んでいる(第2条)、「教育の機会均等」では「国民は、ひとしく、その能力の応ずる教育を受ける機会を与えられなければ……」から「その能力に応じた教育をうける……」と均等化ではなく格差を助長する内容に(第4条)、さらに、「国及び地方公共団体は、義務教育の機会を保障し、その水準を確保するため、適切な役割分担及び相互の協力の下、……」(第5条)と、復活した全国学力テストの実施を正当化する内容になっているなど、学校の序列化から果ては地域間格差までも助長するような問題が提起されました。
また、憲法に基づいて法制化されてきた教育基本法と子どもの権利条約を守るためには、子どもに携わる教職員を守らなければ、子どもの権利を尊重する環境・条件が整備されないことも指摘され、諸外国と比較しても低く抑えられている教育予算と教職員の労働条件が悪化している中では、教育現場の改善は図れないことが報告されました。
池田教授からは、現在の「教育改革」がもたらそうとしている内容とフランスの教育事情も紹介されました。
子どもたちの「自由」「権利」が奪われ、「国への貢献度」「商品としての知識」といった新自由主義的発想に定着した方向性が築かれ、子どもが尊重されること、人格が完成されていくこと、その環境を保障することがなくなっていることが指摘されました。フランスの教育法典では、「教育機関は、(中略)人権に関する知識のための教育、人権を尊重する態度のための教育、そして人権を侵害する具体的な状況の理解のための教育を保障する」とあり、立憲主義の精神に基づいて権利、人権を理解することを定めていることが報告されました。
全体討論では、座長の提起も含めて7人から発言がありました。
基本法や憲法については、「旧基本法も新基本法も『日本国憲法の精神にのっとり』となっているが、新基本法の内容は違憲ではないか。整合性がない」「職場の若い教員が近代史の授業で別の教科書と対比して授業をしている。こうした行為が査定の対象となって教員免許更新の際に不利になってしまうのではないか?」「教育職員免許法は欠陥法と言わざるを得ない。具体的な法整備は進んでいるが、機能させない取り組みはどのように展開していったらいいのか」「教育現場として、理想はあるものの時間がない。本来的には創意工夫した教育ができるはずなのに、ヘトヘトになっている。二つの接点をどう見い出していけばよいのか」といった、基本法と同時に改悪された教育職員免許法についても、現場で突きつけられている教職員からの悩みや今後の課題が出されました。
また、「連合役員として経営者側と話をする場面もある。新規採用者を採ろうとするが、あいさつできない、怒ると辞める、そんな子どもたちが多いのは学校教育が悪いからだ。学校で指導を厳しくしてほしい、などと言われる。会社や社会の望む人材づくりが進められようとしているのではないか」「『日本の青空』という映画上映の後援を依頼に行くと、市は賛同してくれたが、教育委員会は『思想性がある』と拒否された。憲法の話をすること自体に思想性を持ち込まれている」「教育委員長が替わり、『親学』を持ち出して話し、親も聞き入る。家庭環境や条件に目が向けられず、親の資質を問題にしていく風潮がある」といった、社会的な風潮とそうした状態を生み出す環境にある競争社会や市場原理主義といった経済が影響していることも発言されました。
講師からは、「経済がグローバリズムに広がり、若者は『頑張れば良くなる』という将来像が持てない社会になっていることに気付いている。最初から先が見えているという感じだろう。若者に責任があるかのようになっているが、労働市場、経済競争が背景にあることを子どもや学校の責任に押し付けようとしている」と、企業、社会にとって有用な「人材」づくりのための教育となっている現状こそ問題視していくことが提起されました。
また、「格差社会」は教育の場でも拡大し、親の経済状況や家庭の格差を承認した環境が作られ、公の方に目を向けさせず、個別の問題に矮小化させていることを指摘し、「立憲主義的な発想が奪われている」ことを合わせて考えていくことが提起されました。
最後に、憲法と教育基本法は一体のものであり、準憲法とも呼ばれる基本法の改悪は憲法改悪にもつながる、憲法第25条が解体されていくことが、9条を守れないことにもつながっていくことになる、教育職場の改善と教育予算を充実させていく運動が大切、とまとめて閉会しました。
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