第6分科会「民主政治・地方自治」報告 2007年11月03日

 

 地方自治の形骸化が進んでいるなかで、平和と民主主義を守る拠点、憲法理念を実現する拠点としての地方自治を考えるにあたってはさまざまな課題があります。なかでも、地方自治を支える“財政の課題"は、地方分権や地域の自立をすすめるにあたって根幹を支える重要な課題です。さらに、外国人をめぐる問題から、人権と民主主義という憲法理念をどう実現させていくのについて問題提起と討論を行いました。(参加者…84名)

■問題提起・助言者:菅原敏夫(地方自治総合研究所)
テーマ=財政健全化法と自治体―健全化に名を借りた分権後退劇
 地方自治はかなりの危機に瀕しています。自治体の財政危機は、自己責任の名の下に格差拡大と公共サービスの劣化をもたらしました。財政再建団体に指定された「夕張市」では、住民税・公共料金引き上げと公共サービスカットで、市民生活は劣化しました。市民を人質にした再建方法が憲法の理念にかなっているのかという問題があります。
 さらに、この夕張市の財政破綻に端を発し、2007年6月に成立した「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」(財政健全化法…2008年度から適用)は、自治体の事実上の破綻法制であり、2008年度の予算編成から自治体財政の様相が大きく変わってきます。
 財政健全化法では、自治体に財政状況の診断と市民への公表を義務化し、1)実質赤字比率、2)連結実質赤字比率、3)実質公債費比率、4)将来負担比率の4指標のうち、一つでも基準値を超えると「健全化計画」作成が義務付けられます。指標となる「基準」については今年中に総務省政令で出されることになっており、中身が未成熟のまま「法律」が決まり、知らない間にどこの段階で破綻とするのか誰も関与できないなかで決められていくことになります。
 地方分権に逆行し、具体的には夕張市の再建方法の手法が拡大され、すべて国によって強制されていくことになります。
【質疑・討論】
○財政健全化法は格差拡大を増徴し、地方への税源委譲を進めさせないようにする『地方行革推進法』です。夕張市がスケープゴートにされ、全国的に行革が進むことになります。全国から声を上げていかなければなりません。
○夕張の場合は一般会計だけでしたが、「健全化法」ではすべての会計を対象としています。構造的に赤字の下水道・病院会計などを民営化して切り離そうとする動きが強まっています。制度的に赤字の国保や介護保険などへは、保険料引き上げとなります。市民生活に大きな影響を及ぼすものです。
○夕張の例は、法律の制約を受ける県や市において、政策に基づいて行ってきたことが、国の政策の行き詰まりによって地方へ影響をもたらした結果でもあります。財政難のなかで、一般の人に誤解を招かないよう、いかに説明し知らせていくのかが問題。
○「健全化法」は自治体の健診であり、強制診断に基づきレッドカードで強制入院となりますが、退院までの処方箋は自己努力であり、退院の見込みのない自治体への有効な処方箋は今のところ見当たらないというもの。

■問題提起・助言者:佐藤信行(在日韓国人問題研究所)
テーマ=多民族共生社会をめざして−外国籍住民の地方参政権:韓国と日本
 日本の社会は、多国籍・多民族化しています。1970年代は韓国・朝鮮人が主流でしたが、アジアからの出稼ぎなどオーバースティで働く人が急増、3K職場の労働力不足を補完する政策として1990年代以降は南米日系移民が多く来日しています。日本に3ヶ月以上住む外国人登録者数は増加しており、2006年末で208万を超え、中国・ブラジル・フィリピンなどの多くの外国人と共生しているなかで、国際結婚も増えています。
 日本が多民族共生の社会となるにあたって、在日韓国人問題を解決しないまま新しい外国人を受け入れる形がすすめられ、外国人差別問題が大きな課題になっています。日本社会では外国人の人権問題に関して対策が進んでいません。韓国では2001年、行政機関から独立した国内人権機関「国家人権委員会」が創設され、2004年の住民投票を経て、2005年に公職選挙法改正により19歳以上の永住外国人に地方選挙権が認められています。日本でも外国人が居住する地域の自治体での対応が求められています。
【質疑・討論】
○地方自治の形骸化について、外国人の問題から提起していただいたが、各地の経験なりとりくみを共有化することが必要。
○自治体で必要なのは「世帯」。外国人は世帯ごとに個人登録されています。個人の登録と世帯の把握をどうするかということ。韓国では、戸籍制度ある限り女性の自立が進まないとする女性運動の高まりで戸籍が廃止されました。
○国民に適用されることは外国人にも適用されるということ。憲法第30条「納税義務」は果たしています。
○93条第2項「地方自治」では、地方公共団体の長や議会議員は住民が直接選挙で選ぶとあります。地域に居住する外国人に参政権付与は違法ではありません。
○マイノリティが無権利の社会は、経済的にどんなに発展しようと民主主義とは言えません。韓国のように克服することを私たちが学ぶべきです。

■報告:小原慎一(三浦半島地区労働組合協議会)
テーマ=横須賀での原子力空母の横須賀母港化反対に向けた「住民投票」について
 三浦半島地区労(34組合・13000人)では、原子力空母配備反対の署名を全国から50万集約し、2006年6月神奈川知事・横須賀市長に要請しました。しかし、横須賀市長は配備容認に態度を転じたため、「原子力空母の横須賀配備の是非を問う住民投票条例制定」を求める署名にとりくみました。地方自治法に基づき住民が署名によって、住民投票条例の制定を求める「直接請求」は、行政の決定が市民の意思に反する場合、民意を問うものとして全国的な流れになっています。2006年11月10日から12月10日にかけて、署名運動を行い、横須賀市民4万1591人分を集めました。しかし、2007年2月横須賀市議会で、賛成10・反対31で否決されました。「原子力空母母港化の是非を問う住民投票を成功させる会」は、再度、署名運動を展開する予定です。



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