「人間(市民)の安全保障」をめざす平和フォーラムの社会的役割、全国組織としての活動を確立するため、有事法制や憲法9条改定を許さない取り組み、軍縮、核兵器廃絶、教育基本法改悪を許さない取り組み、在日定住外国人の参政権、ヒバクシャの権利確立、脱原発、環境問題、食の安全やWTO交渉などを重点課題にした取り組みを進めています。
 以下は2003年5月7日に開かれたフォーラム平和・人権・環境第5回総会において決定された今年の活動方針です。

 

1. 全体(2003〜04年)の構想−「戦争反対」「なくせ格差と差別」「人間の安全保障」を軸に −はじめにかえて−
  
イラク攻撃を開始したアメリカに対して、「子どもをはじめとした市民を殺すな」と世界的な規模で市民は「戦争反対」の声をあげ、日本でも若い世代をはじめとして反戦・平和行動が広がっています。
 ここ10年間際だってきたグローバル化の進展によって、世界の南北格差や貧富の格差は極端なものまでに広がりました。そのなかで、対立と紛争の火種は世界各地に広がっています。国際協調による平和的解決をはかりながら、「格差や差別をなくす」ことこそ、いまの世界にもっとも求められていることです。しかし、単独行動主義を強めるアメリカのブッシュ政権は、問題の根本的な解決には省みず、テロ問題などを理由とした自衛権を主張し、自らの権益のためには軍事力を行使して対立者を抑え込む「軍事的安全保障」の道を歩んでいます。軍事力では市民の安全は守れない、「人間の安全保障」こそ必要だというのが世界の潮流です。
 また、日本の小泉内閣は、このアメリカの戦争政策に追随し、イラク攻撃を支持するばかりでなく、機に乗じて有事関連3法案を成立させようとしています。また、「愛国心の強調」など教育基本法改定の方向を打ち出した中教審報告と国会上程の動き、中間点を過ぎた国会の憲法調査会による憲法改定案を含めた最終報告への作業なども、いずれも重大な局面を迎えようとしています。
 こうした事態に対応し、憲法の前文・第9条を擁護するとともに、市民が自らの平和・人権・環境についての規範(憲法理念)を育て築くなど、憲法理念を具体化する取り組みがいっそう必要となっています。そして、アメリカの戦争政策をやめさせ、有事関連3法案を廃案にすること、核兵器をはじめとした大量破壊兵器や非人道的兵器を廃棄すること、世界の流れとなりつつある核利用から脱却と再生可能な自然エネルギー利用社会への転換、環境破壊を許さず循環型社会を形成すること、食の安全と確保、貧困と差別の克服、人権を確立し多文化・多民族共生社会を築くことなど、人類規模の取り組みに邁進しなければなりません。
 とくに、朝鮮半島南北の和解がすすむなか東アジアでは日朝国交正常化が当面する重要課題です。昨秋のピョンヤン宣言以後、拉致・不審船・核開発計画などの事態のなかで、正常化に向けた合意は度外視され、極度の北朝鮮バッシングと根強い偏狭なナショナリズムをもとに好戦的な風潮と差別が助長されています。拉致問題などの解決とあわせて、早期に実現しなければなりません。
 「人間の安全保障」を基調として取り組んできた平和フォーラムの役割とそれを担うための組織強化がきわめて大きな課題となっています。世界で広がる「戦争反対」「格差と差別をなくせ」の声を共有しながら、2003年を戦争から脱却する大きな転換点の年とするために、総力をあげた取り組みが求められています。

2. 憲法問題に対する取り組み

 
2000年初頭から5年を目途として開始された衆参両議院の憲法調査会は、活動期間の半分を経過し、昨年11月に出された衆議院憲法調査会(中山太郎会長)の中間報告書では調査会で各委員が述べた意見を切り張りして収録し、「現行憲法には問題がある」「9条改正多数意見」などを際だたせるものとなりました。今後は、2005年の最終報告書をめざした作業となりますが、「国際協力」「第9条」に焦点をあてながら、憲法改定への地ならしとしていく動きがいっそう強まることは間違いありません。平和フォーラムは、憲法前文、第9条をはじめとした憲法理念を擁護し、人権や民主主義など世界の到達点に立って、市民一人ひとりが憲法理念を育み発展させていく取り組みをいっそう強化していかなければなりません。
1) 憲法記念日を中心にした取り組み
@全国各地で前文および9条などで示された憲法の理念を「人間の安全保障」を指針に発展させる取り組みを進めます。5月3日の憲法記念日を中心とし、5月を憲法月間として、首都圏では積極的に民衆自らの憲法理念を育て築いていく取り組みをしてきた「市民版憲法調査会」と協力して5月3日に500人規模(労働スクエア)の集会を開催します。
A自治体等に対して、憲法月間にその理念を生かした行事などの実施を求めます。
B憲法プロジェクトによるFAXNEWSなどでの憲法調査会に関する情報提供をよりリアルタイムで豊富なものとして、提供します。
2) 「戦争反対」「なくせ格差と差別」「人間の安全保障」を軸にした憲法理念の実現をめざす第40回大会
@イラク、北朝鮮などをめぐる緊張状態、有事法制・教育基本法など憲法に関わる重要課題が相次ぐなかでの重要な大会であり、「戦争反対」「なくせ格差と差別」「人間の安全保障」を軸にした取り組みを進め、その集約の場とします。11月2〜4日に3,000人規模で鹿児島市において実行委員会による開催とします。

3. アメリカのイラク戦争をやめさせ、有事関連3法案を廃案にする取り組み

 
平和的解決を求める世界の圧倒的多数の声、国際法、国連憲章、国連を無視して、3月20日、アメリカはイラク戦争を開始しました。日々状況が変化し、戦局がどう進むかを予測することはできませんが、たとえ直接の軍事行動が短期間のもので終わったとしても、米英が軍事力を行使したことは、世界の政治、経済、社会・文化のあらゆる面で悪化をもたらしたことは間違いありません。こうしたなかで、ブッシュ大統領が「悪の枢軸」と決めつけた朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)をめぐる状況も、米朝関係の悪化のなか核問題などが登場し、北東アジアでも緊張状態を続けています。そして、アメリカの軍事力行使をめぐる動きが、具体化する危険性が増大しています。日本政府も北朝鮮問題をイラク、有事法制などことあるたびに引き合いに出し、自らの主張を押し通そうとしています。継続審議中の有事法制について政府は通常国会中の成立をねらっており、今後、7月ごろまでが最大の山場となります。「戦争やめろ」「北東アジアの平和を国交正常化から」「有事法廃案」などの取り組みを全力で進めていかなければなりません。
1) アメリカのイラク戦争を許さない取り組み
 アメリカのブッシュ政権は、2001年の9・11後のアフガン戦争につづき、対イラク攻撃を開始しました。しかし、イラク攻撃の理由を、当初は「テロ支援」をあげたり、途中から「大量破壊兵器の所有」に切り替えるなどあいまいです。2月15日、1000万人以上の人びとが世界各地で、「No War」(戦争反対)の声をあげたように、国際世論は圧倒的多数が武力行使に反対です。平和フォーラムは、軍事力行使に反対という立場から、昨年来開始した一連の取り組みを、多くの市民団体とともに、戦争が完全に終わるまで、日本政府に対する行動を含めて、すすめます。
@戦争を止めさせるまで、アメリカ(大使館)や、戦争に参加・支援するイギリス(大使館)・日本政府に対する抗議行動、FAX・MAIL行動を持続します。
AWORLD PEACE NOWなど、市民グループ、団体と協力した行動、集会を必要に応じて行います。
Bイラク戦争に反対する自治体決議を広げていきます。
C「イラク情報ウィークリー」を発行し、MAIL配信します。
2) 有事法制廃案に向けた取り組み
 小泉内閣は、2001年のテロ特措法につづいて、昨年4月有事関連3法を国会に上程しました。2度にわたって、継続審議にさせたものの、政府・自民党は本年の通常国会を延長してでも通す方針です。審議の山場は現時点から延長国会となった場合の7月ごろまでとなる見込みですが、政府は、そのため、「国民保護法制の骨格」を出す作業を進めるとともに、イラク・北朝鮮情勢を理由に強引に成立させる動きも強めています。
 同法案には、昨秋の臨時国会に提出された与党修正案もありますが、憲法第9条のみならず、多くの人権条項にも抵触することに変わりはありません。平和フォーラムは引き続き廃案にむけての取り組みに全力を尽くします。
@中央では随時、院内などで、全国でも地域や職場で有事法制学習会を行います。
A「有事法制廃案署名」に基づく院内要請の取り組みを進めます。また、Fax・MAIL行動を行います。院内集会なども開催します。
B反対もしくは慎重審議を求める地方自治体意見書を広げていきます。
C適宜、パンフレット発行やホームページ・MAILでの資料・情報提供を行います。
D重要な山場では大規模集会を行います。
3) 日朝国交正常化など北東アジアの平和環境を醸成する取り組み
 北朝鮮をめぐる動きは、有事法制定に政治利用されていますが、日朝間の矛盾の多くは、国交が正常化していなかったことに由来するものであり、「和解をめざす」「国交を正常化する」という基本点からの取り組みが重要です。韓国の平和繁栄政策(太陽政策)と協力して平和環境を醸成するための運動をつくり、そのなかで、アメリカには北朝鮮敵視姿勢を転換させる、北朝鮮には核開発計画を断念しNPTに復帰させる、日本政府には日朝ピョンヤン宣言にそって誠実に国交正常化交渉を進めさせるための取り組みを進めます。食糧・エネルギー危機に関連した人道支援のほか、「ピース・フライト」など、民間交流できる取り組みを広げていきます。また、拉致問題や不審船問題についての真相究明と責任所在を明確にし、被害を補償すること。日本の植民地時代の被害についての戦後補償のための民間交流なども引き続き取り組みます。
@日朝国交正常化を求める市民連絡会などの取り組みを進めます。
A各都道府県組織の関係する日朝運動組織代表者による全国交流を行います。
B日朝国交促進国民協会(村山富市会長)の研究会の紹介・案内をします。
C在日定住外国人の人権確立の取り組みを強化します。
Dアジア・アフリカ支援米作付け・送付運動をもとに、北朝鮮の人道支援の取り組みを広げます。
4) 基地撤去・基地の県内移設に反対する沖縄との連帯・支援の取り組み
   沖縄では、1995年の米兵による少女暴行事件をきっかけに、日米地位協定の抜本改定と普天間基地・那覇軍港・県道104号線越え実弾砲撃演習をはじめとした基地・演習の整理・縮小を求める県民ぐるみのたたかいが広がりました。しかし、日米両政府は、基地の県内移設を基調としたSACO合意で応じ、沖縄県民自身に基地を容認させるためのあらゆる手立てを打ち続けています。この間の県民投票や基地移設を拒否する名護市民投票の結果は無視され、普天間代替基地の名護移設や那覇軍港の浦添移設の既成事実化が進められています。そして、稲嶺知事による基地の「15年使用」という公約すら反古にする動きが始まっています。平和フォーラムは、新たな基地建設に反対する沖縄県民、沖縄平和運動センターに、全国規模で支援・連帯する取り組みをすすめます。
@沖縄平和行進(5月14日結団式〜行進〜17日総決起集会)に全国から参加し、沖縄からの平和発信に協力します。
A普天間代替基地の名護移設や那覇軍港の浦添移設の重要な局面での沖縄の現地行動に協力するとともに、全国各地でも沖縄の基地をなくすための連帯行動を取り組みます。
5) 軍拡に反対し軍縮をすすめる基地ネットなど各地の取り組みへの支援・協力
   沖縄だけでなく、全国各地でイラク情勢や北朝鮮の脅威などを理由として米軍・自衛隊の基地強化、軍拡が進められ、住民の被害も増加しています。これらを許さないため、各地の取り組みや全国基地問題ネットワークの取り組みに参加・協力します。
@米軍の実弾砲撃移転演習(7月王城寺、9月矢臼別、11月北富士、04年2月日出生台、東富士は今年度なし)や各地の軍事演習に反対する取り組みに協力します。
A横須賀への原子力空母母港化反対をはじめ、新たな基地強化を許さない取り組みを進めます(原子力空母問題は原水禁国民会議と連携した取り組みにします)。
B勝訴となった厚木爆音訴訟横浜地裁判決を活かすことをはじめ、各地の爆音訴訟・基地訴訟に支援・協力します。
Cガイドライン関連法の自治体・民間協力を許さないことなどを目的とした「非核・平和条例を考える全国集会」は、6月28〜29日神戸開催で準備されていますが、一部未調整の部分があり、調整され次第、この取り組みに協力します。
D米軍・自衛隊の実態に関する資料をホームページなどで情報提供します。

4. 核兵器廃絶に向けての取り組み

 
ブッシュ政権は特に、9・11以降その単独行動主義が顕著になり、アフガニスタンへの侵攻以降、悪の枢軸の一角に名指しする「イラク」を攻撃しています。この攻撃は、国際法を完全に無視した攻撃で、なんらの正当性もありません。この攻撃の中で通常兵器の使用の他、核兵器の使用も以前から言及されており、それを理由に核兵器の正当化と開発が進められることも懸念されています。
 また昨年の「核態勢見直し報告」の中で、地下核実験の再開をも視野に入れた新たな核軍拡の姿勢を鮮明にしています。包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を拒否し、ABM条約(弾道弾迎撃ミサイル)制限条約からの一方的脱退、ミサイル防衛(MD)構想の推進、「削減」された核弾頭を将来に備えた「貯蔵」など核軍縮に逆行しています。
 ロシアもアメリカとの2国間での核軍縮を求めていましたが、アメリカの歩調に合わせることで、核弾頭の備蓄を進めています。未臨界核実験の継続など、いまだ核による抑止を基調としています。一方で、財政難から進まない核兵器の解体の問題もあります。
 また、インド、パキスタンの緊張激化は続いており、核戦争の危険性が依然存在し続けています。両国の緊張緩和に向けた動きを作り出すことが重要となっています。
 北朝鮮のNPTからの脱退と核開発の再開は、新たな軍事緊張を東アジアにもたらしています。この核開発の問題をめぐっては、米朝間の対話の即時開始を求めると同時に、問題解決を米朝間にとどめることなく日本や韓国などを含めた多国間の安全保障の確立とあわせて解決をめざす必要があります。
 このような中で日本の核廃絶を目指す運動はアメリカの単独主義とも言われるブッシュ政権の軍拡路線の影響の拡大により、運動の停滞を余儀なくされています。また日本政府は、核軍縮へのリーダーシップをとることもできず、むしろアメリカの世界戦略のシステムの中により積極的に加わろうとしています。
 冷戦終結後、新たな核軍拡路線への岐路にさしかかっているのが、今日の状況です。北朝鮮の核開発など国交正常化と合わせて、多国間での解決とそれをささえる市民の連帯の強化が必要です。
 あらためて核軍縮を目指す動きを国際的に作り出し、アメリカを中心とする核保有国を包囲する陣形を作り上げ必要があります。各国の平和勢力との連携と連帯を中心に、国内においても、政府や各市民団体に働きかけ、共通の核軍縮へのネットワークと運動の強化が重要な課題となってきています。
1) 国内外の核軍縮へのネッワークの強化とNPT再検討会議準備会などにむけた運動の取り組み
   停滞する核軍縮の流れを、活性化させることが大きな課題です。これまで積み上げたきた成果を後退させず、国際的な枠組みの強化をはかることが重要です。そのためにもNPT再検討会議や様々な国際的な核軍縮の動きに連動し、日本を始め各国の政府やNGOに働きかける運動を進めていきます。特に、北東アジアの平和と安定をはかるためにも非核地帯化を目指す具体的な動きを創り上げていくことが必要です。そのためのリーダーシップを発揮していきます。
@国内外での核軍縮に向けたネッワークの構築の強化と世論喚起にむけた様々な取り組みを行い、アメリカなどの核保有国への包囲網を強化していきます。
AジュネーブでのNPT再検討準備会(4月下旬〜5月中旬)や大阪での軍縮会議などに向けて政府や国連などの政策決定機関への働きかけを強化します。NPT再検討会議では、朝鮮民主主義人民共和国の核開発を議題の一つとして取り上げるよう働きかけます。
B北朝鮮のNPT復帰を求めます。
C北東アジア非核地帯化構想の実現をめざして取り組みます。
DMD構想への取り組み、CTBT条約の取り組み、未臨界核実験に反対する取り組み、カットオフ条約の取り組みなどを強化します。
2) 非核自治体決議の推進と内実の充実を求める取り組みの強化
   昨年の相次ぐ政府高官の核武装発言は、日本の国是である非核三原則をないがしろにする危険な発言でした。北朝鮮の核疑惑や有事法制問題などとからめて、非核三原則の有名無実化させる動きを警戒しなければなりません。あらためて、非核三原則の法制化も含めた非核法の制定や地域における非核自治体の拡大が必要です。
@地域から非核・反核の動きを作り出し、世論を喚起させる一環として、全都道府県の非核自治体宣言の100%達成と非核政策の充実を求める動きをつくりだします。現在、3288自治体の中で2651の自治体(80.6%/2002年7月現在)が非核宣言を行っています。さらに広げるために、地方議会への働きかけや非核・平和行進に合わせて自治体要請を行う中で宣言を求めていきます。
A非核宣言をした自治体の非核事業の充実と非核宣言自治体協議会への加盟促進を推進していきます。
Bさらに、非核条例の取り組みも強化します。同時に非核三原則の法制化など、非核法の制定もめざします。
CHOYAの核兵器研究・開発に協力させない取り組みについては、内外に被爆国日本の内実を問われることでもあり、引き続き実行委員会を中心に協力中止を求めて活動を展開します。
3) 被爆58周年原水爆禁止世界大会の開催
   核兵器廃絶にむけての取り組みとともに、7項のヒバクシャの権利確立の課題、8項の脱原子力にむけての課題を合わせて世界大会大会の課題に組み入れ、議論を深め、共通認識を作りあげます。
 今年も大会は実行委員会方式で、広島、長崎で例年通りの日程で開催します。昨年も好評を博した「メッセージfromヒロシマ」は、子どもたちへ被爆の実相の継承の場として、「こどものひろば」を強化した形で今年も取り組みます。
 8月2日     国際会議(横浜)
 8月4日〜6日  広島大会
 8月7日〜9日  長崎大会
4) 被災50周年ビキニ・デー集会の開催
   第五福竜丸がビキニで被災してから半世紀を迎えます。節目の取り組みとして、あ  らためてビキニデーの意義や太平洋のヒバクシャの問題などに焦点を当てた取り組み  を展開します。地元静岡や東海ブロックを中心に実行委員会を作り、多彩な取り組み内容を協議し、前段での取り組みや3・1集会そのものの内容の充実をはかります。

5. 教育基本法改悪を許さず、国家主義・偏狭なナショナリズムを許さない取り組み

 
グローバル化とアメリカの極端な単独行動主義がすすむなかで、日本や欧州諸国は企業競争力の確保策に躍起となる一方、失業者の増加などを背景に民族排外主義的な動きや国家主義、偏狭なナショナリズムを助長する傾向も増大しています。
 これらを背景に、中央教育審議会は、3月20日、教育基本法を見直しし「21世紀を切り開く心豊かでたくましい日本人の育成」に向けて、「郷土や国を愛する心」「伝統の尊重」「公共の規範意識」などを盛り込んだ「国家戦略としての教育改革」をすすめるとの答申を文部科学省に提出しました。これを受けて、文科省は、教育基本法の改定作業に入り、自民党・保守新党も今国会に同法改定案を上程する方針であり、状況は予断を許しません。
 また、日本は、過去の東アジアに対する植民地化と侵略戦争の歴史を深く反省・謝罪し、補償をすべき義務があるにもかかわらず、過去の清算についてきわめて不十分で放置されたままです。にもかかわらず、戦争美化の歴史教科書問題や、小泉首相によるA級戦犯合祀の靖国神社参拝強行などの事態が続き、東アジアとの友好に打撃を与えています。
 平和フォーラムは、憲法と密接不可分な教育基本法を改悪することに反対し、基本法の理念を実現する運動を強めます。また、小泉首相の靖国参拝など憲法の政教分離原則に反しアジアとの友好関係を損なう行為をやめさせるとともに、戦後補償の取り組みを進めます。
1) 教育と教科書をめぐる取り組み
 平和フォーラムは、国が人の心や精神までをも管理・統制する問題として、取り組みをいっそう強化します。当面、日教組を中心に進め、呼びかけている地域での「教育基本法を読み生かす」運動に協力し、教育基本法改悪反対の社会的合意形成をはかります。また、教科書採択問題では、昨年の愛媛の採択のような事態にならないよう、3年後の検定・教科書をも見据えて取り組みの準備を進めます。
@日教組が提起する全国5万ヵ所教育対話集会(すでに約10万カ所で実施)、「教育基本法の理念を生かす教育改革をすすめる500万署名」に協力します。
A「教育と文化を世界に開く会」などの学習会などを紹介します。
2) 首相の靖国参拝や国家護持に反対する取り組み
 小泉首相は、就任以来、毎年A級戦犯合祀の靖国神社に参拝をつづけており、中国・韓国など東アジア諸国との外交関係、友好関係をも大きく損ねています。戦争犠牲者への追悼は無宗教の施設が当然であり、すでにある千鳥ヶ淵国立戦没者墓苑を日本の関わったすべての戦争犠牲者を追悼する施設とする取り組みを行います。
@首相の靖国神社参拝に抗議し、させない取り組みを進めます。
A8月15日に千鳥ヶ淵国立戦没者墓苑で戦争犠牲者追悼・平和を誓う集会を行います。
3) 戦後補償の実現に向けた取り組み
@日朝国交正常化の取り組みとあわせて、戦後補償を取り組む市民団体や、歴史の事実を明らかにする立法(国立国会図書館法を一部改正し、恒久平和調査局を設置すること)を求める市民グループとの意見交換をすすめ、共同の取り組みを進めます。
A劉連仁訴訟の国際署名など戦後補償の取り組みを引き続き支援します。


6. 在日定住外国人の地方参政権など人権を確立し、差別をなくし多文化共生社会に向けた取り組み

 
人種差別撤廃条約など多くの人権条約が効力を発し、「人権教育のための国連10年」の取り組みが全世界規模で進められるなかで、差別撤廃と多文化・多民族共生が重視されています。日本でも、部落解放運動や、在日韓国・朝鮮人をはじめとした定住外国人に対する指紋押捺や国籍条項の撤廃運動、アイヌ民族、障害者、女性、移住労働者など様々な差別撤廃運動の成果として、不十分な点はありながらも政府、地方自治体による取り組みが広がりました。地方参政権など在日定住外国人の権利確立、実効性ある人権救済機関の設置、人権教育・啓発の推進などは当面実現すべき重点課題です。
 しかし、不況の長期化や社会的不安、9・11以後の状態を背景に、在日定住外国人に対する「権利がほしければ日本人に帰化しろ」などの排外的主張や、部落差別落書事件の続発、有事関連法や司法制度をめぐって人権軽視や治安警察強化の動きも進められています。平和フォーラムは、人権侵害の動きを許さず、21世紀を人権の世紀としていくための取り組みを進めます。
1) 地方参政権など在日定住外国人の権利確立
   野党が賛成するだけでなく、与党合意があるにもかかわらず、実際には根強い排外主義によって、在日定住外国人の地方参政権は一向に実現に至っていません。国政の停滞の一方で、地域では、これまでの「外国人市民会議」のほか、住民投票の実現例が急速に増えました。こうした地域の成果を生かして、継続審議となった「永住外国人地方参政権付与法案」を通常国会で実現させていきます。また、小泉訪朝後の事態のなかで増大している在日に対する嫌がらせや差別を許さない取り組みを進めます。
@在日定住外国人参政権連絡会による院内外での取り組みをすすめます。
A朝鮮学校をはじめ在日外国人学校の高校卒業者を差別なく大学受験資格を認めることをはじめ、学校教育法の1条校並としていく取り組みを進めます。
2) 実効性ある人権救済機関の設置と差別禁止法制定の取り組み
 部落解放運動の取り組みによって、一定の人権法の整備も進められましたが、現在国会で継続審議となっている政府の「人権擁護法案」は、人権救済機関が法務省の外局に置かれ独立性が確保されていません。法案名称、「人権教育」に言及していない、地方人権委員会がないなど、多くの問題点をもっています。「総合性」、「当事者性」、「地域性」という人権政策3原則を柱にした実効性ある人権救済制度を確立させるための取り組みを進めます。
@政府の「人権擁護法案」を抜本的に修正させるとともに、あわせて差別を犯罪として明確に禁止する「差別禁止法」(仮称)を制定するための取り組みを進めます。
A部落解放同盟、部落解放中央共闘などの取り組みに連携、協力します。
3) 人権教育・啓発の推進
@「人権教育のための国連10年」などこれまでの成果を実効化させるとともに、「人権教育・啓発推進法」に基づき、全国の自治体でより充実した「人権教育・啓発推進に関する基本計画」を策定・実行するよう求めていきます。
A地域・職場でさまざまな差別問題など人権学習・教宣活動に取り組みます。
4) 個人情報保護法など人権を損なう動きを許さない取り組み
 昨年8月5日の「住基ネット」第1次稼働後、全国各地で住基ネットに異議ありとする動きが広がっているにもかかわらず、政府は適用事務を拡大(93→264事務)、するための条項を含んだ電子政府関連3法案を成立させ、改めて個人情報保護法を国会に上程しました。しかし、個人情報保護には、現代のプライバシー権である自己情報コントロール権を確立することが必要です。政府案はこれを踏みにじるものであり、許してはなりません。
@反住基ネット連絡会の一員として、取り組みに参加・協力します。
A監視社会に反対するネットワークなどが呼びかける6月28〜29日の「ビッグ・ブラザー・ジャパン2003」国際会議の成功に向け、実行委員会に参加・協力します。
B国会審議中の心神喪失者等医療観察法案(予防拘禁法)などの差別法を許さない取り組みに協力します。
C司法制度改革審議会で進められている民事訴訟における弁護士報酬の敗訴者負担制度などの設置に強く反対します。
5) 男女共同参画社会の実現に向けた取り組み
 1999年に「男女共同参画社会基本法」が制定されましたが、女性差別撤廃条約の精神を具体化していないという問題点があります。女性の社会進出がすすむなかで、男女がともに職業や社会生活と家庭生活が両立できる社会システムの構築が緊急の課題になっていますが、そのためには男女の意識変革が必要です。
@平和フォーラム組織自身の構成、諸会議をはじめ、関わる運動全般で女性が参加できる条件・環境を作ります。
AI女性会議をはじめとした女性団体の取り組みに連携、協力します。


7. ヒバクシャの権利確立の取り組み
 
原水禁運動にとって、ヒバクシャの援護制度の確立と連帯は重要な柱です。現在、広島・長崎のヒバクシャは、高齢化が進んでいます。それら被爆一世に対する援護政策の充実を図ることが急務です。中でも、在外被爆者に対する援護の手を差し延べることは、日本の戦後補償の実現とあいまって重要なことです。郭貴勲さんや李康寧さんの裁判で勝ち取った成果を、残された在外被爆者裁判へ行かし、政策的な不備を政府に要求していくことが求められています。
 また、なかなか進まない被爆者認定の状況(認定被爆者は0.7%)に対して、被爆者の集団申請・集団訴訟の動きが被団協を中心に始まっています。それらの運動も支援していくことも必要です。
 対策の遅れている被爆二世、三世への援護の充実を図ることも必要です。二世、三世の組織化と同時に被爆者健康手帳の発行や健康診断の通年化、被爆二世調査などの独自の要求を積み上げていくことが必要です。
 国際的な運動としてのヒバクシャ運動の強化は、21世紀の大きな課題です。核実験や原発事故、ウラン採掘などあらゆる核開発の流れの中で起こってきたヒバクシャへの連帯と援護制度の確立の運動は、今後の原水禁運動の重要な柱としていくことが重要です。
 さらに、ウラン採掘から核兵器、原子力発電、再処理、すべて同じヒバクシャ(ヒバク)という立場に立って、私たちが進める非核運動のなかで、固有名詞以外をカタカナの「ヒバクシャ」及び「ヒバク」として表記し、定着させるようにします。
1) ヒバクシャ援護の運動の強化の取り組み
 広島・長崎の原爆から58年を迎える今、ヒバクシャは、高齢化しています。ヒバクシャの長年の要求である国家補償問題や在外被爆者の補償の問題は、未だ解決に至っておりません。引き続き国に制度確立を求めていきます。
@在外被爆者問題は、郭貴勲さんの画期的判決が引き出した成果により在外被爆者対策が大きく変わりましたが、いまだ手帳の取得が日本でしかできないなど、さまざまな不備が指摘されています。改善すべき課題を明らかにしながら援護施策の充実を図ります。
A現在も裁判で争っている在外被爆者の裁判を積極的に支援していきます。裁判傍聴や各種集会を参加などの支援・協力を進めていきます。
Bヒバクシャの集団申請・集団訴訟の運動の支援をします。
2) ヒバクの実相を継承する取り組み
 21世紀にヒバクの実相を継承することは重要です。原水禁ではこの間、継承ビデオとして「君たちはゲンバクを見たか」や運動史として「開かれた『パンドラの箱』と核廃絶へのたたかい」を作成し、全国に普及してきました。作成したビデオの上映運動の強化や運動史の普及の強化とともに、各地でヒバクシャの体験を記録に残す運動を提起して、貴重なヒバクの実相を運動の財産として残す取り組みを行います。
3) 被爆二世、三世の組織化と援護政策の充実を求める取り組み
 これまで援護の対象外に置かれている被爆二世、三世に対して、現在、被爆二世協が中心となって運動を進めています。その運動を支え、組織化や援護政策の充実を求める動きを作り出していきます。
4) ヒバクシャとの国際連帯の強化の取り組み
 世界に広がるヒバクシャとの連携の強化は、21世紀の課題です。この間、タヒチやインドなどのヒバクシャとの連携と、多くの課題に取り組んできました。また、昨年は、フランスの核実験の被害を世界に明らかにしていきました。今後も連帯を深めながら、被害者の実情を明らかにしていきます。そのためにも、原水禁大会での交流や現地との直接の交流や運動の連携などを具体的にはかっていきます。
5) 被曝労働への取り組み
 原発労働によって生みだされるヒバク労働者の実態とその影響についても重要な課題です。老朽化する原発や解体過程でのヒバクが増えることが予想される中で、今後はさらに重要になってきます。
@被曝の実態の把握とヒバク労働者との連携をはかります。
AJCO臨界事故によって生みだされた被曝者の援護の運動にも連携していきます。

8. プルトニウム政策の根本的転換と脱原子力に向けての取り組み
 
海外では、ドイツをはじめスウェーデンそしてベルギーでも脱原子力の選択がなされ、原子力政策の転換が始まっています。まさに21世紀は、世界的に脱原発の時代となっています。
 さらに日本においても、巻町、刈羽村、海山町と、原子力やMOX利用などに反対の声が上がり、原発の新規立地も進まない状況にあります。また、高レベル放射性廃棄物の処理・処分技術確立や場所の選定も進んでいません。原子力政策の根本的な転換期が始まろうとしています。
 東電のトラブル隠しに端を発した一連の事件によって、プルサーマル計画が頓挫しました。また、名古屋高裁金沢支部が下した判決により、「もんじゅ」もその安全性に問題があることが明らかにされました。六ヶ所再処理工場の建設が進んでいますが、プルトニウム利用路線はすでに破綻しています。
 また、電力の規制緩和が進行し、再生可能なエネルギーの普及が広がってきています。21世紀は、積極的な省エネルギーとともに自然エネルギーが大きく伸びる世紀でもあり、再生可能エネルギーを拡大させる運動も重要になっています。
 21世紀は、このような政策を転換をさせる取り組みに全力を投入する必要があります。巨大な税金の無駄遣いとしての六ヶ所再処理工場やもんじゅの運転再開、高レベル放射性廃棄物問題などは緊急の課題です。再生可能エネルギー政策の推進とともに、各地のたたかいに連帯する運動を作り上げていく必要があります。
1) プルトニウム利用を中止させる取り組み
 青森県六ヶ所村の再処理工場は、2005年の稼働を目指して工事が進んでいます。しかし、プルトニウム利用路線が破綻している現在、再処理工場の建設や稼働の意味はまったくありません。しかし、この間国際的にも約束してきたプルトニウムの利用路線のメンツにかけて政府は強引に建設を押し進めています。
 プルトニウム利用の切り札であったMOX利用も、福島で延期され、高浜ではデータ改ざんで動きがとれず、柏崎刈羽では、地元の刈羽村の住民投票で拒否されてきました。それに東電などのトラブル隠しにより、各地で受け入れが頓挫している状況にあります。プルサーマル計画の再開を許さないため取り組みます。
 「もんじゅ」訴訟が高裁で勝利したにもかかわらず、政府は上告し、結論を先延ばしし、「もんじゅ」改造の既成事実を作りあげようとしています。プルトニウム利用路線に反対する運動の攻防の山がこの1年に集中してきます。
 六ヶ所の再処理工場の運転稼働を認めさせない闘いとMOX利用をさせない闘い、そして「もんじゅ」の上告を取り下げる取り組みと改造工事など既成事実を作らせない取り組みを強化していきます。中でも、六ヶ所再処理工場の運転阻止の取り組みは、実行委員会を結成して、昨年に引き続き実行委員会を中心に運動を強化します。
 2) 維持基準の導入に対する取り組み
 東京電力の事故隠しが発端となり、各地の原発で原子炉の損傷が多数見つかっています。その損傷を認め、運転を続けさせる「維持基準」の導入は、安全性の後退で認める訳にはいません。維持基準の導入の反対と現在停止している欠陥(損傷)原発の運転再開を止めさせる運動を強化していきます。
3) 老朽化原発と原発震災に対する取り組み
 昨年、立て続けに起こった浜岡原発の事故は、原発の老朽化と原発震災に対する警鐘を鳴らしました。すでに稼働年数25年を越す原発が12基も存在し、2010年までには、30年を越す原発が17基も出てきます。推進側は、新規立地が難しい現在、老朽化した原発を40年以上運転し続けようとしています。そのことは、原発事故の増大と被曝労働の増大を意味します。
 また、浜岡では特に、東海大地震の特別観測地域内に入っており、大地震の発生が懸念されています。地震による原発事故の危険性は多くの有識者に指摘されています。
 地元の運動に連携しながら、老朽化した原発の問題については、住民合意を前提として安全管理を徹底した廃炉計画の作成と実施を求めていきます。また原発震災問題は、廃炉を基本としながら防災対策計画の確立を求めていきます。
4) 放射性廃棄物処分問題に対する取り組み
 原発の老朽化は、廃炉の問題でもあります。21世紀は、廃炉の時代です。原発から出る放射性廃棄物の処理、処分の場所や技術は確立していません。特に高レベル放射性廃棄物は、北海道・幌延、青森県・六ヶ所村、岐阜県・東濃、岡山県・人形峠などが、その処分場として狙われています。現在、原子力発電環境整備機構(原環機構)が全国の自治体に候補地の公募をおこなっており、公募に応じさせない取り組みを強化します。
@各地の運動と連携しながら、高レベル廃棄物処分場を建設させない運動を進めます。
A中間貯蔵施設建設も同時に進められ、候補地として名乗りを上げている青森県・むつ市や和歌山県・御坊市など、電力会社が進める各地の動きにも反対の運動を強化していきます。
B大量に発生する極低レベル廃棄物を、一般ゴミとして処分できるようにしようとする「すそ切り」法案の具体化が予想されています。一般の生活圏に放射性廃棄物が入り込む法案に対して、全国的なネットワークを形成し、法案の問題点を訴えるとともに、法案成立反対の立場で取り組みます。
5) 原発の増設・新規立地の阻止の取り組み
 三重県海山町の住民投票で、圧倒的多数が原発の立地を拒否しました。また、国の基本計画に上程はされましたが、山口県の上関原発計画では、祝島島民をはじめ地元での反対運動が強力に進められています。青森県大間町の大間原発計画でも、土地を売らずに長年運動を進め、建設をストップさせてきました。今後も、各地の運動に連携し、新規立地や増設の動きを止める運動に取り組みます。
6) JCO臨界事故への取り組み
 今年は、JCO臨界事故から4周年に当たります。臨界事故を風化させない取り組みとして、9月に全国集会を開催します。また、トヨタ財団から助成が認定されたJCO臨界事故総合調査への協力を行い、事故の全容を明らかにする取り組みを行います。今年は、その調査をまとめる年でもあり、その成果を全国に伝える努力をします。
7) 原発やめよう2003全国集会の取り組み
 6月7日、東京において原子力政策の転換を求めて、1万人規模の集会を行います。原水禁としては、実行委員会に参加し、事務局を担っていきます。集会成功に向けて、組織内でも協議を深めて行きます。
8) 再生可能エネルギーの普及・拡大にむけて
 原子力エネルギーに頼らない社会を構築するために、現在進められている「エコロジー社会構築プロジェクト」の研究成果を、具体的な原子力政策転換に向けた取り組みに結び付けて取り組みます。そのために研究成果を最終報告書としてとりまとめ、運動に活用できるようにします。また、すでに北海道や青森などでも進められている市民の手による風力発電などの建設に学び、地域に合った再生可能エネルギーの普及・拡大を進めていきます。同時に、省エネルギー社会にむけた活動にも取り組みます
9) ITER誘致反対の取り組みについて
 ITERの国内候補地として、青森県・六ヶ所村が名乗りを上げています。しかし、ITERそのものが、巨額の建設費用がかかることと同時にその実用可能性も危ぶまれています。まして、危険なトリチュウムや中性子を大量に発生させ、危険性とともに放射性廃棄物を新たに生みだします。予定地の運動に連携し、省庁交渉や集会など企画し、ITERの危険性と不必要性を訴えるなど、取り組みます。
10) 原子力潜水艦と原子力空母の出入港・母港化についての取り組み
 現在日本では、横須賀、佐世保、ホワイトビーチに原子力潜水艦の出入港が繰り返されています。原潜の事故の危険性は、海洋や寄港地周辺を放射能の被害を引き起すことが指摘されています。中でも2008年には、横須賀がアメリカの原子力空母の母港として狙われています。母港化されれば、30万KW級とも言われる原発が東京湾に浮かぶことになります。交通往来の激しい東京湾で原発が動き回ることは、危険以外のなにもでもありません。関係地域の運動体とともに、原潜の出入港と原子力空母の母港化に反対し、取り組みます。


9. 循環型社会形成の取り組み
 資源やエネルギーの枯渇、大気汚染や廃棄物問題など、環境問題は地球規模で進んでいます。「21世紀は環境の世紀」と言われる中で、これまでの大量生産・大量消費・大量廃棄の産業・生活のあり方の見直しが急務になっています。
 しかし、CO2の排出量が年々増加していることや、世界的な森林の減少、水の質と量の悪化など、環境問題は深刻化しており、循環型社会形成に向けた取り組みが重要になっています。
1) 地球温暖化問題の取り組み
 環境問題のなかでも、地球温暖化問題は全人類共通の課題であり、早急にCO2などの温室効果ガスの削減が必要となっています。日本は、温暖化防止の「京都議定書」を昨年批准しましたが、CO2の削減に向けた抜本的な対策として、法律・制度や税制(環境税)などの政策が必要となっています。
 そのため、1昨年に設置した「エコロジー社会構築プロジェクト」の提言(中間報告)を受けながら、自然(再生可能)エネルギーの普及や省エネルギーのための法・制度の改善などが必要になっています。また、各地域で温暖化問題に取り組むNGOと連携し、地域段階でも温暖化対策に取り組む必要があります。さらに、個々人の生活も、省エネルギーや自然エネルギーの活用、建築や交通等の改善など、様々な分野での見直しが求められています。
@温暖化防止の国内対策の推進を求めていきます。そのため、関係する市民団体(気候ネットワーク等)と連携・協力した運動を進めます。特に、市民参加のもとでの目標達成計画の策定を求めていきます。また、各自治体においても、地域独自の対策を求める運動を推進していきます。
A自然エネルギー普及・促進のための法制度の強化を求めていきます。「エコロジー社会構築プロジェクト」が出した中間報告などをもとに、法制度の改正等を求めていきます。さらに、北海道の市民風力発電の取り組みなど各地の取り組み事例や、環境自治体会議など関係団体の情報提供を行っていきます。また、エコロジープロジェクトの活動を継続し、来年度に最終提言書を作成します。
2) 森林・水問題などの取り組み
 森林は温暖化対策に大きな役割を果たすなど、国土や環境の保全などの多面的機能があります。この多面的機能の発揮のためには、森林整備の一層の推進が必要となっています。しかし、外材輸入等で、日本の森林・林業は採算性の悪化、担い手不足などから後退の一途をたどっており、抜本的な政策転換と予算等の充実が求められています。
 水問題も21世紀の最大の課題になろうとしています。今年3月には日本で「第3回世界水フォーラム」が開催され、世界的な水の質と量の悪化、水の商品化・民営化の動き、大量の農産物・木材の輸入による間接的な水輸入問題などが提起されてきました。水問題についての幅広い世論形成を図り、水が人類の共有物であるという認識のもとに、総合的な水循環、水環境を取り戻すための「水基本法」の制定等が重要な課題となっています。
 また、環境ホルモン(内分泌かく乱化学物質)問題も深刻になる中で、合成洗剤や農薬などの化学物質の規制強化も重要になっています。さらに、産業廃棄物問題も各地で深刻になっており、環境への負荷を減らすための抜本的な対策が必要になっています。
@森林の整備推進に向けた政策の充実を求めていきます。政府の「森林・林業基本計画」で定めた森林整備の確実な推進、地域材の利用促進、予算の拡充、担い手確保、木質バイオマスエネルギーの推進などを求めていきます。
A水問題の世論形成を図りながら、「水基本法」の制定に向けて協力していきます。また、合成洗剤追放全国連絡会の活動に協力し、秋に東京で開催予定の全国活動者集会に協力していきます。また、合成洗剤追放連絡会や農薬反対運動グループなどと連携し、水中や環境中の化学物質に対する規制運動を強めていきます。
B産業廃棄物問題などでの各地の取り組みの情報提供を行うとともに、産業界や政府に対し、生産から廃棄までの規制の強化、拡大生産者責任の拡大・強化、適正処理施設の充実を求めていきます。
3) 農林水産業の持つ多面的機能評価の取り組み
 農林水産業は国土や自然環境の保全、地域社会の維持や雇用の場の確保など人間生活に欠くことのできない多様な役割を果たしています。この多面的機能は、それぞれの地域や国において持続的に農林水産業を営むことによって発揮されるものです。多面的機能を維持・発展させるために、農林水産業を資源循環型社会の中に位置づけ、その評価に対する運動が必要になっています。
@直接支払い制度を、環境保全型農業や森林・林業へも適用拡大させることや、WTO交渉において多面的機能の発揮等を重視した貿易ルールの確立を求めていきます。
A地域における農林水産業の多面的機能を評価する運動を進めるとともに、エコ・ツーリズムなどを通じて、自然への理解を深められるよう、各地で取り組みを進めます。
4) 食とみどり、水を守る全国集会の開催
@「人間の安全保障」を基軸に、9項「循環型社会形成の取り組み」、10項「食の安全の取り組み」、11項「WTO交渉、食の安定、農林業問題の取り組み」など、食とみどり、水・環境を守る運動の集約の場として、「第35回食とみどり、水を守る全国集会」を福井県福井市で12月11日〜12日に開催します。そのため、関係団体に呼びかけて実行委員会を作り、開催の準備を進めます。


10. 食の安全の取り組み

 
一昨年発生したBSE(牛海綿状脳症)については、いまだに発生原因、発生経路も解明されないままであり、相次いだ食品会社の偽装事件などから、食の安全に対する消費者の不安と行政・企業に対する不信感が高まっています。また、遺伝子組み換え食品、ダイオキシン、内分泌かく乱物質(環境ホルモン)問題など、食の安全をめぐる問題も深刻になっています。
 そうした中で、食品安全行政の転換を図るとして、「食品安全委員会」の設置(7月予定)や、「食品安全基本法」の制定と関係法の改正が行われます。食の安全に向け、行政における縦割りを廃し、政策策定過程への市民参加、情報公開の徹底、生産段階での有機農業や有機畜産の推進なども含めた抜本的な対策が必要です。
 さらに、遺伝子組み換え食品やカドミニウム汚染米、環境ホルモン問題など、長期にわたる人体への影響が懸念される問題も多く発生しており、予防原則に立った施策への転換が必要になっています。そのため、市民による食品安全行政の監視運動が重要になっています。
@BSE問題については、その原因、対策についてさらに徹底究明を要求していきます。また、「予防原則」に基づく食の安全行政への転換を要求していきます。
A「食品安全基本法」制定や「食品衛生法」などの改正に対し、「食の安全の権利」の明確化、政策策定過程への消費者・市民の参加、情報公開の徹底などを主要点として要求していきます。
B食の安全に関する国際的な基準作りに対する運動とともに、国際基準に合わせて国内基準の緩和を許さない取り組み、食品の検査・検疫や表示の徹底を求めていきます。
C食の安全のためには、生産段階での安全と環境に負荷を与えない「有機農業」の推進のための法制度の確立を要求していきます。また、遺伝子組み換え食品の規制強化、表示制度の改善などを求めていきます。
D各地域において、食の安全の施策として、食品安全条例の制定や有機農業推進施策などを求めていきます。
E「市民食品安全監視委員会」(仮称・4月19日設立予定)へ積極的に協力するとともに、秋期の全国消費者大会へ参加していきます。


11. WTO交渉、食の安定、農林業問題の取り組み
 
WTO(世界貿易機関)の体制のもとで、貧富や南北間の格差が拡大し、途上国では食料輸入の依存度を増しています。そのため、世界のNGOや途上国では、先進国・多国籍企業優位のWTO体制やグローバリゼーションに対する運動が高まっています。そのため、農業をはじめ各分野で、WTO体制のもつ問題点を糾し、国内外のNGOと提携を強めて取り組むことが重要になっています。
 一方、日本は最大の食料、木材の輸入国であり、世界最低水準まで自給率が低下しています。さらに、日本の農林水産業は、海外からの輸入の増加、担い手不足から縮小を続けています。現在行われているWTO交渉でさらに市場開放が進めば、その存続が危ぶまれています。これは、食の安全・安定や環境問題などへも重大な影響を与えるものとなっています。
1) WTO交渉への取り組み
 現在行われているWTO交渉は、2005年1月に予定されている最終決着に向けて、今年9月にメキシコのカンクンで閣僚会議が開かれ予定になっており、大きな山場を迎えます。
 農業分野では、アメリカ等の農産物輸出国が急激な市場開放要求を行い、日本やEUとの対立が深刻になっています。また、サービス、知的所有権(HIV等の医薬品問題)などでも、先進国と途上国との対立が生まれています。さらに投資等の交渉課題でも、多国籍企業による支配が強まろうとしています。
@農林水産物貿易に対する要求運動を強めていきます。また、関連する国内対策も求めていきます。そのため、農民団体等との提携を重視していきます。
A今後、交渉が本格化するサービスや医薬品、投資等の分野において、その問題点を明らかにし、関係する市民団体と連携して活動を強めていきます。それらの活動を通して、9月のWTO閣僚会議時に代表団を派遣し、各国のNGOとも連携を強め、問題点をアピールしていきます。
2) 食の安定・農林水産業問題の取り組み
 食の安定や自給率の向上に向けて、農地や森林の減少をくい止め、自給率の低い食料の生産拡大や経営安定のための支援策が必要です。
 また、食の見直しを進め、地産地消運動などの拡大が重要です。そのため、学校給食などの食農教育の推進、地域における自給率の向上、有機農業への転換を図る動きも各地で多くなっています。
 アジア・アフリカへの支援米送付運動も、子どもたちや都市住民の参加の場として、さらに拡げていく必要があります。
@農林業の自給率向上に向け、直接支払い制度の拡充や経営安定政策などを求める農民団体の運動を支援していきます。
A各地域で農林業のもつ機能についての評価をおこなう活動を進め、それに対する自治体の施策化を要求していきます。さらに地域の自給率向上の施策化、特に学校給食への地場農産品の導入促進の運動を展開します。
B子どもや市民を中心としたアジア・アフリカ支援米運動や森林・林業の視察、農林産品フェスティバル等を通じた市民との提携を推進していきます。
C農村からの出稼者や日雇い労働者、外国人労働者などの権利や労働条件の改善等を求めて、全国出稼組合連合会の取り組みに協力していきます。

 

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