「人間(市民)の安全保障」をめざす平和フォーラムの社会的役割、全国組織としての活動を確立するため、有事法制や憲法9条改定を許さない取り組み、軍縮、核兵器廃絶、教育基本法改悪を許さない取り組み、在日定住外国人の参政権、ヒバクシャの権利確立、脱原発、環境問題、食の安全やWTO交渉などを重点課題にした取り組みを進めています。
 
以下は2004年4月27日に開かれたフォーラム平和・人権・環境第6回総会において決定された今年の活動方針です。

 

1. 全体(2004〜05年)の構想− 「戦後・被爆60年」、反戦・反グローバリズムとの「平和連帯」、「人間の安全保障」を軸に −はじめにかえて−
 2003年3月20日、アメリカのブッシュ政権がイラクに対して、その根拠すらあいまいな大量 破壊兵器の存在を口実に、国連憲章や国際法に違反する侵略戦争を開始してから約1年が経ちました。自国の利益のためには、国連での協調よりも、先制攻撃を優先するというアメリカの単独行動主義は、国際社会を対立と戦争へと大きく歪めています。これに対して、世界では、「子どもを殺すな」「市民を殺すな」と市民の声がわき起こり、かつてのベトナム戦争や欧州反核運動のときを上回る大規模な反戦・平和行動が行われています。また、「もう一つの世界は可能だ」を標語にした世界社会フォーラムの年々の大規模化に象徴される世界やアジアの各地においてグローバル化に対抗した運動がすすめられています。こうした世界の運動と「平和連帯」する大きな日本の運動を築いていくことが重要になっています。
 一方で、アメリカの戦争政策に追随する小泉首相は、昨年、有事関連3法、イラク派兵法を成立させ、米英の占領支配に対する戦闘がつづくイラクの地に武装した自衛隊の派兵を強行するにいたりました。また、ミサイル防衛(MD)導入などの軍拡、内外の反対を無視して繰り返し強行する靖国神社参拝、教育基本法に「愛国心」を盛り込む改定の動きなど、次々と憲法に反した事態を引き起こしています。そして、自民党結党50周年の2005年までに「憲法改正案」を作成するとしています。
 私たちは、戦争放棄と非武装・平和主義、基本的人権の尊重、主権在民を三大原則とした日本国憲法の理念の空洞化を許しません。戦後60年・被爆60年の大きな節目を前に、自衛隊海外派兵の強行という憲法の前文・第9条をまったく蹂躙した事態を踏まえ、半世紀を越えた憲法擁護運動の検証を改めて行い、運動の指針をより確かにしていくことが必要です。
 さらに、アメリカの先制攻撃戦略に反対し日本の戦争参加を許さないたたかいをはじめ、東北アジアの非核・平和の確立に向けた取り組み、核兵器をはじめとした大量 破壊兵器や非人道的兵器を廃棄すること、世界の流れとなりつつある核利用からの脱却と再生可能な自然エネルギー利用社会への転換(環境破壊を許さない循環型社会の形成)、食の安全と確保、差別 や排外主義を克服した多文化・多民族共生社会を築くことなどの取り組みに邁進しなければなりません。
 「人間の安全保障」を基調とした平和フォーラムの役割が増大するとともに、それを担うための組織強化がますます重要になっています。「戦後・被爆60年」、反戦・反グローバリズムとの「平和連帯」をキーワードにしながら、2005年に向けての一連の取り組みを平和・人権・環境の運動の大きな正念場として、総力をあげた取り組みが求められています。

2. 憲法問題に対する取り組み
 2000年初頭から5年を目途として開始された衆参両議院の憲法調査会は、小委員会やテーマごとの討議を重ねています。衆議院では2005年の最終報告書に向け本年中に案文をまとめる動きにあります。また、政党も、自民党が結党50年、戦後60年の2005年を目途に改憲案をまとめることを打ちだす一方で、民主党の菅代表が憲法の還暦(公布60年)を迎える2006年11月3日までに同様の姿勢を示すなど、憲法をめぐる動きが急速に活発化しています。
 平和フォーラムは、憲法前文、第9条や第10章「最高法規」(第97〜99条)は憲法の理念の神髄の部分であり、その変更は絶対に認めてはならないという基本的な立場です。また、人権や民主主義など世界の到達点に立って、市民一人ひとりが憲法理念を育み発展させていく取り組みをすすめます。また、とくに第9条を象徴に条文と現実とのギャップが強まるばかりの事態をどうしていくのか、平和基本法など具体的な指針を確立していくことが求められています。これらを踏まえて、これまでの憲法問題の論点・問題点整理を行いながら憲法前文・9条改悪の動きに対抗して、憲法理念を実現する取り組み、立憲主義を確立する取り組みを強化します。

1) 憲法記念日および日常の憲法学習会などの取り組み
 @全国各地で前文および9条の変更の動きを許さず、「人間の安全保障」を指針とした取り組みへの発展をめざします。5月3日の憲法記念日を中心とし、5月を憲法月間とした取り組みをすすめます。首都圏では憲法9条などを焦点に憲法改正問題についてのシンポジウムを5月3日に開催します。
 A自治体等に対して、憲法月間にその理念を生かした行事などの実施を求めます。
 B憲法プロジェクトによるFAXNEWSなどでの憲法調査会に関する情報提供をよりリアルタイムで豊富なものとして、提供します。
 Cこれまでの憲法問題の論点・問題点整理を行う憲法問題連続学習会を定期的に開催します。
 D積極的に民衆自らの憲法理念を育て築いていく取り組みをしてきた「市民版憲法調査会」などの学習会を適宜、紹介します。

2) 「戦後・被爆60年」、反戦・反グローバリズムとの「平和連帯」、「人間の安全保障」を軸にした憲法理念の実現をめざす取り組み
 @憲法前文・9条改悪の動きに対抗する憲法理念を実現する取り組み、立憲主義を確立する取り組みとして、平和基本法(仮称)の取り組みをすすめます。そのため、憲法前文・9条の果 たしている役割、違憲の状況や歯止めされてきた政府公約(文民統制、専守防衛、海外派兵禁止、集団的自衛権の不行使、非核三原則、大量 破壊兵器の不保持、武器輸出禁止、宇宙の平和利用など)についての状況を点検・整理するとともに、別 項の平和課題の運動方針と連携した取り組みをすすめます。また、現在すすめられている新「防衛大綱」策定の動きなどにも対抗していきます。
 A憲法理念にもとづく現時点での安全保障を確立する取り組みとして、日米安全保障条約の持つ問題点(とくに新ガイドライン)、国連中心の安全保障、「人間の安全保障」などに関わる課題を整理するとともに、別 項の平和課題をはじめ運動方針全体と連携した取り組みをすすめます。
 B本年度の「憲法理念の実現をめざす大会」(略称・護憲大会)は、イラクでの自衛隊駐留、有事関連法、教育基本法などの重要課題とともに、2005年という政治日程に上っている自民党などの憲法改正案作成作業をはじめ、憲法が重大な局面 を迎えたなかでのものとなります。「戦後・被爆60年」、反戦・反グローバリズムとの「平和連帯」、「人間の安全保障」を軸にした取り組みを進め、その集約の場とします。11月1日〜3日に奈良市において実行委員会による開催とします。


3. アメリカ合衆国の先制攻撃戦略に反対し、日本の有事国家化を許さない取り組み
 昨年5月1日、米国のブッシュ大統領は、イラクでの戦闘終結宣言を行いました。しかし、いまなおイラクでは、米英占領軍と占領抵抗勢力との間でのゲリラ戦が続いています。またその巻き添えで、多くのイラク人が死傷しています。昨年3月20日のイラク侵攻開始から現在までの死者は、米軍が約550人、英軍は約60人、他の占領軍は約40人、イラク人の死者は8000人から10000人と言われています(2004年2月末)。
 ブッシュ政権下で、米国の安全保障戦略は大きく転換しました。2002年1月の一般 教書演説では、イラク・イラン・朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の3カ国を「悪の枢軸」と名指しし、同時期の「核態勢見直し報告」では、上記3カ国に中国・ロシア・シリア・リビアを加えた7カ国を「先制核攻撃」の対象とし、同年9月の「国家安全保障戦略」(ブッシュ・ドクトリン)では、大量 破壊兵器を持つ敵国への先制攻撃と圧倒的な軍事力の優位を堅持すると打ち出しました。自国の安全保障のためには、国連よりも、単独での先制攻撃を優先するという米国の姿勢は、国際社会を大きく変えてしまいました。
 小泉政権は、米国の安全保障戦略に追随しています。テロ特措法・有事関連3法・イラク特措法を成立させ、今国会では国民保護法案などの有事法制関連法7案の成立をめざしています。テロ特措法に基づく海上自衛隊のインド洋派兵は3年目に入り、今年1月からはイラク派兵が開始されました。小泉政府は日本を、米国とともに戦争のできる国家へ変えようとしています。
 現在米国は、軍事的抑止力の強化と米軍が効率的に展開する能力を高めるため、世界規模での米軍の再配置を検討しています。その一環として、日米両政府が昨年からさまざまな水準で在日米軍の再編について協議を続けています。普天間基地などについても検討の対象となっているようですが、具体的な進展は見えてきません。
 私たちは、イラクに派兵された自衛隊の即時撤退を日本政府に要求するとともに、世界的な反戦・平和運動の連携で米英軍のイラク占領をやめさせなければなりません。また朝鮮半島で戦争が起きる事態を、何としても阻止しなければなりません。そのために、米国の単独先制攻撃戦略と、日本の有事国家化に反対します。

1) 米英軍によるイラク占領に反対する取り組み
 現在のイラクでは、連合軍暫定当局(CPA)と、CPA下のイラク人による統治評議会が行政を担っています。イラクで多数派を占めるイスラム教シーア派をはじめ、様々な組織が直接選挙による政権樹立を求めています。しかしCPAは選挙によらずに親米英の政権を樹立しようとしています。
 こうしたなかで、占領に反対する組織によって、米英軍に対するゲリラ戦や自爆攻撃が激化しています。また米英軍のゲリラ掃討戦によって、多くのイラク市民が犠牲になっています。そもそもイラク侵攻の名目となった「大量 破壊兵器」も、占領から10ヶ月以上が経つにもかかわらず発見されていません。
 いまイラクにとって必要なことは、直接選挙による政権樹立と、その政権に対する国連の枠組みでの復興支援です。
 そのために私たちは米英軍による占領統治に反対し、以下の取り組みを行います。
 @米国・英国・韓国をはじめとした、世界の反戦・平和運動との連携を強化します。
 AWORLD PEACE NOWなどの市民運動団体に参加し、また独自の取り組みとしても、イラク占領・自衛隊派兵に反対する集会・デモ・抗議行動を行います。
 Bイラク現地で民間支援活動に携わるNGOを、積極的に支援します。
 C情勢に応じ、在日米国大使館、英国大使館への抗議行動を行います。

2) 自衛隊のイラク派兵に反対する取り組み
 2003年7月28日、小泉内閣はイラク特措法を成立させ、2004年1月から自衛隊のイラク派兵を開始しました。派兵される自衛官は陸海空合わせて1000人を超える規模です。
 これまでにも自衛隊はPKO法によって、海外に派遣されてきました。しかしゲリラ戦が続くイラクへの派兵は、国連の指揮下で戦争が終了した地域へ派遣されるPKOとは一線を画すものです。戦後初の自衛隊の戦地派兵なのです。
 小泉総理は自衛隊の任務を、非戦闘地域での「人道復興支援活動」と説明しています。しかしイラク特措法には「人道復興支援活動」とともに「安全確保支援活動」が明記されており、これは米英軍への支援と治安維持が任務です。自衛隊のイラク派兵は、米英軍の占領統治への協力に他なりません。
 自衛隊が展開する「非戦闘地域」であるはずのサマワでも、迫撃砲攻撃や爆弾テロが発生しました。自衛隊と占領抵抗勢力が交戦する危険性、自衛隊が誤って一般 のイラク人を殺傷する可能性は極めて大きいと考えられます。自衛隊のイラク派兵は、憲法前文と9条に明確に反するものです。
 自衛隊のイラク派兵に反対するため、私たちは以下の取り組みを行います。
 @派兵される自衛隊の駐屯地・基地がある地域の、派兵反対運動に連携・協力します。
 A市民運動と連携し、自衛隊の撤退を求める集会・デモ・抗議行動に取り組みます。
 B自衛隊が戦闘行動に入った場合には、ただちに全国的な抗議行動を行います。
 C小泉内閣に対して自衛隊の撤退を求める要請行動を、全国各地から行います。
 D国会議員や学者・文化人と協力し、国会内外で集会や学習会を開催します。
 E各種教宣資材を作成します。

3) 有事法関連法案の成立を許さない取り組み
 2003年6月6日、有事3法(武力攻撃事態対処法・安全保障会議設置法改正・自衛隊法改正)が成立しました。政府はその関連法案の作成を進めています。今国会には、以下の7つの関連法案が提出されます。

 1.武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律案
 2.武力攻撃事態等における米軍の行動の円滑化に関する法律案
 3.武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律案
 4.国際人道法の重大な違反行為の処罰に関する法律案
 5.武力攻撃事態等における外国軍用品等の海上輸送の規制に関する法律案  6.武力攻撃事態等における捕虜等の取扱いに関する法律案
 7.自衛隊法の一部改正案

 この7法案のうち、政府は「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律案」(国民保護法案)を、有事に際して国民の生命や権利を守るものと説明しています。
 しかし法案の中には有事に際して、行政や公共機関の労働者に協力を要請する、自治会などの住民組織を自警団のように再編するなど、多くの問題点が含まれています。
 また、その他の法案にも問題が含まれており、引き続き解明と対策が求められます。
 民主党が制定を求めている「緊急事態基本法案」について、自民・民主・公明3党での協議が開始されます。「緊急事態基本法案」は、武力攻撃・テロリストによる大規模な襲撃・大規模自然災害に際して、基本的人権が保障されること、国会による民主的統制、危機管理庁の設置を求めています。
 こうした与野党間の協議を見極めながら、慎重な対処が求められています。平和フォーラムは引き続き、有事法制が発動しない平和政策を政府に求めます。
 また関連7法案の廃案・修正を求めると同時に、有事に際して労働者や市民が、意思に反して戦争協力を強制されることが無いよう、以下の行動に取り組みます。
 @国民保護法案等の解明を行うと同時に、その危険性を広く知ってもらうための、集会や学習会を実施します。
 A政府に対して、7法案の廃案や修正を求める行動を行います。
 B国会審議の状況にあわせて、全国的なデモ・集会・抗議行動に取り組みます。

4) 基地撤去・基地の県内移設に反対する沖縄との連帯・支援の取り組み
 1995年に米兵による少女暴行事件に端を発した沖縄県民ぐるみの基地の縮小・撤去、日米地位 協定の抜本改正を求める取り組みの高揚から10年近くになろうとしています。しかし、日米両政府が普天間基地を5〜7年以内に返還するとしたSACO合意(「沖縄に関する特別 行動委員会」1996年12月)の期限はすでに過ぎましたが、返還どころか、普天間基地の名護市への移設や那覇軍港の浦添市への移設、各地での訓練激化や都市型ゲリラ対策基地の新設の動きが進んでいるのが沖縄の実状です。
 このなかで普天間基地をかかえる宜野湾市では、昨年4月、「普天間基地の5年以内返還」を掲げる伊波洋一市長を誕生させました。そして、最近になって、米軍の世界的な大再編計画が検討されはじめ、歴史的につくられてきた前進戦略自体の変更まで取りざたされていることなどをも踏まえて、基地の返還の具体化を進めています。これを盛り上げるため、本年の沖縄平和行進の折りに、あわせて普天間基地包囲行動を行います。
 また、日米地位協定の見直し・改正を求める取り組みは、保守の稲嶺県政のもとでも進められ、全国的にも米軍基地所在県を軸に25都道府県議会で日米地位 協定見直し決議がすすめられています。
 平和フォーラムは、新たな基地建設反対・基地の整理・縮小を求める沖縄県民や沖縄平和運動センターの取り組みに、全国規模で支援・連帯します。
 @沖縄平和行進(5月13日結団式〜行進〜16日県民大会 )と普天間基地包囲行動(5月16日)に全国から参加し、沖縄からの平和発信に協力します。
 A普天間基地の名護市移設や、那覇軍港の浦添市移設反対の重要な局面で、沖縄の現地行動に協力するとともに、全国で連帯行動に取り組みます。
 B各組織や自治体における地位協定見直し決議など、日米地位協定の改定を求める取り組みを行います。

5) 在日米軍基地の撤去を求める取り組み
 米軍のアフガニスタン侵攻やイラク侵攻、またフィリピンのイスラム原理主義武装組織掃討作戦では、在日米軍基地が主要な出撃拠点となっています。在日米軍基地の存在が重要になり強化されるにつれ、周辺住民への被害も増加しています。
 米海軍は横須賀基地を、原子力航空母艦の母港にしようとしています。横須賀基地では航空母艦が使用している12号バースを「思いやり予算」によって延長整備する計画が進められていますが、これは原子力空母母港化の準備と考えられます。横須賀基地に原子力空母が配備されれば、東京湾に原子力発電所が建設される以上の事故や放射能漏れの危険性を、横須賀だけではなく関東一円の人々が背負うことになります。
 また日米新ガイドラインの締結以降に恒常化した、原子力空母を含む米海軍艦船の民間港湾利用に反対し、横須賀港・呉港・佐世保港をはじめとした軍港ならびに民間港の非核化を進めなければなりません。
 私たちは、在日米軍基地の整理・縮小・撤去に向けて各地域の取り組みや、全国基地問題ネットワークの取り組みに積極的に参加します。
 @米軍の実弾砲撃移転演習(7〜8月矢臼別、9月東富士、11〜12月王城寺原、2005年1〜2月日出生台)や、各地の軍事演習に反対する取り組みに協力します。
 A米海軍原子力空母の横須賀母港化に反対します。神奈川平和運動センターと協力し「米原子力空母横須賀母港化に反対する全国連絡会」を結成します。
 B東京高裁で審理中の厚木爆音訴訟をはじめ、各地の爆音訴訟・基地訴訟を支援・協力します。
 C「非核・平和条例を考える全国集会」の開催など、港湾の非核化に取り組みます。
 D在日米軍基地の強化を許さない取り組みを進めます。

6) 自衛隊の軍備強化を許さない取り組み
 「平成8年度以降に係る防衛計画の大綱(新防衛計画の大綱)」の策定以来、自衛隊は「防衛力の合理化・効率化・コンパクト化」を推進しています。自衛官定数や航空機数・艦船数の削減が進み、一見すると軍縮が行われているように見えますが、実際には装備の高度化・大型化・近代化が進んでいます。航空自衛隊は空中給油機の導入を、海上自衛隊は空母の形状をした新型ヘリコプター護衛艦の導入を進めています。
 日本の航空・海上戦力は、米国を除けばアジア最大で、領空・領海を越えた攻撃が可能です。陸上自衛隊はゲリラ戦専門部隊やヘリコプター旅団を創設するなど、仮想敵を正規軍の上陸作戦からゲリラ戦に変更した近代化が進んでいます。アフガニスタン侵攻やイラク侵攻で米軍が使用して問題となったクラスター爆弾など、非人道的とされる兵器も所有しています。また、実現可能性が少なく莫大な費用が必要とされるMD(ミサイル防衛)計画も、米国と共同しての研究開発が始まりました。
 正面装備を中心に防衛予算が拡大する中で、防衛産業の装備品納入価格をめぐる問題や、米国に発注した装備品が入金したまま未納品になっている問題がおきています。また実戦を想定した訓練が行われる中で、航空機の墜落や流れ弾が演習地外に飛び出すなど、住民の生命を脅かす事故も発生しています。自衛隊内では、イジメや自殺が大きな問題になっています。私たちは、自衛隊の増強に反対し、平和軍縮の取り組みを推進すると同時に、自衛官の人権を守るため、以下の取り組みを行います。
 @防衛費の削減と自衛隊の縮小を求めるため、政府・国会への要請行動を行います。
 A防衛庁の「防衛省」昇格に反対します。
 B米国と共同のMD計画は、憲法に違反する集団的自衛権の行使であり反対します。そのための教宣資材の作成や、学習会を開催します。
 C各地域と連携し、軍事演習反対、基地撤去の運動を行います。
 D市民運動や国会議員に協力し、自衛隊員の人権を守る活動を行います。


4. 東北アジアの非核・平和の確立に向けた取り組み
 2000年の南北朝鮮首脳会談後、紆余曲折しながら東北アジアでも冷戦構造を崩していく緊張緩和が進みました。2002年9月17日には、日朝首脳間で歴史的な会談が行われ、「日朝平壌宣言」が明らかにされました。宣言は、1世紀を超える朝鮮半島との不正常な状態を変える歴史的な転換点にする可能性をもつものです。しかし、同時に明らかになった北朝鮮の拉致問題や核開発問題によって、その後の事態は緊張度を大きく高めました。北朝鮮に対して、核開発の中止を求め、拉致問題での真相究明、謝罪・補償を求めることは当然ですが、あくまでも平和的な方法で一つ一つ解決することが必要です。核問題では、昨年8月に米国・北朝鮮・中国・ロシア・韓国・日本による6ヵ国協議が開始され、本年2月にも第2回目が行われ、6月末までには3回目が予定されるなど平和的解決に向けた局面 も見せはじめました。しかし、朝鮮戦争以来の半世紀に及ぶ米朝間の対立は根深く残されています。また、本年は4月に韓国総選挙、秋に米大統領選など選挙結果 などに応じて急激に動く可能性もあり、なお予断の許されない状況にあります。
 一方で、日本国内では在日朝鮮人に対する嫌がらせ、悪意に満ち興味本位 のマスコミ報道、石原東京都知事による日韓併合についての歴史の偽造発言まで公然と行われるなど、さまざまな、北朝鮮バッシングが強められてきました。そのなかで北朝鮮に対して日本独自の判断で経済制裁を可能にする外国為替法(外為法)改定案が国会で成立し、さらに万景峰号などの入港禁止を目的とした特定外国船舶入港禁止法案や永住外国人の再入国を禁止する再入国禁止法案(いずれも仮称)などが、国会提出の準備や検討が進められています。日朝間の関係正常化や6カ国協議の進展に新たな障害をもたらし、平和的解決を遅らせる役割を果 たすこれらの「制裁」法案に反対します。
 この間、拉致問題の解決にあたっても当然に必要な政府間交渉すらようやく再開された状況にあります。日朝問題は、その歴史、植民地支配、戦後の冷戦、「在日」をめぐる人権など、さまざまな重要問題と関係しています。平和フォーラムは、昨年の取り組みのなかで結成された「東北アジアに非核・平和の確立を、日朝国交正常化を求める連絡会」(略称・東北アジア連絡会)の取り組みを中心に、韓国をはじめ、アジアの人々との平和連帯の輪を築きながら、6ヵ国協議を、東北アジアの平和のための実りある場とさせ、日朝国交正常化の実現に向けての取り組みを広げていきます。

1) 「東北アジアに非核・平和の確立を、日朝国交正常化を求める連絡会」による取り組み    
 日本の平和・非核・朝鮮問題・在日人権団体・グループのゆるやかなネットワークとして「東北アジアに非核・平和の確立を、日朝国交正常化を求める連絡会」(略称・東北アジア連絡会)による取り組みをすすめます。
 @月1回ペースで開催する学習会・会合を積極的に企画・案内します。
 A経済制裁法反対や外務省要請を共同で行います。
 B連絡会の編集・発行で東北アジアの非核・平和、日朝国交正常化を解説するリーフレットを作成します。

2) 平和フォーラムとしての多角的な取り組みと協力・支援
 @東北アジア連絡会とも協議しながら、年内に一定規模の訪朝交流を行います。
 A韓国の平和運動、北朝鮮人道支援運動との交流・協力を進めます。
 B北朝鮮に対する経済制裁措置などを政府に発動させない取り組みをすすめます。
 C在日定住外国人の人権確立の取り組みを強化します。
 Dアジア・アフリカ支援米作付け・送付運動をもとに、北朝鮮の人道支援の取り組みを広げます。
 E各都道府県組織の関係する日朝運動組織代表者による全国交流を行います。
 F「日朝国交正常化を求める市民連絡会」(石坂浩一立教大学助教授・世話人)の取り組みの支援や、日朝国交促進国民協会(村山富市元首相・会長)の研究会の紹介・案内をします。


5. 核兵器廃絶に向けての取り組み
 「大量破壊兵器の存在」という虚構のうえに進められたブッシュのイラク侵攻は、国際法も無視した、単独行動主義の最悪のものを世界に見せつけました。ブッシュ政権の反動的な政策はこの他にも、小型核の開発研究の開始やABM条約(対弾道ミサイル制限条約)の一方的脱退、ミサイル防衛構想(MD)の推進など新たな核軍拡の流れを創り出そうとしています。
 また、一向に進まぬ核大国の核軍縮は、繰り返される未臨界核実験の他に、米ロなどは「削減」された核弾頭を将来に備えた「貯蔵」に回すなど核弾頭の備蓄を進めています。いまだ核抑止の基調は変わらず、小型核の研究では、新しい型(新しい概念)の核兵器や戦場で使えるとされる核兵器の開発に結びつき、核兵器の実践使用のハードルが低くなろうとしています。さらに、米ロ両国ともいまだ核警戒態勢は解かれておらず、偶発的核戦争の危険も去っていません。
 NPT体制のスキを突き、核拡散が拡がっています。未加盟国のインドやパキスタン、イスラエルの核保有や、朝鮮民主主義人民共和国やイランなどは原子力の平和利用からの転用で核開発を行うなど、NPT体制の限界も出ています。それらの動きは、周辺地域の安全保障を揺るがし、緊張を高めています。核開発の放棄を求めるとともに、緊張緩和にむけた平和的な解決と国際ルールへの参加を促すことが必要です。同時に、アメリカをはじめとする核保有国に対しては、核軍縮の約束を履行させることが重要です。未加盟国の核拡散には厳しく、自らの核軍縮には徹底して甘いダブルスタンダードを許してはなりません。
 日本政府に対しては、被爆国としての責務を自覚させ、積極的に平和と核軍縮政策を取ることを求めることが重要です。現在の小泉政権は、自衛隊のイラク派兵という憲法で禁じた集団的自衛権の行使まで踏み込み、積極的にアメリカの世界戦略のシステムの中に加わろうとしています。特にミサイル防衛(MD)の積極的な導入は、東北アジアの核状況を変え、あらたな核軍拡に道を開くものです。
 冷戦終結後、アメリカ一極のスーパーパワーに対して、厳しい状況の中でも平和運動の果 たす役割は重要です。国際的な平和・核軍縮の連携を強化し、アメリカをはじめとする核保有国を包囲する陣形をつくりあげることが必要です。各国の平和勢力との連携と連帯を中心に、国内においても、政府や各市民団体に働きかけ、共通 の核軍縮へのネッワークと運動の強化を進めます。
 また、核物質/原子力燃料の副産物として大量に作られた、劣化ウランを兵器として使用することをやめさせ、核・原子力によるあらたな被害を止めなければなりません。

1) 国内外の核軍縮へのネットワークの強化とNPT再検討会議にむけた運動の取り組み
 アメリカの単独行動主義により国際的な核軍縮の流れが停滞を余儀なくされていますが、あらためて活性化させることが大きな課題です。これまで積み上げきた核軍縮の成果 を後退させず、国際的な枠組みの強化をはかることが必要です。そのためにも日本政府をはじめ、各国の政府やNGOに働きかける運動が重要です。特に2005年にはNPT再検討会議を控えています。2000年の再検討会議で合意した「誠実に(核軍縮の)交渉を行うことを約束する」を、具体的に核兵器保有国に迫ることが必要です。
 @国内外の核軍縮進める団体や運動体とのネットワークの強化と世論喚起にむけた様々な取り組みを行い、核保有国への包囲網を強化していきます。
 A2005年のNPT再検討会議に向けた学習会、政府への申し入れや連合・核禁会議と共同して派遣団を送ります。
 B2004年4月のNPT再検討会議準備委員会に情報収集と各国NGOとの連携強化のために担当者を派遣します。
 C平和市長会議が呼びかけたNPT再検討会議にむけた「核兵器廃絶のための緊急行動」に賛同し、協力をしていきます。
 D北朝鮮のNPT復帰を求めます。
 E東北アジア非核地帯化構想の実現をめざして取り組みます。
 F日本のMD構想参加に反対していきます。
 G未臨界核実験に反対する取り組みを、引き続き連合・核禁会議との共同行動として積み上げていきます。
 HCTBT条約、カットオフ条約を前進させる取り組みを強化していきます。
 I劣化ウラン弾・クラスター爆弾等の非人道的兵器の禁止に向けた取り組みを行います。
 J核拡散につながるウラン濃縮、再処理を止めさせる国際的な枠組みづくりを行います。

2) 非核自治体決議の推進と非核政策の内実の充実を求める取り組みの強化
 近年、日本の核武装を容認する国会議員が出てきています。一昨年の政府高官の核武装発言と合わせて、日本の国是である非核三原則をないがしろにする危険な兆候です。非核三原則の法制化も含めた非核法の制定や地域における非核自治体の拡大、非核宣言をあげた自治体の非核政策(事業)の充実を求めることが必要です。
 @非核自治体決議の100%達成にむけた取り組みと自治体の非核政策の充実を求めていきます。地方議会への働きかけや非核平和行進に合わせて自治体への要請などを行う中で宣言の達成や政策(事業)の充実を求めていきます。
 A非核宣言をした自治体の非核宣言自治体協議会への加盟を推進していきます。
 B非核平和条例の取り組みを強化し、同時に非核三原則の法制化など、非核法の制定をめざします。
 C内外に被爆国の内実を問われるHOYAの核兵器研究・開発については、その動きを監視することと同時に協力させない取り組みを積み上げていきます。

3) 被爆59周年原水爆禁止世界大会の開催と60周年にむけて
 @被爆59周年原水爆禁止世界大会の開催  核兵器廃絶にむけた取り組みとともに、「ヒバクシャの権利確立の取り組み」や「原子力政策の根本的転換と脱原子力に向けての取り組み」の課題を合わせて、世界大会の課題に組み入れ、議論を深め、共通 認識を作りあげていきます。なお、来年は被爆60周年目の節目にあたり、ビキニ50周年(2004年3月1日)−59周年世界大会−60周年世界大会と連動した動きをつくりあげ、2005年8月にはヒバクシャ国際会議の開催をめざします。  今年も大会は実行委員会方式で、広島、長崎で例年通りの日程で開催します。また、子どもの参加や親子参加を引き続き強化し、被爆の実相の継承を行っていきます。

 8月1日 国際会議(東京)
 8月4日〜6日 広島大会
 8月7日〜9日 長崎大会

 Aビキニ被災50周年、被爆60周年の取り組み
 被爆60周年にむけて、@平和と核軍縮の前進、Aヒバクシャ権利拡大、Bプルトニウム利用政策の転換、C連合との連携強化、D運動の強化と原水禁組織の活性化を目指す取り組みの強化を目標とし、被爆60周年の節目にふさわしい大会をめざします。
 B被災51周年ビキニ・デー集会の開催  被災50周年の成果を引き継ぎ、被爆60周年原水禁世界大会に連動する集会としていきます。
 C原水禁国民会議結成40周年  2005年2月1日で、原水禁日本国民会議が結成されて40周年にあたります。記念のシンポジウムなど相応しい行事を行います。


6. 教育基本法改悪をストップし、偏狭なナショナリズムを許さない取り組み
 グローバル化とアメリカの極端な単独行動主義がすすむなかで、日本や欧州諸国は企業競争力の確保策に躍起となる一方、失業者の増加などを背景に民族排外主義的な動きや国家主義、偏狭なナショナリズムを助長する傾向も増大しています。
 2003年3月20日の中教審答申は「21世紀を切り開く心豊かでたくましい日本人の育成」という大目標のもと、「国を愛する心」が強調され、教育基本法改定の方向を打ち出しました。その後、与党協議が重ねられましたが、公明党が慎重姿勢をとったため、通 常国会での法案提出は見送られました。しかし、自民党は1月の党大会で「教育基本法改正」の方針を明記するなど、案文作成作業を含め改悪実現へのスタンスを固めています。今後、とりわけ7月に予定される参議院選挙の結果 次第では状況が急転する可能性があります。
 また、日本は、過去の東アジアに対する植民地化と侵略戦争の歴史を深く反省・謝罪し、補償をすべき義務があるにもかかわらず、過去の清算についてきわめて不十分で放置されたままです。にもかかわらず、戦争美化の歴史教科書問題や、小泉首相による靖国神社参拝強行などの事態が続き、東アジアとの友好に打撃を与えています。
 教育では、平和や人権や環境を大事にし、みんなが個性、民族や文化などさまざまな違いを認め合いながら共に生きる人間関係豊かな場としていくことが、いじめをなくし、21世紀を担う若い世代を育みます。これは、教育基本法の理念でもあり、子どもの権利条約の精神です。平和フォーラムは、憲法と密接不可分な教育基本法の改悪に反対し、基本法の理念を実現する運動を強めます。また、小泉首相の靖国参拝など憲法の政教分離原則に反しアジアとの友好関係を損なう行為をやめさせるとともに、戦後補償の取り組みを進めます。
 戦後60年という歴史の節目を踏まえ、戦争の事実に関する記録を残し、情報公開をすすめる取り組みをすすめます。また、東北アジアをはじめとしたアジア・太平洋諸国との戦争の歴史の問題を中心とした課題の国際交流を行います。

1) 教育基本法と教科書をめぐる取り組み
 2005年の教科書検定・採択問題をもあわせて、国が人の心や精神までをも管理・統制する問題として、取り組みをいっそう強化します。
 @日教組などとともに教育基本法改悪ストップ実行委員会による取り組みをすすめ、重要な節目ごとに大きな取り組みを行います。
 A「教育と文化を世界に開く会」などの学習会などを紹介します。

2) 首相の靖国参拝や国家護持に反対する取り組み   
 小泉首相は、本年も1月冒頭に行うなど、就任以来、毎年、靖国神社に参拝をつづけており、中国・韓国など東アジア諸国との外交関係、友好関係をも大きく損ねています。最近になって中曽根元首相がA級戦犯靖国分祀案を画策していますが、たとえA級戦犯を分祀しても靖国参拝が政教分離原則に反することに変わりありません。戦争犠牲者への追悼は無宗教の施設で行うことが当然です。平和フォーラムは、すでにある千鳥ヶ淵国立戦没者墓苑を日本の関わったすべての戦争犠牲者を追悼する施設とする取り組みをすすめます。
 @首相の靖国神社参拝に抗議し、させない取り組みを進めます。
 A8月15日に千鳥ヶ淵国立戦没者墓苑で戦争犠牲者追悼・平和を誓う集会を行います。

3) 戦後60年と戦後補償の実現に向けた取り組み
 @中国・韓国・北朝鮮など東北アジアの諸国を中心に、戦争の歴史を課題とした国際交流を行います。
 A戦後補償を取り組む市民団体や、歴史の事実を明らかにする立法(国立国会図書館法を一部改正し、恒久平和調査局を設置すること)を求める市民グループと意見交換し、共同の取り組みを進めます。
 B花岡事件、劉連仁訴訟をはじめ各地の中国人強制連行訴訟など戦後補償の取り組みを引き続き支援します。
 C中国残留孤児訴訟の署名を支援・協力します。


7. 在日定住外国人の地方参政権など人権を確立し、多文化・多民族共生社会に向けた取り組み
 冷戦後の民族紛争多発や欧米における極右・人種差別 主義勢力が台頭する情勢のなかで、差別撤廃の重要性が強調され、国連の呼びかけで「人権教育のための国連10年」がはじまり、各国で取り組まれています。日本でも「行動計画」はつくられましたが、取り組みはおざなりです。公職の要人・政治家が公然と差別 発言を行っても厳しく指弾されず、釈明程度で収拾され、結局、繰り返されてきました。日本社会には差別 が社会悪であり犯罪であるという明確な認識がいまだに希薄だからです。そのなかで最近では、性差別 撤廃(ジェンダーフリー)教育や、選択的夫婦別姓、性教育に対して女と男の固有の特性を否定する過激な思想運動であるとか、日本の伝統的家族共同体を破壊するものであるという決議が「新しい歴史教科書をつくる会」などによって、自治体議会で採択されるなど、男女平等条例づくりへの攻撃が組織的に行われています。このような情況を変革するためにも、部落差別 や女性差別、障害者差別、民族差別をはじめとした差別に対し、公正・平等をめざしての実態の改善の取り組みと、差別 を禁止する法律を整備する必要があります。さらに、昨年の「人権擁護法案」廃案をふまえ、国連の「国内人権機関の地位 に関する原則」(パリ原則)にそった独立性と実効性ある人権救済機関を制度化することが重要です。また、「人権教育のための国連10年」を契機として人権教育・啓発を強化している自治体も多くあり、運動の力で勝ち取った「人権教育・啓発推進法」も活用し、自治体レベルから人権教育・啓発を強化する運動も必要です。
 また、「人権教育のための国連10年」で強調・重視されているのが、多文化・多民族共生です。日本でも、不十分ながらも市民の取り組みや地方自治体の「外国人会議」などで広がってきました。1500を超える地方議会が定住外国人の地方参政権を求める決議を行っています。21世紀の人権社会を築く突破口としても実現しなければなりません。

1) 地方参政権など在日定住外国人の権利確立   
 野党の賛成だけでなく、与党合意があるにもかかわらず、実際には根強い排外主義によって、在日定住外国人の地方参政権は実現に至っていません。地域で広がった「外国人市民会議」や住民投票条例などの成果 を生かして、通常国会で改めて「定住外国人地方参政権法案」の実現をめざします。また、小泉訪朝後の事態のなかで増大する在日に対する嫌がらせや差別 を許さない取り組みを進めます。
 @在日定住外国人参政権連絡会による院内外での取り組みをすすめます。
 A朝鮮学校をはじめ在日外国人学校の高校卒業者を差別なく大学受験資格を認めることをはじめ、学校教育法の1条校並としていく取り組みを進めます。

2) 実効性ある人権救済法の制定に向けた取り組み
 @国連の「国内人権機関の地位に関する原則」(パリ原則)にそった独立性と実効性ある人権救済機関を制度化する法律の制定に向けて取り組みます。あわせて差別 を犯罪として明確に禁止する「差別禁止法」(仮称)を制定する取り組みを進めます。
 A部落解放同盟、部落解放中央共闘などの取り組みに連携、協力します。

3) 人権教育・啓発の推進
 @「人権教育のための国連10年」などこれまでの成果を実効化させるとともに、「人権教育・啓発推進法」に基づき、全国の自治体でより充実した「人権教育・啓発推進に関する基本計画」を策定・実行するよう求めていきます。
 A地域・職場でさまざまな差別問題など人権学習・教宣活動に取り組みます。

4) 司法制度・地方自治などをはじめとした取り組み
 @司法改革で、民事訴訟における弁護士報酬の敗訴者負担制度などの設置に強く反対するとともに、裁判員制度は裁判官の恣意などに左右されない制度・人数配分になど市民に開かれたものとする原則を確立させていきます。
 A日常的な判決チェックなど最高裁判所裁判官国民審査にかかわる取り組みをすすめ、現状の非民主的な白票信任投票方式を○×式にするなど、投票した人の意思が結果 に反映する方法への改善の実現に向け取り組みます。
 B地方自治体の自主財源の確保とともに、条例制定権の拡大、拘束力のある住民投票の導入などの取り組みをすすめます。
 C反住基ネット連絡会の一員として、取り組みに参加・協力します。

5) 男女共同参画社会の実現に向けた取り組み
 「男女共同参画社会基本法」(1999年)は制定されたものの、女性差別 撤廃条約の精神を具体化していないという問題点があります。女性の社会進出がすすむなかで、男女がともに職業や社会生活と家庭生活が両立できる社会システムの構築が緊急の課題であり、そのためには男女の意識変革が必要です。
 @平和フォーラム組織自身の構成、諸会議をはじめ、関わる運動全般で女性が参加できる条件・環境を作ります。
 AI女性会議をはじめとした女性団体の取り組みに連携、協力します。


8. ヒバクシャの権利確立の取り組み
 被爆60周年を目前に控え、被爆者の高齢化が進んでいます。広島・長崎の被爆一世の残された課題を解決する時間は限られています。援護対策の充実を図ることが急務です。中でも、在外被爆者に対する援護の充実は、日本の戦争責任と戦後補償の実現とあいまって重要な取り組みです。これまでの在外被爆者裁判で勝ち取った成果 を、残された在外被爆者裁判へ活かし、政策的な不備を政府に要求していくことが必要です。また、これまで放置されてきている在朝被爆者への援護施策の実施を求めていくことも戦後責任を果 たす意味で重要です。同時に全国各地で取り組まれている被爆者集団訴訟運動や様々な被爆者課題の前進をはかることも引き続き重要です。
 被爆二世・三世への援護の充実をはかることも必要です。全国被爆二世団体連絡協議会 (全国被爆二世協)と連携しながら二世・三世の組織化と行政に対する被爆者健康手帳の発行や健康診断の通 年化、被爆二世調査などの独自要求を積み上げていくことが求められています。
 被爆60周年には「ヒバクシャ国際会議」を開催します。そのことを踏まえ国際的な運動としてヒバクシャ運動の強化は重要な課題です。核実験や原発事故、ウラン採掘などのあらゆる核開発の流れの中で起きたヒバクシャへの連帯と援護制度確立や権利の確立を進めることは今後の原水禁運動の重要な柱としていくことが必要です。

1) 被爆者援護の運動を強化する取り組み  広島・長崎の原爆投下から60年を目前に控え、高齢化した被爆者の問題解決は急務となっています。長年の要求である国家補償問題や在外被爆者の補償の問題は、いまだ解決に至っておりません。引き続き政府に制度確立を求めていきます。
 @在外被爆者問題の解決に向けた取り組みを行います。裁判闘争の支援や交流、厚生労働省への制度・政策の強化要求などを行います。
 A在朝被爆者問題の解決に向けた取り組みを行います。放置された北朝鮮被爆者の援護の確立に向け政府・厚生労働省に働きかけていきます。
 B全国10地域に提訴している131人の原告の認定却下処分の撤回を求める被爆者集団訴訟運動の支援・連帯の強化と各種被爆者課題の前進をはかります。

2) ヒバクの実相を継承する取り組み
 各地でのヒバクシャから聞き取りや記録(映像など)をすすめ、若い世代へ被爆の実相を継承していく運動を進めます。

3) 被爆二世・三世の組織化と援護政策の充実を求める取り組み
 これまで援護法の対象外に置かれている被爆二世、三世に対して、現在、全国被爆二世協が中心となって運動を進めています。その運動を支え、組織化や援護政策の充実を求める動きを作り出していきます。
 @全国被爆二世団体連絡協議会との連携を強化し、被爆二世の組織化をはかります。
 A被爆者援護法の被爆二世に対する付帯決議を活かす取り組みを強化していきます。  
 二世への援護法の拡大や被爆者健康手帳の発行、被爆二世調査の対応の充実などを求めていきます。
 B日韓被爆二世シンポジウムの開催  
 被爆二世団体全国協議会と共催で、日韓の被爆二世の交流と課題の共有を深めるために、7月24日〜26日に東京で開催します。

4) あらゆるヒバクシャとの国際連帯・交流の強化の取り組み
 世界に拡がる核被害者との連帯強化は、被爆60周年に開催するヒバクシャ国際会議にむけて特に重要です。原水禁世界大会や様々な取り組みの中で、ヒバクシャとの交流の強化をはかります。また、2006年は、チェルノブイリ20周年にあたり、それを見据えた取り組みの積み重ねをはかっていきます。

5) 原発・被曝労働者のヒバク実態の把握と労働者との連携
 長尾原発労災認定では、「多発性骨髄腫」を労災として認定させることができました。しかし、これまで労災と認定された原発被曝労働者は、氷山の一角でしかありません。あらためて被曝労働の実態を明らかにする取り組みが必要です。
 @被曝労働の実態把握のために、長尾労災で連携した全国労働安全センターや原子力資料情報室などと連携し、「被曝ホットライン」などの電話相談の開設や原発現地での実態調査などをはかり、原発労働者との連帯をはかります。
 AJCO臨界事故によって生みだされた被曝者への援護の運動に連携していきます。

6) ノーモア・ヒロシマ・ナガサキ集会への協力
 日本被団協や日本青年団協議会などと2005年7月に東京で開催する「ノーモア・ヒロシマ・ナガサキ集会」は、@原爆被害の実相の解明、A原爆投下の責任、B被爆者の権利拡大、C被爆の実相の継承を中心として行う国際的な集会です。集会成功にむけて協力をしていきます。


9. 原子力政策の根本的転換と脱原子力に向けての取り組み
 珠洲原発計画や巻原発計画の撤退、東京電力の事故隠し、名古屋高裁のもんじゅ判決、MOX利用政策の頓挫などは、原子力政策の行き詰まりを示しています。2005年には第三次の電力自由化を控え、ますます原子力政策の転換が求められています。海外でもドイツをはじめベルギー、スウェーデンなどの国々は、脱原子力を政治選択するようになり、脱原子力が世界的潮流になりつつあります。私たちは、その流れをさらに押し進めて行く必要があります。
 しかし、原子力推進派は、プルトニウム利用路線が破綻しているにもかかわらず六ヶ所再処理工場の建設やプルサーマル計画を止めようとはしていません。六ヶ所再処理工場では、2005年7月の操業に向けて、今年4月にウラン試験を強行しようとしています。原発以上に放射能をまき散らし、核兵器の材料にもなるプルトニウムを大量 に作り出す工場は、必要もないばかりか、周辺国に対しても脅威と疑惑を与えるものです。原子力政策の転換を求めてプルトニウム利用政策の中止を求める取り組みを特に強化することが必要です。
 政府は、原子力長期計画の改訂に向け動き出しており、破綻したプルトニウム利用政策の変更を迫る取り組みが重要になっています。具体的には、巨大な税金の無駄 遣いとしての六ヶ所再処理工場中止やもんじゅの廃炉、高レベル廃棄物問題などは緊急の課題で、取り組みの強化が求められています。
 また、老朽化した原発運転延長の問題や東海地震などによる原発震災なども大きな課題となっています。大事故が起きる前に、廃炉や運転停止を求めて行くことも必要です。
 2005年には電力自由化が一段と進む中で、再生可能なエネルギーの普及のチャンスが拡がってきています。原発に代わる分散型エネルギーとして積極的に自然エネルギーを拡大していくことが必要です。省エネルギーと合わせて普及拡大をはかる運動を展開することが必要です。この間平和フォーラムとして進めてきたエコロジー社会構築プロジェクトが作成した脱原発に向けたエネルギー政策の検討成果 を活かし、省エネルギー政策の推進と合わせて具体的展開をはかることが必要です。

1) プルトニウム利用を中止させる取り組み
 2006年の稼働を目指して建設が進む六ヶ所村・再処理工場は、2004年4月以降に放射性物質を使った試験(ウラン試験)に入ろうとしています。しかしプルトニウム利用路線は、「もんじゅ」や「プルサーマル計画」が破綻し、巨額な原発のバックエンド費用(原発を動かした時に発生する使用済み燃料や、廃棄物処分にかかる費用)が明らかになるにつれ、ますますその存在理由が失われています。プルトニウム利用の路線からの撤退に向けた攻防は、原子力政策の根本的転換と密接に結びついています。引き続き六ヶ所再処理工場の建設阻止、プルサーマル計画の中止、「もんじゅ」廃炉への闘いを強化していきます。
 @再処理建設阻止にむけて、「4・9反核燃の日行動」など全国集会の開催とウラン試験等に反対する取り組みを、地元青森との連携を強化しながら行います。
 A再処理問題入門パンフレットの作成と活用を進めます。
 B核燃料再処理工場の本格的な試運転入りを前に、その中止を訴えるキャンペーンの一つとして、4月24日(土)から26日(チェルノブイリ事故の日)までの三日間に全国でいっせいにチラシを配るという行動を全国に呼びかけます。
 Cプルサーマル計画の中止を求めて、福島、新潟、福井、佐賀などを中心に連携を強化します。
 D「もんじゅ」廃炉に向けた裁判闘争を支援し、「もんじゅ」廃炉にむけた全国集会を開催します。

2) 維持基準の導入に対する取り組み
 原子炉の損傷を認め運転を継続させようとする「維持基準」の導入は、安全性の後退で認める訳にはいきません。維持基準の導入に反対し、現在停止している欠陥(損傷)原発の運転再開に地元の運動と連携して反対していきます。

3) 老朽化原発と原発震災に対する取り組み
 21世紀は原発廃炉の時代でもあります。すでに稼働30年を越す原発は、2010年には17基となります。新規立地が困難になる中、原発推進側は、老朽化した原発を40年も運転継続させようとしています。そのことは原発事故の増大と労働者被曝の増大をもたらすものです。また、浜岡原発に象徴されるように、東海地震の特別 観測地域内に原発が立地し、大地震に襲われる危険性を多くの地震学者などが指摘しています。泊原発、六ヶ所核燃料サイクル施設など各地の原発立地地域でも原発震災が浜岡原発同様指摘されています。老朽原発の廃炉を求めると同時にの原発震災に対する取り組みを進めます。
 @老朽化した原発の廃炉を求める運動を進めます。
 A浜岡原発の原発震災問題で集会や学習会などを進め、各地での原子力防災の取り組みを進めます。

4) 放射性廃棄物処分問題に対する取り組みの強化
 原発から出る放射性廃棄物処理・処分の技術や場所について多くの問題が指摘されています。特に高レベル放射性廃棄物の処理処分の技術がいまだ確立されていません。また処分場問題は、原子力発電環境整備機構が全国の自治体に公募を募っています。財政基盤の弱い自治体を補助金で釣り上げようとしていますが、公募に応じさせない運動を作りあげることが重要です。
 また、老朽化し、廃炉となる原発からは大量の放射性廃棄物が生みだされます。それらの廃棄物をある一定のレベル以下は一般 に再利用させようとする、放射能のスソ切りのための法改正がなされようとしています。一般 の生活圏に放射性物質が混じり込んでくる危険性が懸念されています。そのような法改悪を許さない取り組みも必要です。
 @高レベル放射性廃棄物の処分場を誘致させない運動を作り上げていきます。
 A青森県むつ市などの各地の中間貯蔵施設建設問題について、地元の運動と連携していきます。
B放射能スソ切りのための法改正に対して、国会での働きかけの強化と集会や学習会、リーフレットなどの作成で世論喚起を行います。

5) 原発の新増設阻止の取り組みと大間風車建設の取り組み
 大間原発や上関原発などの新規立地や泊3号、川内3号などの増設に対する反対運動を現地と共に全国の運動として広げていきます。また、大間原発予定地を中心に、風車建設をおこないます。

6) JCO臨界事故への取り組み
 JCO臨界事故の問題を風化させない取り組みとして5周年の全国集会の開催やJCO臨界事故総合評価会議の研究報告などにまとめていきます。

7) 原発被曝労災問題への取り組み
 (8.ヒバクシャの権利確立の取り組み−5)参照)

8) 再生可能エネルギーの普及・拡大に向けて
 エコロジー社会構築プロジェクトの成果を生かし、各地で具体化していく取り組みを進めていきます。(10.循環型社会形成の取り組み−1)参照)

9) ITERの六ヶ所村誘致反対の取り組み
 ITER(国際熱核融合実験炉)の候補地として、日本では六ヶ所村が名乗りを上げています。現在、誘致に関してフランスのカダラッシュと誘致合戦を繰り広げていますが、ITERそのものが、巨額の建設費の浪費とその実用可能性が危ぶまれています。ましてや危険なトリチウムや中性子を大量 に発生させ、危険性とともに放射性廃棄物を新たに生みだします。六ヶ所誘致を阻止する取り組みとして、省庁交渉や集会などを通 してITERの危険性と不必要性を訴えていきます。

10) 原子力潜水艦と原子力空母の出入港・母港化についての取り組み
 原子力潜水艦と原子力空母の出入港・母港化(2008年)についての取り組みを、現地とともに実行委員会を作り進めていきます。(3.アメリカ合衆国の先制攻撃戦略に反対し、日本の有事国家化を許さない取り組み−5)A参照)


10. 循環型社会形成の取り組み
 地球温暖化をはじめ、水の質と量の悪化、大気の汚染、森林の破壊など地球規模での環境問題がますます深刻になっています。これまでの大量 生産・大量消費・大量廃棄の産業や生活のあり方を見直し、限られた資源やエネルギーなどを循環的に利用する社会の形成に向けた取り組みが重要になっています。

1) 地球温暖化問題等の取り組み   
 地球温暖化問題は全人類共通の課題であり、早急にCO2などの温室効果 ガスの削減が必要となっています。しかし、地球温暖化防止の「京都議定書」はロシアが批准を先送りし、発効が遅れており、アメリカの離脱、途上国の排出量 の増加などが相まって、一層深刻化しています。   
 日本は議定書の批准を行ったものの、CO2の削減に向けた抜本的な対策は行われていません。政府が2002年に定めた「地球温暖化対策推進大綱」は、2004年までを「第1ステップ」と位 置づけ、企業や個人の自主的な取り組みを中心としてきましたが、2001年度の国内の温室効果 ガスの排出量は1990年比で5.2%も増加しています。
 2005年以降は第2ステップへ移行することになりますが、ここでの焦点は温暖化対策税(環境税)の導入問題です。これは、化石燃料の消費に対し課税を行い、その税収を温暖化対策に活用するもので、ヨーロッパ諸国で導入が進み、CO2の削減に効果 を示しています。これに対し、経済界からは強い反対が出されていますが、実効性のある対策として早急な検討が必要です。   
 エネルギー問題も、原発や化石燃料の限界があるなか、エコロジー社会への転換が課題です。そのため、平和フォーラム内に設置した「エコロジー社会構築プロジェクト」の最終報告(7月頃に出版予定)を受けながら、自然(再生可能)エネルギーの普及や省エネルギーのための法・制度の改善を求めていくことが必要になっています。
 @温暖化防止の国内対策の推進を求めていきます。そのため、関係する市民団体(気候ネットワーク等)と連携・協力し、法律・制度や環境税(温暖化対策税)などの創設を求めていきます。
 A「エコロジー社会構築プロジェクト」の最終報告を受け、自然(再生可能)エネルギーの普及や省エネルギーのための法・制度の改正等を求めていきます。さらに、報告をもとに、脱原子力課題も含め、今後の運動課題について検討します。
 B各地域で環境問題に取り組むNGOと連携し、各地の取り組み事例などの情報提供を行っていきます。

2) 森林・水問題などの取り組み   
 森林は温暖化対策に大きな役割を果たすなど、国土や環境の保全などの多面 的機能があります。しかし、機能の発揮のための森林整備は、外材輸入等による価格の低迷と経営コストの増大により採算性が悪化し、林業活動は停滞しています。森林・林業基本計画の具体的対策と連動させた地球温暖化防止森林吸収源10ヶ年対策を推進するための予算等の拡充が求められています。   
 また、水問題も大きな課題になっています。世界的な水の質と量の悪化、水の商品化・民営化の動き、大量 の農産物・木材の輸入による間接的な水輸入などが問題となっています。水が人類の共有物であるという認識のもとに、総合的な水循環、水環境を取り戻すための「水基本法」の制定等が重要な課題となっています。さらに、合成洗剤や農薬などの化学物質の規制強化も重要な課題です。
 @森林の整備推進に向けた政策の充実を求めていきます。政府の「森林・林業基本計画」で定めた森林整備の確実な推進、地域材の利用促進、予算の拡充、担い手確保、木質バイオマスエネルギーの推進などを求め、全林野など関係団体の取り組みを支援します。
 A水問題の世論形成を図り、「水基本法」の制定に向けて協力していきます。また、合成洗剤追放全国連絡会の活動に協力し、秋に東京で開催する合成洗剤追放全国集会に参加していきます。特に、今年が合成洗剤追放運動の30周年にあたることから、この記念事業に協力します。さらに、合成洗剤追放連絡会や農薬反対運動グループなどと連携し、水中や環境中の化学物質に対する規制運動を強めていきます。

3) 食とみどり、水を守る全国集会の開催   
 「人間の安全保障」を基軸に、「循環型社会形成の取り組み」、「食の安全の取り組み」、「WTO・FTA交渉、食の安定、農林業問題の取り組み」など、食とみどり、水・環境を守る運動の集約の場として、「第36回食とみどり、水を守る全国集会」を愛知県豊橋市で12月8日〜9日に開催します。そのため、関係団体に呼びかけて実行委員会を作り、開催の準備を進めます。


11. 食の安全の取り組み
 アメリカ産のBSE(牛海綿状脳症)の発生、国内外での鳥インフルエンザの深刻化、輸入食品の残留農薬など、食の安全を脅かす事態が続いています。さらに、政府は貿易の自由化を進めるため、動植物の検疫規制緩和や、遺伝子組み換え食品の輸入認可、残留農薬基準の大幅な改訂の動きを強めています。グローバリゼーションの進展に伴って、食の安全をめぐる問題も深刻さを増しています。
 政府は昨年、「食品安全基本法」の制定と関係法の改正を行い、「食品安全委員会」を設置しましたが、その実態は、関係省(厚生労働省・農林水産省)や企業などからの申請を黙認するだけの形骸化した機関にとどまっています。
 このようなことから、食の安全に向け、市民による食品安全行政の監視、政策策定過程への市民参加、情報公開の徹底、食料自給率の向上、生産段階での有機農業や有機畜産の推進なども含めた運動が必要です。
 さらに、遺伝子組み換え食品やカドミニウム汚染米、環境ホルモン問題など、長期にわたる人体への影響が懸念される問題も多く発生しており、予防原則に立った施策への転換が必要になっています。
 @アメリカ産BSE問題については、全頭検査など検査体制の徹底がなされない限り輸入再開をしないよう要求していきます。また、遺伝子組み換え食品については、国内における商業的作付けはしないことを求めるとともに、表示制度の改善を要求していきます。
 A「食品安全委員会」に対して意見反映を図るため、委員との対話の機会を関係団体とともに設定していきます。また、「食の安全・市民監視委員会」の活動に協力して、政府や企業などへの申し入れや集会、学習会などを行っていきます。さらに、秋に東京で開催される全国消費者大会に協力し、食の安全をテーマのひとつとして追求します。
 B食の安全に関する国際的な基準作りに対する運動とともに、国際基準に合わせて国内基準の緩和を許さない取り組みや、食品の検査・検疫、表示制度の充実を求めていきます。
 C生産段階で安全確保と環境に負荷を与えない「有機農業」「有機畜産」の推進のための法制度の確立や直接支払いなどの奨励制度を要求していきます。
 D各地域において、食の安全の施策として、食品安全条例の制定や有機農業推進施策などを求める運動を広めていきます。


12. WTO・FTA交渉、食の安定、農林業問題の取り組み
 WTO(世界貿易機関)やFTA(二国間・多国間自由貿易協定)が進むなかで、世界的に貧富や南北間の格差が拡大し、途上国では食料輸入の依存度を増しています。そのため、世界のNGOや途上国では、先進国・多国籍企業優位 のWTO・FTAのあり方やグローバリゼーションに反対する運動が高まっています。
 一方、日本は最大の食料、木材の輸入国であり、世界最低水準まで自給率が低下しています。さらに、日本の農林水産業は、海外からの輸入の増加、担い手不足から縮小を続けています。今後、WTOやFTA交渉でさらに市場開放が進めば、存亡の危機に立たされます。これは、食の安全・安定や環境問題などへも重大な影響を与えるものです。
 こうしたことから、農業をはじめ食料や環境などに関連する各分野で、グローバリゼーション、自由貿易体制のもたらす問題点を指摘し、国内外のNGOと提携を強めて取り組むことが重要になっています。

1) WTO・FTA交渉への取り組み    
  現在行われているWTO(世界貿易機関)の交渉は、2005年1月が最終決着の予定で進められてきました。しかし、昨年9月のメキシコ・カンクンでの閣僚会議が決裂に終わったことから、今後の交渉のめどは立っていませんが、アメリカが交渉合意に向けた働きかけを強めており、予断は許しません。    
  一方、WTO決裂によって、日本の政府・経済界からはFTA(二国間自由貿易協定)の締結を求める動きが活発になっています。現在、メキシコ、韓国、タイ、マレーシア、フィリピンとFTA交渉が進められています。FTAは原則として10年以内に関税や貿易制限措置を撤廃するものであることから、経済格差が一層拡大することや、農林水産物の日本への輸入急増が予想されます。また、FTA交渉はWTO以上に不透明なままに進められており、相手国の国内法・制度への侵害(日韓FTAでは韓国労働者の権利制限が求められている)の問題なども指摘されています。そのため、各国の労働者、農民、NGOからは、WTOと並んで反発の声が上がっています。    
  貧富の格差をもたらしている経済のグローバル化がテロなど平和を脅かす問題とも関係していることを結びつけて、WTO・FTAに対する運動を進める必要があります。特に、次期WTO閣僚会議が香港で予定され、FTAもアジア諸国と進められていることから、アジア各国のNGOとの連携も追求していきます。
 @WTO、FTAともに最大の焦点は農産物貿易となっていることから、日本国内だけでなく、途上国の農業・食料問題も視野に入れ、各国の農業が共存できる貿易ルールのあり方を追求して行きます。さらに、遺伝子組み換え食品などと関連する知的所有権問題、世界的な水の自由化・民営化などのサービス貿易、多国籍企業による投資などの問題点も関係団体とともに追求していきます。本年度にWTO閣僚会議が行われる場合は、農民・市民団体とともに代表団を派遣します。
 AFTAでは、農林水産業、労働、環境、投資などの分野で問題点を明らかにし、交渉の透明性とNGOの意見反映などを求めて運動を行います。そのため、関係団体とともに集会、学習会、パンフ作成などを行います。また、FTAで関係する韓国をはじめ、アジア各国の農民、NGOと連携・交流を深め、FTAの問題点を協議する機会(共同シンポジウムなど)を作ります。

2) 食の安定・農林水産業問題の取り組み   
 食の安全・安定のためには、国内での食料自給率の向上が不可欠です。そのためには、農地や森林の減少をくい止め、自給率の低い食料の生産拡大や経営安定のための支援策が必要です。   
 政府は今年、2000年に定めた「食料・農業・農村基本計画」の見直し検討を行い、来年3月に2015年を目標とした新たな計画を策定しようとしています。検討課題では、食料自給率の目標達成(2010年までに現行40%から45%に向上)を先延ばしするとともに、農業の大規模化、コスト削減を進めるためとして、一部の農家へ集中した経営支援策や株式会社の農業参入などがあげられています。   
 しかし、規模拡大・効率化一辺倒の結果がBSEなどの食の不安を引き起こしている現状から、食の安全や環境問題などに配慮した政策への転換が必要になっています。また、食の見直しを進め、地産地消運動などの拡大が重要です。そのため、学校給食などの食農教育の推進、地域における自給率の向上、有機農業への転換を図っていく必要があります。   
 アジア・アフリカへの支援米送付運動や森林・林業体験なども、子どもたちや都市住民の参加の場として、さらに拡げていく必要があります。
 @食料や林産物の自給率向上に向け、直接支払い制度の拡充や経営安定政策などを求め、農民団体などの運動と共闘していきます。特に、基本計画の見直しに対しては、中央・地域において要求行動を展開します。
A各地域で農林業のもつ多面的機能を評価する活動を進めるとともに、それに対する自治体の助成などの施策化を要求していきます。さらに、地域における食料自給率の向上にむけ、地産地消運動の拡大、学校給食への地場農産品の導入促進や有機農業への転換を求める運動を展開します。
 B子どもや市民を中心としたアジア・アフリカ支援米作付け運動や森林・林業の視察・体験、農林産品フェスティバル等を通 じ、食料問題や、農林水産業の多面的機能を訴える機会を作っていきます。
 C全国出稼組合連合会に協力し、農村からの出稼者の権利や労働条件の改善等の取り組みを進めます。また、日雇い労働者、外国人労働者問題などに取り組む団体との連携を進めます。

 

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