以下は2005年4月22日に開かれたフォーラム平和・人権・環境第7回総会において決定された活動方針です。 (※参考 →2004年度 →2003年度

1. 全体(2005〜06年)の構想− 「戦後・被爆60年」、東アジアとの友好と平和・核軍縮の道筋の確立を
 2005年は戦後・被爆60年。60年前、日本は、アジア・太平洋に対する植民地支配と侵略戦争によって、世界の人々に多大な被害をもたらしました。そして、日本国内でも原爆をはじめ多数の犠牲者を生み出した反省から、日本国憲法を制定しました。しかし、戦後50年の折り、私たちは戦争・戦後責任を果たせていないことを問いましたが、以来10年を経ても、戦後補償に関する何の立法措置もとられていません。日朝間の「過去の清算」も未解決です。旧植民地出身者に対する権利剥奪・国籍条項の厚い壁がつづいています。被爆者援護も国家補償の明記や在外被爆者問題をはじめ多くの課題が残されています。戦後も米軍支配と基地の重圧のつづく沖縄では、県民ぐるみのたたかいに日米両政府は普天間基地返還を発表しましたが、いまだに実現せず、大惨事寸前の墜落事故が起きています。
 それどころか、この10年、とりわけ小泉政権誕生以降、憲法の空洞化がさらに進行し、教育基本法改悪の動きや戦争の歴史を歪める教科書まで登場し、憲法をめぐっては前文や第9条をまったく蹂躙する自衛隊の海外派兵が強行されると同時に、9条改悪の動きも顕在化するという重大な局面を迎えています。憲法理念を実現するためのとりくみがなおいっそう求められています。
 世界は、アメリカのブッシュ政権に象徴される国際法や国連を無視する単独行動主義のもと、イラクをはじめとして戦争と軍事的緊張が絶えない状態が続いています。こうしたブッシュの世界戦略やこれを支持する小泉内閣の危険な動きをこれ以上許してはなりません。
 また、アメリカは「不安定な弧」と総称される「中東から東アジア」までを視野に入れた米軍事戦略を再確立するため、軍転換(トランスフォーメーション)を進め、海外基地は撤退方向にありますが、日本は逆に強化され、より深く米軍事戦略に組み込まれようとしています。
 核軍縮の課題では、2000年のNPT(核不拡散条約)再検討会議の合意で世界の核軍縮は大きく前進するかに見えましたが、米国の「核態勢の見直し」により、「核軍縮」は停滞し、核の闇市場の露見や朝鮮民主主義人民共和国の核兵器製造表明など核拡散も進行しています。5月のNPT再検討会議でのとりくみを踏まえ、核拡散の阻止や核保有国の核軍縮の履行義務を明確に実行させなければなりません。
 また、日本政府と電力会社などは核燃料サイクル路線を堅持し、六ヶ所村での再処理工場稼働、プルサーマル計画の実施、「もんじゅ」再開などを強行しようとしています。全国各地でのとりくみを大きく高揚させ、世界に広がる脱原発の流れを日本でも確立しなければなりません。
 環境問題でも、地球温暖化京都議定書はアメリカの離脱にもかかわらずようやく2月に発効しました。これを機に「大量生産・大量消費・大量廃棄」型の経済社会から脱却し、「循環型社会」への転換が求められています。さらに、経済のグローバリゼーションが進展し、貧富の格差が拡大するなかで、WTO・FTAなどで各国の共存・共生をめざす貿易ルールを確立させるとともに、食の安全や自給率の向上も差し迫った課題となっています。
 平和フォーラムは、こうした事態を踏まえ、「人間の安全保障」を基調とし、具体の課題にとりくむと同時にそれを担うための組織強化・拡大にとりくみます。
 さらに連合・核禁会議や、WORLD PEACE NOWなど平和団体、脱原発をめざす諸団体、戦後責任を追及する諸団体、野党、市民、また国際的な平和団体など中央地方で連帯の輪を大きく拡大し、課題前進のため、とりくみます。

2. 憲法問題に対するとりくみ
 憲法をめぐっては、自民党ほか政党、経済界、国会の憲法調査会などで、9条平和主義の否定を中心に、24条両性の平等をはじめとした人権否定の動きがつづいています。
 本年2005年は戦後60年であり、また本年11月15日が自民党結党50年の節目となることから、同党は憲法改正案作成の作業を進めています。昨2004年11月17日に公表した「憲法改正草案大綱素案」は「参議院軽視」や「策定経過が不透明」など自民党内部からも批判を受け、白紙撤回されました。また、陸上自衛隊幹部(2等陸佐)が軍隊の設置や、集団的自衛権の行使を可能とする内容の憲法改正案を提出していたという重大な事態も明らかにされました。このなかで、自民党は憲法改正本部を再組織し、小泉総裁を本部長、森前首相を起草委員長として陣形を組み直し、4月中に「改正」のポイントとなる「要綱」をまとめる作業が行われています。内容は、「大綱素案」と同様に「自衛軍」「国防の責務」「家庭の保護」などを明記し、基本的に現行憲法の理念を否定したものです。
 財界も、これまでの経済同友会、商工会議所につづいて経団連が本年1月に改憲案を打ちだしました。
 また、2000年から開始された衆参両議院の憲法調査会は、5月3日の憲法記念日前の4月中に最終報告書を出す作業が進められています。衆院では、多数意見を明記する方式としたため、国会議席の状況に応じて改定意見が強調されるため、憲法第9条をはじめ多くの項目で「護憲」「改憲」の両論併記となっています。
 他方で、与党の自公両党は、憲法改正のための手続きを定めた国民投票法案の成立に向けて、その手続き、法案骨子について合意しました。国会上程、審議入りは5月以後の見込みです。
 平和フォーラムは、憲法前文、第9条や第10章「最高法規」(第97〜99条)などに示された、戦争放棄と非武装・平和主義、基本的人権の尊重、主権在民を3大原則とした日本国憲法の神髄の変更は絶対に認めないという基本的な立場です。また、積極的に憲法問題の論議をおしすすめながら、人権や民主主義など世界の到達点に立って、市民一人ひとりが憲法理念を育み発展させていくとりくみをすすめます。また、とくに第9条を象徴に条文と現実とのギャップが強まるばかりの事態をどうしていくのか、自衛隊を縮小し平和基本法など具体的な指針を確立していくことが求められています。これらを踏まえて、@前文・第9条などの改悪を許さず、「平和基本法」の確立に向けたとりくみ、A憲法改正のハードルを下げることを目的とした与党の国民投票法案に反対するとりくみを進めます。

1) 「戦後・被爆60年」を機に、平和基本法の確立をはじめ、平和・人権・民主主義の憲法理念の実現をめざすとりくみ
 @憲法前文・9条改悪の動きに対抗する憲法理念を実現するとりくみ、立憲主義を確立するとりくみとして、自衛隊縮小・平和基本法の確立に向けたとりくみをすすめます。そのため、憲法前文・9条の果たしている役割、違憲の状況や歯止めされてきた政府公約(@文民統制、A専守防衛、B海外派兵禁止、C集団的自衛権の不行使、D非核三原則、E大量破壊兵器の不保持、F武器輸出禁止、G宇宙の平和利用、H国際貢献のあり方など)についての状況を点検・整理し、基本法に盛り込みます。別項の平和課題の運動方針と連携したとりくみをすすめます。
 そのため、@憲法9条擁護、A平和基本法の制定、B平和・軍縮政策の推進を求める署名運動を行います。
 また、平和基本法の制定に向けて、民主党・社民党など政党への要請をすすめます。
 A憲法理念にもとづく現時点での安全保障を確立するとりくみとして、日米安全保障条約の持つ問題点(とくに新ガイドライン)、国連中心の安全保障、「人間の安全保障」などに関わる課題を整理するとともに、別項の平和課題をはじめ運動方針全体と連携したとりくみをすすめます。
 B本年度の「憲法理念の実現をめざす大会」(略称・護憲大会)は、イラクでの自衛隊駐留、教育基本法などの重要課題とともに、2005年という「戦後・被爆60年」、自民党などの憲法改正案作成作業の進行など重大な局面を迎えたなかでのものとなります。平和基本法の確立をはじめ、平和・人権・民主主義の憲法理念の実現めざすとりくみを進め、その集約の場として、11月3日〜5日にさいたま市において実行委員会の主催のもとに開催します。

2) 憲法記念日および日常の憲法学習会などのとりくみ
 @全国各地で前文および9条の変更の動きを許さず、「平和基本法」をもとに平和・軍縮を実効化させるとりくみをすすめます。5月3日の憲法記念日を中心とし、5月を憲法月間とした全国的な共同行動をすすめます。首都圏では平和基本法の確立を焦点としたシンポジウムを5月3日に開催します。
 A自治体等に対して、憲法月間にその理念を生かした行事などの実施を求めます。
 B憲法プロジェクトによるFAXNEWSなどでの憲法調査会に関する情報提供をよりリアルタイムで豊富なものとして、提供します。また、憲法問題資料集を発行します。
 C憲法問題の論点・問題点整理を行うため憲法問題学習会を随時、開催します。
 D積極的に民衆自らの憲法理念を育て築いていくとりくみをしてきた「市民版憲法調査会」などの学習会を紹介し、連繋を強めます。


3. 在日米軍基地の強化に反対し、戦争のできる国作りを許さないとりくみ
 日米両国政府は、本年秋にも在日米軍基地の再編と強化で合意しようとしています。
 米国は現在、「軍転換」(フォース・トランスフォーメーション)と、「世界的国防態勢の見直し(GPR)」を推進しています。「世界的国防態勢の見直し」は、ソ連との世界戦争を想定して欧州とアジアに配備していた大部隊を整理・縮小するものです。しかし在日米軍基地に関しては、最大の海外基地とする協議が続いています。米国は中東から東アジアにかけての地域を「不安定の弧」と命名し、この地域で発生する国際テロ・大量破壊兵器の拡散・弾道ミサイル発射・地域紛争に介入するとしています。その軍事介入の拠点として、日本を位置付けようとしているのです。
 一方日本では、小泉政権が米国の動きと一体となって、自衛隊の再編と、戦争のできる国づくりを進めています。新防衛計画の大綱では、日本が直接侵略を受ける可能性は低いとした上で、自衛隊の新たな任務として、テロや大量破壊兵器拡散との戦い、ミサイル防衛の推進、積極的な海外派兵を打ち出しました。また日本が米国の戦争に参加するため、武力攻撃事態法や国民保護法など有事法制の整備が行われました。
 日本の軍事基地化が進めば、基地所在地の人々は今以上の被害と負担を受けるでしょう。労働者や市民に対しては、戦争協力が一層強要されることになります。米国が侵略する国々からは、日本は侵略の加担者と思われることになるでしょう。
 こうした日米の戦争政策を止める最大勢力が平和フォーラムであることを、改めて認識し、以下のとりくみを進めます。

1) 在沖縄米軍基地の縮小・撤去を実現するとりくみ
 在沖縄米軍基地の縮小・撤去を求めるたたかいを、05年度の反戦・反基地・平和運動の重点課題とします。昨年8月にヘリ墜落事故をおこした普天間基地の撤去は、周辺住民の安全のためにも緊急の課題です。また名護市・辺野古を含め県内移設には反対します。普天間基地に所属する海兵隊の任務は「不安定の弧」地域への紛争介入であり、日米安保にも違反します。海兵隊そのものの日本からの撤退を求めます。また金武町キャンプ・ハンセンでの都市型戦闘訓練施設の建設や、下地島空港の軍事利用については地域住民の反対運動に連携したとりくみを行います。
 5月12日から15日の日程でとりくむ平和行進では、昨年に引き続いて普天間基地の包囲行動が行われます。平和フォーラムは、各中央団体や全国運動団体と連携して昨年を上回る参加で普天間基地包囲を実現し、基地の撤去を日米政府に迫ります。平和行進の前段のとりくみとして、各地域で沖縄問題の学習会を開催します。
 国会では、民主党・社民党・無所属の議員を中心にして沖縄米軍基地問題議員懇談会が結成されました。平和フォーラムは議員懇談会や野党と連携し、沖縄米軍基地問題の解決に向けてとりくみを強化します。また市民グループとともに結成した沖縄米軍基地問題連絡会を通して、さまざまな行動を行います。
 こうしたとりくみを通して、沖縄と本土、平和フォーラムと市民団体、国会の内外を結んだ運動作りをめざします。沖縄米軍基地に反対する運動を通して、全国的な反戦・反基地・平和運動の強化をめざします。
 @沖縄平和行進(5月12日〜15日)と普天間基地包囲行動(15日)に、全国各地から参加します。
 A平和行進の前段のとりくみとして、各地域で沖縄集会を開催します。
 B在沖縄米軍基地の撤去を求める集会やデモ、国会行動などにとりくみます。
 C沖縄米軍基地問題議員懇談会と連携し、国会内での議論の活性化に努めます。日米地位協定の改定のため、国会に対してさまざまなとりくみを行います。

2) 在日米軍基地に反対するとりくみ
 在日米軍基地の強化に関しては、現在報道されているだけでも@米陸軍第1軍団司令部の移転(神奈川)、A原子力空母の母港化(神奈川)、B米空軍司令部と航空自衛隊司令部の合同(東京)、C第5空母航空団NLPの岩国基地への移動(山口)、在沖縄海兵隊の国内移転―などが上がっています。
 とくにアジア・太平洋全域を活動範囲とする陸軍第1軍団の司令部が、キャンプ座間に移転されれば、在日米軍の行動が日米安保条約の定める「極東の範囲」をも超えることになります。米海軍が保有する空母12隻のうち、海外に母港を保有するのは横須賀基地に配備されているキティーホーク1隻のみです。キティーホークの退役を機に、原子力空母の配備を許してしまえば、横須賀は唯一の空母海外母港として固定化されています。2月19日のキャンプ座間包囲行動や、原子力空母反対署名に引き続き、とりくみを強化します。
 在日米軍基地の強化を許さないために、全国基地問題ネットワークと協力し、各地の反基地運動の連携と相互協力を強め、全国から在日米軍基地反対の声で日米政府を包囲します。
 また、国会議員への働きかけを強めます。米軍基地の強化や戦争のできる国作りは、国会の議論で決定します。私たちは運動を通して自らを強め、世論を喚起し、その力で国会に影響力を行使します。民主党や社民党などの議員と連携を強化し、私たちが政治情勢を変えていきます。
 国会情勢や日米政府間審議の進捗状況を勘案し、地域集会と全国集会を有効に組み合わせた提起をします。
 @在日米軍の再編と強化に対し、全国的な反基地運動を組織します。
 A各地で行う集会やデモに際しては、全国からの連帯・支援を行います。
 B「原子力空母の横須賀母港化を許さない全国連絡会」のとりくみを強化します。
 C民主党・社民党の国会議員と連携し、日米両国政府への要請行動や抗議行動を行います。
 D基地に反対するさまざまな裁判闘争・訴訟行動を支援します。
 E日米地位協定の改定のため、国会に対してさまざまなとりくみを行います。

3) 国際的な反戦・反基地運動の連携強化のとりくみ
 10月21日に日比谷公園で、国際反戦・反基地集会を行います。米軍基地のある国から友好団体の活動家などを招聘して会議を行うとともに、神奈川県や沖縄県への視察を行うことで海外に日本の現状を伝えます。この集会を、本年の沖縄米軍基地反対運動や各地反基地運動の集約点として位置付け、全国から参加するものとします。

4) 自衛隊の海外派兵と、戦争のできる国作りに反対するとりくみ
 自衛隊の海外派兵の恒常化が進んでいます。テロ特措法によってアフガニスタンを占領する米軍を支援するために、海上自衛隊の補給艦と護衛艦が派兵されています。イラク特措法で派兵された自衛隊は、人道復興支援(給水業務)担当を削減する一方で、戦闘部隊を増加させています。スマトラ沖地震の被災者支援を目的として派遣された自衛隊では、派兵人員総数1000人対して、医療や輸送などの人道支援に関わる部隊は300人弱です。
 既成事実の積み重ねの跡を追うように、武力攻撃事態法や国民保護法など有事法制の整備が進んでいます。海外派兵を本来任務とする自衛隊法の改正や、恒久的な海外派兵法の制定も政治日程に上がってきました。
 平和フォーラムは、戦争のできる国作りに反対し、労働者・市民の生活と権利を守るためのとりくみを強化します。
 @「新防衛計画の大綱」で明らかにされた、ミサイル防衛(MD)や海外派兵の推進、米軍と自衛隊の一体化に反対するとりくみを行います。
 A海外派兵を本来任務とする自衛隊法改正や、海外派兵法制定に反対します。そのため、関係省庁への要請行動や国会への抗議行動をはじめとした行動にとりくみます。
 B自衛隊のイラクからの撤退を求め、集会やデモ、関係省庁への要請行動を行います。
 C自衛隊が戦闘行動に入った場合には、ただちに全国的な抗議行動を行います。
 D「非核・平和条例を考える全国集会」を10月8日・9日に北海道で開催します。この集会を通して、戦争協力反対を実践するための法律的・理論的な検討と、各地の運動経験交流を進めます。
 E国民保護法に基づく国の基本指針の作成や、地方自治体の国民保護計画の作成に関しては、労働者・市民に対する戦争協力の強要を許さないとりくみを行います。
 Fミサイル防衛(MD)にともなう武器輸出3原則の緩和に反対します。

5) 国際的なイラク戦争反対運動の連携強化のとりくみ
 米軍によるイラク侵攻以来、イラク人の死者は17000人、米同盟軍の死者は1600人を超えています。1月末には国会議員選挙が実施されましたが、選挙後も政情が安定する兆しは見えず、占領抵抗勢力と米軍との戦闘が激化しています。
 こうしたなかで、米国や英国の平和運動団体は国際的なイラク反戦運動を呼びかけ、侵攻から2年目の3月19・20日には、世界各地で反戦集会が開催されました。日本では平和フォーラムも参加するWORLD PEACE NOWが、東京・日比谷公園で集会を開催し4500人が参加しました。また全国各地で、イラク占領と自衛隊派兵に反対する集会が行われました。平和フォーラムは今後も、市民グループとの連携を強化し、イラク占領反対の運動にとりくみます。
 @WORLD PEACE NOWや市民グループと連携し、イラク占領反対運動にとりくみます。

6) 学習・教宣活動の活性化
 反戦・反基地・平和運動の全体像を理解してもらうため、さまざまな学習・教宣活動にとりくみます。米軍基地撤去のたたかい、有事法制反対のたたかい、イラク占領反対のたたかいなど、学習を通して軍事強化の全体像を解説します。
 @全国の米軍基地状況をまとめた「基地白書」を作成します。
 A反戦・反基地・平和運動の理解を進めるため、パンフレットやチラシなどの作成を進めます。
 B各中央団体や、全国の運動組織と連携し、集会や学習会を行います。
 C平和フォーラムのホームページを活用し、情報発信を行います。


4. 東アジアの非核・平和の確立に向けたとりくみ
 戦後60年の大きな節目を迎えて、日本の周辺諸国とその人々に対する戦争・戦後責任をめぐる問題も大きな焦点を迎えています。
 日朝間の国交正常化はなかでももっとも大きな課題です。日朝間の矛盾の多くは、国交が正常化していなかったことに由来するものであり、「和解をめざす」「国交を正常化する」という基本点からのとりくみが重要です。韓国の平和繁栄政策(太陽政策)と協力して平和環境を醸成するための運動をつくり、そのなかで、アメリカには北朝鮮敵視姿勢を転換させる、北朝鮮には核開発を断念しNPTに復帰させる、日本政府には日朝ピョンヤン宣言にそって誠実に国交正常化交渉を進めさせるとりくみを進めます。食糧・エネルギー危機に関連した人道支援のほか、民間交流できるとりくみを広げていきます。また、拉致問題についての真相究明と責任所在を明確にし、被害を補償すること。日本の植民地時代の被害についての戦後補償のための民間交流なども引き続きとりくみます。
 とくに、日朝ピョンヤン宣言は、1世紀を超える朝鮮半島との不正常な状態を変える歴史的な転換点にする可能性をもつものです。しかし、日朝関係は、その後もきわめて厳しい局面がつづき、拉致問題や核開発問題をめぐる動きのなかで緊張度を高め国交正常化交渉に入れない状態が続いており、2004年5月の小泉首相の2度目の訪朝後も事態は進展していません。日本政府は、昨年11月の局長級実務者協議の折りに返還された横田めぐみさんの遺骨を別人のものと鑑定結果を明らかにしました。これに対して、北朝鮮側は、朝鮮中央通信社備忘録を明らかにし、鑑定結果はねつ造されたものとし、真っ向から対立しています。
 また、北朝鮮は2005年2月10日、「自衛のために核兵器を製造した」とし、米国・北朝鮮・中国・ロシア・韓国・日本による6ヵ国協議の中断を表明しました。ブッシュ大統領一般教書やライス国務長官の朝鮮敵視政策に反発したものですが、金正日総書記は条件が整えばいつでも会談のテーブルにつくとも表明しています。
 私たちは、北朝鮮に対して、核開発の中止を求めることは当然ですが、あくまでも平和的な方法で一つ一つ解決することが必要です。米朝間の対立緩和と対話促進させるためにも、6ヵ国協議が実りあるものとなるように再開させること、日朝間ではひきつづき両国政府に対して事実関係や真相解明について誠意ある姿勢をとることを求めます。平和フォーラムは、朝鮮半島の非核化という6ヵ国協議を継続・進展させるとともに、日朝国交正常化に向けた気運を高めるため、東北アジア連絡会の学習会・会合や、外務省への要請行動をひきつづきとりくみます。
 中国との関係も、戦後60年のなかで重要な局面を迎えています。小泉首相のもとで、中国との関係はきわめて悪化しています。中国が日本に対する戦後賠償を免除したのは、平和憲法の存在があり、軍事大国化しないことを表明したこと。また、中国も日本の侵略戦争は一部の間違った指導者によるものであり多くの日本の人々は戦争被害者としたからです。それだけにA級戦犯を合祀した靖国神社に平然と公式参拝する小泉首相の姿勢や、戦争美化の歴史教科書問題、中国などを標的としたMD(ミサイル防衛)などは、中国をはじめとした東アジア諸国の人々との友好に打撃を与えています。日本は、過去の東アジアに対する植民地化と侵略戦争の歴史を深く反省・謝罪し、補償をすべき義務があるにもかかわらず、過去の清算についてきわめて不十分で放置されたままです。貿易額で第1位、食料など日常品の多くを輸入するなど経済的関係ではもはや中国を抜きに日本の人々の生活は成り立ちえないといって過言でない状態にあります。中国をはじめ東アジアの市民との不戦の交流、「平和連帯」の活動は日本にとって必須の課題となっています。また、小泉首相に靖国参拝を止めさせるとりくみとともに、係争中の中国人強制連行訴訟の支援などをすすめていかなければなりません。

1) 「東北アジアに非核・平和の確立を、日朝国交正常化を求める連絡会」によるとりくみ
 日本の平和・非核・朝鮮問題・在日人権団体・グループのゆるやかなネットワークとして「東北アジアに非核・平和の確立を、日朝国交正常化を求める連絡会」(略称・東北アジア連絡会)によるとりくみをすすめます。
 @月1回ペースで開催する学習会・会合を積極的に企画・案内します。
 A外務省要請などを共同で行います。
 B東北アジアの非核・平和、日朝国交正常化を解説するリーフレットやパンフレットを作成します。

2) 平和フォーラムとしての多角的なとりくみと協力・支援
 @北朝鮮に対する経済制裁措置などを政府に発動させないとりくみをすすめます。
 A北朝鮮の人道支援のとりくみを広げます。
 B韓国の平和運動、北朝鮮人道支援運動との交流・協力を進めます。
 C在日定住外国人の人権確立のとりくみを強化します。
 D各都道府県組織の関係する日朝運動組織関係者による全国交流を行います。
 E「日朝国交正常化を求める市民連絡会」(石坂浩一立教大学助教授・世話人)のとりくみの支援や、日朝国交促進国民協会(村山富市元首相・会長)の研究会の紹介・案内をします。
 F平和フォーラム・海員組合など2004年7月の訪朝団呼びかけ5団体による交流をつづけ、必要に応じて学習会・集会などを行います。

3) 中国との友好交流のとりくみ
 @2004年秋の南京につづき、6月に東北部視察の「中国平和の旅」を行います。

4) 戦後60年と戦後補償の実現に向けたとりくみ
 @中曽根内閣時からの公約であり、盧武鉉(ノ・ムヒョン)韓国大統領が改めて要求している韓国・朝鮮人強制連行被害者などの遺骨調査・早期返還の実現に向け、朝鮮人強制連行真相調査団などのとりくみに協力します。
 A戦後補償をとりくむ市民団体や、歴史の事実を明らかにする立法(国立国会図書館法を一部改正し、恒久平和調査局を設置すること)を求める市民グループと意見交換し、共同のとりくみを進めます。
 B劉連仁訴訟、新潟訴訟をはじめ各地の中国人強制連行訴訟など戦後補償のとりくみを引き続き支援します。
 C中国残留孤児訴訟の署名を支援・協力します。

5) 首相の靖国参拝や国家護持に反対するとりくみ
 @8月15日に千鳥ヶ淵国立戦没者墓苑で戦争犠牲者追悼・平和を誓う集会を行います。
 A首相の靖国神社参拝に抗議し、させないとりくみを進めます


5. 被爆60周年、核と戦争のない社会をめざすとりくみ−NPT再検討会議と核兵器廃絶に向けて
 人類に筆舌に尽くしがたい被害を与えたヒロシマ・ナガサキの原爆投下から60年を迎えます。被爆体験を原点に、核兵器の廃絶と世界の恒久平和を訴え続けてきましたが、いまだ核と戦争の脅威から人類は解き放たれていません。原爆を投下したアメリカは、単独行動主義の姿勢を一層強め、国際的な法や世論を無視して好戦的な姿勢がいまも貫かれ、2003年3月20日には、「大量破壊兵器の存在」という虚構のうえにイラク侵攻が行われ、占領状態が続いています。ブッシュ政権のイラク侵攻・占領は、アフガニスタンの武力侵攻に続き国際法も無視した単独行動主義の最悪の結果をもたらし、各地で憎しみと暴力や報復の連鎖を生み出し続けています。ブッシュ政権の反動的な政策はこの他にも、小型核の開発研究の再開やABM条約(対弾道ミサイル制限条約)の一方的脱退、ミサイル防衛構想(MD)の推進などが挙げられ、新たな核軍拡の流れを創り出そうとしています。さらに、湾岸戦争に続き、イラクやアフガニスタンへの劣化ウラン弾の使用は、放射能と健康被害の拡大が懸念されています。
 また、一向に進まぬ核大国の核軍縮は、繰り返される未臨界核実験の他に、米ロなどは「削減」された核弾頭を将来に備えた「貯蔵」に回すなど核軍縮の実態が伴っていません。いまだ核抑止の基調は変わらず、小型核の研究では、新しい型(新しい概念)の核兵器や戦場で使えるとされる核兵器の開発に結びつき、核兵器の実践使用のハードルが低くなろうとしています。その上アメリカは、核の先制使用を放棄しておらず、それを日本が認めるていることは問題です。さらに、米ロ両国ともいまだ核警戒態勢は解かれておらず、偶発的核戦争の危険もかかえています。
 NPT体制のスキを突き、核拡散も拡がっています。未加盟国のインドやパキスタン、イスラエルの核保有や、朝鮮民主主義人民共和国は核兵器製造を表明し、イランなどは原子力の平和利用からの転用で核開発を行っています。それらの動きは、周辺地域の安全保障を揺るがし、緊張を高めています。核開発の放棄を求めるとともに、緊張緩和にむけた平和的な解決と国際ルールへの参加を促すことが必要です。同時に、アメリカをはじめとする核保有国に対しては、2000年のNPT再検討会議で合意された核軍縮の約束を履行させることが重要です。未加盟国の核拡散には厳しく、自らの核軍縮には徹底して甘いダブルスタンダードを許してはなりません。今年5月にはニューヨークで、5年ごとの本会議としてのNPT再検討会議が開催されます。これまでの核軍縮の成果を検証し、とくにアメリカ・ブッシュ政権の核軍拡の動きに対し、国際的な世論で包囲しなければなりません。
 日本政府は、核廃絶を訴えながらも、米国の核の傘の下にあるというダブルスタンダード(二重基準)という矛盾した政策を取るなかで、被爆60年という歴史を迎えようとしています。あらためて歴史の重さを自覚させ、被爆国の責務として積極的に世界に先駆け平和と核軍縮政策のリーダーシップを取ることを求めることが重要です。そのためにもまず、アメリカの核の傘からの脱却が必要です。
 しかし現在の小泉政権は、憲法を無視し、自衛隊のイラク派兵を強行し、集団的自衛権の行使にまで踏み込み、積極的にアメリカの世界戦略のシステムのなかに加わろうとしています。なかでもミサイル防衛(MD)の積極的な導入は、日本の核の傘とあいまって東北アジアに新たな不安定要因を作り出し、軍事状況を変え、あらたな核軍拡に道を開く恐れがあります。
 そのようななかで、平和運動の果たす役割は重要となっています。冷戦終結後、世界はアメリカだけが突出したパワーを持つという厳しい状況のなかでも国際的な平和・核軍縮の連携を強化し、アメリカをはじめとする核保有国を包囲する陣形をつくりあげることが必要です。2005年のNPT再検討会議などを契機に、各国の平和勢力との連携の強化を中心に、国内においても、政府に対して核の傘からの離脱や核軍縮の強化を要請し、連合や各市民団体・NGOなどと共通の核軍縮課題へのアプローチやネッワークの強化を進めます。

1) 国内外の核軍縮へのネットワークの強化とNPT再検討会議にむけたとりくみ
 アメリカの単独行動主義により国際的な核軍縮の流れが停滞を余儀なくされていますが、あらためて活性化させることが大きな課題です。これまで積み上げきた核軍縮の成果を後退させず、国際的な枠組みの強化をはかることが必要です。そのためにも日本政府をはじめ、各国の政府に対して国際的なNGOと連携して働きかける運動が重要です。とくに今年のNPT再検討会議では、2000年の再検討会議で合意した「誠実に(核軍縮の)交渉を行うことを約束する」や「CTBTの早期発効」、「カットオフ条約の条約交渉の即時開始」などの13項目+2項目の合意を後退させず、具体的に核軍縮に向けた措置を核兵器保有国に迫ることが必要です。そのため、NPTおよびその他国連等の国際会議やその他の機会を通じて以下の活動を行います。
 @国内外の核軍縮進める団体や運動体とのネットワークの強化と世論喚起にむけたさまざまなとりくみを行い、核保有国への包囲網を強化していきます。
 A2005年のNPT再検討会議に向けた連合・核禁会議と共同して派遣団を送ります。
 B核兵器廃絶1000万署名を成功させ、政府や国連に対して核軍縮に向けた提出と要請を行います。
 C平和市長会議が呼びかけた「核兵器廃絶のための緊急行動」に賛同し、協力します。
 D核兵器国に対して「核の先制不使用」や「消極的安全保障の制度化」などを求め、朝鮮民主主義人民共和国に対してはNPT復帰を求めます。
 E日本政府による核の傘依存からの脱却を求め、東北アジア非核地帯化構想の実現をめざして国内外の運動の強化をはかります。
 F日本のMD構想参加に反対していきます。
 G未臨界核実験に反対するとりくみを、引き続き連合・核禁会議との共同行動として積み上げていきます。
 HCTBT条約、カットオフ条約を前進させるとりくみを強化していきます。
 I劣化ウラン弾・クラスター爆弾等の非人道的兵器の禁止に向けたとりくみを行います。
 J核拡散につながるウラン濃縮、再処理を止めさせる国際的な関心を喚起し、枠組みづくりを行います。

2) 非核自治体決議の推進と非核政策の内実の充実を求めるとりくみの強化
 これまでも国会議員のなかで日本の核武装を容認する議員や被爆の実態をないがしろにする発言をする議員(石破前防衛庁長官)が出てきています。日本の国是である非核三原則をないがしろにする危険な兆候で、被爆体験の風化でもあります。非核三原則の法制化も含めた非核法の制定や地域における非核自治体の拡大、非核宣言をあげた自治体の非核政策(事業)の充実を求めることが必要です。
 @非核自治体決議の100%達成にむけたとりくみと自治体の非核政策の充実を求めていきます。なかでも市町村合併での非核宣言の再宣言をさせるとりくみは重要です。地方議会への働きかけや非核平和行進に合わせて自治体への要請などを行うなかで宣言の達成や政策(事業)の充実を求めていきます。
 A非核宣言をした自治体の非核宣言自治体協議会への加盟を推進していきます。
 B非核平和条例のとりくみを強化し、同時に非核三原則の法制化など、非核法の制定をめざします。
 C内外に被爆国の内実を問われる被爆国の企業の核兵器研究・開発への関与や武器輸出三原則の緩和による協力の拡大(とくにMDに関して)については、その動きを監視することと同時に協力させないとりくみを積み上げていきます。
 D世界に拡がる非核地帯の国際的な動きに連携して、東北アジアの非核化の実現を追求します。

3) 被爆60周年原水爆禁止世界大会の開催と60周年のとりくみにむけて
 @被爆60周年原水爆禁止世界大会の開催
 核兵器廃絶にむけたとりくみとともに、「ヒバクシャの権利確立のとりくみ」や「原子力政策の根本的転換と脱原子力に向けてのとりくみ」の課題を合わせて、世界大会の課題に組み入れ、議論を深め、共通認識を作りあげていきます。この間積み上げてきた、連合・核禁会議との共同行動を一歩進め、60周年のとりくみとしての原水禁大会の開会式の部分の共同開催を行い、核兵器廃絶、被爆者援護の課題の拡大をはかります。
 なお今年の国際会議は、「ノーモア ヒロシマ・ナガサキ国際市民会議」と連合・核禁会議との共同の開会式を成功させるということに集中するために、大会期間中での開催は見送ります。
 今年も大会は実行委員会方式で、広島、長崎で例年通りの日程で開催します。また、「メッセージfromヒロシマ2005」や「ピースブリッジ2005」などの子どもや若者の企画をサポートし、子どもの参加や若者、親子などの参加を強化し、被爆の実相の継承をはかります。
 8月4日〜6日 広島大会(8月4日連合・核禁会議共催の開会式)
 8月7日〜9日 長崎大会(8月7日連合・核禁会議共催の開会式)
 A被災52周年ビキニ・デー集会の開催
 被災51周年の成果を引き継ぎ、被爆60周年原水禁世界大会に連動する集会とします。
 Bヒバクシャ国際会議
 60周年のとりくみとして、ヒバクシャの権利拡大をめざした国際会議の開催を検討します。来年(2006年)はチェルノブイリ原発事故20周年にもあたり、ヒロシマ・ナガサキ、チェルノブイリそして世界に拡がる核被害者を結ぶなかで、これに関わる国際会議を企画します。


6. 教育基本法改悪をストップし、偏狭なナショナリズムを許さないとりくみ
 グローバル化とアメリカの極端な単独行動主義がすすむなかで、日本や欧州諸国は企業競争力の確保策に躍起となる一方、失業者の増加などを背景に民族排外主義的な動きや国家主義、偏狭なナショナリズムを助長する傾向も増大しています。
 2003年3月20日の中教審答申は「21世紀を切り開く心豊かでたくましい日本人の育成」という大目標のもと、「国を愛する心」が強調され、教育基本法改定の方向を打ち出しました。「国際化」時代に対応して競争力に打ち勝つ「たくましさ」と、「愛国心」に満ちた「心豊かな日本人」を教育の場でつくり出そうというものです。
 中教審答申以後、「与党教育基本法改正に関する検討会」が続けられ、2004年9月には、自民・公明両党が合意していない部分を除き、改正案作成作業に着手することを決めました。すでに2004年6月に明らかにされた与党協議の中間報告は、「愛国心」の表現をめぐっては自民・公明で意見が多少分かれたもの、「教育の目標」に、新たに20項目におよぶ徳目を記述。「教育は、不当な支配に服することなく」という現行教育基本法第10条を、「教育行政は、不当な支配に服することなく」と表記する逆転した姿勢に立つものです。
 他方で、2月末に発足した超党派の議員連盟「教育基本法改正促進委員会」(亀井郁夫委員長、衆参両院議員374人)は、2004年6月に、民間教育臨調との合同総会を開催し、「教育の目的」を定める条文に「愛国心」を盛り込んだ「新教育基本法」大綱(案)を発表しています。
 地方議会における教育基本法に関する意見書の採択状況も、2004年4月時点で「改正」推進の決議51、「改正」反対・「慎重審議」決議258が、10月時点で推進194、反対・慎重302と、急速に「改正」促進決議が数を伸ばしています。署名(公称350万名)も急速に数を伸ばしています。また、「日の丸」「君が代」強制の動きも強められています。
 こうしたなかで、開会中の通常国会では見送りといわれていますが、国会上程の動きがすすんでいます。憲法と密接不可分な教育基本法の改悪を許さないとりくみをいっそう強化し、基本法の理念を実現する運動を強めなければなりません。平和フォーラムが日教組と協力してすすめている「教育基本法に関する署名」も集約数は約200万名となりました。教育基本法改悪に向けた動きを許さないとりくみをいっそう強化し、全国的なとりくみをすすめていきます。
 また、2005年の教科書検定・採択では、2001年に全国的に問題となった扶桑社版(新しい歴史教科書をつくる会)の歴史教科書、公民教科書が一部内容を修正して検定申請し、合格しています。「つくる会」の機関誌では「大東亜戦争は、インドネシア、ビルマ、インド、マレーシアなどの国々の独立を促進したという明確な因果関係があります。これらの史実を、戦後の教科書として初めて公平に描いています。/日本を糾弾するために捏造された、『南京大虐殺』、『朝鮮人強制連行』『従軍慰安婦強制連行』などの嘘も一切書かれていません。旧敵国のプロパガンダから全く自由に書かれている教科書が改訂版『新しい歴史教科書』です」と紹介しています。
 つくる会は埼玉県教育委員会に副会長を送り込んだのをはじめ、全国各地の議会や教育委員の選定などにまで影響を及ぼしはじめています。全国各地の教育委員選定、教科書採用制度の変更などの情報を収集し、憲法・教育基本法・子どもの権利条約に基づく公正・公平な教科書採択を求めてとりくみを進めていきます。

1) 教育基本法などについてのとりくみ
 @日教組などとともに教育基本法改悪ストップ実行委員会によるとりくみをすすめ、重要な節目ごとに大きなとりくみを行います。
 A「教育と文化を世界に開く会」などの学習会などを紹介します。
 B主に地域教組の呼びかけで行われる小集会に全国各地で協力します。
 C与党の法案作成作業や国会上程の動きに応じて、とりくみをすすめます。
 D地方自治体議会における教育基本法「改正」反対・慎重審議決議を増やし、改悪促進決議を許さないとりくみをすすめます。
 E教科書問題とあわせて、学習パンフレットなどを発行し、活用を進めます。
 F「日の丸」「君が代」の強制・強要に反対します。

2) 教科書採択をめぐるとりくみ
 @2001年時に立ち上げた市民の力で憲法・教育基本法を尊重した教科書を選び、教科書問題を考えるネットワーク「教科書問題を考える会」(連絡先・平和フォーラム)のとりくみを再開します。
 A「つくる会」教科書等の問題点を訴えるなど世論喚起のため、チラシ、パンフレットを作成・配付します。
 B必要に応じて随時、緊急集会などの行動を設定します。
 C市町村教育委員会に対する「憲法・教育基本法、アジアとの友好連帯を求める教科書採択要請」(4〜7月)や「教科書センターヘ行こう」運動(6月末〜7月はじめ)を行います。
 D戦争の歴史を課題とした教科書について、中国・韓国・北朝鮮など東北アジアの諸国を中心に、国際交流を追求します。


7. 多文化・多民族共生社会に向けた在日定住外国人の地方参政権をはじめ、「個人の尊厳」に基づく人権確立のとりくみ
 憲法は、人権について前文では「人類普遍の原理」とし、第10章「最高法規」第97条では「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果」と、世界史的意味を込めています。1948年の世界人権宣言以来、包括的にとり決めた国際人権規約の他、人種差別撤廃や女性、子ども、移住者、死刑廃止など27もの国際人権条約が積み上げられてきました。しかし、日本はようやく10の条約に加入したにすぎません。批准した条約でも人種差別撤廃条約の「差別宣伝・差別煽動に対する処罰」条項の留保や、国際人権規約の個人通報制度や死刑廃止条約など、締結を拒んでいる重要な国際ルールがあります。さらに、自民党の「憲法改正」協議のなかでは、権利の制限、義務の強化、第24条の「両性の平等」の見直しなど「個人の尊厳」や人権を軽視する方向が打ち出されています。
 冷戦後の民族紛争多発や欧米における極右・人種差別主義勢力が台頭する情勢のなかで、差別撤廃の重要性が強調され、国連の呼びかけで1995年から2004年まで「人権教育のための国連10年」が行われ、各国でとりくまれてきました。日本でも「行動計画」はつくられましたが、とりくみはおざなりです。差別が社会悪であり犯罪であるという明確な認識がいまだに希薄な日本社会のなかにあって、最近では、ジェンダーフリー教育や、選択的夫婦別姓、性教育に対して女と男の固有の特性を否定する過激な思想運動であるとか、日本の伝統的家族共同体を破壊するものであるという決議が「新しい歴史教科書をつくる会」、日本会議などによって、自治体議会で採択されるなどの組織的攻撃が行われています。
 こうした状況を変えるためにも、部落差別や女性差別、障害者差別、民族差別をはじめとした差別に対し、公正・平等をめざしての実態の改善のとりくみと、差別を禁止する法律を整備する必要があります。政府は先に廃案となった「人権擁護法案」と似たり寄ったりの法案を来春の通常国会に提出する動きにありますが、必要なのは、国連の「国内人権機関の地位に関する原則」(パリ原則)にそった独立性と実効性ある人権救済機関の制度化と「人権の法制度」確立です。また、「人権教育のための国連10年」を契機として人権教育・啓発を強化している自治体も多くあり、運動の力で勝ち取った「人権教育・啓発推進法」も活用し、自治体レベルから人権教育・啓発を強化する運動も必要です。
 また、「人権教育のための国連10年」で強調・重視されているのが、多文化・多民族共生です。日本でも、不十分ながらも市民のとりくみや地方自治体の「外国人会議」などで広がってきました。住民投票において外国人に投票資格を認めた条例は滋賀県米原町などすでに170を数えています。定住外国人の地方参政権についても、1995年2月の最高裁判所判決でも違憲ではないとし、その後、1520自治体がそれを求める決議を行っています。21世紀の人権社会を築く突破口としても実現しなければなりません。
 また、戦後、日本は旧植民地出身者に対する人権侵害を続け、不当な外国人差別を続けてきたことを克服するためにも、定住外国人の権利確立は重要です。なかでも地方参政権は、韓国での住民投票法の制定など新たな展開がすすむなかで、大きな焦点です。昨年秋に発足した「定住外国人の地方参政権を実現させる日・韓・在日ネットワーク」のとりくみを進めます。

1) 地方参政権など在日定住外国人の権利確立
 野党の賛成だけでなく、与党合意があるにもかかわらず、実際には根強い排外主義によって、在日定住外国人の地方参政権は実現に至っていません。地域で広がった「外国人市民会議」や住民投票条例などの成果を生かして、通常国会で改めて「定住外国人地方参政権法案」の実現をめざします。また、日朝関係悪化のなかで増大する在日に対する嫌がらせや差別を許さないとりくみを進めます。
 @在日定住外国人参政権連絡会、定住外国人の地方参政権を実現させる日・韓・在日ネットワークによる院内外でのとりくみをすすめます。また、パンフレット「定住外国人の地方参政権―住民自治・地方自治への共同参画」の活用を進めます。
 A朝鮮学校をはじめ在日外国人学校の高校卒業者を差別なく大学受験資格を認めることをはじめ、学校教育法の1条校並としていくとりくみを進めます。
 B東京都が起こした江東区枝川にある朝鮮初級学校の土地明け渡しを求める裁判、さらには、20年来の公務員国籍条項撤廃に向けた成果を無視した最高裁判決など、在日韓国・朝鮮人に対する差別を許さず、権利拡大に向けたとりくみに協力します。

2) 実効性ある人権救済法の制定に向けたとりくみ
 @国連の「国内人権機関の地位に関する原則」(パリ原則)にそった独立性と実効性ある人権救済機関を制度化する法律の制定に向けてとりくみます。あわせて差別を犯罪として明確に禁止する「差別禁止法」(仮称)を制定するとりくみを進めます。政府は通常国会に人権擁護法案を提出する予定ですが、所轄が法務省であることをはじめ人権確立に反する部分が多数あり抜本的修正が必要です。
 A狭山差別裁判問題をはじめ 部落解放同盟、部落解放中央共闘などのとりくみに連携、協力します。とくに、県組織のないところでのとりくみが広がるよう積極的に担います。
 B政治公約に反するとともに、人道上も重大な問題のある1047人のJR不採用問題について、政府がILO勧告を踏まえて解決するためのとりくみを国鉄労働組合と連携、協力して行います。

3) 人権教育・啓発の推進
 @「人権教育のための国連10年」などこれまでの成果を実効化させるとともに、「人権教育・啓発推進法」に基づき、全国の自治体でより充実した「人権教育・啓発推進に関する基本計画」を策定・実行するよう求めていきます。
 A地域・職場でさまざまな差別問題など人権学習・教宣活動にとりくみます。

4) 司法制度・地方自治などをはじめとしたとりくみ
 @司法改革で、裁判員制度は裁判官の恣意などに左右されない制度・人数配分になど市民に開かれたものとする原則を確立させていきます。
 A日常的な判決チェックなど最高裁判所裁判官国民審査にかかわるとりくみをすすめ、現状の非民主的な白票信任投票方式を○×式にするなど、投票した人の意思が結果に反映する方法への改善の実現に向けとりくみます。
 B地方分権を促進し、地方自治体の自主財源の確保とともに、条例制定権の拡大、拘束力のある住民投票の導入などのとりくみをすすめます。
 C反住基ネット連絡会の一員として、とりくみに参加・協力します。
 D自由な議論や思想・信条の自由にも抵触する共謀罪の新設を許さないため、パンフレットを活用したとりくみを進めます。国会状況に応じて、必要なとりくみを行います。また、警察公安による微罪逮捕や自衛隊による取り調べの事件増大の動きを警戒し、不当弾圧、人権侵害を許さないとりくみを行います。

5) 男女共同参画社会の実現に向けたとりくみ
 「男女共同参画社会基本法」(1999年)は制定されたものの、女性差別撤廃条約の精神を具体化していないという問題点があります。女性の社会進出がすすむなかで、男女がともに職業や社会生活と家庭生活が両立できる社会システムの構築が緊急の課題であり、そのためには男女の意識変革が必要です。
 @平和フォーラム組織自身の構成、諸会議をはじめ、関わる運動全般で女性が参加できる条件・環境を作ります。
 A通常国会に提出される人身売買罪の法制定にあたり、性差別・人種差別撤廃の視点に立った包括的人身売買禁止法を制定させるよう、パブリックコメントなどのとりくみを行います。
 BI女性会議をはじめとした女性団体のとりくみに連携、協力します。


8. ヒバクシャの権利確立のとりくみ
 被爆60周年を目前に控え、被爆者の高齢化が進んでいます。広島・長崎の被爆者の残された課題を解決する時間は限られています。援護対策の充実を図ることが急務となっています。なかでも、在外被爆者に対する援護の充実は、日本の戦争責任と戦後補償の実現とあいまって重要なとりくみです。これまでの在外被爆者裁判で勝ち取った成果を、残された在外被爆者裁判へ活かし、政策的な不備を政府に要求していくことが必要です。また、これまで放置されてきている在朝被爆者への援護施策の実施を求めていくことも戦後責任を果たす意味で重要です。同時に全国各地でとりくまれている被爆者集団訴訟運動やさまざまな被爆者課題の前進をはかることも引き続き重要です。
 そのためにも2004年12月に政府に対し原水禁・連合・核禁会議の三者で要請した被爆者の権利の拡大をめざした要求の実現を図ることを、引き続き三者でとりくみます。
 また、7月に開催される「ノーモアヒロシマ・ナガサキ被爆者国際会議」に協力し、原爆被害の実態と被爆者の権利拡大を訴えていきます。
 さらに被爆二世・三世への援護の充実をはかることも必要です。そのため全国被爆二世団体連絡協議会(全国被爆二世協)と連携しながら二世・三世の組織化と行政に対する被爆者健康手帳の発行や健康診断の通年化、被爆二世調査などの独自要求を積み上げていくことが求められています。
 ヒロシマ・ナガサキの原爆被害にとどまらず、あらゆる核開発過程で生み出される核被害者への連帯や援護のとりくみも重要な課題です。今年はヒロシマ・ナガサキの被爆60周年、来年はチェルノブイリ原発事故から20年という節目でもあります。多くのヒバクシャをいまだ生み出しているチェルノブイリ原発事故、軍事機密のなかで行われた世界の核実験によるヒバクシャの実態を明らかにしていくことが必要です。また、原子力の平和利用(商業利用)で生み出された被曝労働者の権利の拡大をめざすとりくみも、長尾昭光さんの労災認定をきっかけに健康管理手帳の発行を求めるとりくみへと進めていきます。また、被爆60周年に際し「ヒバクシャ国際会議」の開催を検討し、国際的なヒバクシャの実態解明と権利の拡大を明らかにしていくことも重要です。
 それらを踏まえ国際的な運動としてヒバクシャ運動の強化は、被爆60周年の今年の、重要な課題です。核実験や原発事故、ウラン採掘などのあらゆる核開発の流れのなかで起きたヒバクシャへの連帯と援護制度確立や権利の確認を進めることは今後の原水禁運動の重要な柱としていくことが必要です。

1) 被爆者援護の運動を強化するとりくみ
 広島・長崎の原爆投下から60年を目前に控え、高齢化した被爆者の問題解決は急務となっています。長年の要求である国家補償問題や在外被爆者の補償の問題は、いまだ解決に至っておりません。引き続き政府に制度確立を求めていきます。
 @厚生労働省に対し連合・核禁会議との共同で行っている、国家補償の明記や認定制度の改善など援護施策の充実・改善などの要求行動を進めます。
 A在外被爆者問題の解決に向けたとりくみを行います。裁判闘争の支援や交流、厚生労働省への制度・政策の強化要求などを行います。
 B在朝被爆者問題の解決に向けたとりくみを行います。放置された北朝鮮被爆者の援護の確立に向け政府・厚生労働省に働きかけていきます。
 C全国13地裁(18都道府県)に提訴している166人の原告の認定却下処分の撤回を求める被爆者集団訴訟運動の支援・連帯の強化と各種被爆者課題の前進をはかります。

2) ヒバクの実相を継承するとりくみ
 各地でのヒバクシャから聞き取りや記録(映像など)すすめ、若い世代へ被爆の実相を継承していく運動を進めます。

3) 被爆二世・三世の組織化と援護政策の充実を求めるとりくみ
 これまで援護法の対象外に置かれている被爆二世、三世に対して、現在、全国被爆二世協が中心となって運動を進めています。その運動を支え、組織化や援護政策の充実を求める動きを作り出していきます。
 @全国被爆二世団体連絡協議会との連携を強化し、被爆二世の組織化をはかります。
 A被爆者援護法の被爆二世に対する付帯決議を具体化するとりくみを強化していきます。
 二世への援護法の拡大や被爆者健康手帳の発行、被爆二世調査の対応の充実などを求めていきます。
 B日韓被爆二世シンポジウムの開催
 昨年に引き続き、被爆二世団体全国協議会と共催で、日韓の被爆二世の交流と課題の共有を深めるために、6月26日に広島で開催します。

4) あらゆるヒバクシャとの国際連帯・交流の強化のとりくみ
 世界に拡がる核被害者との連帯強化を、被爆60周年の事業としてヒバクシャ国際会議という形でとりくみます。2006年は、チェルノブイリ20周年にあたり、それを見据えたとりくみとしての国際会議とします。さらに原水禁世界大会やさまざまなとりくみのなかで、ヒバクシャとの交流の強化をはかります。また、フランスの核実験被害者との連帯と交流は引き続き積み重ねをはかっていきます。

5) 原発・被曝労働者のヒバク実態の把握と労働者の権利拡大をめざすとりくみ
 長尾原発労災認定では、「多発性骨髄腫」を労災として認定させることができました。しかし、これまで労災と認定された原発被曝労働者は、氷山の一角でしかありません。あらためて被曝労働の実態を明らかにするとりくみが必要です。あわせて、放置されている被曝労働者の命を守るとりくみとして、じん肺やアスベストと同じように被曝労働に対する健康管理手帳の発行を制度として確立することを求めていきます。
 @被曝労働の実態把握のために、長尾労災で連携した全国労働安全センターや原子力資料情報室などと連携し、「被曝ホットライン」などの電話相談や原発現地での実態調査などに協力していきます。
 AJCO臨界事故によって生みだされた被曝者への援護の運動に連携していきます。
 B被曝労働者の健康を守る「健康管理手帳」の制度確立を、関連する労働組合と協力して、めざします。

6) ノーモア・ヒロシマ・ナガサキ国際市民会議への協力
 日本被団協や日本青年団協議会などと2005年7月29日〜31日に東京で開催する「ノーモア・ヒロシマ・ナガサキ国際市民会議」は、@原爆被害の実相の解明、A原爆投下の責任、B被爆者の権利拡大、C被爆の実相の継承を中心として行う国際的な集会です。集会成功にむけて協力をしていきます。


9. 原子力政策の根本的転換と脱原子力に向けてのとりくみ
 珠洲原発計画や巻原発計画の撤退、東京電力の事故隠し、名古屋高裁のもんじゅ判決、MOX利用政策の頓挫などは、原子力政策の行き詰まりを示しています。また昨年8月9日に起きた美浜原発3号炉の事故では、11名の死傷者を出す痛まし事故でした。まさに原子力開発のほころびが、いたるところででてきています。さらに2005年には第三次の電力自由化を迎え、ますます原子力政策の転換が求められています。海外でも脱原子力を政治選択する国も増え、アジアを除いて新規立地のペースが大幅に落ちています。多少の揺り戻しはあるものの、脱原子力が世界的潮流になりつつあるのは確かです。私たちは、その流れをさらに押し進めて行く必要があります。
 しかし、原子力推進派は、プルトニウム利用路線が破綻しているにもかかわらず六ヶ所再処理工場の建設やプルサーマル計画をいまだ放棄しようとはしていません。新原子力利用・開発長期計画でも、再処理・プルサーマル路線の堅持を唱い、原子力政策の破綻のツケを先送りし、国民に多大な負担を強いようとしています。その中心となる六ヶ所再処理工場は、2006年7月の操業に向けて、ウラン試験が強行されています。原発以上に放射能をまき散らし、核兵器の材料にもなりるプルトニウムを大量に作り出す工場は、必要もないばかりか、周辺国に対しても脅威と疑惑を与えるものです。現にプルトニウムは40トンを超える量を使い道のないまま保持することは問題です。そのためにも原子力政策の転換を求めてプルトニウム利用政策の中止を求めるとりくみをとくに強化することが必要です。巨大な税金の無駄遣いとしての六ヶ所再処理工場中止やもんじゅの廃炉、高レベル廃棄物問題などは緊急の課題で、とりくみの強化が求められています。
 また、老朽化した原発運転延長の問題や東海地震などによる原発震災なども大きな課題となっています。大事故が起きる前に、廃炉や運転停止を求めて行くことも必要です。とくに、浜岡原発震災署名のとりくみの成果をさらに進めていく必要があります。
 2005年には電力自由化が一段と進むなかで、再生可能なエネルギーの普及のチャンスが拡がってきています。原発に代わる分散型エネルギーとして積極的に自然エネルギーを拡大していくことが必要です。この間平和フォーラムとして進めてきたエコロジー社会構築プロジェクトが作成した脱原発に向けたエネルギー政策の検討成果を活かし、省エネルギー政策の推進と合わせて地域で具体的展開をはかることが必要です。
 上記の脱原発に向けたさまざまな具体的制度・政策を確立するためにも、昨年結成された「原子力政策『転換』議員懇談会」の動きとも連携し、院内外での運動を強化していきます。

1) プルトニウム利用を中止させるとりくみ
 2006年の稼働をめざして建設が進む六ヶ所村・再処理工場は、2004年12月に放射性物質(劣化ウラン)を使ったウラン試験を強行しました。その後、トラブルや設計ミスなどが発覚し欠陥工場を露呈しているにもかかわらず、試験は続けられ、今年ないし来年には、実際の使用済み核燃料を使ったアクティブ試験へと続こうとしています。しかしプルトニウム利用路線は、「もんじゅ」や「プルサーマル計画」が破綻し、巨額な原発のバックエンド費用(原発を動かした時に発生する使用済み燃料や、廃棄物処分にかかる費用)が明らかになるにつれ、六ヶ所再処理工場の存在理由がますます失われています。国際的にも40トンを超える核兵器物質のプルトニウムをさらに増やす再処理は、核拡散の観点からも大問題です。プルトニウム利用の路線からの撤退に向けた攻防は、原子力政策の根本的転換と密接に結びついています。引き続き六ヶ所再処理工場の建設阻止、プルサーマル計画の中止、「もんじゅ」廃炉へのたたかいを強化します。
 @再処理建設阻止にむけて、「4・9反核燃の日行動」など全国集会の開催とウラン試験・等に反対するとりくみを、地元青森との連携を強化しながら行います。また、大きなトラブルなどに対応した即応的な運動の強化をはかります。
 A核燃料再処理工場の本格的な試運転入り(アクティブ試験)を前に、その中止を訴える100万人署名や集会などさまざまなキャンペーンを展開します。
 Bプルサーマル計画の中止を求めて、福島、新潟、福井、佐賀、愛媛などを中心に連携を強化します。
 C「もんじゅ」廃炉に向けた裁判闘争を支援し、「もんじゅ」廃炉にむけた全国集会を開催します。
 D現在進められている「原子の研究、開発及び利用に関する長期計画」(新原子力長期計画)に対して意見書の提出やそれに対する学習会などを行います。
 E世界的に進む核拡散を止めるためにも、再処理・プルトニウム生産の中止と政策転換を訴える国際キャンペーンをとりくみます。

2) 維持基準の導入に対するとりくみ
 原子炉の損傷を認め運転を継続させようとする「維持基準」の導入は、安全性の後退で認めるわけにはいきません。維持基準の導入に反対し、政府・電力会社への要請や国会への問題提起などを原発現地の運動と連携してとりくみます。

3) 老朽化原発と原発震災に対するとりくみ
 21世紀は原発廃炉の時代でもあります。すでに稼働30年を越す原発は、2010年には17基となります。新規立地が困難になるなか、原発推進側は、老朽化した原発を40年も運転継続させようとしています。そのことは原発事故の増大と労働者被曝の増大をもたらすものです。昨年8月9日には、関西電力美浜原発3号炉での配管破断による11名の労働者の死傷事故は、そのことを端的に示しています。また、浜岡原発に象徴されるように、東海地震の特別観測地域内に原発が立地し、大地震に襲われる危険性を多くの地震学者などが指摘しています。そのなかで、中部電力は、この間、何らの根拠も示さず耐震補強を行おうとしていることは彼らの危機意識の現れであり、私たちの動きが与えた影響の一環でもあると考えられます。泊原発、六ヶ所核燃料サイクル施設など各地の原発立地地域でも原発震災が浜岡原発同様指摘されています。老朽原発の廃炉を求めると同時にの原発震災に対するとりくみを進めます。
 @老朽化した原発の廃炉を求める運動を進めます。
 A浜岡原発の原発震災問題で集会や学習会などを進め、各地での原子力防災のとりくみを進めます。

4) 放射性廃棄物処分問題に対するとりくみの強化
 原発から出る放射性廃棄物処理・処分の技術や場所について多くの問題が指摘されています。とくに高レベル放射性廃棄物の処理処分の技術がいまだ確立されていません。また処分場問題は、原子力発電環境整備機構が全国の自治体に公募を募っています。財政基盤の弱い自治体を補助金で釣り上げようとし、昨年も熊本や鹿児島、長崎などで、さまざまな動きが見られました。それらは反対運動で跳ね返しましたが、今後もさまざまな場所で水面下での動きが進められると予測されますが、早期に動きをキャッチし公募に応じさせない運動を作りあげることが重要です。
 また、今国会で老朽化し、廃炉となる原発からは大量の放射性廃棄物が生みだされます。それらの廃棄物をある一定のレベル以下は一般に再利用させようとする、放射能のスソ切りのための法改正がなされようとしています。一般の生活圏に放射性物質が混じり込んでくる危険性が懸念されています。また、テロ対策の名目で原発従業員のプライバシーまで管理し、原発そのものを密室化しようとする原子炉等規制法の法改悪も進められようとしています。そのような法改悪を許さないとりくみも必要です。
 @高レベル放射性廃棄物の処分場を誘致させない運動を作り上げていきます。
 A青森県むつ市などの各地の中間貯蔵施設建設問題について、設置反対を地元の運動と連携していきます。
 B放射能スソ切りのための法改正や原子炉等規制法の改悪に対して、国会議員への働きかけの強化と集会や学習会、リーフレットなどの作成で世論喚起を行います。

5) 原発の新増設阻止のとりくみ
 大間原発や上関原発などの新規立地や泊3号、川内3号などの増設に対する反対運動を現地とともに全国の運動として広げていきます。

6) JCO臨界事故へのとりくみ
 JCO臨界事故の問題を風化させないとりくみとして6周年の全国集会を2005年9月に現地で行います。

7) 原発被曝労災問題へのとりくみ
 (8.ヒバクシャの権利確立のとりくみ−5)参照)

8) 再生可能エネルギーの普及・拡大に向けて
 エコロジー社会構築プロジェクトの成果を生かし、各地で具体化していくとりくみを進めていきます。(10.循環型社会形成のとりくみ1))参照)

9) ITERの六ヶ所村誘致反対のとりくみ
 ITER(国際熱核融合実験炉)の候補地として、日本では六ヶ所村が名乗りを上げています。現在、誘致に関してフランスのカダラッシュと誘致合戦を繰り広げていますが、ITERそのものが、巨額の建設費の浪費とその実用可能性が危ぶまれています。ましてや危険なトリチウムや中性子を大量に発生させ、危険性とともに放射性廃棄物を新たに生みだします。六ヶ所誘致を阻止するとりくみとして、省庁交渉や集会などを通してITERの危険性と不必要性を訴えていきます。

10) 原子力潜水艦と原子力空母の出入港・母港化についてのとりくみ
 原子力潜水艦と原子力空母の出入港・母港化(2008年)についてのとりくみを、現地とともに実行委員会を作り進めていきます。とくに、脱原発運動を進める市民・団体に強く働きかけます。(3.在日米軍基地の強化に反対し、戦争のできる国作りを許さないとりくみ2)参照)


10.循環型社会形成のとりくみ
 地球温暖化や森林の減少と砂漠化、増え続ける廃棄物や環境ホルモン(内分泌かく乱化学物質)、水の量と質の悪化など、環境問題は多岐にわたっています。これらは、人口の都市集中や市場経済優先の産業活動、第一次産業の衰退等によって年々深刻化しています。
 環境の悪化が深刻になるなかで、これまでの「大量生産・大量消費・大量廃棄」型の経済社会から脱却し、「循環型社会」への転換が求められています。

1) 地球温暖化問題等のとりくみ
 地球温暖化問題は全人類共通の課題であり、早急にCO2などの温室効果ガスの削減が必要となっています。地球温暖化防止の「京都議定書」は2月に発効がされましたが、国内においては、これまでCO2の削減に向けた抜本的な対策は行われていません。政府が2002年に定めた「地球温暖化対策推進大綱」は、2004年までを「第1ステップ」と位置づけ、企業や個人の自主的なとりくみを中心としてきましたが、2003年度の国内の温室効果ガスの排出量は1990年比で8%も増加しています。
 2005年以降は「京都議定書目標達成計画」に基づく政府・実行計画や省・実施計画により第2ステップへ移行することになり、政府主導で対策を強化し、企業等への排出削減の義務づけをはじめ、CO2森林吸収源対策の強化や温暖化対策のための税制(環境税)の導入など、削減効果のある具体的な政策を求めて運動を進めることが重要です。とくに環境税は、化石燃料の消費に対し課税を行い、その税収を温暖化対策に活用するもので、ヨーロッパ諸国で導入が進み、CO2の削減に効果を示しています。経済界からの強い反対で当面先送りされていますが、実効性のある対策として早急な検討が必要です。
 一方、欧米などで進められている自然エネルギーに対して、日本は積極的な推進政策をとろうとしていません。原発や化石燃料資源に限界が予想されるなかで、自然エネルギーを推進する法制度を早急に確立することが必要です。また、木材や植物など身近な地域資源を活用したバイオマスエネルギー、市民による風車や太陽光発電等の実践も各地で広がっており、地域でのエネルギー自給向上が今後の課題となっています。
 また、地域においても、自治体と市民の連携を図り、温暖化対策を進めることや、私たちのライフスタイルを見直し、エコロジー社会への転換が課題です。
 そのため、平和フォーラム内に設置してきた「エコロジー社会構築プロジェクト」の協力をうけてエコロジー社会構築に向けた提言書を発行し、さらに、自然(再生可能)エネルギーの普及や省エネルギーのための法・制度の改善を求める具体的な活動が必要になっています。
 @温暖化防止の国内対策の推進を求めていきます。そのため、関係する市民団体と連携・協力し、法律・制度や環境税などの創設を求めていきます。
 A自然(再生可能)エネルギーの普及や省エネルギーのための法・制度の改正等を求めていきます。
 B各地域で環境問題にとりくむNGOと連携し、各地の自然エネルギーのとりくみ事例などの情報提供を行っていきます。

2) 森林・水問題などのとりくみ
 環境を守るうえで、森林は重要な役割を果たしています。地球規模での森林の減少と荒廃が進み、砂漠化や温暖化を加速させています。その半面、国内では、大量の木材輸入により、木材自給率は20%を切り、採算性の悪化、担い手不足から、森林の整備が十分行われていないのが現実です。
 水・環境の源泉としての森林を見直し、持続的に森林整備を推進し、温暖化防止などの森林の持つ公益的機能が発揮できるよう、「環境税」の森林整備への活用、木質バイオマス利用の促進、労働力対策等を求めることが喫緊の課題です。また、地域材の利用、憩いの場としての森林や山村の活用などの身近なとりくみも重要です。
 また、水の問題においても、世界的な水不足、有害な化学物質や合成洗剤などによる河川や湖沼の汚染など、その質と量が大きな課題になっています。2025年には世界人口の3分の2が水不足に直面すると予想されています。健全な水循環の構築と水の公共性が重要であり、とくにいま問題になっている水道事業の民営化の流れに歯止めをかけるとともに、「水基本法」の制定に向けた運動を強めなければなりません。
 また、可能な限り環境に悪影響を与える化学物質を使用しないことが必要です。そのため、有害化学物質の排出状況等を公表するPRTR制度の活用や、合成洗剤や農薬などの化学物質の規制強化も重要な課題です。
 @森林の整備推進に向けた政策の充実を求めていきます。政府の「森林・林業基本計画」で定めた森林整備の確実な推進、地域材の利用促進、予算の拡充、担い手の育成・確保、再生可能な木質バイオマスエネルギーの推進などを求め、全林野など関係団体のとりくみを支援します。
 A水問題の世論形成を図り、「水基本法」の制定に向けて協力していきます。また、合成洗剤追放全国連絡会の活動に協力していきます。さらに、合成洗剤追放連絡会や農薬反対運動グループなどと連携し、水中や環境中の化学物質に対する規制運動を強めていきます。

3)環境保全型農業へのとりくみ
 環境を守るためには、自然のサイクル、生態系と調和した第一次産業への転換も急がれています。農業生産において、化学肥料、農薬の多使用、不十分な畜産の糞尿処理などにより、各地で環境汚染が発生しています。このため、政府では有機農産物・畜産に関するJAS(農林規格)の改訂、畜産糞尿物の処理対策が進められようとしています。
 環境保全型農業への転換を進めるために、有機農業等の推進のための法制度の確立が必要です。また、各地域段階でも、家庭や学校から出る生ゴミや畜産糞尿を堆肥やメタンガス等へ有効利用するなど、有機農業や自然エネルギーと結んだ資源循環のとりくみを行政・生産者・市民一体となって進めることが重要です。これは食の安全とも結びつく課題です。
 @環境に負荷を与えない「有機農業」「有機畜産」の推進のための法制度の確立や環境保全型農業生産に対する直接支払いなどの奨励制度を要求していきます。
 A「菜の花プロジェクト」運動など、身近な資源を活用したエネルギー循環のとりくみを各地で進めるようにします。

4) 食とみどり、水を守る全国集会の開催
 「人間の安全保障」を基軸に、「循環型社会形成のとりくみ」、「食の安全のとりくみ」、「WTO・FTA交渉」、「食の安定、農林業問題のとりくみ」、「森林・水問題」など、食とみどり、水・環境を守る運動の集約の場として、「第37回食とみどり、水を守る全国集会」を長崎県長崎市で12月2日〜3日に開催します。そのため、関係団体に呼びかけて実行委員会を作り、開催の準備を進めます。


11.食の安全のとりくみ
 食の安全に対する不安・不信は、残留農薬、食品添加物、食品表示偽装問題が相次ぐなかで一段と高まってきました。とりわけ、遺伝子組み換え作物や、BSE(牛海綿状脳症)の拡大は、生産の効率性を追求するなかから引き起こされています。さらに、貿易の自由化を進めるため、動植物の検疫規制緩和や、遺伝子組み換え食品の認可拡大、残留農薬基準の大幅な改訂の動きも出てきており、食の安全をめぐる問題が深刻になっています。
 とりわけ、BSEによる米国産牛肉の輸入問題は、食品安全行政のあり方を問うものとして重視していきます。形骸化している「食品安全委員会」に対して、市民による行政の監視、政策策定過程への市民参加、情報公開の徹底なども含めた運動を進めます。
 また、地域・自治体での食の安全施策への参画、さらに、農薬や添加物など、食品の安全に関する国際的な基準に合わせて国内の基準緩和を許さないとりくみや、輸入・国産を問わず、農産物・食品に対する検査・検疫や表示の徹底を求める運動も進めます。
 @BSE問題については、国内の全頭検査等の継続を求めていきます。また、米国産牛肉については、同国の検査体制などが不十分であることから、国内と同等の体制が取られない限り輸入再開をしないよう要求していきます。遺伝子組み換え食品については、国内における商業的作付けはしないことを求めるとともに、表示制度の改善を要求しています。
 A「食品安全委員会」に対して意見反映を図るため、意見書の提出や委員との対話の機会を関係団体とともに設定していきます。また、「食の安全・監視市民委員会」の活動に協力して、政府や企業などへの申し入れや集会、学習会などを行っていきます。さらに、秋に東京で開催される全国消費者大会に協力し、食の安全をテーマのひとつとして追求します。
 B食の安全に関する国際的な基準作りに対する運動とともに、国際基準に合わせて国内基準の緩和を許さないとりくみや、食品の検査・検疫、表示制度の充実を求めていきます。
 C各地域において、食の安全の施策として、食品安全条例の制定や有機農業推進施策などを求める運動を広めていきます。


12. WTO・FTA交渉、食の安定、農林業問題のとりくみ
 WTO(世界貿易機関)やFTA(二国間・多国間自由貿易協定)が進むなかで、世界的に貧富や南北間の格差が拡大し、途上国では食料輸入の依存度を増しています。そのため、世界のNGOや途上国では、先進国・多国籍企業優位のWTO・FTAのあり方やグローバリゼーションに反対する運動が高まっています。とくに、地球規模での食料問題を解決するためには、自由貿易の拡大ではなく、各国が生産資源を最大限活用して自給率を高めながら、共生・共存できる「新たな貿易ルール」が必要です。
 一方、日本は最大の食料、木材の輸入国であり、世界最低水準まで自給率が低下しています。政府は2000年度から10年間で食料自給率(カロリーベース)を、現在の40%から45%に引き上げる計画を策定しましたが、まったく向上せず、新たな基本計画のなかで、この目標は5年間先送りになりました。
 さらに、日本の農林水産業は、海外からの輸入の増加、担い手不足から縮小を続けており、今後、WTOやFTA交渉でさらに市場開放が進めば、存亡の危機に立たされます。これは、食の安全・安定や環境問題などへも重大な影響を与えるものです。
 こうしたことから、農業をはじめ食料や環境などに関連する各分野で、グローバリゼーション、自由貿易体制のもたらす問題点を指摘し、国内外のNGOと提携を強めてとりくむことが重要になっています。また、地域段階でも、学校給食に地場の農産物や米を使う運動や、地域の食材の見直し、地域内の安全な生産物の消費を進める地産地消運動など、食べ方を変えていく具体的な実践も進めます。

1) WTO・FTA交渉へのとりくみ
 現在行われているWTO(世界貿易機関)の交渉は、本年12月13日から18日まで香港において閣僚会議が開かれる予定で、ここで今後の交渉の枠組み(モダリティ)がどのように決められるかが焦点になっています。しかし、2003年のメキシコ・カンクンでの閣僚会議が決裂に終わったように、途上国やNGOからは、先進国・輸出国中心の貿易ルールのあり方に対する反発も高まっており、今後の交渉の行方は予断は許しません。閣僚会議に向けた運動の強化が必要です。
 一方、WTO交渉が停滞するなかで、日本の政府・経済界からはFTA(二国間自由貿易協定)の締結を求める動きが活発になっています。現在、韓国、タイ、マレーシア、フィリピンとFTA交渉が進められ、今年からASEAN(東南アジア諸国連合)との交渉も始まろうとしています。
 しかし、FTAはWTO以上に、市場経済の論理をむき出しにして自由貿易を進めようとするものであり、食料問題をはじめ、環境や労働、人権などがないがしろにされている事例が世界各地で出ています。FTAは原則として10年以内に関税や貿易制限措置を撤廃するものであることから、関税率が低い先進国と途上国との経済格差が一層拡大することや、農林水産物の日本への輸入急増が予想されます。また、交渉内容が明らかにされず不透明なままに進められており、相手国の国内法・制度への侵害の問題なども指摘されています。そのため、各国の労働者、農民、NGOからは、WTOと並んで反発の声が上がっています。
 貧富の格差をもたらしている経済のグローバル化がテロなど平和を脅かす問題とも関係していることを結びつけて、WTO・FTAに対する運動を進める必要があります。とくに、WTO閣僚会議が香港で行われることや、アジア諸国とのFTA交渉が進められていることから、アジア各国のNGOとの連携も追求していきます。
 @WTO、FTAともに最大の焦点は農産物貿易となっていることから、日本国内だけでなく、途上国の農業・食料問題も視野に入れ、各国の農業が共存できる貿易ルールのあり方を追求して行きます。さらに、遺伝子組み換え食品などと関連する知的所有権問題、世界的な水の自由化・民営化などのサービス貿易、多国籍企業による投資などの問題点も関係団体とともに追求していきます。香港でのWTO閣僚会議に対し代表団を派遣するとともに、市民・農民団体などとともに共同キャンペーン活動を進めます。
 AFTA交渉に対しては、農林水産業、労働、環境、投資などの分野で問題点を明らかにし、交渉の透明性とNGOの意見反映などを求めて運動を行います。そのため、関係団体とともに集会、学習会、パンフ作成などのキャンペーン活動を行います。また、FTA交渉で関係する韓国をはじめ、アジア各国の農民、NGOと連携・交流を深め、FTAの問題点を協議する機会(国際会議など)を行うよう準備します。

2) 食の安定・農林水産業問題のとりくみ
 食の安全・安定のためには、国内での食料自給率の向上が不可欠です。そのためには、農地や森林の減少をくい止め、自給率の低い食料の生産拡大や経営安定のための支援策が必要です。
 政府は、2000年に定めた「食料・農業・農村基本計画」の見直し検討を行い、3月に新たな計画を策定しました。しかし、食料自給率の目標達成(2010年までに現行40%から45%に向上)を先送りするとともに、農産物の生産・流通・価格を全面的に市場原理に委ねる一方、経営安定対策などの政策対象者を一部の大規模経営層に限定しようとしています。
 しかし、規模拡大・効率化の結果がBSEなどの食の不安を引き起こしている現状から、食の安全や環境問題などに配慮した政策への転換が必要になっています。また、食の見直しを進め、地産地消運動などの拡大が重要です。そのため、学校給食などの食農教育の推進、地域における自給率の向上、有機農業への転換を図っていく必要があります。
 アジア・アフリカへの支援米送付運動や森林・林業体験なども、子どもたちや都市住民の参加の場として、さらに拡げていく必要があります。
 @食料や林産物の自給率向上に向け、直接支払い制度の拡充や経営安定政策などを求め、農民団体などの運動と共闘していきます。とくに、新たな基本計画の実施に対して、中央・地域において要求行動を展開します。
 A各地域で農林業のもつ多面的機能を評価する活動を進めるとともに、それに対する自治体の助成などの施策化を要求していきます。さらに、地域における自給率の向上にむけ、地産地消運動の拡大、学校給食への地場農産品の導入促進や水田での飼料用稲の作付け、ナタネ栽培や間伐材などのバイオマス資源としての活用など、さまざまなとりくみを広げていきます。
 B子どもや市民を中心としたアジア・アフリカ支援米作付け運動や森林・林業の視察・体験、農林産品フェスティバル等を通じ、食料問題や、農林水産業の多面的機能を訴える機会を作っていきます。

 

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