被爆61周年「メッセージfromヒロシマ2006」は6回目を迎えました。 昨年までと同様、実行委員会は高校生を中心に結成され、企画・運営を行いました。 海外、全国から広島を訪れ、資料館などで原爆の被害について見学を終えた子どもたち約400人が参加しました。
オープニングは去年と同様、広島の朝鮮初中高級学校、高級部舞踏部の皆さんによる民族舞踊「巫女の舞」で始まりました。独特で荘厳さを感じさせる音楽と華麗な踊りに、子どもたちは真剣に見入っていました。 踊り終えたあと、ティー・チュニョンさんから「これからも、舞踊を通してもっともっと交流を深め、少しでも多くの人たちに何か感じてもらえるようにがんばって練習を続けていきたいと思います」とお話がありました。
実行委員のメンバー紹介で第1セクションは始まりました。実行委員は全員、手作りの黄色のお花を頭につけての登場です。 委員を代表して岩本貴裕さんが「みなさんも平和について一度は考えたことがあると思います。今日は僕たちと一緒に、その思いを世界へ伝えていきましょう」と呼びかけました。 そして、緊張気味の子どもたちをほぐすため、鬼祭りおどり「うらじゃ」レッスン開始です。 「戦争に使うエネルギーを祭りに使って、みんなで仲良くなっちゃおう」という気持ちを込めて踊ります。実行委員の踊りを見ながら、ひとつひとつ振り付けを覚えていきました。 サビの振り付けは、周りにいる友達と手をつないで輪になって、「ハイハイハイハイ!」といいながらくるくる回ります。初めはぎこちなく動いていた子どもたちも、慣れてくると少しずつ笑顔が増えていくのが分かりました。
踊りが終わると、次はピースモニュメントの制作にとりかかりました。実行委員会からひとりずつに、木のブロックとマジックが配られました。そして、そこに自由に平和への思いを文字や絵で書き込みます。今年は、ドイツの高校生たちが始めた核廃絶キャンペーンに連動して取り組みました。 木のブロックが配られると、じっくり考えながら慎重に書いていく子、すぐに思い浮かんで絵や短いメッセージを書く子、急いで描き終えて友達の作品を見て回る子など、それぞれに作業を楽しんでいました。 その間に、松田卓也さんが会場をまわって、書き終えた木のブロックのメッセージを紹介していきました。
第4セクションでは、広島県の高校生が調査した被爆樹木の活動を紹介しました。 原爆の被害を受けた「被爆樹木」は、現在、広島市内に55箇所、160本あります。原爆投下当時は一面焼け野原で、 もう何十年も草木が生えないだろうと言われていました。ところが、黒こげだった樹木があちらこちらで新芽を出し、花を咲かせ始めました。それは、原爆で傷ついた街の人々に大きな生きる勇気を与えることになりました。そんな被爆樹木をたずねて回った高校生たちの報告でした。 続いて、広島国泰寺高校放送部が制作したテレビドラマ作品「君にニーハオ」を放映しました。中国からの転校生を迎えて、戦争の犠牲者は日本だけではないということに気づかされた日本の高校生たちの話です。日常的なふれあいを通して互いのことを理解することが大切だということを伝えてくれました。 そしてここで再び、「うらじゃ」踊りです。今度は始めの練習で覚えた振り付けを思い出しながら、色々な人と手をつないで、思いっきり踊りました。
楽しい時間もあっという間に過ぎ、ついに『メッセージfromヒロシマ2006』もエンディングを迎えました。実行委員の石黒友恵さん、佐藤花野さん、日上敬愛さんがメッセージを読み上げます。このメッセージは首相官邸や、アメリカやイギリスなど核保有国の代表あてにメールで送信するものです。会場いっぱいの大きな声でカウントダウンをし、一斉に送信すると、大きな拍手が起こりました。 つづいて、司会者から「みなさん後ろを見ていてください」と指示があり、参加者全員が後ろを向いてカウントダウンです。「ゼロ!」の掛け声とともに振り返ると、舞台にはさっきみんなで書いた木のブロックが集まってできた核廃絶の壁が登場しました。
舞台上のスクリーンには、昨年の8月9日に長崎で展示された壁の様子が映し出されました。昨年の壁は、世界中から届いた木のブロックでつくられました。今年はみんなの書いた平和へのメッセージが長崎に届き展示されます。 最後の最後にもう一度「うらじゃ」です。すっかり踊りを覚えた子どもたちはのびのびと会場中を回って踊り、フィナーレを盛り上げました。 みんなでつくりあげた『メッセージfromヒロシマ2006』。この経験は、きっと子どもたちの心の奥深くに刻まれ、同じ思いを持つ仲間たちがつながりながら、未来の平和をつくる力となっていく 力となっていくでしょう。
≪韓国からのお友だち≫ 金 美娜 (Kim Mi Na)1988.9.26 もともと日韓原爆問題について興味を持っていたので、今度の日本訪問はすごく期待しています。いろいろなことを見て体験したいし、学びたいので、よろしくお願いします。
李 彩元(Lee Chae Won)1990.4.13 原爆の問題についてもっと知りたいし、世界平和のための活動の一端を担いたいと思いました。
李 建雨(Lee Keon Woo)1990.6.23 私は被爆三世として、原爆問題についてとても興味を持っています。今回の機会を通じて意義深い席へ参加できてうれしいです。世界平和のために、小さな力であっても貢献していきたいと思います。
≪フィリピンのお友だち≫ ベロニカ・アラピデ 1991.3.9 私は勉強が大好きで、人の命を救うことができる医者にいつかなりたいという夢をもっています。今回の交流で、平和の道を探り、平和への責任やかかわりを深めたいです。
≪ドイツのお友だち≫ 〜“核廃絶の壁”木のブロック・キャンペーン〜 Isabel Bohn (イサベル・ボン) 17歳 Yannik Hake (ヤニク・ハイク) 18歳
想像してみてください。原子爆弾が炸裂する音を。「水をください」、「助けてください」。戦争は大切な人、大切なものすべてを奪います。そして、大切な人やものを失った人々の心は荒んでいきます。世界が核兵器を捨てなければ、61年前の、あの悲劇を再び繰り返してしまうのです。
1945年8月15日、数千万人もの人々の命を奪った第二次世界大戦は終わりました。しかし、その後にも世界各地の戦争によって、今この週間にも多くの人々が苦しみ、亡くなっています。銃を持って戦っている子どもたちがいることを知っていますか? 銃で人を殺さなければ自分が死んでしまう、そんな世界が想像できますか? 戦争によって一番に犠牲になるのは、罪のない子どもや弱い女性や老人です。住んでいる国が違うとか、はだの色、話す言葉など、確かに違うところはたくさんあるけど、世界中の人々が互いに認め、互いに助け合えば、争いがなくなるのではないでしょうか。
もう二度と草木は生えないと言われた広島。その焼け野原からたくましくよみがえった被爆樹木。被爆樹木は原爆の恐ろしさを、生々しく残された傷跡で訴えかけています。私たちはその被爆樹木のメッセージを受け止め、未来に受け継いでいかなくてはなりません。
戦争を始めて、人を殺すのも人間ですが、戦争でケガをした人を治療したり、悲しんだり苦しむ人を必至で助けるのも人間です。だから戦争をやめることができるのも人間なのです。戦争のない、命あふれる未来を、未だ見ぬ私たちの子どもたちに残していくことが私たちの役目です。
私たち一人ひとりが世界に訴える力はとても小さく無力に思えます。だけど、ここにいる私たちが同じ想いを世界に訴えかけたらなら。世界中の人びとが手を取り合って、世界に平和を訴えかけたなら。世界は必ず変わります。私たちは世界を動かす力をもっています。一人では小さな力でも、みんなで心を一つにして集えば大きな力になるのです。 「もう戦争はいらない! 核兵器もいらない!」
子どもの広場全体のスケジュール 2006年8月5日(土)
★ 8:00〜 8:30 子ども慰霊祭 (平和公園内 原爆供養塔前) ★ 8:35〜10:05 フィールドワーク ★10:10〜10:20 ダイイン ★10:30〜11:30 被爆電車 ★10:40〜11:30 被爆のお話を聞こう ★12:40〜14:45 メッセージfrom ヒロシマ2006 ★15:00〜16:40 灯ろう作り ★15:00〜16:40 海外ゲストとの交流会