中央教育審議会が昨年11月に教育基本法の全面改正を求める中間報告を公表し、今春にも本答申の提出をめざしている。そしてそれを受け今回の通常国会に教育基本法の改正案が提出されるのではないかとの報道がなされている。
教育基本法は、「教育の憲法」とも言われ準憲法的な性格を持った重要法律である。従って、憲法改正と同様に幅広く十分に国民・識者の意見を聴くなど、時間をかけ慎重に結論を出すべきである。
昭和22年に制定された教育基本法は、その前文において「民主的で文化的な国家の建設」や「世界の平和と人類の福祉に貢献」という国家的視点のみならず、世界的視野に立った目標を掲げ、その理想の実現を教育の力に託したところである。
また同法第1条において教育の目的を「人格の完成」し、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義など、自主的精神に充ちた国民を育成するという普遍的な人間像を示すとともに、それを保障するための「教育への不当な支配の排除」(同法第10条)や、義務教育等の実施、そして教育に必要な諸条件の整備等々、簡潔ななかにも教育が必要とする課題や諸条件が過不足なく網羅されている。
しかるに中間報告においては、今日の国民の自信喪失やモラルの低下、そしていじめや不登校あるいは学級崩壊といった教育の現状と課題等を安易に教育基本法と結びつけるとともに、「国家戦略としての教育改革」といった視点から「心豊かな日本人の育成」とか、「日本人のアイデンティティとなる伝統、文化の尊重」、あるいは「国を愛する心」といった国家的視点から見直しに重点を置かれるなど、上からの押す付けになるおそれがある見直しが含まれている。もとより、伝統・文化等の尊重は重要であるが、現行の教育基本法がそれらを排除しているわけではなく、その他の見直し事項を含め現行法の中に含意されており、十分に対応が可能である。
憲法と同様、半世紀を経過した教育基本法について、その改正を否定するものではないが、国民的議論を経ていない段階での拙速な見直しには同意することができない。よって、教育基本法の拙速な見直しに反対するとともに、十分な国民的論議を経るなど慎重な対応を求めるものである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成15年 月 日
大和郡山市議会
提出先
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 文部科学大臣