いま私たちは「教育基本法改悪の道のり」のどこに立っているのか?

  新聞各紙は、1月9日に開かれた「与党教育基本法に関する協議会」の結果をみて、「今国会見送り」と報じたことから、大方の 人が「朗報」と取っています。たしかに、19日から開かれる通常国会に教基法の改悪法案が上程されないことは、最悪の事態ではない と思います。それを避けることができたのは、運動の大きな成果といってよいでしょう。

  しかし、各紙を詳細に読むとき、教基法改悪への手続きが、今確実に進んでいることに注目する必要があります。朝日 (内外ニュース速報 1/9 付)と産経(同 1/10 付)、および共同通信の配信記事(同 1/10 付)が述べるところによると、自民・公明両党は、昨年の衆議院選の直前まで開かれていた与党の勉強会(「教育基本法に 関する検討会」)を終え、今回次の段階としての「改正」に向けた法案の具体的な協議に入ったことを報じているのです。

  たとえば朝日は、「自民・公明両党は…『与党教育基本法に関する協議会』を国会内で開き、名称を『教育基本 法改正に関する協議会』に改め、『改正』の方向を明示したうえで調整を続ける方針を確認した」としています。 共同も、「自民、公明両党は九日、国会内で『教育基本法に関する協議会』を開き、同協議会の名称を『教育基本法 改正に関する協議会』に変更し、改正への具体的な作業に入る方針を決めた。公明党は同法改正に慎重だったが『よ りよい法律に変わるなら考え得る』と改正を容認した」と報じています。読売( 1/9 付)も短く同様の内容を伝えているのです。

  では、なぜ「今国会見送り」の見出しが踊ったのかといえば、この下の記事「 12/23 全国集会の成功を、教基法改悪阻止の大きな一歩に」で書いたように、与党内に「容易に憲法と教基法の改悪 に着手できない微妙なバランスが、いま生じて」いるからですし、その点を産経は、次のように説明しています。

  「協議会では、改正に慎重だった公明党の冬柴鉄三幹事長が『改正という字句を入れて詰めた議論をしてほし い』と改正自体に反対しない考えを表明。また、(中略)下部組織の『教育基本法に関する検討会』(座長・保 利耕輔元文相)も『改正に関する検討会』と改称し、週一回のペースで会合を開く方針だ。(中略)」

  「公明党が『教育基本法の全十一条の枠組みを作り直すことも視野に入れる』(保利氏)との協議継 続に賛成した背景には、抜本的見直しの協議を始めれば、『通常国会での改正案提出は厳しくなる』(幹部)との本音がある。」

 「実際、抜本改正の協議となれば、論点が多岐にわたり、法案整備までの議論の長期化は避けられない。自 民党の一部にある『(与党内で意見の隔たりが大きい)教育基本法改正が参院選の争点になることを避けら れる』(幹部)との計算も、通常国会での改正案提出にブレーキをかけている格好だ。このため、協議会後 の記者会見で保利氏は『急いで議論を詰めるのはなじまない』と述べ、通常国会での改正案提出は微妙との見方を示した。」

  以上を分析すれば、今通常国会で上程はまぬがれたものの、これから与党は、週一回のペースで教基法 を全面的に見直す新法案の具体的協議に入るのであり、その中の「愛国心」などの条項で具体的に対立する ことが予想されるため、手続き的にも今国会の上程は無理であり、結果として選挙後に決着が付けられることになる、というものです。

  したがって、もし次回の参院選で今の微妙な力関係に変化が起これば、一気に改悪へと進むための手続 きが着々と進められていくことを意味します。この下の記事「公明党はいつまで抵抗できるか?」で、「当セ ンターが得た複数の確かな情報によると、公明党は、今年10月にも予定される選挙の後に法案の詰めの作業 に応じざるを得なくなる」と予測した事態が、確実に進行しているのです。ただ、それが一気に進む状況のみ を、衆議院選挙の結果やイラク派兵をにらみつつ参院選挙が焦点となることが押しとどめているにすぎません。

  私たちは今、改悪反対運動をもっと広げるための「時間をもらった」状態にあることを 認識する必要がありそうです。