教育基本法の改悪案が今通常国会に提出されることは、まず無くなったようです。6月6日付け(国内外ニュース速報、以下同じ)で読売・毎日が報じているように、与党として法案の作成作業に入ろうとした自民党の説得に、公明党が応じなかったからです。
この点については、朝日が5月29日付けで、「国を愛する」の「国」を「くに」「郷土」などに改訂することで与党が合意する可能性を報じていました。ところが、教基法の改悪の先頭切って進んできた産経は、むしろ困難さを表明しています。ウェブ上でこそ報じてはいませんが、新聞紙(6/6)上において、「教育基本法/改正案提出困難に 与党作業部会/勉強会に格下げ」という見出しの記事を載せています。そこでは、「与党間の正規の協議機関ではなくなったことで、この勉強会が直接、改正案の国会提出に向けた手続きに入ることはない。今国会への改正案提出はきわめて難しい状況になったといえる」と報じ、公明党幹部がこの「勉強会」について、「作業部会では結論を出さざるを得なくなる。この会は頭の体操をするためのものだ」と解説したとしています。さらに、産経は6月7日付け記事で、自民党が教基法の改悪と政治資金見直しを公明と取引したと報じていることからみても、少なくとも今国会での法案提出はきわめて困難になったようです。
とはいえ、公明党の頑張りには、時間的な限界が予想されます。現在、同党が自民党に抵抗できる条件というものは、春の統一地方選で自民に大きな貸しを作っていることであり、この条件は次の衆院選が間近(今秋にも予定)である限り存在しつづけるとはいえ、それ以後は期待できないからです。来年になれば、どうなるかわかりません。
しかし、これで私たちがしばし時間的余裕を得たこともたしかです。文科省が各地で開催した教育改革フォーラムなども、十分な「成果」をあげるどころか、鳥居・中教審会長が、教基法は「戦後のどさくさの中で作られた法律」(5月25日付け朝日)と口を滑らせたり、先の戦争は自衛のためで「犠牲になったのは日本人」(5月25日付け共同)だったと、「つくる会」と同じ主張をするなど、憲法改悪や侵略肯定のための教基法改悪であることを自ら認めてしまったことは大失態でした。この全国五箇所のフォーラムを、共同通信は「議論は深まらず、消化不良が目立った」(6月8日付け)と、否定的に報じています。
こうした状況を受け、私たちが教基法の改悪法案が国会に提出される前(つまり今年中)に地方議会での決議を推し進めるならば、十分勝ち目があります。今回、2000年にさかのぼって関連決議を探したところ、改悪推進決議が2つ追加となりましたが、大局が反対である事実は動いていません(97:4、「地方議会決議の動向と対策」欄参照)。改悪反対や慎重審議を求める決議は、公明党はもちろん、自民党さえ一部巻き込んで進んでいます。6〜9月議会には日本会議も反撃に動き出すと予想されますが、地方議会でのたたかいは圧倒的に有利です。最終的に彼らを圧することができなくても、同程度の決議数であれば、改悪は困難になるからです。大いに各地で頑張りましょう。
ところで、今回「『つくる会』の動向」欄を再開しました。上杉氏が、「『つくる会』の今」で、扶桑社の経営の内情を暴露し、赤字に転落したことを明らかにしています。これは、「つくる会」教科書を「71万部も市販した」という宣伝がデマだったことを、根拠をもって暴露したものです。また、彼らが抱える困難さを的確に分析するとともに、宗教右翼へと今後純化するしかないことが予測されています。その彼らが今、期待をかけているのが、中高一貫校での採択と教育基本法の改悪です。
この夏は、広島中高一貫校への採択反対署名と地方議会決議でがんばりましょう。そして、明成社『最新日本史』を採択をしない要請も送り、次の局面へのステップを、しっかり固めましょう。