文部科学省の『心のノート』活用調査に対して、教育委員会への要請活動に取り組むよう呼びかけます
2003年6月17日
子どもと教科書全国ネット21事務局長・俵 義文
文部科学省は、次のような文書を出して、『心のノート』の活用調査をはじめました。これは、昨年7月12日に文科省がだした「『心のノート』の配布状況について(照会)」による配布調査で予告していたものです。
文科省は、昨年まで、『心のノート』は強制できない、強制はしないと国会で答弁してきましたが、2月27日の国会で、矢野重典初等中等局長が、教育委員会や学校長が使用を決めれば、教職員には使用の義務が生じると答弁しています。(詳しくは『ちょっと待ったぁ〜!教育基本法「改正」』参照)。この答弁と、活用調査で、現場での強制が一挙に強まること危惧されます。教育委員会に対して、この調査に協力しないよう、また、強制につながるような回答をしないよう申し入れる活動を呼びかけます。
この要請は、「地域ネット」、市民組織、教職員組合などの組織でも、個人でもできます。団体会員を含む会員の方が、ぜひ、こうした要請活動に取り組まれるようよびかけます。活用調査に協力すべきでない、強制するなという理由は、次のようなことをあげられたらどうかと思います。
1. 学校で使用する教科書は、内容については検定というチェックに合格し、また、採択という手続きを経てはじめて子どもや教師の手にわたり使用されている。『心のノート』は、そのどちらの手続きも経ていない。法的に見ても手続き上に問題がある。(私たちは検定には色々な問題があると考えているが、しかし、文科省が決めている手続きを無視していることは重大である)
2. 『心のノート』は、内容の面でも、子どもの心に踏み込み、9年間にもわたって子どもの心を管理・統制する危険性がある。国家が人間の心の中にまで入り込むことは、憲法・教育基本法が禁じているものであり、各方面からも批判や危惧が表明されている。
【資料】文科省の『心のノート』活用調査
文科省は03年5月19日、初中局教育課程課長・大槻達也名で各都道府県・指定都市教育委員会 指導事務主管課長宛に、「『心のノート』の活用状況について」という「事務連絡と題した文書を出した。この「事務連絡」は「『心のノート』の活用のための各教育委員会の取組、学校等での活用状況、これまでの成果や今後の活用に向けての課題等について」、各市町村教委がまとめて、7月11日までに報告するよう求めている。
調査項目は、「T 教育委員会における取組」「U 学校等での活用状況」「V これまでの成果や今後の活用に向けての課題等」の3つである。
「T」では、次の調査項目がある。「1 各学校おいて、『心のノート』の活用が図られるよう、貴教育委員会において、どのような取組を実施していますか。(実施予定を含む。)具体的に記述してください。その際、関係機関、団体等への働きかけなどを行っている場合には、相手方を具体的に挙げてください。資料がある場合には、別途添付してください」。
「U」では、3つの調査項目がある。「1 児童生徒の『心のノート』の活用を一層促すために、域内の学校において、これまでにどのような活用が図られていますか。有効な活用方法と思われる事例について記述してください。資料がある場合には、別途添付してください」とあって、小学校、中学校別々に、次のような「活用範囲」が書いてあり、「有効な方法」をそれぞれ具体的に書き込むような表になっている。
「活用範囲「ア 各教科」「イ 道徳の時間」「ウ 特別活動」「エ 総合的な学習の時間」「オ 学校での日常活動(上記のア〜エ以外の場面)」「カ 家庭での日常活動」「キ 家庭や地域との連携」「ク その他(上記ア〜キ以外の場面)」。「2 域内の学校において、道徳の時間以外で、『心のノート』が多く活用されていると思われる場面を、小学校、中学校それぞれ、ア〜キのうちから3つまで選び、○をつけてください」として、次の項目について、小学校、中学校で別々に○をつけるようになっている。「ア 各教科」「イ 特別活動」「ウ 総合的な学習の時間」「エ 学校での日常活動」「オ 家庭での日常活動」「カ 家庭や地域との連携」「キ その他(下記の欄に具体的に記入ください)」。「3 『心のノート』が効果的に活用されていない状況が見られた場合、その理由としてどのようなことが考えられますか。ア〜エのうちから選び、○をつけてください。(複数回答可)/また、そのような状況が見られる場合、その具体的な内容をあわせて記述してください」として、次の項目がある。「ア 教師に理解や活用への意識が十分でない」「イ 児童生徒の共感が得られていない」「ウ 保護者や地域の理解が得られていない」「エ その他」。
「V」では、次の3つについて、具体的に書くようになっている。「1 児童生徒、教職員、保護者、地域等に関し、『心のノート』の活用の成果としてこれまで、見られたことなどについて、記述してください」。「2 今後、各学校において、『心のノート』を活用するに当たって、どのようなことが課題として考えられるか、また、教育委員会としてどのように取組を進める必要があると考えているか、記述してください」。「3 児童生徒、教職員、保護者等の意見や感想等で、『心のノート』の内容について、改善の参考となると思われるものがあれば、記述してください。(記入の際は、冊子の種類別(小学校1・2年用、3・4年用、5・6年用、中学校用)及び該当ページを明記してください)」。
最後に「※なお、『心のノート』の活用の実態について調査した資料(研究会等によるものも含む)があれば添付してください」と書かれている。