杉並区で「つくる会」教科書の不当採択で裁判が始まる

 ―「つくる会」は重なる内紛で混乱を拡大―

  昨年の採択の総括を終えてしばらく、このホームページはお休みをいただいていましたが、どうしてもお知らせしなければならないことが少しずつ出てきましたので、これから断続的に記事を掲載させていただきます。

 「つくる会」の違法採択が法廷の場に

  まず重大な出来事として、昨年、「つくる会」歴史教科書が採択された杉並区の住民8人が、2月9日、杉並区長を相手取って東京地裁に提訴したことがあります(国内外ニュース参照)。呼びかけによると、「杉並区教育委員会は、中学校教科書採択において、区民の声、区内中学校教師の声を無視し、以下の異常な行為を重ね、扶桑社版歴史教科書を採択しました。このことに、私たちは怒りを込めて提訴に踏み切ります」とし、「杉並区の異常な行為」を次のように紹介しています。

  1.教員が書き、調査委員会が受理した調査報告書を書き換えさせた。
  2.教科書採択は8月4日に予定されていたが、社会科だけ8月12日まで延期、この日は交流事業で中学生が韓国から帰宅した日であった。
  3.教員が提出した調査研究資料のほぼ9割が扶桑社版教科書をマイナス評価し、区民アンケートでも多くは扶桑社版教科書をマイナス評価していた。
  4.採択は静謐な環境を保障すべきであるのに、採択前に扶桑社版教科書執筆者が杉並区教育委員に対し、脅しまがいの「公開質問状」をマスコミ等で発表。
   さらに、その執筆者が教科書採択を傍聴し圧力をかけた。

  杉並の勇気ある提訴に対し、愛媛の「えひめ教科書裁判を支える会」から連帯のメッセージが送られました。それによると、「ご存知のように愛媛県教育委員会は、2001年度の採択において『つくる会』教科書を採択しました。私たちは、『こんな教科書は子どもたちに渡せない』と、その採択の無効を求めて2002年3月18日に提訴しました。このときの原告は、わずか8名でした」とし、「『戦争ができる国』に日本社会をつくり変えることを目的に作られた『つくる会』教科書を違法・不正行為を積み重ね、子どもたちに押し付けようとする行為は絶対に容認出来ません。これを裁判を通して白日の下にさらけ出してゆきましょう」と呼びかけました。

  昨年の教科書採択において、愛媛県下全域で「つくる会」教科書の採択が危ぶまれていたにもかかわらず、市町村段階でゼロに終わった最大の理由は、教育基本法などを使った訴訟によって積み重ねられた法的な力でした。東京・杉並でもこの裁判によって、提訴は少数であっても今後、教委は訴訟の対応にひたすら追われ、防戦一方になっていくでしょう。それはやがて杉並での採択は失敗であったという教訓となり、全国の市町村の教育委員会の意識に刻まれていくことでしょう。

  追いつめられた「つくる会」の内紛劇

  3年後の対決に向けて包囲網を狭めてきた市民の側の攻勢のなか、「つくる会」は内紛をつづけています。1月17日、西尾幹二名誉会長が、「若い人と言葉が通じなくなってきてむなしい」(読売2/18)と述べて辞任。2月27日の「つくる会」理事会においては、なんと宮崎正治事務局長の解任がきっかけとなって、追及は八木秀二会長と藤岡信勝副会長までおよび、ついに理事会の決議によってこれら3人が解任されました。これで名誉会長・会長・副会長・事務局長の4役が一人もいなくなり、とりあえず新会長に種子島経理事を決め、副会長・事務局長などは近く選任することになったといいます。

  この動きについて、産経新聞は2月28日に3人が「辞任」と誤報したところ、「つくる会」のホームページは同日、「解任」であると、訂正の記事(※)を掲載しました。産経新聞は3月1日、あらためて「解任」であることがわかったと訂正報道し、さらに1月における西尾前名誉会長の辞任も、宮崎氏の更迭を要求して容れられなかったためであったことを明らかにしました。

  その意味で、今回の解任劇は、種子島氏と関係の深い西尾氏(二人は大学の同期)による巻き返しとの分析も可能で、核心は宮崎事務局長の処遇(惨敗の責任と財政問題と推測されます)であったため、産経新聞は「西尾院政」「藤岡前副会長の影響力は残る」(産経3/1朝)と報じています。したがって、これがそのまま「つくる会」の解体に結びつくかどうか分かりません。私たちとしては、彼らの自滅を待望するより、彼らの情報の真偽を確認しつつ、私たちの運動を広げていくことに精を出しましょう。

この記事は、翌3月1日、新たに差し換えられました。(現在のものはhttp://www.tsukurukai.com/01_top_news/file_news/news_060301.html にあります。)