参院選の大きな成果をふまえ、憲法・教基法・教科書問題で勝利しましょう

 7月11日の参議員選挙は、自民党敗北、民主の大幅な議席増という結果を得ることができました。

 見方によれば、自民党は1議席を減らしただけであって、逆に1議席を増やした公明党を合わせると、与党としては変化なし、と言うことも可能です。民主党の議席数の多くも、共産党の減少の結果といえます。

 しかし、与・野党の議席数全体を比較すると60:61となり、今回の選挙に限っていえば、与野党の勢力比は、昨年の衆院選を上回って完全に逆転してしまいました。野党の数には無所属を加えていますが、今回当選した無所属議員はすべて、自民と対抗して選挙戦をたたかった人たちばかりであることを考えるとき、決して無理な判断ではありません。

 今回の選挙結果を、憲法や教育基本法の改悪と「つくる会」教科書を阻止する立場から考えるとき、大きな可能性が開けたと見ることができます。その第1は、自民党右派の行き詰まりです。この下の欄で、すでにご紹介したように、安倍晋三・自民党幹事長は、教基法や教科書問題を選挙の争点にするという名目で、実態的には宗教右翼勢力を自民党の選挙戦に動員する方式を今回とりました。その結果、日本会議の支持を受けた山谷えり子氏が自民党比例区で6位につけて当選するなどしています。しかし、同じ日本会議に属する軍恩連の鈴木正孝氏は落選、防衛庁出身の現職・月原茂告氏、新人の関肇氏なども落選、右派の退潮を示しています。

 その結果、選挙の終盤になり、日本会議国会議員懇談会の副会長である平沼赳夫氏は、公明党に頭を下げて選挙協力を要請、安倍幹事長も冬柴幹事長に14選挙区での支援を要請、日本会議など宗教右翼がもっとも嫌う公明党との票のバーターを開始しました。この結果、公明党は自民党に選挙区で投票するかわりに比例区で自民票をもらい、かなりの成果をあげました(国内外ニュース7/12記事など)。

 これは、右派に依拠しても自民党が勢力を盛り返すことが不可能であったことを示すもので、安倍路線の行き詰まりを意味するとともに、憲法や教基法改悪問題で今後、公明党が自民党に対して発言力を強める結果をもたらすだろうことは、多方の予想するところです。参院選敗北の責任をとっての安倍幹事長の辞任は、選挙全体での敗北のみならず、彼の右翼路線の破綻をも意味しているのです。「北朝鮮」に対しても強行路線をもつ彼は、いま拉致問題にかかわれなくなっており、小泉再訪朝やジェンキンスさんの来日などからも、完全に埒外に置かれています(拉致問題で彼を支持してきた「家族会」と「救う会」も対立を始めています)。その彼が、次にどのようなポストを得るか、私たちは注意深く眺めておく必要があります。

 第2は、与党の中で相対的に位置を高めた公明党に、憲法や教基法問題で、独自性を発揮してもらうチャンスを得たことです。憲法9条の改悪に対しては民主党より慎重であること、教基法についても、すでに自民党との間にかなりの妥協を完了しているものの、そこから引き返すことも含めて、愛国心などでの両党の亀裂を大きくすることは可能です。肝心なことは、公明党に最初から見切りを付けて攻撃などし、自民党の側へ追いやらないことです。味方の内部対立を小さくし、敵の内部対立を拡大することこそ勝利の秘訣だからです。

 そして、もっとも大切なのが第3です。今回、野党が与党に勝てなかった当選枠一人の選挙区を見ると、驚くべきことがわかります。つまり山形・富山・鳥取・徳島・香川・愛媛・佐賀・熊本の8選挙区は、公明の支持を得て自民党が議席を取ったのですが、野党は民主・共産・社民が分裂選挙を行い、共倒れしていることです。もし三党が共闘していれば、合計票は8選挙区すべてで自民党を上回り、野党が自民党を議席数で圧倒したことが、今回の選挙結果から判明します(7/13の新聞各紙をご覧下さい)。

 今回も沖縄では、民・共・社の野党共闘が成立し、糸数慶子氏が与党を大差で破りました。もし自・公が進めたような選挙区と比例区の票のバーターが、次回の選挙で野党にできるならば、公明党も自民から離れ、自民党政権は瓦解するでしょう。

 たしかに、憲法や教基法で政策の幅の大きい民主党を野党共闘に組み入れることに抵抗を感じる方も多いと思います。しかし、自民党政権が倒れるということは、憲法も教基法もその改悪を推進する勢力自体がなくなることを意味します。もしそうなれば、元野党(つまり新与党)内の政策対立は、もっと別の問題へと移行することができます。自民党を倒す野党選挙協力を、次の選挙でぜひ実現させたいですね。

 小泉政権を支えたのは、まずブッシュ政権です。今、それに追従して戦争を始めた世界の政権は、「イラク戦争」が行き詰まったことに応じて、政権交代の危機に陥っています。ブッシュは秋に大統領戦をひかえ、ブレア政権も崩壊寸前です。日本でも与野党交代の可能性が世界に発信され、中国は民主党との協力を模索し始めています(国内外ニュース7/12)。北京オリンピックをひかえた中国は、靖国神社への参拝をつづけている小泉政権と、経済協力さえ十分できない状況に置かれているからです。これは、日本の経済界にとっても障害です。右派路線を歩み続けた小泉政権は、任期切れの2年後を待たず、辞任に追い込まれる可能性大です。

 来年は、憲法・教基法・「つくる会」教科書採択と、大変な年でもありますが、戦後60年でもあります。韓国のノ・ムヒョン政権の安定化、中国の経済発展、日朝国交正常化の可能性など、アジアを無視して日本の政治が進む時代は終わりつつあります。この大きな潮目の変化を意識しながら、反撃の秋を準備しましょう。