歴史・教育問題からみた
第2次小泉改造内閣と自民党新三役の性格

  9月27日に発足した第2次小泉改造内閣と自民党新三役の顔ぶれを、歴史・教育問題から見るとき、いくつかの特徴が浮かび上がります。拙速な結論は避けつつも、当面の情報を整理しておきたいと思います。

@安倍晋三幹事長が降格となり、幹事長代理になりました。このことは、武部勤新幹事長が郵政問題にかかりっきりになることを考えれば、党内実務の多くが安倍氏に委ねられることになりそうです。その場合、教育・教科書問題についても、これまで最右翼の路線を突っ走ってきた安倍氏が実権を握る可能性が高いものとなります。ただし、彼は先の参院選で、票のとりまとめのため創価学会に頭を下げたこともあり、教基法で公明党にこれ以上の妥協を迫ることが困難であるという推測も可能です。それと比較して、「つくる会」との関係でいえば、彼にこれまで何ら問題は生じていません。むしろ先の参院選から、彼の指示のもとで自民党の機関が組織的な「つくる会」支援の動きを進めてきましたので、こちらの方向は今後強められていく可能性が高いといえます。

A新任の中山成彬(なりあき)文部科学大臣は、森派ですが、これまで教育基本法改悪問題に登場してこなかったメンバーです。地元(宮崎1区)では、公明党の強力な支援により先の衆院選で民主議員に勝った経過もあり、教基法改悪勢力である日本会議と協力する議員連盟の活動など、これまで行っていないようです(もともと加盟していない可能性もあります)。ただ、「つくる会」と協力関係をもつ「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」には、発足当初から副会長として参加。現在は同会の座長としてナンバー2(会長は古屋圭司)の位置にあります。また拉致問題では、連れ合いの中山恭子参与が支援室長になってから、彼女に引っ張られる形で行動を開始、今は安倍氏が推進してきた自民党の拉致問題対策本部の事務局長に就いています。

  これらを勘案するとき、今回の組閣と執行部再編は、「教育基本法」を右翼路線で押し切るためというより、来年焦点化する「つくる会」教科書を支援する布陣となっているように見受けられます。町村信孝・新外務大臣が先の「つくる会」教科書の検定合格〜採択の際の文部科学大臣であったことなども合わせ見るとき、「つくる会」をめぐり対中国・韓国シフトをしいたと言ってよいかもしれません(結果論かもしれませんが)。当然にも、現政権中は、靖国問題で両国への妥協などもありえない布陣ということにもなります。

  以上から推測するならば、自民党は公明党に配慮して、すでに教基法で強行路線を貫けないと判断した可能性もあります。一応、与党として、先の中間報告の範囲内で新教育基本法の条文作成作業に入ることになりました(国内外ニュース9/21参照)が、新教基法のとりまとめ時期が確認されていないことを考えるとき、教基法改悪阻止にとって、チャンスが到来していると見て良いでしょう。ただし、現在の与党合意の内容でも、十分で重大な改悪となります。したがって、その線での改悪法案が作られる可能性も出てきたと言ってよいと思います。法案を取りまとめさせない闘いが、当面の課題となりそうです。

 いっぽう、「つくる会」に対する闘いは、大きな困難に直面する可能性があります。しかし、教基法闘争ではずみを付け、来春のたたかいに向かうならば、必ずしも難しい面ばかりではありません。この下の記事でも紹介したように、中国や韓国の姿勢は、「つくる会」や歴史認識で変わっていないどころか、北京オリンピックへ向け、対中国関係が占める位置は大きくなります。日中の首脳会談さえ行えない状況は、日本企業の中国における経済活動に大きな障害となっています。

  また、すでに今回の組閣によって、内閣・自民党自体の人材が払底していることがはっきりしてきました。自民党の内部抗争も始まるでしょう。それによって、同党は今後消耗していくことが予想されます。政権交代の起こる可能性は高くなりつつあります。安倍幹事長代理という苦肉の策は、小泉首相との心中を、半ば彼に選択させた面があり、自民党政権の終わりを予告するものになったかもしれません。

 今、地方議会では、教育基本法をめぐって日本会議の動きと改悪阻止勢力とが激突しています。9〜10月議会で、右派が更にかなりの決議をとる可能性が出てきています。しかし、私たちの決議も進んでおり、彼らの決議を阻止したところも多くあります。地元でしっかりたたかって、政権交代への展望をたぐり寄せましょう。(04/9/29)