「つくる会」白表紙本の配布などで文部科学省に対し高嶋・上杉両氏が申し入れ
――直後に記者会見も、以下続報で――
高嶋伸欣・琉球大教授と日本の戦争責任資料センター事務局長・上杉聰の両氏は、3月11日午後、文部科学省を訪れ、以下の申し入れを行いました。その報告と直後の記者会見の内容については、このホームページに随時アップします。
申し入れ書
内閣総理大臣 小泉純一郎殿
文部科学大臣 中山 成彬殿
2005年3月11日
琉球大学 高嶋伸欣
関西大学 上杉
聰
私たちは、扶桑社版の中学校歴史・公民教科書に強い関心をもち、おりに触れその問題点を指摘してまいりました。今回、この3月末に予定されている検定終了を目前にひかえ、同社および「新しい歴史教科書をつくる会」(以下「つくる会」)の活動、さらには文部科学省の姿勢について、看過し難いものがあり、ここに申し入れを行うものです。
1、昨年、「つくる会」の前副会長・高橋史朗氏が埼玉県教育委員に就任することが問題となった際、同氏が現在検定審査中の扶桑社版歴史教科書の監修者であるか否かについて、文科省は「申請図書等の内容」に該当し、検定作業の静ひつな環境を守るため「検定審査終了後までは公表しない」と、川内博史議員に対し文書で回答したとうかがっています。検定で審査の対象とならない監修者名まで「申請図書等の内容」に含まれるという主張には疑問ありますが、高橋氏が同書の監修者である(あった)か否かについて、検定後にすみやかに公表するかどうかさえ、文科省はいまだ明言しておられないと聞きます。
これは文科省が特定の団体や出版社の不公正を隠す情報制限をしているとしか考えられません。同情報をただちに開示するか、すくなくとも検定終了後のすみやかな公開をここに約束していただきたい。
2、文部科学省は「つくる会」の要請を受け、2002年、検定の規則を改定し、申請図書(白表紙本)が検定審査中に漏出しないよう、またもし漏れたことが判明した場合、検定を中止することまで表明しつつ各教科書会社にきびしい管理を指示したと聞いています。
ところが、昨年末から、多数の扶桑社版教科書の白表紙本が、埼玉県・東京都・京都府・和歌山県において、教育委員会関係者(教育長・教育委員長・教育委員・社会科担当の指導主事)に手渡され、今も現物やコピーなどをその方たちは所持しているばかりか、少なくとも京都府のA自治体と和歌山県のB自治体では、白表紙本を「扶桑社から受け取った」との証言を私たちは得ました。その事実を公表するよう私たちは要請しましたが、自らへの処分や不利益を恐れ、公表していただけないという残念な結果となっています。
私たちは、本来、白表紙本は広く開示され、ガラス張りの中で検定を行うべきと考えていますが、現在は、文部科学省の厳しい指示によって白表紙本をつかっての各社の営業・宣伝活動が禁止されているところへ、扶桑社のみそれを許されているという不公正な状態にあります。
もしそれが文科省の意図するところでないとすれば、ただちに省として実態把握を行うべきでしょう。私たちは本日、記者会見を行い、内部告発を含む事実の公表を全国の教育委員会関係者に呼びかけるつもりですが、文部科学省としても、教育委員会関係者に対して白表紙本を受け取った責任を解除する旨の通達を出したうえで、何よりまず第一に実態の解明を進めるべきです。
また、少なくともこのように広範な漏出(おそらくは氷山の一角)による不公正を補う措置がただちにとられるべきであり、扶桑社に対し検定申請の受理を取り消すなどの厳しい処分を検討するか、教科書会社全体に白表紙本の配布を禁止している現行規則を廃止するなどの措置を講じるべきでしょう。
3、文部科学大臣や政務官から「つくる会」寄りの発言が相次いでいます。中山成彬氏自身、大臣に就任するまで、「つくる会」と共に活動してきた「日本の前途と歴史教育を考える会」議員連盟の座長であり、下村博文文部科学政務官は今も同議連の事務局長です。
教科書検定と採択にかかわる文科省の担当者は今月2日、前記議連の会合へ出席し、扶桑社版「つくる会」教科書の採択が有利になる制度への改革を表明しておられます(産経新聞3/3記事による)。特定の教科書を支持する人物が同省のトップを占めているようでは、公正な検定・採択作業は望むべくもありません。
首相としても任命権者としての責任が問われかねません。ここに、中山、下村氏お二方の辞任・解任をお勧めするとともに、すみやかに上記1・2の措置を実施されるよう要請するものです。
以上