内から見た1/26集会
以下は、1/26民間教育臨調の設立集会(ニュース速報参照)へ参加したある方(匿名希望)の内部レポートです。「熱気にあふれ、あなどれない印象をもった」と、別の参加者も伝えてくれましたが、このレポートにはたいへん興味深い内容が含まれていますので、みなさん参考にしてください。
なお、この集会の裏舞台の驚くべき実態の分析は、後日改めてこのHPに掲載する予定です。
「つくる会」勢力は、今この教育基本法改悪に力を傾注しています。理由は、改悪によって教科書の内容を政府や「つくる会」の意のままにできる、採択に保護者や教師がまったく関われなくすることができるからです。
私たちも改悪阻止に全力を入れましょう。
「日本の教育改革」有識者懇談会
【設立大会・シンポジウム】
日時: 1月26日(日)午後1時〜4時15分
場所: 砂防会館大ホール
主催: 「日本の教育改革」有識者懇談会(略称:民間教育臨調)
(旧・新しい教育基本法を求める会)
〜プログラム〜
第1部 設立大会 (総合司会 元参議院議員 小林正)
一.開会
一.国歌斉唱
一.開会の辞 (元ブリヂストンサイクル社長 石井公一郎)
一.会場挨拶 (岩手県立大学長 西澤潤一)
一.国会議員祝辞 (自民党衆議院議員 平沢勝栄)欠席
(民主党衆議院議員 上田清司)
(自由党参議院議員 田村秀昭)
(保守新党衆議院議員 山谷えり子)
一.活動方針提起 (明星大学教授 高橋史朗)
第2部 シンポジウム
テーマ「教育基本法をいかに改正すべきか」
京都大学教授 中西輝政
埼玉大学教授 長谷川三千子
狭山ヶ丘高等学校長 小川義男
産経新聞論説委員 石川水穂
コーディネーター 明星大学教授 高橋史朗
<配布資料>
・プログラム
・「日本の教育改革」有識者懇談会
趣意書、役員名簿(241名)
わたしたちの目指す研究活動
・活動方針
・第1〜4部会(教育理念部会、学校教育部会、
家庭教育部会、教育制度部会)
・『新しい教育基本法へ6つの提言』
(新しい教育基本法を求める会編)
・『湧泉 第2号』 日本時事評論社
・ビラ
「平成新選百人一首」 明成社
「日韓共鳴二千年史」 明成社
「台湾と日本がアジアを救う」 明成社
「私たちの美しい日の丸・君が代」 明成社
「今、この国を救うもの −教育改革−」 善本社
「2/6 ぶっとばせ!ジェンダーフリー」集会案内
「師範塾」第3期生募集広告
・アンケート
・封筒
天気の良い日曜日、地下鉄赤坂見附の駅から三宅坂をのぼって、砂防会館へ向かいました。近づくにつれ、どうしても緊張してしまいます。別にスパイとかそういうつもりではなく、教育基本法「改正」賛成の人たちの意見、理由はどんなものなのだろうか、それを知りたかったので参加しました。
1000名の会場というのに、砂防会館の入り口は小さなものでした。人もあまりいません。開会20分前だからかなと思って中に入ると・・・。
びっくりしました。正装をした、胸に大きな白い造花を飾った受付の人。その横にはずらりと本も売っています。入り口のガラスが黒くて中が見えなかったのですが、中にはもうすでにかなりの人が集まっているみたいでした。
受付で名前を記入し、資料をもらう(「整理券」という紙や手紙を渡す人が多く、私のような一般はそれほど多くないようでした)。
すぐに会場に入らず、売っている本を見てみたのですが、「日本の神話」とかいう大人用の本や絵本、小倉百人一首ではなく、昭和初期までの歌の入った百人一首(武勇の歌も入っているとか)、修身から感動的な物語を集めた本などなど、今まで私の行った集会ではどこでもお目にかかったことのない本ばかり。全く買うつもりはなかったのですが、かなりの人だかりで、あるおばさんは、「私、ここの本、全部持ってますよ」と、売店の人とニコニコ話していました。
(この女性、面白い髪形。三編みをぐるっと頭の前の方まで持ってきています。戦前・戦中を舞台にしたドラマに出てくる女性には確かこんな髪形の人もいたような気がします。あとで気づいたのですが、この会に参加している女性の半分以上が同じ髪形。これにはびっくりしました。)
と、驚きつつ会場に入りました。スーツ姿のおじさん(どちらかというと、おじいさん)がたくさん。「先生」という呼びかけがたびたび耳に入ってきます。
私は、真ん中よりも後ろ、ちょっと右寄りに陣取りました。座って前を見ると、会の名前のかかれた看板の下に日の丸。その下にはずらっと役員関係の椅子がこちらを向いて並んでいます。大きな白い造花を胸につけた役員、パネラーが既に何人も座っていました。役員席は80名以上あったでしょうか。
隣に座ってきたおじさんが、とても丁寧な気さくな方で、私に、あの方は誰?と役員、パネラーを指差しながら聞いてきます。私はその指差す人を知らなかったのですが、その人の前に垂れた名前の書かれた紙を見つつ答えました。「ああ、あの人が・・・」とおじさんは人物をよく知っているようでした。
ついでにこのおじさん、資料の雑誌『湧泉』のこことここがすばらしい内容だよと教えてくれました。ぱらぱら読んでみたのですが、すべて「行過ぎたジェンダー」の箇所(まあ、その特集だったのですが)。「ジェンダーとはフリーセックスの別称!?」とか「過激派フェミニストの魔術から解放を」とか、「男女共同参画はカルト思想」とか・・・。
さて、時間正確にスタート。開会の挨拶では、小林元参議院議員が、「今年を正念場と取り組まなければないない」とコール。あれ?これは私たちの集会でも聞きますよね。
次は、国歌斉唱。狭山ヶ丘高校(中学だったか聞き漏らしました)の5人の生徒が無表情で出てきて、彼らがまず1回歌って、そのあと参加者全員で1回とご丁寧に2回です。もちろん全員起立で、役員たちも日の丸を見上げます。日の丸を中心に見事に放射線状に人が並んで歌う君が代。おじさんが多いのに、どうしてこんなすごい大きな声なのかまたまたびっくりでした。
ふと思い出したのは、ここ連日報道している北朝鮮のテレビ番組の映像。あれとなんら変わらないなあと思ってしまいました。
国歌斉唱の後は、石井氏の挨拶です。これまでの経過説明が中心でした。
森前首相のころは世論の喚起に努めてきた。そこで、中教審ははっきりした改正の答申を出さなくを得なくなった。教育基本法を中心に今後も活発な活動をしていきましょう、という内容。会場拍手。
次は西澤会長の挨拶。
以前から日本の教育を憂えてきたが、ようやく責任持って発言できる立場になった。旧制高等学校のように、すばらしい個性教育を行いたい。現行教育基本法でもやっていけると思っていたが、現実はちっともよくならない。法の文言を変えるしかないと思った。今回しくじれば、日本の立ち直りの重要な時期を失する。公を意識しなくなった自己中心主義を改めよう。この会は、もっとも政党活動的でない会です。
うーん。すでに頭がこんがらがってきました。
「個性教育」「現行教育基本法でもやっていける」
私たちも使う言葉をどうも違った意味で使っているようです。人間というのは、ある程度人の会話の内容を予測しつつ聞いているようで、その予測がことごとくはずれ、私の頭はショート寸前でした。
いよいよ、議員からの祝辞。自民の平沢議員は欠席で、民主の上田議員からでした。
いきなり日の丸に礼をしての登場にびっくり(帰りももちろん礼!です)。
挨拶の内容としては、「民主党の真ん中から右の方を代表して今日はうかがいました」と言って、(私以外の)会場のつかみはOK。
憲法を見ると、権利が16、自由が9、義務が3つ書かれている。
日本には最古の木造建築がある。最古の長編文学もある。もっと誇りを持つべき。
権利が16で義務が3つだからどうなの? 最古のものがあるからどうなの?
はっきり自分の意見を言わない人だなと思いました。
次は自由党田村議員。わざわざ和暦を使っての挨拶から始まり、天皇の病気を心配する。その後、教育の荒廃は政治の責任、官僚任せにしてきてしまった・・・と。
最後は保守新党の山谷議員。教育基本法には普遍的な文言もあり、この理念を活かさない方が問題だという意見もあるが、そうではないと確信している。
フリーター増加、不登校、売春・・・すべて個人の自由ばかり教えてモラルを教えてこなかった。
子どもの悲鳴が聞こえます。美しい日本、日本人の持つすばらしい伝統、日本の再生を!
あれ? 市民連絡会のアピール文に「子どものSOSが聞こえます」というフレーズなかったでしょうか? 言葉は同じなのにその背景の考え方は全く反対。頭がもっとホワンホワンしてきました。
あうんの呼吸みたいなのがないんですよね。そんなこと言えば皆が怒るだろうというところで会場は笑い、反対に私が笑いたくなるところで、会場は怒りにどよめく。なんとも不思議な感覚。
山谷議員は続けて発言します。現在開かれている日教組の大会に対し、国家観、家族の愛などをなきものにしようと作り直された教育を進めてきたと発言。
また、教育基本法改正を時期尚早という議員に対しては、現実をわかっていないのか、知的怠惰なのか・・・とコメントしていました。
さあ、ここでお待ちかね(?)の祝電タイム。祝電は2通。やっぱりあの人とあの人でした。
「今国会で改正法案を提出し、断行しようと思っている」中曽根
「国家の重要課題として、みなさん、頑張りましょう!」森
活動方針を、明治の武官のような、鐘馗さまのようなヒゲを生やした高橋運営委員長が述べて、第一部設立大会は終了です。
休みもなく、急いで会場を設定し、2時10分、第2部シンポジウムのスタートです。
4人のパネラーが15分ずつしゃべって、そのあと討論、そして最後にまとめの言葉をそれぞれ、という予定でした。
1人目は、京大の中西教授。
・日本を指導するリーダーを作るのが私の役目
・「戦略としての教育」を提唱
・中国の対日戦略としての教科書への介入
・日本よりも早く先進国になった国は必ず衰退期がある。今の日本はその衰退期。それほど問題とは思わない。ここからいかに抜け出すかが大切。教育改革として克服すべき。
・郷土と国を愛する心が大切。「愛する」では当たり前。さらに進んで「誇りを持ち、国家のための自己犠牲」のための理念を受け入れるべき
この会では「国家を愛すると言っているだけで、誰も軍国主義になるとは言っていない」という言葉を数回耳にしました。「国家を愛するとしただけで軍国主義になるほど、日本の民主主義は弱いのか。改正反対の人たちはそれほど日本の民主主義を信じていないのか」というコメントもありました。
うーん、なるほど。確かに私は、日本の民主主義を完全に信じていなかったのかもしれない。
これは大いに反省しなくてはいけないなと感じました。でも、あなたたちは軍国主義をどう思っているの?そうなりたいの?なりたくはないの?
確か、それについての意見は誰も言わなかったように思います。
それに中西教授の話を聞いたり、家父長制賛成の話を聞けば、そうした考えの人が権力を握った日本の民主主義を疑ってしまうのは仕方がないのではないかなあ。
でも、どちらにしてもこの点は私にも勉強になりました。今思うともしかしたら、「民主主義」という言葉の意味が違っているのかもしれませんね。
ところで、この人、15分という時間を大幅にオーバー。既に30分経過です。さすがに会場もざわついてきて、腕時計を高々と上げる人もいる。それなのにコーディネーターは中西教授の話を止めようともしない。うーん、やっぱり権力チックですねえ。
35分でようやく終了。2人目は、埼玉大の長谷川教授。唯一の女性パネラーです。
中西先生と100パーセント同じです、という言葉にはじまって以下のような話をする。
順序だてて話す先生でとても聞きやすかったのですが、この辺で私の頭もショート気味。ちょっと聞き漏らしもあります。
・教育基本法をそもそも作らなくてはならないのかという疑問もあるが・・・(聞き漏らし)
・ではなぜ必要か。教育は前進と保守のバランス。既にある知識をこれから育つ人に伝授する。だから・・・(聞き漏らし)
・次に、なぜ変えるのか。中間報告は陥りやすいミスにはまっている。新しい時代になったから変えるのではない。今ある法はアメリカの国家戦略(初期の対日戦略:日本がアメリカ、および世界の脅威にならないように)に基づいてできている。前文の「日本国憲法の精神にのっとり」はこの意味。こんな教育基本法をそのままにして、郷土心や愛国心は植え付けられない。
(なぜ郷土心や愛国心を植え付けなければならないかはコメントなし)
・中間報告は、本当に前文を見直す気があるのか! 教育の木の根っこに重い石がある。石は教育基本法前文であり、その精神。そのため、50年がかりで教育という木が枯れているのが今。
次は小川氏。狭山ヶ丘高校の校長先生らしいです。
・教育基本法は取りようによっては全く悪いものではない。しかし悪用されてしまう。それが10条。その戦犯が家永三郎。
・「教育の内的事項に国が口をだすな」「10条より学校指導要領は根拠なし」となると、教育はすべて教員の手によることになる。地方によりレベルがまちまちとなり憲法26条違反。そうならないためにも要領は絶対必要。誤解を生みやすく、悪用されやすい10条を変えなければならない。
・教育基本法準憲法論は何の根拠もなし。教育基本法を特別の規範と思うべからず。この論理を排斥しないといけない。
・現在の家政学には、家庭の目的は個人の幸福のためと書いてある。しかし、全生涯を通して、幸せのよりどころとなるように、お互いが少しずつ遠慮すべき。それが「公」の考え方である。家父長制、親孝行の大切さ。
それにしても、どうして国とか家父長とか、力を中央にまとめたがるのでしょうね。
個々があり、それで国家がある。この意識がどうも反対なのではないかなあ。
さてさて、最後のパネラーは産経の論説委員。
石川氏いわく、文科省はこの会の立ち上げを歓迎しているそうです。支持しているという意味ではなく、ようやく声なき声が声をあげたという意味。改正反対論を多くの国民が支持しているとは思えないが、日教組や日弁連など声だけはでかい。これからこちらがさらに声をあげていかなくては、ということでした。
中間報告を60〜70点の出来と褒め、彼の調べた話を伝えていきました。
・「愛国心」を「国を愛する心」に変えたのは、中教審の委員から反対がでたから。
・宗教教育については結論まっぷたつ。結論は出そうにない。
・家庭教育は、特別に新たな規定を盛り込む。家族観の議論はまだまだ。
・男女については、全く問題提起がされていなかった。公聴会では「行き過ぎなジェンダー」を表明してくれた方が数人いて、これでやっと今後議論ができるかも。やっぱり声をあげてみるものですよ。
・10条の「不当な支配」については、つっこんだ議論なし。中教審の委員に日教組出身の委員がいるせい。この文言を2条に移して曲解(!)を防ごうという検討もされている。
・自民は改正OK。公明が慎重もしくは反対。池田大作さんが強行に反対しているらしい。
・マスコミは温度の差はあるが、朝日・毎日・東京が反対。読売・産経・日経が賛成。
ここでようやく討論に。結局討論の時間は30分弱。
しかも討論というよりも、コーディネーターが出した論点を一人ひとり答えていくようなものでした。
高橋コーディネーターが出した論点は4つ。
1.前文を中心とした基本理念の見直しについて
2.10条の国の権限と責任、都道府県の権限と責任について
3.5条の男女共学をめぐる議論について
4.家庭の問題について
それぞれのパネラーが論点に則して答えていったわけではないので、以下箇条書き程度に。
・戦後日本のたどってきた道は「何事も忘れず、何事も学ばず」
これは怠慢。日本が普通の国になるよう今動かなくてはならない。
・今は「閉じられていく革新、開かれていく保守」ですね(笑)。
・10条の文言は、どう取っても国民全体に責任をもって行わなければならない。
つまりは国しかないではないか。
・教育はまずは、服従の教育が大切だ。
・親に変な教育イデオロギーを教えた学校が悪い。
・家庭教育の崩壊は親のせいではない。厚生省や文科省(教育イデオロギーの作成者)が悪い。
家庭がしっかりできるように、教育イデオロギーを作ってほしい。
・頼りない文科省にハッパをかけ、激励しよう。
・日教組には教育を悪くする力も、良くする力もない。
・行き過ぎる地方分権は恐い。
・国の教育権をもっとはっきりさせなくては。
結局時間がなくなり、それぞれのまとめのコメントもなくなり、シンポジウムはここで終了となりました。
いつにも増して疲れる集会もようやく終わりです。
4時終了が15分の延長。やっと閉会の言葉となりました。
「最終答申に向けてまさに綱引き状態です。
この会を通して、地域を通して広めていってもらいたい」
この言葉、この報告の最後として、私も皆さんにお伝えしたい。
まさに、まさに綱引き状態。
「改正」賛成の人々も焦っています。
彼らは権力やお金のもと、思いっきり団結して綱を引いてくるでしょう。
私たちは、『教育基本法「改正」反対』という大きな旗印の下、「個人は国のためにあるんじゃない」「教育は権利」を合言葉に、地域の中でコツコツと動いていきましょう!!
長〜い、長〜い報告文、最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。
最後におまけとして一つ、二つ。
資料を余分に持って帰ろうとしたのですが、会場は定員オーバーの1235名!!
私たちもこれ以上集まる会を作りたいですね。
それと、ロビーにどっかで見た人たちが4名ほど集まっていました。東京公聴会で見た人々。
「改正」賛成を表明した意見発表者です。アメリカのPTAのことを話した女性、宗教教育のことを話した男性、ジェンダーフリーを行き過ぎといい、千葉の条例の話をした女性(この方は、三つ編みをくるっと前まで持ってきた髪形でした)、そして茶髪の雛人形の話をした男性教師。4名とも一緒にいて、他の人々と親しげに話していました。
最後の最後。新しい教育基本法を求める会が、この「日本の教育改革」有識者懇談会(略称:民間教育臨調)に生まれ変わったと書かれた紙が、資料の『新しい教育基本法へ6つの提言』に挟まっていました。