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※「新しい歴史教科書」への抗議文アーカイブより転載
日本の歴史教科書の内容改正に関するわれわれの立場 現在日本の文部省は、2002年4月から使用される中学校教科書を検定している。ところで、この検定過程であきらかにされた情報によれば、社会科・歴史分野の教科書(以下「歴史教科書」という)が韓日関係史に関連する事実を現在使用中である教科書に比して、顕著に縮小、隠蔽したり、歪曲している内容が少なくないと伝えられている。 ■歴史教科書の改悪はどの程度か まず現在使用中の歴史教科書の改悪に対して見てみよう。改悪は前近代時代の叙述にも現れるが、ここではその程度がいっそう深刻な近代史部分についていくつかの例をあげてみる。 (1) 既存の教科書にすべて記述されていた「従軍慰安婦」についての内容が3社に縮小された。したがって、これから相当数の日本の中学生は「従軍慰安婦」の存在の事実すら知り得なくなる可能性がある。 (2) 「侵略」という用語を「進出」などの表現に修正している。これは1982年の「歴史教科書歪曲事件」のときにも問題となった事項であり、日本の歴史教科書が過去に回帰しようとする傾向をみせている端的な例である。 (3) 植民地支配の実態と韓国人の抵抗運動を削除するか、あいまいに記述した。1982年の「歴史教科書歪曲事件」以来、この部分は刮目するほどに改善されたと評価を受けてきたが、このたびの検定を契機にふたたび原点にもどっていくということのようだ。 特に、われわれを驚愕させたのは、このたびはじめて検定を申請した「新しい歴史教科書をつくる会」(以下「つくる会」)という日本の右派民族主義団体が提出した教科書の近代韓日関係史に関する叙述である。その中で憂慮すべき内容のいくつかのみを指摘すれば、次の通りである。 (2) 韓半島を「日本に突きつけられた凶器」と規定し、韓国に対する否定的認識を根元的に主張している。 (3) 韓国を自主的に近代化をなしえない国家と評価するなど、徹底的に差別意識をあらわしている。 (4) 日本が批判をうけるべき事実、例えば、江華島事件と江華島条約において見られる軍事的挑発と不平等性の強要、義兵闘争と独立運動に対する弾圧、植民地支配と皇民化政策の実像,関東大震災時の朝鮮人虐殺などについては、ほとんど叙述していない。 上にみたような、過去史の縮小・削除・歪曲は、日本が皇国史観的歴史認識にもどっていくことを意味するのであり、したがってわれわれはこのような過去史歪曲が韓国をはじめとする周辺国と日本との友好関係の持続に大きな障害要因となることを憂慮せざるをえない。 ■歴史教科書の改悪はなぜおこったのか 過去二十余年のあいだ、改善の道を歩んできた歴史教科書がなぜこのように改悪の道に入ったのか。文部省は歴史教科書の叙述に介入したり圧力を加えたりしていないと主張している。だが、教科書執筆者などが会員となっている「社会科教科書問題懇談会世話人会」などの市民団体から明らかにされた資料によれば、日本の政府と自民党が歴史教科書出版社などに強い圧力を行使したとされている。 ■韓国人の総意で日本の皇国史観復活を阻止しよう 日本の歴史教科書は1982年の「歴史歪曲事件」に対する国際的批判を契機に不充分ではあれ漸進的に改善されてきた。ここには日本の歴史歪曲に対する韓国をはじめとする近隣諸国の国際的批判と家永教科書裁判に見られるような日本国民の運動が一つの役割をしたものと認められる。また日本の知識人が、学生たちに正しい歴史認識をあたえるためには、歴史教科書が植民地支配と侵略戦争に対し、加害と被害、支配と抵抗などの側面から記述することがのぞましいという認識を相当程度共有するようになったためだと判断される。ところが、長い歳月にわたる努力の成果が、日本政府と政治家、右派民族主義者のなどの圧力により水泡に帰そうとしている。 韓国政府はいま日本に対する開放政策をとっている。韓国と日本の間に横たわる制度的障壁の除去など、多くの前向きの努力を注いでいる。その結果韓国と日本は有史以来最上の親善関係を維持しているという評価をうけてもいる。しかしながら、韓国と日本の友好協力関係がどれほど重要だとしても、「皇国史観」に回帰しようとする日本の態度を黙過することはできないのである。「皇国史観」は日本が韓国を侵略して支配するなかで形成された歴史観であるからである。韓国人は過去に日本の歪曲された歴史認識が侵略と支配の精神的基盤となった事実をはっきりと記憶しており、日本の教科書と政治家が絶えずくりかえしてきた「歴史歪曲」と「歴史妄言」をまた忘れないでいる。 2000年11月14日 歴史学会(会長:金容徳 ソウル大東洋史学科教授) (河かおる訳) (出展) 歴史学界ホームページ
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