「新しい歴史教科書」への抗議文アーカイブより転載

日本の「反歴史的歴史教科書」に対して憤怒する


 日帝によって強制的に連れて行かれ、強制労働を強要された被害者たちの痛みを、今でもやわらげなければならないという気持ちで、その方々の裁判を支援しているわれわれは、日本の歴史教科書をめぐる最近の流れに対して、本当に強い憤怒を禁ずることができない。

 日本の文部科学省の検定通過を目前にしている極右団体「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書は、「韓国併合は東アジアを安定させる政策として欧米列強の支持をうけた」などと、歴史的真実を歪曲する内容に満ちあふれており、実に「反歴史的歴史教科書」であるといわざるをえない。

 くわえて日本の極右団体は、この「反歴史的歴史教科書」を検定に通過させるため、政官界をはじめとした各団体に組織的に圧力を行使しており、通過以降、各学校で採択させるために各地方団体にも圧力を行使している。これに対して日本政府は検定の要件を満たしてさえいれば通過させざるをえないという極めて傍観者的な、しかし実のところは同調的な姿勢で一貫しており、日本の言論や社会団体もまた反歴史的な動きの阻止に積極的になれずにいる。

 このような状況がどれだけまちがったことなのかは、同様のことがドイツで起こるのかという問いを投げかけてみればすぐにわかる。万が一、ドイツでナチ時代の侵略を正当化し、ユダヤ人虐殺に何の問題もなかったというような教科書をつくる試みがあったならば、ドイツ社会が、そして国際社会が果たしてそれを放っておくだろうか。そもそも初めからそうした試みをあえてしようと思うだろうか。答えは明確に「そんなことはない」である。

 そうであるならば、ドイツでは思いもよらないふるまいが、どうして日本では堂々となされ得るのだろうか。それはドイツとは異なり、日本は自身のまちがった過去を精算しなかったためである。まちがった過去をまちがっていたと明白に宣言したことがなかったために、それがまちがっていなかったと右翼らがわめきたてるのを防ぐごとができないのだ。

 このように見れば、今回の反歴史的な事態が日本の過去の精算を通じてのみ解決し得るということは明白である。日本は「反歴史的な歴史教科書」が登場できないようにしなければならないのは勿論、この機会にそうした反歴史的な試みを可能にする日本全体のまちがった体質をただすために、過去の精算に確実に乗りださなければならない。そのために、何よりもそのまちがった過去のために数十年もの間、痛みを胸にかかえて生きてきた被害者に本心から謝罪し、その痛みに対して賠償し、責任者を処罰しなければならない。

 それだけでなく、日本の過去精算が正しくなされるには、被害国である韓国がそれを正しく追求できないでいることにも原因の一端がある。1965年の誤った条約と協定が、今「反歴史的な歴史教科書」をつくろうという試みに陰鬱で危険な栄養分を提供している。こうした点において、韓国の政府と国会は、この機会に1965年の条約と協定を改正ないしは再採決を含む、明白で徹底的な過去精算をすることを、日本に対して確実に要求することにより、再びこのようなことがおこならないようにしなければならない。

1.日本は「反歴史的な歴史教科書」をつくろうとする試みを即刻中止し、歴史的な真実のまえに謙虚に頭をさげよ。

1.日本はその反歴史的な体質を変えるために即刻積極的な過去精算にのりだせ。

1.日本はその強占と侵略により傷をおった韓半島とアジアの被害者に即刻謝罪し、賠償し、責任者を処罰せよ。

1.韓国政府と国会は日本の反歴史的なふるまいを阻止するために即刻行動をおこせ。

1.韓国政府と国会は1965年のまちがった条約と協定を改正あるいは再採決するために即刻行動をおこせ。

2001.2.27

三菱重工業韓国人徴用被害者裁判支援会

(訳=板垣竜太)

(出典) 日本歴史教科書改悪阻止運動本部