教科書問題を考える実行委員会

教科書問題をめぐる3.17緊急集会アピール



 21世紀を迎えた今、日本の歴史・公民教科書の記述内容が、1982年の「侵略」「進出」に関わる国際的な批判以来、再び大きくクローズアップされている。

 1997年頃から「新しい歴史教科書をつくる会」は「従軍慰安婦」「南京大虐殺」などの記述を「反日的・自虐的」とし、教科書から削除するキャンペーンを張ってきた。同会は、豊富な資金力を背景に、自前の歴史書『国民の歴史』を議員や教育委員会に無料配布したり、「自虐・反日史観から脱却し、子供たちが日本という国に誇りを持てるような教科書作りを目指す」として、史実を大きく歪曲した中学校「歴史」教科書の検定申請に踏み切った。検定段階では、137箇所にわたる修正意見を受け入れたものの、なお「考え方そのものは残っている」と西尾会長は豪語している。

 こうした「危険な」教科書に対して、国内外から大きな批判の声が沸きあがっている。アジアとりわけ中国や韓国からは、侵略の歴史を美化し、再び軍国主義化の道を歩むのかといった強い抗議の声が上がっている。特に韓国併合を「合法的」と記述された韓国では超党派の国会議員全員の賛成で国会決議が採択され、日韓の友好協力関係が大きく傷付けられかねないことが深く憂慮されている。

 一方、日本国内でも、史実をねじまげ、国家主義の歴史教育に道を開く同会の動きに多くの学者・文化人が「反対声明」を出した。研究者(高嶋、上杉両氏)からは同会の「常軌を逸した、異常な教科書運動」は、教育基本法や独禁法で禁止している公正な取引に抵触するものとして、公取委に厳格な措置を取るよう求める「申告」が三次にわたって行われた。

 「つくる会」は、かつての「新編日本史」の採択部数が少数で出版社が発行から撤退したという経過に鑑み、今回は約15万冊以上の採択に向けて異常なほどに採択を焦点化したキャンペーンを繰り広げている。選定委員や調査員に「学習指導要領に反対している団体の推薦を求めないこと」などを項目にした地方議会請願運動まで繰り広げている。

教科書採択にあたっての最適任者は、「教員は児童・生徒に最も適した教材及び方法を判断するために特に資格を与えられたもの」というユネスコ勧告を引くまでもなく、毎日教科書を手にし、子どもと日常的に接し、子どもの実態に精通している現場教員にあることは否定できない事実である。

1997年の閣議決定や文部省通知が自ら言っているように、教科書採択の調査研究により多くの教員の意向が反映され、将来的には学校単位の採択の実現へ向け、採択地区の小規模化や採択方法の工夫改善に向け全力をあげていこう!

 史実と歴史認識を大きく歪め、教育基本法と憲法の改悪に繋がる危険なナショナリズムを排し、公正・公平な教科書制度の確立に向け、憲法・教育基本法の理念を広げる運動を一層すすめていこう!