子どもと教科書全国ネット21のホームページより転載

元日本軍兵士の声明


 私たちは、かのアジア太平洋戦争で銃をとり、戦場の悲惨さを肌で知った元軍人の有志であります。
 私たちは、学校で教育勅語を叩き込まれ、神話を史実として教え込まれ、戦場へと狩りだされていった元軍人であります。
 私たちは、「聖戦」という美名のもとに銃を取り、アジア諸国に多大なご迷惑をかけてしまいました。その己れの体験を振り返りますとき、二度と青年が侵略の銃を取るなどということのないようにと心から願うのであります。

 ところが、現在、「新しい歴史教科書をつくる会」と扶桑社が提出している歴史・公民教科書は、聞くところによりますと、1910年の韓国併合や、中国をはじめとするアジア諸国への侵略行為を無視あるいは正当化し、教育勅語を肯定的に掲載し、あまつさえ戦争に善悪はないなどとしているとのことです。かくのごとき「教科書」でいったい何を子どもたちに教えようというのでしょうか。

私たちは、苛立ちとともに感じるのであります…… いかにあの戦場は悲惨であったことか! いかに暗い時代であったことか! ―― その記憶は今に至るも我々老兵の頭と胸に刻まれております。こうしたことは二度と繰り返してはいけないということを、子どもたちに語り継いでいって欲しいのです。

 あの戦争を体験した人々の多くはすでに先立ちました。私たちに残された時間も多くはありませんが、老齢の最後の力を振り絞り、皆さんに訴えたいと思います。

 このような「教科書」が教育現場に持ち込まれることがあっては絶対になりません。
 このような「教科書」の描く「人間像」―― それはかつての私たちですが ――は55年前に、アジア諸国民に多大な惨害を与えて、そして、破綻しているのであります。

 今こそ、尊い平和のために、アジア諸国民との真の和解と共生のために、そして子どもたち孫たちのために、私たちの力を、かくのごとき「教科書」を教育に使わせないようにするために、集めようではありませんか。

2001年 3月 2日 
中国帰還者連絡会
日中友好元軍人の会
不戦兵士・市民の会
(賛同個人名省略)


今回の声明を中心になってまとめたのは、元日本軍の将兵および「満州」国の官僚、警察官などで、戦後に中国で戦犯となった人々の集まりである中国帰還者連絡会。賛同団体は日中友好元軍人の会、不戦兵士・市民の会です。その他、これらの団体に参加する元兵士を中心に、数十名が声明に名を連ねています。