2001年3月26日
文部科学大臣   町 村 信 孝 様
社会民主党      
党首 土井 たか子

公正な教科書の採択等に関する申し入れ

 教科書は、子どもたちの正確の情報認識と判断力を養うための重要な糧です。
 社民党は、この基本認識に立つ限り、@「教科書用図書検定制度」が存在する以上、例えば歴史教科書の記述等に関わる最終責任は政府に帰すこと。A子どもたちに適した教科書を選ぶための調査研究に当たっては、日々子どもたちと深くかかわっている「教員の意向が反映される」ことを求めた閣議決定「97年3月」などが、考慮、尊重されるべきだと考えます。
 これらを踏まえ、次の申し入れを行います。

  1.  言論の自由の尊重は市民社会存立の前提条件である以上、多様な歴史観に彩られた出版物が刊行されることは当然だ。ただし、教科書には検定制度が適用されている。この事実を故意に無視することはできない(言論の自由を尊重する見地とも相容れない)。
     教科書が検定基準に基づいて認可される限り、問題とされている中学校歴史教科書申請本を合格とすることは、政府が自ら進んでその歴史認識等を共有するに他ならない。82年の「国際理解と国際協調の見地から必要な配慮」を求めた近隣諸国条項及び「植民地支配と侵略」に対する深い反省と謝罪を表明した95年の村山総理談話に背くことは明らかだ。また、これらは対外的な公約であるとともに、国民に対する約束でもあるということを忘れてはならない。
     以上のことをふまえ、歴史・公民教科書の2002年度版検定申請図書については、過去の侵略行為等に対する正確な記述に努めた97年度用の歴史・公民教科書の内容を維持すること。

  2.  政府は、96年12月、将来的な学校単位の採択を目指して、当面、採択方法の改善を提言するとともに、97年3月には教科書採択の調査研究に当たり「より多くの教員の意向が反映される」ことの必要性を閣議決定している。これに基づいて文部省(当時)は、97年9月、採択制度及び採択方法の改善を進めるよう各都道府県教育委員会への「通知」も行ってきた。
     この経緯等に鑑み、教科書採択の調査研究に当たっては、より多くの教員の意向が反映されているための条件及び環境整備等に取り組むこと。さらには、学校毎の採択を展望した上で、住民参加の制度的保障などに関する検討を早急に行うこと。

  3.  教科書のあり方は未来の世代に大きな影響を与える国民的な関心事ともいえる。それゆえにこそ、政府が、最優先で情報公開に取り組むことが要請されている。
     この観点に立ち、申請本の内容等も含め、教科書検定に関わる情報の全面開示を進めること(一定期間経過後であってもよい)。また、教科用図書選定委員会の議事録の公開なども積極的に行われるための適切な指導を行うこと。

以上