「新しい歴史教科書」への抗議文アーカイブより転載

内閣総理大臣 森 喜朗様
保守党党首   扇千景様
公明党代表  神崎武法様
文部科学大臣   町村信孝様

2001年3月27日
日本カトリック正義と平和協議会
担当司教 大塚喜直

教科書検定に関する要請書

 「新しい歴史教科書をつくる会」(会長・西尾幹二氏、以下「つくる会」)が作成した中学校歴史教科書の申請本が文部科学省の教科書用図書検定にかかっています。

 各種の報道によれば、この「つくる会」が上程した申請本は過去の日本の侵略と植民地支配の歴史を肯定し、天皇制支配を賛美するかのような内容をふくんでいるといわれます。このような教科書が検定を通過することは、過去に大日本帝国軍隊が行った侵略と蛮行の歴史を隠蔽・歪曲し、また美化することに繋がります。現在、被害を受けた中国、韓国、シンガポールなど東アジア各地域で、民間と政府両者からこれに対する批判が高まっているのは当然のことであると思います。

 加害者側が加害の事実を忘れることは簡単かもしれませんが、被害者側にとっては受けた痛みを忘れることは容易ではありません。そのためにも日本国として、歴史に対する誠実さをことばと行いで表明し、アジア諸国の信頼を獲得することが求められています。そしてアジアの人々と共に平和な世界を築くために、加害者である日本国としては、過去を真摯にみつめ、反省し、二度と再びその過ちを犯さない決意と努力の上に、アジアの国々と連帯し協力していくことが必要です。そのために被害者側の視点にたつことが不可欠であると考えます。

 わたしたちは国家や民族を越えてアジアの連帯を構築することにより、新しい希望に満ちた21世紀を開いていきたいと望んでいます。従って、「つくる会」の歴史観は、正義、平和、人権を大切にする社会を共に創ろうとしているアジアの人々の願いを踏みにじるもので、その歴史観によって歪曲された教科書を私たちは到底認めることができません。従ってこのような教科書を合格と認定しないよう強く要請いたします。

以上

(出典) 日本カトリック正義と平和協議会