「つくる会」の教科書検定合格に抗議し採択させない運動を広めていきましょう!
2001年4月11日
VAWW-NETジャパン
代表松井やより
4月3日、文部科学省は2002年度から小・中学校で使われる教科書の検定結果
を発表しました。アジア太平洋戦争を「解放のために役立った戦争だった」と美
化し、韓国併合、植民地支配を正当化し、神話と史実を混同させた「天皇中心の
神の国」だと、日本の加害性を歪曲する「新しい歴史教科書をつくる会」の歴史
教科書と、自衛隊や国防の義務を殊更強調し、憲法9条の「改正」論を軸に「国
家への誇り」「国家への奉仕」「国防の義務」を強調し、「夫婦同姓の制度」を
「家族の一体性を保つ働きをしてきた」と夫婦別姓を否定するなどジェンダーの
平等を否定する公民の教科書が合格するという許しがたい事態が現実になりまし
た。私たちはこのように歴史を歪曲し、女性蔑視に貫かれた教科書が検定に合格
したことに対して強い怒りを表明します。
□戦争のできる国家にするための教育
このような教科書の検定合格は、1999年のガイドライン法に始まり、国旗国歌
法を初めとする国家主義的な動きが強まり、憲法や教育基本法改悪など、戦争の
できる国家への道を突き進みつつある流れをさらに推し進めるものとして、私た
ちは不安と危惧をもたざるを得ません。
□「慰安婦」記述は「トイレの歴史」を書くようなものと全くふれず
まず、この教科書は「慰安婦」については一言も触れていません。彼らは教科
書構想を打ち出した当初から「慰安婦は一行たりとも書かない」と宣言していま
した。執筆者の一人坂本多加雄は「慰安婦」について触れることは「トイレの歴
史」を書くようなものだと繰り返し主張し、「つくる会」の教科書を推進してき
た自民党の「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」代表中川昭一議員は
「慰安婦は数ある記述の問題点の象徴」と、標的にしてきました。
□日本政府の検定責任は免れない
日本政府は1993年の内閣官房長官談話で、「慰安婦」制度への軍の関与と強制
性を認めましたが、今回の検定で「慰安婦」を記述しない教科書に対して、文部
科学省は検定意見もつけず、政府見解さえ無視しているのです。「教科書の歴史
認識や歴史観が政府の考え方と一致するものと解されるべきものではない」とい
う官房長官談話は、日本政府の無責任を露呈するものです。それは日本政府の意
図的なアジア無視、蔑視の姿勢を表しています。
□「女性国際戦犯法廷」が有罪判決を出した天皇を美化
さらに今年の国連人権委員会に提出されたクマラスワミ報告書でも評価された
「女性国際戦犯法廷」(2000年12月)は証拠と国際法に基づいて「昭和天皇裕仁
有罪」の判決を下しましたが、「つくる会」の教科書は天皇の戦争責任を免責に
し、「国民とともに歩まれた生涯」などとコラムで美化しているのです。
□「つくる会」の歴史教科書を採択させない運動を全国で
「つくる会」の歴史教科書には137か所、国家主義、自国中心主義、女性蔑視
の公民の教科書には99カ所の検定意見がつきましたが、修正後も「ほぼ趣意書に
沿った教科書」(「つくる会」の声明)です。このような教科書が検定合格した
ことに対して、私たちは強い抗議の意思を表明すると共に、このような教科書が
教育現場で使われないよう、採択させないための行動を全国各地で展開させてい
かねばなりません。学校現場の先生方の意見を排除して教育委員会に採択権限を
持たせようという「つくる会」の動きに対して、女性たちで各地域で「つくる
会」教科書不採択運動を創っていきたいと思います。
□アジアへの責任をとる次の世代を育てるために
「女性国際戦犯法廷」の判決概要に付した勧告でも、教科書記述が明記されて
います。自国の歴史にきちんと向き合うことによってこそ、近隣のアジアの人々
との和解への道を開き、女性の人権が守られる未来を創ることができるでしょ
う。戦争と暴力の無い時代を実現するため、過ちを繰り返さないため、日本の加
害の歴史の記憶を消さないことは私たちの責任であり、子どもたちの財産です。
自民族中心の歪んだ歴史観や女性蔑視を植え付ける教科書を子どもたちに使わせ
ることをなんとしても阻止しなければなりません。今すぐ行動を起こしましょ
う。
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