日本の歴史教科書歪曲に対する抗議文われわれ在日大韓基督教会は、本年4月4日に、日本政府文部科学省の教科書検定委員会が「新しい歴史教科書をつくる会」(「つくる会」)の作成した、はなはだしい歴史の歪曲に満ちた歴史教科書を合格させてしまったことに対して強い憤りを禁じえず、ここに抗議するものである。「つくる会」の歴史教科書は、皇国史観に基づき過去の侵略戦争と植民地支配を美化するのみならず、南京大虐殺、従軍慰安婦問題などの事実を隠蔽するなど、到底歴史教科書の名に値するものではない。韓国、中国をはじめとするアジアの国々が大きな憂慮を抱き、抗議する中、日本政府の歴史認識は「つくる会」のそれとは別であるという政府の釈明は、無責任のそしりを免れない。 この日本政府の暴挙に対して、去る4月11日に抗議文を日本政府に伝達するために来日した、韓国国会朝餐祈祷会の4名のキリスト者国会議員の中で、金泳鎭長老(国会朝餐祈祷会長)が日本政府に反省を促すために衆議院第二議員会館前で断食闘争に踏み切った。金泳鎭長老のそのような決死の行動に、関東地方会の有志長老、教役者、そして青年たちが応え、金泳鎭長老と共に座り込み、関東地方会の教役者、信徒たちをはじめ、日本人キリスト者や、韓国人、在日同胞、そして日本人市民の多くの支援者らとともに、祈祷会が行われ、金泳鎭長老を励まし、神の正義と平和が行われることを切に祈った。断食闘争の最中、在日大韓基督教会の教会学校の生徒が金泳鎭長老を励ますために手渡した手紙の一節、「過去を変えるな、未来を変えよう」という輝く言葉の中に、この日本の地においてこれから21世紀の宣教を担う在日韓基督教会に託された主の命令と派遣の声を、われわれは聞かなければならない。 金泳鎭長老の断食祈祷は、イースターの翌日(4月16日)、「このあとの闘いは、日本人の責任として引き継いでいきますから」という日本人キリスト者代表たちの重ねての説得に応じ、6日間の断食を終えたが、われわれ在日大韓基督教会は、われわれ自身の信仰と良心の新たな闘いを開始し、金泳鎭長老の祈りと闘いを受け継いでいく所存である。 もし、従軍慰安婦問題をはじめとする歴史の悲劇的な事実を隠蔽・歪曲する歴史教科書が日本の学校において使用されるようになるならば、それは日本人子女の歴史認識を不幸な形で大きく歪め、将来彼・彼女らをアジアや世界において独善と孤立に追い込んでいくことになるばかりでなく、そのような歴史教科書のゆえに最も大きな打撃を受けていくことになるのは、誰よりも先ず在日韓国・朝鮮人やアジアからの移住労働者の子女たちである。 解放後の55年間、日本社会における民族差別の現実に対し、差別と抑圧からの全人的解放を導くキリストの福音に促され闘ってきた在日大韓基督教会は、そのように予測される恐るべき事態をただ座視することはできない。われわれ在日大韓基督教会は、日本政府に対し「つくる会」の教科書検定合格の撤回を要求すると同時に、われわれが送り遣わされた日本のそれぞれの地域社会において、日本のキリスト者兄弟姉妹と共に、地域の学校教育機関においてそのような教科書が採用されないように働きかけていく闘いを推進していかなければならない。われわれは、過去と真摯に向き合うことによってのみ、和解と共生の未来を築くのである。
2001年4月17日 |