歴史わい曲教科書の検定通過を糾弾し、不採択を求めるアピール


2001年4月17日                
日韓民衆連帯全国ネットワーク第3回総会

 内外の強い批判を浴びてきた「新しい歴史教科書をつくる会(以下、つくる会)」の歴史わい曲教科書が、4月3日、文部科学省の検定を通過した。
 私たちは、「つくる会」と歴史わい曲用箇所、これを検定通過させ、全般的に加害の歴史記述を後退させている政府・文部科学省を糾弾し、歴史わい曲教科書が子どもたちに渡らないよう、各地で不採択の声を挙げ、取り組みを強めることを訴える。

皇国史観、侵略・植民地支配賛美、アジア蔑視と女性差別に貫かれた「つくる会」教科書

 この歴史わい曲教科書は、検定で17ヶ所の修正がなされたとはいえ、皇国史観、侵略・植民地支配賛美、アジア蔑視と女性差別感に貫かれていることに変わりはない。
 例えば修正後も、@「神武天皇の東征」神話は「伝承」という形で残され、神武以来の「皇統譜」を掲載、天皇が一貫して日本の最高権威であるかのように強調、A教育勅語も「近代日本人の人格の骨格をなすものとなった」と賛美、B韓国併合は、「日本政府が日本の安全と満州の権益防衛上必要と考えた」と正当化、Cアジア太平洋戦争を「大東亜戦争」とし、「大東亜共栄圏」を戦争目的として掲げたことを記述し、アジア諸国の独立のきっかけとなったなどと「アジア解放戦争」であったかのように記述、D他方で、「従軍慰安婦」にはまったく触れず、南京大虐殺については「東京裁判」の項の後に小文字で「東京裁判では…多数の中国人民衆を殺害したと認定した」が、「疑問点」「さまざまな見解」があり、「論争が続いている」として、「客観性」を装い否定論を記述、E「憲法と自衛隊の実態が合わない」と憲法9条改憲と核廃絶を否定――等々、枚挙に暇がない。
 しかも、執筆者の一人である坂本多加夫は、「慰安婦」問題を「トイレの歴史を記述するようなもの」とうそぶき、みずから、「慰安婦」とされた人々を日本軍内で「共同便所」と隠語で読んでいた認識そのままの女性差別・人権無視をもあらわにしている。
 また小林よしのりが、「教科書問題に熟知」「歴史認識も確かで質問も上手」と賛美していた人物こそ、KSD 汚職で逮捕・参議院議員を辞職した小山孝夫である(『SAPIO』昨年12月20日号「新ゴーマニズム宣言」。注・小山は教科書攻撃を行ってきた右派組織、「日本会議」議員懇談会の事務局長)。
 こんな連中に、そもそも「教育」「教科書」を語る資格などない!

「戦争のできる国家」めざす日本政府の責任

 こうした歴史わい曲教科書の検定通過に、韓国・朝鮮、中国などが厳しい批判を行うのは当然である。それは内政干渉などではなく、侵略を受けた被害者の当然の権利である。
 4月3日、町村文部科学相は、修正したものはバランスがとれている」「政府の歴史認識とは違う」などと述べている。だが、彼が前に文相だった98年6月、「歴史教科書の近現代史部分は『偏向』している。検定提出前に是正できないか検討している」と国会答弁し、文部官僚が先頭に立ち、出版者に圧力を加えてきたのである。

 その結果、今回検定申請された他の歴史教科書においても、「慰安婦」記述が削除されるなど、日本の加害の歴史記述を後退させている。「つくる会」教科書は、これら全体を牽引する役割を担って登場しているのである。そもそも日朝交渉でも、今なお朝鮮侵略・植民地支配を「有効・合法」と居直っているのが日本政府なのである。
 これらの動きは、日米新ガイドライン関連法案の制定、そして有事立法・憲法改悪の動きの加速化と表裏の関係にある。まさに「戦争のできる国」づくりの「国民的」土台を作り出そうとする危険な動きである。
 今後、各地でこの教科書の採択・不採択をめぐり攻防が繰り広げられることになるが、あらためて歴史わい曲教科書不採択の声を各地で挙げ、教育委員会など関係機関に対する働きかけを強めるよう訴える。そして、アジアの人々と歴史認識を共有し得る教科書・教育の充実をかちとろう。