歴史歪曲・女性蔑視の「つくる会」教科書を採択させない! 集会アピ−ル



 日本国内はもとより韓国、中国などアジア各地から批判の声が上がっている「新しい歴史教科書をつくる会」編集・執筆による中学歴史・公民の教科書が4月3日に検定を合格しました。文部科学省のお墨付きを獲得し、「つくる会」は6月7月の採択決定期に向けた攻勢を強めています。

 歴史教科書には137カ所、公民教科書には99カ所の検定意見がつき修正したものの、侵略戦争・植民地支配の事実を隠す自民族優越史観、皇国史観、さらに、「女性」を周縁化した男性中心史観による歴史を描き、そうした価値観に基づく公民教育を徹底しようという基本姿勢はなんら変わっていません。

 女性の視点を排除する彼らの思想性は、歴史教科書において「慰安婦」に関する記述が一切ないところに露骨に表れています。「つくる会」代表の西尾幹二は「強制連行し戦地で売春婦にしたてたという例の一件も真っ赤な嘘」と断言し、執筆者の一人藤岡信勝はこれまで「慰安婦たちは業者に伴われて戦地に働きに来たのであり、彼女らは売春婦と呼ばれるべき存在だった」と主張してきましたが、教科書の「慰安婦」記述に反対する最大の理由は、「子どもの人格を崩壊させるからだ」と公言しています。もうひとりの執筆者の坂本多加雄は「慰安婦」制度を「トイレの構造の歴史」だと「トイレの構造の歴史で日本人の生活史を代表させるような書物 は、オ−ソドクスな日本史とは呼べない」などと「慰安婦」制度の犯罪性と責任を無化する発言を繰り返してきました。マンガで「慰安婦」を侮辱し事実を否定し続けている小林よしのりも執筆者の一人です。また、「つくる会」の賛同者である石原慎太郎東京都知事は「慰安婦」だった女性は「自分の名誉を代償として稼ごうとしているだけだ」「そういう卑しい本性に引きずられて教科書に載せる必要が一体どこにあるのか」と暴言を述べています。

 「つくる会」の歴史教科書に女性が記述される場合も、あくまで男性や国家を支える存在でしかありません。歴史教科書の人物コラムでは津田梅子と与謝野晶子が紹介されていますが、梅子が女性の自立に立ちあがったことは全く触れず、与謝野晶子が詠んだ反戦歌「君死にたまふことなかれ」は「弟が実家の跡取りであったことからその身を案じて詠んだ歌」であり、「家の存続を願」ったものと家制度を擁護するために事実をねじ曲げているのです。

 公民教科書においても家制度擁護の姿勢が色濃くでています。「夫婦同姓の制度も、家族の一体性を保つ働きをしてきた」という夫婦別姓反対の立場からの記述や、女性による家事の無償労働をお金に換算できない精神性に読み替えるなど、良妻賢母の固定的性別役割分業への固執が顕著で、男女平等教育の視点は皆無です。一方で、現在の天皇制を立憲君主制とみなし、国家への奉仕や国防の義務を強調するなど、教育によって戦争ができる国家への道を押し進める流れを危惧せざるを得ません。

 このように日本軍「慰安婦」制度の加害の実態と責任を意図的に消し去り、女性や他民族を貶め、あるいは利用することで「日本人の誇り」を打ち立てようとする「つくる会」教科書は、植民地支配や侵略戦争の暴力にさらされた何千万のアジアの人々の被害の経験と記憶をねじ曲げ、女性の人権確立に向けたこれまでの闘いとその成果を愚弄する、歴史歪曲、女性蔑視の教科書にほかなりません。

 男性中心主義、自国民・自民族中心主義がもたらした日本軍性奴隷制の被害者たちの声に応え、植民地支配や侵略戦争、そして女性に対する暴力の不処罰の歴史を断ち切るため、国境を越えた市民の力によって成し遂げられた「女性国際戦犯法廷」は、日本軍性奴隷制度の事実を教科書に記述し、次世代に伝え、性の平等を確立することを勧告しています。

 次世代を担う子どもたちには、日本の歴史や社会に対する事実に即した歴史認識・人権意識・男女平等意識をはぐくみ、偏狭な一国主義の枠を越えて共に生きる方法を学ぶ権利があります。次世代を生きる子どもたちの権利を奪い、これまで女性たちが積み重ねてきた闘いを消し去ろうとする「つくる会」教科書の採択を断固阻止しなくてはなりません。

 私たちは6、7月の採択の山場に向けて、「つくる会」教科書採択阻止運動を全国各地で展開し、「歴史歪曲教科書を許さない!アジア連帯緊急会議」(6月10−11日)を成功させたいと思います。そのために次のような行動を提起します。

1. 「つくる会」の教科書がいかにひどい内容であるかを広く知らせる。

2. 都道府県、市町村議会で提出されている「つくる会」側の請願を採択させない。(提出の動向を伝えてくれる議員を見つける/採択しないよう各議員に面会したり電話、FAX等で働きかける)

3. 教育委員会に対して、教師の声を尊重した採択を行うこと、憲法違反、戦争肯定、加害無化、女性蔑視の「つくる会」の教科書を採択しないことを求める請願を提出する。

4. 学校票を尊重するよう、教育委員会に声を届ける。
(教育委員会の傍聴や、請願や要望書提出など)

5. 各地で「つくる会」の教科書を採択させない集会を開き、ネットワークを作り声を上げる。

6. 女性、戦後補償、教育、人権、平和などに取り組む関連団体に「つくる会」教科書不採択運動を呼びかける。

7.「アジア連帯緊急会議」でアジアの人々との連帯ネットワークを強化し、アジアの共同の未来を創る歴史教育を共に確立する。

 「つくる会」の教科書を採択させない闘いに、立ちあがりましょう!

2001年5月1日
歴史歪曲・女性蔑視の「つくる会」教科書を採択させない
緊急女性集会参加者一同