新しい歴史教科書をつくる会編『中学社会 歴史』に対する声明〈新しい歴史教科書をつくる会〉の編集による中学校用の歴史教科書『中学社会 歴史』(扶桑社刊)が文部科学省の検定を通過し、市町村による採択決定と来年度からの使用を待つ段階に至っています。しかしこの教科書は、民主主義の思想をないがしろにし、独善的なナショナリズムを鼓舞する色彩のつよいものであり、「民主主義的な児童文学の創造と普及」をめざす日本児童文学者協会は、これを強く批判せざるを得ません。 この教科書は、子どもはもちろん女性もふくめた〈民衆〉の生活にはほとんど触れず、その反面、神武天皇、山と炊ける、昭和天皇など〈国家権力的英雄〉を大きく取り上げ、「教育勅語」「君が代」「日の丸」「など旧軍国主義日本のシンボルであったものを強調しています。そして 〈太平洋戦争〉を〈大東亜戦争〉と呼び、この戦争の目的が「自存自衛とアジアを欧米の支配から解放」するためのものであって、アジア諸国の独立に貢献したとし、日本がアジア諸国の人々を踏みにじった事実には完全に目をつぶったままです。
アジア諸国とその民衆との有効のため、かつての戦争と植民地支配への歴史的・思想的な責任を痛感しなければならないとき、文部科学省がこの教科書を検定通過させたことは極めて遺憾です。加えて、多くの市町村で、教科書を実際に使う教師を参加させず教育委員のみで教科書採択を、行うような動きがありますが、そのような非民主主義的なやり方が実行されないことを強く望むものです。 |