「つくる会」教科書問題について


東京都障害児学校教職員組合執行委員会
2001年7月31日
 本日の読売新聞報道によれば、「『つくる会』」歴史・公民教科書、都立養護学校で採択、都教委決定、公立で初」となっている。この記事の事実関係の問い合わせに対して、都教委は、決定してはいないとしているが、7月26日の教育委員会秘密会でこれらの教科書を採択する方向が論議されたことは明らかである。最終的には、8月の臨時教育委員会で決定するとしており、私たちは断固として、採択させないとりくみを父母・障害者団体、都民と共同して展開するものである。

1)そもそも障害のある子どもたちは、戦後の日本国憲法のもとで初めて、権利としての障害児教育が保障されたのである。しかも、1974年、障害児の希望者全員就学を全国に先駆けて実行したのは、東京都教育委員会である。そうした教育委員会がこともあろうに、憲法の理念と相容れない「つくる会」教科書をどこも採択されていないのに全国で初めて盲、ろう、養護学校の教科書として採択することは断じて許すことができない。このような教科書が、障害のある子どもたちの健やかな成長・発達に寄与しないことは明らかである。

2)都教委の教科用図書選定審議会の行った調査でも、歴史教科書については「人権」に対する記述が際だって低くなっている。また公民教科書は「人類的課題」に対する記述ももっとも少ないとしている。人権尊重の教育が求められる障害児教育においてこれらの教科書が盲、ろう、養護学校の生徒に適さないことは明らかである。

3)「つくる会」歴史教科書は、とりわけ近現代史における日本の行為をやむを得なかったこととして正当化している。植民地政策などでアジア諸国などに行った加害行為や負の側面には、ほとんどふれていない。戦前、障害者は「非国民」、「ごくつぶし」と言われ人権侵害が平然と行われた。その時代を正しかったと言わんばかりの教科書で人権の大切さを教えることができないのは明らかである。教育を受ける権利さえ保障されていなかった障害者の戦前の現状を思うとき、こうした教科書が障害児学校に持ち込まれることは二重、三重に許されない。

4)今日まで公立学校で、この「つくる会」教科書を採択したとの報道はない。そうした中でこのような問題のある教科書を盲、ろう、養護学校で採択しようとするのは、どのような意図か、また、障害児教育の教育の現状や実態を理解した上で検討されているのかも疑問である。教科書は、憲法・教育基本法に基づき平和と人権を尊重するものこそ求められている。