2003年3月21日
中央教育審議会(会長=鳥居泰彦・前慶應義塾長)は3月20日、「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方について」遠山文部科 学相に答申しました。
この答申は、私たちが認めがたい多くの問題点を持っています。
まず、第1に、教育基本法の改定の方向を打ち出したことです。その理由にあげているのは、情報化、グローバル化など「時代の変化」であり、現行教育基本法
の果たしてきた役割の総括からではなく理由になっていません。そして改定方向の内容には、「日本の伝統・文化の尊重、郷土や国を愛する心」「『公共』の精神、
道徳心、自律心の涵養」など、憲法で定める思想・良心の自由を奪う国家主義的色彩が濃厚なものが掲げられています。また、あいまいな内容ながら「家庭」
「宗教教育」など、憲法に関わる問題にも言及していることは注意すべきです。
第2に、「21世紀を切り開く心豊かでたくましい日本人の育成」という大目標が掲げられるなかで、国際競争を勝ち抜くために国家に必要な人材づくりに重点 があり、ゆとりを大切にする視点や、また国際的にも確立してきている人権という視点に欠けたものであり、子どもや青年の要求に応えたものではないことです。
しかも、第3に、昨年11月の中間報告公表後、賛否半ばする世論が明らかになりながら、拙速な審議のもとで答申されたものです。また、答申は、学校制度は
今後の検討とし、教育振興基本計画については例示にとどまっており、教育のための全体構想とはいえません。教育基本法の見直しだけが突出したものであり、市民をまじえた議論や合意にいたってはまったく行われていないといっても過言ではありません。
したがって、平和フォーラムは、この答申にもとづく教育基本法の改定作業に入ることは断じて容認できません。憲法と密接不可分である教育基本法が
その改定方向に憲法に抵触するおそれをもっている以上、中教審に対して再検討を求めます。また、広範な市民による議論をすすめながらその意見を反映させる
ことが必要です。あくまでも教育基本法の改悪に反対し、基本法の理念を実現する運動を、日教組をはじめ広く市民と協議・連携しながら強めていきます。