公正な教科書採択等に関する意見書検定を合格した来年度用中学歴史教科書に対して、国内での修正要求や反対運動はもとより、韓国・中国両政府からの公式な修正要求が出されたことで、我が国の具体的対応が迫られることになった。 問題とされた個所等は、民族の平和と平等を追求してきた第二次世界大戦後の世界的な潮流を真撃に受け止め、我が国の「植民地支配と侵略」に対する深い反省と謝罪を表明した95年の村山総理談話の精神とは相入れないことは明らかである。また、82年の中曽根内閣時に検定基準として新たに加えられた「国際理解などの見地から必要な配慮」を求めた近隣諸国条項にも明確に抵触しているといわざるを得ない。 これらは国際公約でもある。韓国や中国が、「問題」歴史教科書に対して意見を述べることは当然の権利でもある。内政干渉云々の批判は全く当たらない。韓国や中国の申し入れに対しては、政府自らの意思と責任のもとで、真摯に応えていく必要がある。 これらの課題も踏まえ、かつ、教科書のあり方は未来の世代に大きな影響を与えるものであるとの認識の下、国民的な合意形成等に対する政府の努力が強く求められている。 よって、国におかれては、次の事項について、適切な取り組み等を図られるよう要望する。 1.政府においては、96年12月、将来的な学校単位の採択を目指して、当面採択方法の改善を提言するとともに、97年3月には教科書採択の調査研究に当たり「より多くの教員の意向が反映される」ことの必要性等を閣議決定している。これに基づいて文部省は97年9月、採択制度及び採択方法の改善を進めるように、各都道府県教育委員会に対して「通知」を行ったなどの経緯もある。 したがって、この閣議決定及ひ通知を遵守する立場から、教科書採択の調査研究に当たっては、より多くの教員の意向が反映されるための条件及び環境整傭等に取り組むこと。さらには、学校毎の採択を展望した上で、父母・住民参加の制度的保障などに関する検討を早急に行うこと。 2.教科書採択の過程が誰にでも分かるように、当面は教科用図書選定委員会の議事録の公開など、情報開示を積極的に進めること。 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成13年6月22日 |