防衛省・陸上自衛隊で、汚職が発覚


 6月22日、陸上自衛隊の装備品納入をめぐる贈収賄容疑で、現職自衛官幹部と防衛産業メーカーの役員が逮捕されました。警視庁に逮捕されたのは、陸上自衛隊1等陸佐の西真悟容疑者と、防衛産業メーカー・伸誠商事常務の松井智則容疑者です。
 
 報道各社のニュースによれば、事件の概要は以下の通りです。
 西真悟容疑者は装備品調達部門の幹部で、事件当時は陸上自衛隊の最高司令部である陸上幕僚監部の装備部開発課に所属していました。一方の伸誠商事は年間売り上げが23〜25億円で、9割が防衛省への納入、主力商品は移動型調理器「野外炊具1号」でした。同社は40年以上にわたって野外炊具を、随意契約で独占的に自衛隊に納入していました。
 しかし同社の炊飯具は02年ごろから不具合が多発、防衛省は06年に改良品納入メーカーを一般入札で選ぶことにしました。そこで契約打ち切りを恐れた伸誠商事が、西容疑者に後押しを依頼、見返りとして現金数十万円の授受が行われ、契約は継続されることになったのです。具体的に西容疑者は、納入品の改良に関する助言、予算措置の見通しを教える、部内の検討会で同社を後押しする――などを行っていたようです。
 警察の調べによれば両者の関係は95年ごろから始まり、西真悟容疑者はこれまでに、現金・タクシー券・ゴルフや飲食接待を含めて数百万円を受け取っていたとのことです。西真悟容疑者はパチンコ・パチスロなどのギャンブルで消費者金融に数百万円の借金があり、受け取った現金はギャンブルと借金返済に注ぎ込んでいたようです。

 さてこの事件に関して久間防衛大臣は、同日閣議後の記者会見で、「私はまだ聞いておりませんし、先程逮捕されたという報道が流れておりましたので、事実はそうなんでしょう」「報道で知る限りではそんな大げさな話ではないような報道ですけれども、実際は分かりませんから」と答えました。

防衛庁のサイト・久間大臣の会見は以下
http://www.mod.go.jp/j/kisha/2007/06/22.html

 この事件から、自衛隊の抱えるいくつかの問題が明らかになりました。
@陸上幕僚監部に、ギャンブルで身を持ち崩し借金を抱えた自衛官が勤務していること。
Aその自衛官に目をつけた防衛産業メーカーが、10年以上にわたって金品の提供を行っていたこと。
B自衛官は見返りとして、関係情報を提供していたこと。
C警視庁が自衛官とメーカーを捜査していることに、防衛省・自衛隊が気づかなかったこと。
D警視庁は自衛隊官舎の家宅捜索まで実施しているのに、防衛大臣は報道が流れるまで事件を知らす、会見の時点でも関係情報の伝達を受けていなかったこと。
――などです。
 借金とギャンブルにまみれた幹部自衛官に接近してきたのが、防衛産業メーカーではなく、外国の大使館員や情報担当者であったならどうするのでしょうか。

 警視庁による現職自衛官逮捕が行われる1週間前の6月14日、平和フォーラムは防衛省を訪れ、陸上自衛隊情報保全隊による違憲・違法な平和運動監視に抗議しました。このときに対応した防衛省の幹部は情報保全隊の任務を、「自衛隊の業務に支障を及ぼす恐れのある活動や、隊員に対する外部からの働きかけに対して情報収集を行うことです」と答えました。また「防衛省・自衛隊の活動は、法律の範囲内で行っている。法令違反は犯していない」と何度も繰り返しました。
 しかし今回の贈収賄事件で、自衛隊の情報保全隊には、平和団体を監視する程度の能力はあっても、「自衛隊の業務に支障を及ぼす恐れのある活動や、隊員に対する外部からの働きかけに対して情報収集」の能力がないことが明らかになりました。また「防衛省・自衛隊の活動は、法律の範囲内で行っている」という言葉も、大うそであることがはっきりしたのです。



野外炊飯具1号はこれ(陸上自衛隊のサイト)
http://www.mod.go.jp/gsdf/html/soubi/bottom/jyuhinkizai/kaisetu/yagaisuigu1_kai.html


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