【解説09】都市型戦闘訓練施設とは何か?

 

沖縄県読谷村のトリイ基地には、米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)の第1特殊作戦群・第1大隊が駐留しています。この部隊が市街戦訓練を行うために、金武町の伊芸区にあるキャンプ・ハンセン内のレンジ4に建設したものが、都市型訓練施設です。

キャンプ・ハンセンは海兵隊第12砲兵連隊の駐屯地であると同時に、基地内に多くの実弾射撃訓練施設を保有しています。かつては、県道を封鎖して155ミリ榴弾砲を射撃する「県道104号線越え実弾砲撃演習」も行われていました。また機関銃や小銃の実弾が流れ弾となって民家を貫くなどの事故も多発し、地域住民の生命を脅かしてきました。

今回、都市型戦闘訓練施設が建設されたレンジ4は、沖縄自動車道から250m、一番近い民家からは300mしか離れていません。その施設内には射撃訓練場とともに、ビルが建設されました。このビルでは、立てこもった敵を征圧するなどの実戦さながらの訓練も行われます。

「これまで実弾射撃訓練は、民家とは反対方向に標的を設置して行われていた。それでも基地外に流れ弾が出ていた。都市型戦闘訓練施設では、四方八方に銃口を向けて射撃する。今まで以上に事故の危険性がある」(伊芸区長)と、地域の住民は区や町をあげて反対運動を行ってきました。とりわけ伊芸区民は、キャンプ・ハンセンの第1ゲート前で、300日を越える連日の早朝抗議行動を行ってきました。

こうした地域住民による反対運動の成果もあり、日米両国政府は今年4月、レンジ4から2キロ奥にあるレンジ16に、日本の予算で新たな都市型戦闘訓練施設を建設することで合意しました。

ところが米軍は、新しい施設が完成するまでの暫定使用として、レンジ4で訓練を行うことを日本に通告。7月12日には、訓練が開始されました。都市型戦闘訓練施設での訓練実施については、沖縄県議会も全会一致で反対決議を採択し日米両国政府に訓練の中止を迫っています。しかし日本政府は、米軍は必要な安全対策を行っているとして、訓練を容認しています。

 



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