以下のレポートは、05年の10.21国際反戦反基地集会に参加した国際ゲスト、韓国グリーン・コリアのコ・ジソンさんから送られてきたものです。
原文は英語で、原水禁・国際担当が日本語に翻訳しました。


友人のみなさん
米国が韓国の基地を浄化させるためのプレッシャーを高めて下さい。他国からの教訓が得られることを歓迎します。
以下の通り、グリーンコリア・ナイテッドのレポートを送付します。
詳細はwww.greenkorea.org/english/をご参照ください。
コ・ジソン (グリーンコリア・ユナイテッド)


米軍の基地から生命と平和の土地に向かって

―米軍の責任に関する韓国レポート 2006年1月25日―


2005年議会による環境省の査察の間、韓国における米軍キャンプの環境汚染問題が取り上げられました。環境労働委員会の何人かのメンバーは、浄化された形での米軍基地が韓国政府に返還されるべきことを主張しました。軍事訓練や米軍による環境汚染事故によって汚染された米軍基地については、米軍の責任を追及し米軍による補償を求める必要があります。

2004年の米韓連合土地管理計画(LPP)によると、2011年までに34ヶ所の在韓米軍基地が返還されます。米軍による戦略が変化し続けているためLPPのスケジュールはいまだ調整中であり、しばらくの間ミッションが改編された在韓米軍基地がますます韓国政府に返還されるでしょう。

2005年には、総計32ヶ所の米軍基地(期限なしの返還基地も含む)が韓国政府に返還されました。

しかし米軍は浄化の責任を否定しようとしているので「何も」韓国に返還されていません。

査察の間、環境省は韓国政府への返還が予定されている米軍基地の環境評価の後、15ヶ所の米軍キャンプのうち14ヶ所で土壌水質汚染を確認しました。

土地はTPH、BTEX、鉛、亜鉛、カドニウム、銅などでほとんど汚染されており、また水もTPH、ベンゼン、フェノール、PCE、キシレンなどで汚染されています。

フェノールは中央神経系統を混乱させて人間の細胞組織を侵食させ、ベンゼンは白血球を減少させて意識喪失とけいれんを引き起こします。PCEは発癌性物質として分類されています。キシレンは気管支を刺激し、めまいと吐き気を生じさせる汚染物質として知られています。

返還された米軍基地の汚染度は、米軍が基地を使用した間の汚染事故から想像できるでしょう。グリーン・コリアによるニュース、フィールド調査、報告書などの研究によると、1990年代後半におけるほとんど100ヶ所の米軍基地施設において66の汚染事故と77%の油漏れ事故が報告されてきました。

昨年発表された環境省による国家安全委員会への報告書によると、ソウルのヨンサン・ガリソン基地を浄化するには1億ドル以上かかるとのことです。

問題は韓国政府および地方政府が返還後に発見された汚染に関し全ての責任をとらなくてはならないことです。したがって韓国政府は汚染度を調査し、在韓米軍の責任を要求しなくてはなりません。

例えば日本政府および地方自治体は返還後に発見された5ヶ所の汚染について浄化を求めました。

2003年米韓合意の「環境情報共有およびアプローチの手続き付属書A」によると、通常基地返還1年前から韓米共同汚染調査を実施し、発見された汚染については米軍が浄化することを定めています。

しかしもし在韓米軍が汚染に関する情報共有を議会にさえ拒むのであれば、「付属書」が法的に認めているのであるから、韓国のメディアおよび人々は実際どのように浄化のプロセスがなされるのかもはや分かりません。

例えばキャンプ・ペイジのあったチュンチョン市では、口頭でのみの環境汚染報告書の結果が知らされました。地方政府でさえ在韓米軍および韓国環境省から口頭でのみ結果を得られただけなのです。

これは米軍基地の返還と浄化に関して、私達でも初めての経験ですが、他国の経験から学ぶことができます。

1992年に、以前の在比米軍基地に住んでいた100人のフィリピン人が、汚染された地下水によって白血病と癌で死亡しました。2003年には閉鎖されたプエルトルコのヴィケス島にある米海軍訓練場において、プエルトリコ本土よりも住民の癌の比率が28%高くなっています。

専門家によると、汚染を浄化するには少なくとも20〜30年間必要とされています。米軍基地の深刻な環境状況にもかかわらず、在韓米軍は野生生物の聖域として米軍基地を権威付けており、汚染を適切に浄化さえしないにもかかわらず地元住民がそこに近づくことを統制しており、地元住民は在韓米軍に反対しています。1994年に閉鎖されたハワイのカホラウェ島での射撃レンジでは70%の貝の回復に10年かかりました。このように、過去の米軍キャンプを浄化するのには多くの時間が必要となります。

在韓米軍の汚染査察の間、環境省は環境労働委員会の何人かのメンバーによって質問を受け、環境省は韓米地位協定(SOFA)における環境委員会を通じて、情報公開の問題や汚染に関する精密な調査の実行、不完全な浄化プロセスを解決しようとしていることを約束しました。

常に環境事故に対しては汚染した者が支払うという原則を適用させなくてはなりません。韓国における米軍基地の汚染事故で例外があってはなりません。

過去50年間地元コミュニティにおいて多くの問題を引き起こしてきた米軍キャンプの返還に対し私たちは自分たち自身を準備しなくてはなりません。韓国政府が浄化され生命と平和が共存する米軍基地の土地を返還されるよう最善を尽くさなくてはなりません。

以上