解説1 戦争と国連憲章



第2次世界大戦以前、国際法上は、戦争は合法でした。宣戦布告を行うこと、国際法が禁じた武器を使用しないことなどを守れば、戦争そのものが罰せられることはなかったのです。しかし第2次世界大戦後、国際連合の結成と国連憲章の締結により、全ての戦争は違法になりました。ところが国際法や国連憲章を守らない国によって、違法な戦争が起こされる場合もあります。

そこで国連憲章は、@個別的自衛権、A集団的自衛権、B国連による軍事的措置――の3つの武力行使を認めています。@個別的自衛権とは、違法な戦争で攻め込まれた当事国が自衛の範囲内で反撃する権利です。A集団的自衛権とは、攻め込まれた当事国と友好関係にある国が一緒に反撃する権利です。B国連による軍事的措置とは、国連加盟国が一体となって攻め込んだ国に対して軍事的制裁を行うことです。

国連の第1の目的は、戦争が起きそうな場合に、軍事力を用いずに平和的に解決することです。国連憲章第6章「紛争の平和的解決」では、当事者は、交渉・仲介・調停・裁判などによって平和的な解決を求めなければならないことを定めています。またそのために国連が行う様々な努力についても記述しています。

しかし話し合いで解決せず、戦争が起こってしまう場合もあります。その時には、国連憲章第7章「平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動」に基づき、事態の悪化を防ぐために第41条〔非軍事的措置〕、または第42条〔軍事的措置〕を取ることになります。〔非軍事的措置〕とは、兵力を伴わずに輸出入・通信・輸送手段などを中断すること、外交関係を断絶することなどです。〔軍事的措置〕とは、国連の指揮の下で兵力を使用して示威・封鎖・その他の行動を行うことです.

戦争が起きそうな場合の国連が定める解決方法は、@当事者の話し合い→A国連による調停や勧告→B戦争が起こった場合にはそれを止めるための国連決議→C非軍事的措置→D国連指揮下での軍事的措置――という順番をたどるのです。


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