解説5 日本政府の対応



国連安全保障理事会が、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)への制裁決議を決定したことを受け、安倍政府は周辺事態法の発動準備を始めました。1999年の政府統一見解は、周辺事態の判断根拠を、以下の6つに類型しています。

 @日本周辺で武力紛争の発生が差し迫っている
 A武力紛争が発生
 B武力紛争後の秩序回復が未達成
 Cある国で内戦などが発生し国際的に拡大している
 D政治体制の混乱で大量の避難民が日本に流入する可能性が高まっている
 Eある国の行動が国連安保理によって平和に対する脅威などと決定され、安保理決議に基づく経済制裁の対象となる

今回安倍政府は、北朝鮮による核実験と国連の制裁決議を、E当てはめています。しかし周辺事態法が本来想定していたのは、日本の安全に影響を及ぼす戦争の発生です。新聞などの報道によれば、核実験の実施を周辺事態に当てはめることには、政府内部にも異論があるようです。

10月14日・15日の報道などによれば、安倍政府は米軍への協力を、周辺事態法の発動前と発動後の2段階に分けて準備を進めているようです。
●1段階目・・・周辺事態法発動以前
 @自衛隊の港湾施設・空港の米軍への提供
 A主要な米軍基地を自衛隊員1000人規模で警護

●2段階目・・・周辺事態法発動以降
 @日本海に展開する米海軍艦船への本格的補給活動
 A海上自衛隊艦船による独自の船舶検査活動

ところで、周辺事態法で支援できるのは米軍のみです。しかし臨検活動には、他の国々の参加も予想されます。そこで日本政府は、周辺事態法発動後に、他国への支援も可能にする「特措法」の成立を検討しているようです。

日本政府は国連安保理決議に基づく米軍支援とは別に、日本独自の制裁措置を発動しました。10月11日に開催された安全保障会議では、
 @北朝鮮からの全品目の輸入全面禁止、
 A北朝鮮船舶の全面入港禁止、
 B北朝鮮国民の原則入国禁止――を決定。
輸入・入港禁止は14日に発動されました。


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